第21話『何でもぶちこみ料理』をいただきました。
次回は明日の12時過ぎに第22話掲載予定です。
ブクマ、感想、評価、レビューも出来ればよろしくお願いします。
料理道具とメインの食材を敷物の上に置く。
「こいつらを食うのか!?」
「美味しいのでしょうか?」
レイナが驚き、フィンが疑問を浮かべた食材。
それは森で狩ったナイトウルフだった。
「ナイトウルフの肉はそこそこイケるらしいぞ」
俺は2人を安心させるように言う。
「「⋯⋯⋯⋯」」
2人とも黙ってナイトウルフの死体を見ていた。
――半信半疑といった感じだな。
それもそのはずナイトウルフの肉は固く、到底美味しそうには見えない。
しかし、王城の図書館の本の情報によれば、ナイトウルフの肉は鶏肉に近い脂の少ない肉でそこそこ美味だそうだ。
王城でふるまわれた高級肉と比べると格が数段落ちるだろうが。
「レイナ、枯れ木を集めたところに火をつけてくれ!」
「おうよ! 『ファイアボール』」
ボワッ!
レイナは『ファイアボール』と言う魔法で枯れ木の集まりに火をつけた。
そして『ストレージ』から取り出したナイフを炙る。調理用の刃物なんか勿論持ってきているわけがない。これからナイフは調理に使うので滅菌する必要があったのだ。
その後、レイナの『ウォーターボール』でナイフを冷やした。【水魔法】で発生する水は純水であるから安心だ。
次に滅菌したナイフでナイトウルフを捌く。勿論、正しい捌き方なんてものは知らない。フィーリングだ。
最後にまたまたレイナの『ウォーターボール』で鍋の中に水を入れる。水をはった鍋の中に、ナイトウルフの肉と塩と香辛料と干し肉、森の中で採った山菜を適量加えて煮れば出来上がり。
――なんとも大雑把な料理だ。
「そういえば、料理なんてした事無かったな」
そう独り言を言って、頭をかく。
『漆黒の両腕が〜』なんてカッコつけた自分を殴り飛ばしてやりたい気分だ。
『ストレージ』を使用し、人数分のパンとスープと皿を出して完成した鍋料理を取り分ける。
香辛料の食欲をそそる匂いが周りに広がる。
「わああ、美味しそうです!」
「ああ、取り敢えず朝や昼よりはまともなものだな」
フィンはキラキラした表情を浮かべて本当に喜んでいるのが分かるが、レイナは複雑な表情をしていた。
きっと俺がやったのが、誰にでも出来る『何でもぶちこみ料理』だからだろうな。
まあ、気を遣ってくれたのには感謝だ。
「「「いただきます!」」」
まずはスープを飲む。
フィーリングだから少し心配だ。
そう心の中で呟いた後、スプーンですくって口の中に入れる。
「っ!?」
――美味い! 単純に美味い!
「美味しいです!」
「もっと味が薄くて、肉の臭みが出ているものだと思ってたが、全然そんな事はないぞ!」
フィンの顔が幸せそうな表情になり、レイナはがっつき始めた。
おそらく肉の臭みは香辛料でカバーされていて、干し肉からたっぷり出汁が出ているためか思ったよりも濃厚だ。
スープは予想以上の美味しさで感動した。
よし、次はナイトウルフの肉を食べてみよう。
適当なサイズに切られた肉を口一杯に頬張る。
「ホアッ!」
変な声が出てしまった。
しつこくない肉の旨味が広がる。
スープの味が濃いため、こういう淡白な味の肉が合うな!
鍋で煮ているからといって固くはなっておらず、食べやすい。
――肉の方もバッチリだ!
そして、辛い物を食べているのでパンも進む!
朝昼とパンと干し肉だけの簡易的な食事だけだったからか、今はこういう人間味溢れる料理がより美味しく感じられる。
「「「⋯⋯⋯⋯」」」
俺たちは無言で料理にがっつく。
食事時間は30分と考えていたが、なんと20分で完食してしまった。
――思ったより多めに作っていたのに。明日の朝はまた干し肉とパンだな。
「ああ〜、腹一杯だ」
「あっという間に食べてしまいましたね」
「いやー、博之の思ったより美味くてびっくりしたよ」
「『思ったより』ってどういう事ですか?」
フィンが目を細める。
その様子を見てレイナがにやける。
「そんな反応するから【堅物】スキルなんて習得しちゃうんだよ」
「キィィ! イライラする!」
「こわいこわい」
2人が戯れている間に俺は余ったナイトウルフの肉を『ストレージ』の中に入れる。
『ストレージ』の異空間は時間が停止した状態となっているため、食べ物をそのまま入れていても腐る事はないのだ。
その後、すぐに俺たちはテントでの見張り担当を決める話合いをして、見張りはフィンとレイナの交代制での担当となった。
レイナもフィンもあまり睡眠を必要としない種族のためだ。
最初は女の子にそういう役割を押し付けるのはどうかと思ってフィンに言ってみたが、『マスターはグッスリ眠ってください!』という強い一言で沈黙である。
以外にレイナも『面倒だけど、どうせする事ないしやってやるよ』との事。
レイナの場合、『メンドくさいから、やりたくない』と言うと思ったんだけどな。
読みが外れたぜ。
「レイナ、フィン! 就寝前に『浄化』を使うからこっちに来て」
「分かりました」
「オッケー」
『浄化』は【生活魔法】の1つで表面の汚れを洗い流す魔法だ。部屋の掃除や簡易的なお風呂、歯磨きにも使える便利な魔法だ。
俺達の体と頭、口の中に『浄化』の魔法を発動していく。
まあ、お風呂に入った方が綺麗にはなるらしいが、旅の途中である今はこれで済ませるしかない。
その後、すぐに俺はテントの中に入って寝たのだった。
空に浮かぶ月が時間とともに移動していく。
こうして旅の初日が終了した。
***
旅の2日目は東へ伸びる街道をずっと歩くだけだった。
街道であるため魔物も滅多に出ない。
かなり退屈だった。
とにかく歩き続けてホノルの町との距離を縮めた。
そして旅の3日目、ついにホノルに到着した。
次回は明日の12時過ぎに第22話掲載予定です。
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