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首都ファラモンドへ

頭が痛い……

 「尋問だと?」


 バーの窓と入り口は閉じられ外から見られることはなく、更に建物を囲うように防音の障壁を貼り外とは隔離された状況を作り出した。

 そんな中ヘクターに変身した私と里菜とフィダルゴとシスオンバイは拘束されたヘクターと対峙していた。


 「里菜から話は聞いているわ、あなた獣人族達を探っていたんだって?」


 ヘクターは何も答えない。


 「他の勇者達の動向について知っていることはあるかしら?」


 無言のままだ、このまま無言を貫かれては面倒なので拘束を強くしてさらに縛り付けた。


 「ぐあぁぁぁぁ!」


 強く縛った部分には薔薇のとげが突き刺さり血が流れる。


 「喋る気にはなった?」

 「ぐはっ……あなたに喋ること等何もありませんよ……あなたに石にされた時点でもう死は覚悟している……」


 こちらを鋭い目で睨み付ける、どうやら意志は固いようだ。


 「いずれ滅ぶ国に大した忠誠心ね?私を怒らした時点で生かしておくつもりはないけど心を入れ替える気はないかしら?」

 「あなたが何者かは知らないが連邦を甘く見ないことだな、それに私は連邦のトップであるハイフライヤー家に仕える身……あなたに屈する気などない」

 「あら残念ね……使えるから生かしておこうと思ったんだけどね~」


 さらに拘束を強める。


 「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!」


 大きな悲鳴がバーに響く。


 「一ついいかしら?夜私と対峙して一人石にした時あなた不適な笑みを浮かべていたけど勝てるつもりでいたのかしら?」

 「わ、私の異能がまったく効かないなんて予想外でしたからね……」


 随分と甘く見られていたものね。


 「その結果がこの様、己を尺度でものを測らないことね」

 「まったくだ……それと私は他の勇者の事なぞほとんど知らない、各部隊に配置されているがそれぞれどう動くなど知るとこではない。ましてやインフィニティシールドの施行で帰還手続きは面倒だったからな」

 

 どうやら嘘はついていないようだ。


 「ちっ、使えないわね……」

 「ふふっ、感じますぞあなたの苛立ちを……」


 その言葉にカチんと来た私は更に縛りを強くする。


 「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!」


 縛るたびに声が大きくなっていく。


 「死にたいのはわかったけど苦しんで逝きたいならより苦しめるわよ」

 「がはっ……あなたは人の皮を被った化け物だな……」

 「それは褒め言葉ね、それと親友を隷属の腕輪つけて更に心まで縛るあなた達こそその言葉はピッタリよ」


 私は二十柱の一角である大賢者だ、人であって人ではない。


 「まさにブーメランだね~」

 「ふふっ、里菜はこんな時でも面白いことを言うのね~」


 私もつい笑ってしまった、里菜はいつも私が苛立っている時にはこうやってちゃちゃをいれて和ませてくれていたのを思い出す。


 「というか立ちゃんこいつに怪音波していいかな?少し仕返ししたい」

 「ふふっ、いいわよ」


 里菜は怪音波を発動し錯乱を起こさせる。


 「うっ……」

 「洗脳していた相手にこうやって仕返しされるのはどういう気分?」

 「……」


 何も答えない。


 「エミリウスの宴!」


 あえて石化速度を弱め石化した部分から砕いていき両下肢と両前腕を砕いた時点で解除する。


 「ぐあぁぁぁぁぁぁぁ!」


 体の一部を砕いたことにより大きな激痛が走りさらに増して大きな悲鳴をあげる。


 「もういいわね……この姿もトレースできたしもう始末しましょう」

 「私はお前に……屈し……な……」

 「黙りなさい!」


 速度の遅いエミリウスの宴を発動し上腕、上肢、腹部、心部と順に砕き最後は恐怖に満ちた顔のまま石化状態になった。


 「この残った顔の石像だけは一応保管しておくわ」


 変身を解き一瞬の静寂が訪れ微妙な雰囲気になるがすかさず里菜が私に声をかける。


 「立ちゃんお疲れ様~」

 「里菜も少しは気分が晴れたかしら?」

 「うんうん、私の為にありがとう~」


 シスオンバイはともかくフィダルゴの顔は少し引きつっている。


 「姉さんはおっかないですな~」

 「まったくだ……昨日でかい口叩いて俺はもういない……」


 フィダルゴはともかくこんなことを言うシスオンバイの顔は相変わらず笑っている。


 「ふふっ、私敵には容赦ないの」

 「そうでしたな~今のであっしもちびりそうになってしまいましたな~」


 私を前に飄々とした態度でいられるこの男も中々に図太く感心する。


 「私達は行くから後はよろしくね」

 「ええ、任せてくださいな~姉さんとの友好関係も勝手ながら一生涯約束させてもらいまっせ」

 「ふふっ、私もそうあることを祈っているわ」


 力関係をしっかりわかっていて賢明な判断だ。。



 ◇


 

 宿に一度戻ってからギルドに向かうと九兵衛さんとヴィエナとアエロリットさんが馬車を用意して待っていた。


 「早かったね~」

 「立花さんこっちは準備万端ですよ~」


 私達がバーに行っている間にギルドに行き馬車を手配してもらっていた。

 

