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お食事会

次は主人公だします。

 そこから一月近くは決闘方式でのバトルでお互いに切磋琢磨し遠征ルートの話し合い等も再度行われた。

 最悪ファラリス連邦の力なしでも魔大陸遠征が出来るようにとのことだ。


 「雪ちゃん~」


 王宮で私を呼ぶのは直ちゃんだ。


 「直ちゃんどうしたの?」

 「いつもの~」


 あの会議から直ちゃんから誘われることが多くなったがこれは直ちゃんが私と嶋田君を固定メンバーとして日替わりで何人か誘うといった感じで交流を深めている。

 美里ちゃんと木幡君が外れているのは美里ちゃんは一部の女子から恐怖の対象であり木幡君も大人しめの男子からは苦手意識が持たれているからだ。

 

 「今日は誰が参加?」

 「浩二君が今日は参加できないから橋本君と東君、沙耶ちゃんの五人かな」


 こないだの腐女子に二人とアニメ大好き男子を集めた時は中々にカオスだったが今日は普通だろう。


 「オーケー、お店は?」

 「前に浩二君が紹介してくれた肉の宿」


 肉の宿とは前に得体の知れない女の人に嶋田君や木幡君が石にされた場所だ。

 あの女の人はとても綺麗で長い黒い髪にスタイル抜群の美女だったのが印象的だった、あの人の言っていたことはよくわからなかったけどあの得体の知れなさはシンさんと酷似している気がした。


 「行こう、三人は?」

 「もう店行ってるってさ~今日は交流会って感じにならかいもね~」

 「ははっ、そうかもね」


 直ちゃんと共にお店へ向かう。


 「やっほ~」

 「お待たせ」


 私と直ちゃんがお店に入り席に行くと三人はもう既に始めていた。


 「二人ともごめ~ん、もう始めちゃってます」

 

 白井さんの見かけは茶髪のセミロングでふわふわしている。

おっとりした印象があるが頭が回るのでガードが甘そうに見えて堅いというのが美里ちゃんや私の評価だ。


 「大丈夫だよ~」

 

 席に座る、このお店の雰囲気は言うならば上品な焼き肉店だ。


 「二人は何を頼む?」

 「何にしようかな~」


 私と直ちゃんはメニューを見る、いまいちまだこの世界の食材に慣れてないのでメニューを見ると少しめまいがする。


 「う~ん……じゃあこのお任せランチで」

 「私もそれで~」


 直ちゃんも同じ気持ちらしく私が選んだのと同じのをチョイスした。


 「それでこないだの交流会話聞かせてよ?」


 それを言ったのは東君だ、クラス一の秀才で博識の東君は機転も利くし咄嗟の判断にも優れている。

 橋本君とは中学が一緒で特別仲が良い。


 「ああ、それ俺も聞きたいっす~」


 橋本君は野球部のレギュラーで女子からもそこそこ人気していた記憶がある。

 度胸もあるし迷宮攻略でも度々活躍していた、ただあの一件でクラスに圧力をかけて周平君を一人にしたのは橋本君達である。


「ああ、アニメ大好きな二人と腐女子の二人がヒートアップして終始ピリピリ……私と嶋田君は完全に蚊帳の外だったね」


思い出すと苦笑いがでてしまう。


「ふふっ、しょうもないことで議論してて聞いてて面白かったけどね」

 

 直ちゃんはなんと話に入って真ん中にいたのだからすごいなと素直に感心した。


 「しょうもないことって?」


 東が聞く。


 「ああ、生徒会が問題児ばかりなんだがっていうアニメで主人公含む二人ずつの男女の恋のお話で南井君と和田君は男側がそれぞれどっちに行くのかっていう話をしたら戸崎さんと増沢さんがそれをバッサリ切ってホモルート一択でしょって言ったら反論してそこから熱く語ってたんだ~」

