合流
一応合流ですかね、残りの騎士団メンバがー全員揃った時は集結ってタイトルつけると思います。
「おらぁぁ!」
「ふん!」
菱田の攻撃を受け流す、俺とシンの二人でクラスメイトを鍛えていた。
「そこだ!」
一度間合いをとってから一瞬で間合いに近づき頭の前で寸止めする。
「くそぉ……縮地はずるいっすよ~」
「悔しければお前も早く習得することだな~」
俺が神山周平だと知った時こいつがどう思うかだな。
「体技の習得は難しくて……」
本来ステータスを上げるために鍛えるにつれて体技を覚えるものだがこいつらはステータスだけ先行して上がるために本来なら体技のいくつかを覚えてもいいステータスなのに体技を習得できていない。
こればっかりは体に覚えさせないといけないのでいくら加護があっても意味を為さない。
「体の動きと呼吸、それとステップだ。いくつかは習得しないと向こう行っても死ぬだけだぞ!」
「うい~っす」
今日でここにきてもう二週間だ、とりあえずこいつらを育成しているがあっちのほうもちらほら進めないとだが……
「今日はそろそろ切り上げようか、向こうも終わったみたいだし」
少し離れた場所でシンが木幡&菱田と模擬戦をしていた。
正確にはその模擬戦は今終わったところだ。
「強すぎる……」
「化け物め……」
二人はシンに軽くあしらわれKOだ。
「剣術の基本がなってないな、基礎ができてなければ後々詰まる。能力に頼った戦いでは真なる強さは得られない」
シンも同じようなことを言っていた、こいつらを見ていると初代勇者の三人はやっぱり別格なんだと改めて実感できる。
もちろんあいつらの生きていた時代背景だったり身分は特別なものがあるがそれでも群を抜いている。
「やはり基礎をもっと重点的にやらないとだね竜也……シンさんの言う通りどっかで息詰まるね……」
「ああ、強くなることにこだわりすぎて色々見えてなかったことが見えてきたな……」
基礎がなっていないがために習得できてなかった技があることに気づいてきた。
ステータスだけでなくそのステータスにあった体の使い方も戦闘ではかなり大事になってくる。
「シン~飲みに行こうぜ~」
「承知した」
二人で城を出る。
「友はあいつらをどうするつもりなのだ?」
どうするかか……どうしたいのだろうか……その質問に対して正しく答えられない自分がいる。
「わからん……ただ死んでもあまり感じない奴もいれば死んで欲しくない奴もいるただ……」
「ただ?」
「平和な暮らしをしていた日本の高校生こんなのに巻き込まれるのは嫌いな奴だろうと同情するしかわいそうだとは思う」
これは本心だ、俺を嵌めようした奴にしろ菱田にしろ月島や杉原にしろだ。
そしてこんなことをした現ファーガス王国は滅ぶべきだと思っている。
「ふっ、優しいな。俺の親友も優しかったがお前もたいがいだ」
「精霊王バヤルドか、是非一度会ってみたいな」
「いずれ二十柱が集結したら会えるさ」
存在する二十柱の中には会ったことがないのもいる、精霊王バヤルドもその一人だ。
「そうだな、それと今日の飲みはファーガスじゃなくて移動するぞ」
「どういうことだ?」
「あいつが来たみたいだ」
シンと共にとある場所までいく、そう転移してきた場所だ。
「よっ、遅かったな~」
王都の外れにあるとある廃墟の中、そこには立花とエミリアがいた。
変身を解き神山周平に戻る。
「周平~」
立花は俺に抱きつかキスを交わす。
「私がいなくて寂しかった?」
「ああ、隣がいなくて調子がでなかったよ」
「ふふっ、でも女の臭いがするわね?」
立花は俺の臭いを嗅ぎはじめる。
「エミリアは抜いて……ふんふん……一、二、三、四、五人かしら?周平ったらそんなたくさんの女と遊ぶなんて妬いちゃうわね~」
こいつの鼻はどうなってやがる?
一応五人とは親しくなった異性の人数だが……まだ小さいダルジナまで入れるとは……
「ははっ、その誤解を招くような発言はしないでくれよ~」
「私の鼻を甘く見ないことね」
「恐れ入ったよ~」
怖いわ~なんかスキルでも隠し持ってるんじゃないかと疑ってしまう。
「ははっ、相変わらずだなフォルモサよ」
「ふふっ、久しぶりねシン。無事復活を果たしたようね」
「ああ、俺も戦力に数えてくれていいぞ、昔と変わらず友たちと共にあるつもりだ」
その言葉に立花は微笑む。
「頼もしいわ、改めてよろしくね」
「ああ、それと友が場所を変えるとはそういうことだったのだな」
立花が王都に来たのは夕方前で魔力の波動から察することができたが訓練もありすぐには移動しなかった、そのおかげでエミリアとの合流を先に済ませてくれている。
「おう、立花のゲートでギャラントプルームに移動して飲み会ってわけよ。エミリアはいつ合流したんだ?」
「さっきよ、立花の方から私に声をかけてくれたの」
エミリアは酒を飲みはじめていたのか少し顔が赤い。
「さっきここに来た時何やら見覚えのある魔力を感じたの、どうせエミリアも合流だったんでしょ?」
「ああ、だから先に合流しといてくれて助かったよ」
「ならよかったわ、早速行きましょう」
ゲートを開きギャラントプルームへ移動した。
「周平君おひさ~」
「宮本じゃないか!?」
中学時代生徒会で一緒だった宮本里菜……なぜここに?