 「ありがとうアエロリットさん」

 「いえいえ、立花さん達には大役がかかってますからこれぐらいは当然です」


 九兵衛さんの腹心の一人だけあってある程度のことは把握しているようだ。


 「また近いうちにこの街に来るからその時はよろしくね」

 「はい、ぜひお待ちしておりますね、その時は胸を借りるつもりでぜひお手合わせお願いします」

 「ええ、いいわ。


 アエロリットに挨拶を済ませ馬車に乗りこむ。


 「それじゃあ首都ファラモンドまでだね~」



 ◇



 馬車に揺られること一日と数時間首都ファラモンドの手前までたどり着いた、途中は特に平和に進み検問も襲撃もなかったので問題なく着くことができた。


 「ここが首都ファラモンドね」


 街を囲うようにバリアのようなものが貼られているが外から見ても大都市であることがわかる、流石は大国の首都だ。


 「これがインフィニティシールドね……」


 インフィニティシールドとは第十位階魔法であるが連邦の基礎を作った四戦姫フォースヴァルキリーの一角であるミッディ・パールキャップが残した秘術を用いて発動されるらしく都市全体を長期間覆うのに上級魔導士三百人分の魔力を使用したらしい。

 効果は最強の防御で二十柱クラスでも破壊には少し骨が折れるのでこんな大規模になれば容易にはいかない。


 「さてヘクターに変身してと……」


 ヘクターへと変身し馬車を降りる。


 「さて里菜行きましょうか」

 「うん」

 「それじゃあちょっと行ってくるね」 

 「了解~」


 一部インフィニティシールドを一時的に解除できる部分がありそこが関係者の出入り口になっているらしい。

 本来ならこんな融通利かせてのシールドの発動は難しいがミッディが作り上げた秘術がこの都市全体に張り巡らされていることでそれを可能にしている。


 「ここよ」


 何やら厳重そうな検問所の前だ、兵士がたくさん配置しておりバレずに突破するのは難しいだろう。

 それだけ厳重だと言う事だ。


 「隠密部隊は機密行動が多いだけに検問所での出入りは比較的自由だけど突っ込まれたら議長に伝えることがあると言えば大丈夫」

 「わかったわ」


 検問所の前に行き入ると兵士達が声をかけてくる。


 「これはヘクター殿」

 「ごくろう、ちょっと用があり帰還した」

 「わかりました、騎士三人はいらっしゃらない様ですが?」


 当然突っ込まれるか……


 「別任務で今はターウィの街だ、獣人族共の動きを見張る必要があってな」

 「なるほど……すぐに開けるので少々お待ちください」


 検問所の門を抜けると更に門がありそこから先を覆うようにインフィニティシールドが張り巡らされている。


 「こんな感じなのね」

 「うん、他の部隊はもっと厳しいんだよ」


 しばらくすると二つ目の門が開きその部分だけシールドが解除される。


 「どうぞ~」


 里菜と共に首都ファラモンドへと潜入した。

 首都の中は殺伐としていて軍人がうろついており一般人の活気もない、厳戒態勢と言ったところだ。


 「立ちゃんどこに行くつもり?」

 「まずは迷宮の手前まで行くわ、その前に裏の通りに行って一般人に変装しましょう」


 裏通りに行き一般人へと変装する。


 「これで迷宮の前まで行ったら任務完了よ」

 「うん」



 ◇



 魔大陸に一人向かったロードリオンは魔大陸中央に位置する炭鉱都市ファピアノでレダ・スパイラル達との再会を果たしていた。


 「やっと見つけたよ」

 「これはリオン殿久しぶりですね」


 レダは毅然とした態度だ。


 「神代もアレキサンドラも久しぶりだね」


 レダ同様二人も会釈をする。


 「連れ戻しに来たよ、戦争の準備だ」

 「なるほど……でもまだ私はあの時のことを周から聞いていない。周はもう記憶を完全に取り戻したのかしら?」

 

 レダはあの時の事にずっと固執している、それだけ彼女は仲間を大切に想っている証であり仲間を犠牲にした勝利など望んでいない。


 「そのことだけど僕はあの時の事をアファームドの奴から眠っている間に聞いたよ」


 それを聞いたレダは表情を変え怪訝な顔になる。


 「それは信用できるのかしら?」

 「ああ、信用していいよ」


 レダはそれを聞くと何かを悟ったのだろう、態度を軟化させる。


 「わかったわ……」

 「レダさん!」

 「姉さん!」


 レイチェルと椿が声を荒げる。


 「周が自分から仲間を見殺しにする訳がないのはあなた達もわかっているはずよ!」

 

 椿とレイチェルは口を紡ぐ。


 「私は本人からその口を聞きたいわ、だから言わないでほしい」

 「ああ、了解したよ。それじゃあ合流してくれるのかい?」


 レダはコクンと頷く。


 「神代もアレクサンドラもそれで大丈夫かい?」


 二人も頷く、複雑な表情をしているもののレダには従うと言った感じだ。


 「真相は三人共を聞けば納得のできる内容だよ、だから心配しないでほしい」

 「大丈夫よリオン殿、私達は周に理由を聞きたかっただけで敵意はないわ。周は今も昔も大事な仲間だもの」


 レダは微笑む、騎士団の絆は健在だというのを百年の時を経てそれを証明してくれた。


 「よかった……ところでシンと直樹は?」

 「直樹は一人でギャランとプルームへ向かったと思うわ、シンはファーガスに向かったわ」

 「ふむ、ならもう回収するのは三人で大丈夫そうだね」


 僕の任務は達成、これで騎士団の再集結と戦争に向けての準備は整いそうだ。


 「それじゃあ早速ギャラントプルームに戻ろうか」




次から主人公視点の話です。

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