「うわぁ……キモくてついていけない奴だね」


 白井さんが引き気味の顔で言う。


 「まぁまぁ人それぞれ趣味があるから」

 「剛毅の言う通りだし俺も漫画やアニメを見ないことはないがマニアックなのは理解できないと言う事だ」


 東君も橋本君も苦笑いだ。


 「みんな狭いな~もっと心を広くだよ!ねっ雪ちん?」

 「うん、そうだね。陣君も周平君もそういうの結構好きだったし」


 私が周平君の名前をだしたらみんなの表情が少し変わった。


 「なぁ月島、気持ちはわかるがもうもうそろそろあいつのことを忘れたほうがいいんじゃないかと思う」


 橋本君が言うと白井さんも続いた。


 「うん、それは私も同感かも、雪ちゃんモテるんだし凄い勿体ないと思う。それに神山君ってあの事件で化けの皮がはがれたっていうか雪ちゃんの思ってるような人じゃないと思う」

 「それわかるわ~俺も河内があいつを気になってた頃に相談を受けたりしてさ、やめとけって言って説得して正解だったよ」

 「洋子ちゃん一時期神山君のこと気になってたもんね」


 二人は少し高笑いをしながら言う。

 なのでそのやり取りを聞いて私はイライラした、特に白井さんは美里ちゃんとの推理から疑っておりあまり良い感情がない。


 「そんなことない!」


 私はつい机を叩いてしまった。

 この二人に周平君を悪く言う資格などないに決まっているからだ。


 「ゆ、雪ちん?」

 「ごめん、でも私の前で周平君の悪口は辞めてほしいかな」


私は一生懸命笑い顔を作って言ったつもりだったが顔は笑ってなかったのだろう。

 二人はバツが悪そうな顔を見せる。


「ごめん、そんなつもりじゃなくて……」

「俺もすまん、今更神山のことを言っても月島のヘイトを貯めるだけだし配慮が足らなかったよ」


 二人は申し訳なさそうに言うと東君がそれに続いた。


 「二人とも言いすぎだよ、月島さんも不快な思いさせてごめんね」

 「ううん、私もカッとなっちゃってごめん」

 「月島さんは怒って当然だよ、一応説明すると隆司は河内さんのことで神山にあんましいい感情がなかったのと白井さんはあの一件かな」


 橋本君が口を開く。


 「ああ、河内の奴さ中学の頃神山と仲良く話してたら神山の幼馴染にクラスから外されちゃったんだよ」

 

 その話は聞いたことがある。


 「橋本君は周平君と同じ中学だったの?」

 「いや、俺は小六の時引っ越したんだがその前まで河内とは家が近所で親同士も仲良かったんだ、だから中学が違くても河内とはよく連絡を取ってたんだ」


 だが周平君は河内さんに振る以外に何をしたんだろうか。


 「でもそれは周平君の幼馴染の立花さんがやったことで周平君は関係ないはずじゃ」

 「神山も河内の奴とは同じクラスでそれなりに話していたらしいけど外されてから避けるようになって助けてもくれなかったんだとさ。活発気味なあいつだが中三の時会った時はマジで見てらんなかったんだよ……」

 

 橋本君は少し悲しそうに語る、少し信じがたいが嘘を言っているようにも見えない感じだ。


 「そんで卒業して同じ高校入って再会してあいつが神山に告って振られたって感じだな、神山の奴そん時も冷たかったらしくてさ。こっからは河内に内緒にして欲しいんだけどあいつからすると月島や杉原と仲良くしてて自分も神山と仲良くしたかったのに自分は冷たくあしらわれてすごい落ち込んでたし妬ましかったんじゃないかなって思うんだ」


 それを聞いた私はさっきまであった怒りの感情が陰に消えていった、この話は本当な気がするからだ。


 「そうだったんだね、でも河内さんが何かしたって線はないの?」

 「当然いきなりそんな冷たくされてるって聞いたからお前の方から何かしたんじゃないかって聞いたさ、でも何もしてないし急にお前とあんまし絡めないわって言われてからずっとそんな感じだったらしくてさ。多分その幼馴染に神山が気を使ったのかもしれんがその幼馴染は高校入る前に失踪してるし高校入って久し振りに絡んでもそんな対応だったみたいでさ」


 これはいずれ周平君に直接聞く必要があるかもしれないな、一年生の時周平君に告白の話を聞いたら淡々と説明されて終わった気がする。

 普通告白されたらもっと嬉しい感情があるはずだし今考えればおかしい。


 「それであの事件だろ」

 

 今度は白井さんが口を開く。


 「その話洋子ちゃんから聞いてたから雪ちゃん達の思う神山君像に疑問がでてきたんだよね~だからあの事件の犯人も神山君って決めつけるのは早かったのかもしれないけど犯人な気がしてる感じかな~」