「偶然拾ってね~お持ち帰りしたわ」
「お持ち帰りって……まぁいいか。元気そうで何よりだよ」
一年二年共にクラスが違ってしまいあまり絡みはなかったがそれなりに親しい仲だった。
「周平君もね~立ちゃんから話は聞いてるけど奇想天外な人生を歩んでるんだって?」
「奇想天外って……まぁ間違っちゃいないか……」
いくつか世界を行き来して転生してまた戻ってなんて普通の人は歩まない人生だろうからな。
「もうあれだよね、欲しいものは手に入れるのが俺のやりかたさとか言って力でなんでも奪ってくスタイルなんでしょ?かっこいいな~」
「どこのジャイアンだよ……俺そこまで強引じゃねぇよ~」
たしか宮本は青い狸のファンだったな、こいつ常識人に見えてちょいちょい変なとこあるんだよな。
「またまた~でも覇道を歩む周平君には期待してるから、ちゃんとバルコニーで見てるね」
「バルコニーって……見るならせめてオーケストラのプレミア席で見てってくれよ」
ミュージカル席は一階の席がオーケストラ、二階がメザニン、三階がバルコニーと言う。
「ふふっ、私の席がそこにあるなら移動するね~」
「ああ、是非移動してくれ、それとそっちの話も聞かせてくれ」
ファラリス連邦での勇者達が気になっていた。
「それは食事の席にして一旦集まってからよ」
冒険者ギルドの総本山の中にある少し大きめの部屋に何人か集めてのお食事会となった、参加するのは俺と立花、シン、エミリアに加えて九兵衛さん、実、九十九、ザルカヴァ、ヴィエナ、宮本の十人だ。
「それじゃあ早速乾杯するからみんなグラスを持ってくれ」
全員がグラスを持つ。
「ええっと、今日は今後の成功を祈ってということで楽しみましょう!」
挨拶を終えると乾杯という大きな声と共にグラスとグラスが当たる音がこだまする。
「これおいしいな~」
「ビアーベースのカクテルだから当然だよ~」
「流石は九兵衛さん」
これは一杯で金貨数枚とかいうレベルだろう。
「そういえば二人とも未成年でしょ?平然とお酒飲んでるけど……」
里菜は俺と立花が酒を飲むのに待ったをかける。
「あら、私達転生してるから実際はもっと長い年数生きてるのよ」
「でも二人の今の年齢は十七でしょ?未成年の飲酒は禁止よ」
宮本の言うことは確かにもっともである。
「まぁ待て、宮本の言うことは確かにもっともだがそれは誰が決めたんだ?」
「決めたってそんなの法律で決まってるでしょ!全くこの世界に来て法律も忘れ……ってあれ?」
どうやら気づいたようだ。
「この世界にはそんな法律はない、したがってその法律は適用されんな」
持っていたビアーの果実酒をひと飲みする。
「むっ、確かに……」
「ふふっ、里菜も飲むといいわ。このビアーの果実酒は高級で中々飲めない代物よ」
立花は宮本に酒を渡す。
「ちょっ……立ちゃん私には酒はまだ早いって……」
「いいからいいから~飲むと世界が変わるわよ?」
立花のその言葉が悪魔の囁きに聞こえるがビアーは口にすると確かに世界が変わる、そんな味だ。
「なら……一口だけ……」
宮本はゆっくりとグラスを口に近づけ一口飲む。
「これは……」
宮本はそのままガブッとひとのみした。
「これは一体何なの?飲んだ瞬間体に衝撃がはしったわ……こんな美味しいもの初めて飲んだよ!」
「だろ~」
俺もそうだったがビアーを初めて口にすると大抵の人の体に衝撃がはしる、するともうビアーの虜になってしまうのさ。
アルコールを飲んで体がほんわかしてくる感覚なんかそっちのけだな。
「ふふっ、口に合って何よりよ」
立花もひと飲みする。
「もっと飲みたいけどこれ高いのかしら?」
「周平これいくらぐらいだったっけ?」
「たぶん金貨五から十枚だと思うぞ」
「高っ!そんなの飲むお金ないよ~」
宮本は驚愕する、それは実際の相場だがこのギャラントプルームは独自のルートでそれを入手しているのでそんなに高くはない。
もちろんそれは市場には回さず一部のメンバーだけで独占している。
「お金は気にしなくていいのよ、それにここに回ってきてる分は特別だから」
「そそ、今日の飲み会は俺達境界騎士団とその関係者に振る舞う為に用意したからね~気にせず飲み食いしないさいな~」
離れた席にいる九兵衛さんが声をかける。
「九兵衛さんの言う通りだ、用意した食材腐らせないようしっかり消費しようぜ」
「周平君……わかった……お言葉に甘えて食べるね」
宮本は早速ビアーそのものを手に取り食べる、果物は普通は後なのだがとにかく食べたかったらしい。
「美味しいよ~バルコニーの最前列どころかエキストラで出演するね」
「ははっ、歓迎するよー」
すなわちこれはこちら側で戦うという意思表示と受けとる、ビアー一つでここまで考えが変わるとは……恐ろしい……
「そうね、里菜には生徒会の時見たく色々やってもらいましょう、境界騎士団ならぬ新たな組織の設立が必要ね」
「そうだな、そろそろ人も増えてきたし必要かもな」
立花の言う通り今後の事を考えたら騎士団というくくりではなくちゃんとした組織を設立する必要があるな。
「ちょっと九兵衛さんの隣行ってくるわ」
席を移動し九兵衛さんの近くに行くとヴィエナとザルガヴァが両隣に座り格闘していた。
「総長から離れなさいよ~」
「そっちこそ私の九ちゃんから離れなさい!」
そんな二人に密着した九兵衛さんは困った半分嬉しさ半分といった感じだ、二人ともいいスタイルしてるし胸が当たって鼻の下のばしてやがる。
俺は立花が恐ろしくて両手に花状態を作れないだけにうらやましいところだ。
「まぁまぁ二人とも抑えて抑えて~」
「総長がそんなんだからこうなってるんでしょうが!」
「そうよ!どっちか決めてちょうだい!」
二人はくっついたまま九兵衛さんの顔をジッと見る。
「ははっ、九ちゃん困っちゃうな~」
この男は全く……話もあるし助けてやるとするか……
「二人ともすまんが九兵衛さん借りていいか、今後に向けて大事な話がある」
俺の顔を見て察したのかダメ男顔から真剣な顔に変わる。
「了解~二人ともちょっとゴメンね」
九兵衛さんは立ち上がり共にカウンター席に移動する。
「シンもいいか?」
「承知」
エミリアと話していたシンも呼び三人でカウンターに座る。
「どうした友よ?」
「ああ、立花からも話が出たが騎士団を母体にした新たな組織の設立が必要だと考えている」
「ふむ、よいと思うぞ。リーダーは友か?」
騎士団の時同様俺になってしまうか……
「周りの反対がないなら俺だろうな」
「周平でいいんじゃないかな、俺もその意見には賛成だよ~」
「ギルドの方は大丈夫なのか?」
九兵衛さんは冒険者ギルドの長としての顔がある、九兵衛さんが入れば嫌でもギルドを巻き込む形となってしまうだろう。
「問題ないさ、二十柱である以上そっちの責務は果たさんとだしそれに……」
「それに?」
「俺達が勝利をおさめれば何の問題もないだろ?偽神共を駆逐しどっちが正しいのかを世に知らしめればいいだけの話さ~」
「九兵衛殿の言う通り勝った方が正義だな」
これは要らぬ心配だったな、後は合流してないメンバーがどうなるかだな。
「スマンな、なるべくギルドに迷惑をかけないようにはするよ」
「大丈夫だよ、元々この時の為に作ったギルドだからね~それでいつそれを大々的に発表するんだい?」
いつにするか……宣伝するのもかねて大々的な発表は攻める時がいいだろう。
「連邦を攻める時が一番だが確定ではないって感じかな」
今王国で裏で進めているのが実る時でもいいと考えている、何にしてもタイミングを外さないことが重要だな。
「了解~こっちとしてはもうそれに入ったものとして考えてくれていい、後は残りのメンバーの同意を得られればOKだね」
「ふむ、騎士団を母体としてだろうし、レダ達の承認を取る必要があるな」
レダさんか……昔の事でのわだかまりがまだ解けていないから会うのは少し気まずいがそうも言ってられんな……
「そうだな、そこらへんは後日再開してからだな」
まだまだ問題は山積みだな、力も完全に覚醒してないし記憶もまだ完全ではない。
そっちの方の問題は早いとこ片付けておきたいな。
「ふむ、とりあえず飲もうか。今日はその為の場だろ?」
シンが言う。
「ああ、そうだな。かたっ苦しい話は明日でもできるな」
「周平く~んこっちに来て下さい~」
「周平さん早く早く!」
宮本と実が呼んでいるようだ。
「向こうに戻るか……二人ともありがとな」
「ふっ、気にするな」
「そうそう、今更そんなの気にする間柄じゃないからね~」
宮本達のもとに戻る。
「お前等飲みが足らんな~」
そこらへんに置いてあったお酒を一口で一気にいく。
「あ、周平さん~それ俺の~」
「ははっ、悪いな実。もっと酒持ってきてくれ~」
「飲みすぎは駄目ですよ~」
久しぶりの長い飲み会になり朝まで飲み、語り合った。
ほぼ初対面同士のメンバーもいたが今後に向けてのいい交流会へとなった。
昔の騎士団の時も戦争の後祝勝会はいつもこうやって宴会をしていたのを思い出したのだった。
今週はほぼ毎週アップしてた日曜日が日本にいないので日曜日のアップはできないと思います(ホテルで寝ないで書く気力があったらアップするかも)