 白井さんのそれを聞き頭を整理した。

 つまりあそこで白井さんと河内さんがわざと盗まれて振りをして周平君に擦り付けって線はほぼ理由として成り立つ。


 「あれで俺達は神山を仲間外れにした……神山が許せなかったからな」


 橋本君は怒りの感情をあらわにする。

 橋本君は河内さんに利用された可能性があるかもしれないな。


 「二人はあの件のことはどう思ってるの?」

 「僕はあの件についての犯人は他にいるかもって考えているよ、ただ僕自身神山はよくわからない奴って印象だったけど少し妬ましかったかな」


 東君は複雑な表情を浮かべる。


 「どゆこと?」

 「僕って成績良かったけどそれなりに勉強してたからね、でも神山は授業もろくに聞かなければ試験直前もゲームしてるくせに点数いっつもいいからさ、それでいてお金も自分で稼いでたなんて聞いたら余計にね」


 そこは東君に少し同意するところだ、しかも答案見るとわざと間違えているのも私は気づいていた。


 「私はあの件に関してはよくわからないかな、犯人って決めつけるのも少し早かった気もするけど犯人じゃないって証拠もないし、ただ私は神山君が苦手かな」


 東君も直ちゃんも他の犯人の線を考えているあたり周平君を犯人だと決めつけている生徒はそんなに多くないのかもしれない。

 二時間ほど店をでるとみんな満腹で満足の様子だ。


 「いや~楽しかったね~」

 「うんうん、直ちゃんと雪ちゃんと嶋田君のこの交流会は良かったと思う」


 みんなテンションが高い、こっちとしても端的に言えば楽しめた。


 「月島さんも今日はありがとう、楽しかったよ」

 「ううん、東君もありがとう」

 

 あの時東君が間に入ってくれたおかげで気まずくならなかったといっても過言ではない。


 「そういえば前から疑問だったけど月島さんって神山と仲良かったしいつもいるのに恋愛感情とかって抱かなかったの?」


 この質問は良く聞かれるが恋愛感情はあるようでなかったと思う、ただ美里ちゃんに対抗意識があるのは事実だ。


 「う~ん、周平君はその幼馴染が忘れられなくてその気がないからそっちの感情はなかったんだよね」

 「なるほどね~あんだけ仲いいのに付き合ってないのが凄い疑問だったから」

 

 私が周平君に感じている感情は誰にもわからない……私と周平君の二人の秘密だ。

 

 「よく言われるよ、私は周平君に美里ちゃんと陣君の四人でいるのが大好きだったから」


 城へ戻り美里ちゃんにこの話を報告したのだった。

 

 

 ◇

 

 

 その頃シンは雪と会った丘で一人黄昏ていた。


 「こんな所にいたのね」


 そんなシンに声をかけたのはエミリアだ。

 エミリアはタピットが騎士団長を正式に就任するという話を聞いて王都に来たのだ。


 「久しいな、エミリア」

 「放浪してるってレダさんから聞いてたけど何で王都に?」

 「友がここに来るって聞いたからな、私もその波にのるつもりさ」

 「面白そうね、私もそれに乗っかろうかしら」


 シンのいう友とは周平のことだ、エミリアは周平がここに戻ってくるということは面白いことが始まるということだと確信していた。


 「ところでエミリアは召喚された勇者どもを知っているか?」

 「ええ、一度力を誇示して黙らしたわ、まだまだだったわね」

 「そうか、どうやら魔族がこの王都に紛れ込んでいるようで魔族と現勇者の対決が見れるかもしれん」


 シンはその対決が見たい様子だ、エミリアもそれを聞いてテンションが上がる。


 「あら、ますます面白そうじゃない?」

 「だろ、友と私とエミリアに魔族と勇者……長いこと寝ていたが起きたら相変わらず面白そうで何よりだ」

 「ふふっ、行きましょう凛真。よく行くバーで久しぶりに話がしたいわ」


 シン・アークトライアル・ゲイクルセイダーと名乗った男は境界騎士団の一人で魔剣聖といわれた湖凛真こ・りんしんである。


週2でのアップは基本欠かさずでいきます。

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