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ヴィエナの解放

話を終わらす為に無理矢理まとめたのでこの話は展開が急だと思います。

もしかしたら後で追加して文字数増やすかもです。

 「うん?何ふざけたこと言ってるのかな~」


 九兵衛さん、顔は笑っているが相当怒っているわね。

 

 「は、離せ……我を誰だと……」

 「知らないね~ただ君はレディーを泣かせる下種だってことは理解したよ~」


 今度は九兵衛さんがマラケートの頭を持ち机に打ち付ける。


 「一発は一発~」


 打ち付けたことで木の机は砕けマラケートは地面とキスをした。

 すると兵士達が取り囲もうとする。

 さて私の出番か……


 「風障壁」


 風のバリアを作り私は兵と対峙する。


 「ふふっ、死にたい?」


 兵士達は全員委縮する。

 九兵衛さんマラケートは首を後ろから掴み持ち上げる。 


 「ヴィエナちゃんを愛玩具なんて何様かな~」

 「だ、黙れ貴様よくも……」


 九兵衛さんはマラケートを持ち上げたまま机に押さえつけ、酒を頭からかける。


 「なんかいったかい?」

 「ひっ……こ、こんなことをしてただで……」

 

 まったくイライラする奴ね。


 「それじゃあ今ここであなたを殺せばいいかしら?」


 私は剣を突き出す。


 「や、やめろ……」


 マラケートはやっと恐怖に怯える顔を見せる。


 「女の敵は九ちゃんの敵だね~大丈夫かいヴィエナちゃん」


 ヴィエナは泣きながらコクンと頷く。


 「さてもうここで迷惑行為をしないと約束できるかい?」

 「き、貴様わしに向かって……」


 九兵衛さんは減らず口の止まらないマラケートに対し強く威圧した。


 「死にたいのかな?俺はお前を殺してこの国から出れる自信があるけど……」

 「わ、わかった……店にはもう二度とこ来ない……だからやめてくれ……」


 マラケートは観念したのか減らず口が止まる。

 たしか明日領主であるこいつの家に行く予定だったわね、冒険者ギルドの総長がこんなドンパチしちゃっていいのかしら?

 まぁその時のこいつの驚く顔は見物か。


 「約束を違えば容赦しないから覚えておくといいよ~」


 マラケートは怯えながら兵隊を引き連れて店をでた。


 「まったく……酒場でいい迷惑だね~」

 「九ちゃん~」


 ヴィエナは九兵衛さんに抱きつく。

 

 「ヴィエナちゃん、よかった」

 「九ちゃん、私怖かったよ……」

 

 九兵衛さんはヴィエナの頭を撫でる。

 

 「すまない、うちのウエイトレスが助かったよ」

 「女性の味方として当然さ」


 九兵衛さんは決め顔で言う。

 さっきまでのエロ親父が嘘のようである。


 「お前等すげぇよ~」

 「あの目障りなマラケートがあんな顔で帰っていく姿は初めてだぜ~」


 周りもテンションアゲアゲだ。


 「今日は俺のおごりだ、是非好きな物を追加で頼んでくれ」

 

 私達はさらに飲み食いをしてパァっと騒いだ。

 私は店主のいるカウンターに行き話を聞く。


 「少しいいかしら?」

 「あ、はい」


 店主の名はアックアックといいこの店のオーナの息子らしい。

 父親が獣人族の奴隷を複数持っておりこの店に派遣しているらしい。


 「あなた方の素性は深く聞きませぬがあまりああいった真似はしないほうがいいかもしれませんな」

 「ご忠告感謝します、ただ私達は立ちはだかる者はすべて潰していきますので」


 それが例え国家でも私は容赦しない、もし首都レガリアにつく前に私達に軍隊が攻めてくるようならそいつらは全て滅ぼすまでね。


 「頼もしいですな、ただあいつはこの後あなた方を闇討ちするでしょう……今日は裏口からでてください」


 闇討ちか、上等ね。

 明日の謁見の時の材料に使えるかもしれないわね。


 「ふふっ、お仕置きが必要ね。ここにいる獣人族のウエイトレス五人はみなあなたの父親の所有物ですか?」

 「いやあそこにいるヴィエナだけは違う、彼の主人は失踪していて私が直接面倒を見ている」


 やはりか、彼女だけ隷属の輪をつけている位置が違うから不思議に思っていたがそういうことか。


 「失踪?」

 「ある日のこと、とある街に先に行くから三日後から来なさいと言われてからそこから移動。だがその街に言っても主人はいなかったらしく、それを機に国境を越えようとここまで来たけどそれが出来ずここで働いているんだ」


 飼い主を失った奴隷か、これは仲間が一人増えそうね。

 

 「ヴィエナを借りてもいいかしら?」

 「私にそれを止める権利はないし構わんが何をするんだい?」


 ふふっ、明日の領主との謁見楽しみね。

 


 ◇



 閉店の時間まで店に滞在し従業員だけになった所でヴィエナにこの話を持ち掛けた。


 「店主から聞いたわ、あなた飼い主がいないんだってね」

 「ええ、それで私に何かさせたいの?」


 その魔道具を私は知っている。

 確証はないがもし私の予想が正しければ……


 「私達と一緒に同行しない?あなたの力が必要なの」

 

 それを聞いた九兵衛さんは私に耳打ちする。


 「どういうことだい、話がまったく読めないんだけど……」

 「後で説明するわ」


 「ついてきてくれる代わりにこの国からの脱出と隷属の輪を破壊してあげるわ」


 それを聞いたヴィエナ怪訝な顔でこちらを見る。


 「どういうこと?そんなこと言われても信用できないわ……」


 ヴィエナは警戒心を強くする。


 「九兵衛さん、隷属の輪を破壊してあげて」

 「何か考えあるんだね」


 九兵衛さんはヴィエナの腕にある隷属の輪に触れる。

 巨人王である九兵衛さんなら金属で作られた物質を物理的に破壊することなど造作もない。


 「はいよ~」

 

 九兵衛さんは輪にのみ力をかけヴィエナにはめられた輪を破壊する。


 「完了~」


 それを見たヴィエナは何が起きたのかわからないといった表情だ。


 「あとは君の上腕部に刻まれている隷属紋を立花ちゃんに見せて~」


 獣人族は隷属の輪を嵌めるだけでなく直接雇用主との契約も行う。

 こいつも解除しなければ完全な奴隷解放にはならない。


 「これが隷呪ね、まぁちょろいわね」


 これなら創生魔法を使う必要もないわね。

 

 「神の戒厳ゴッドディスペル!」


 これはありとあらゆる魔法効果を解除する神魔法だ。

 ヴィエナの左腕に刻まれた隷呪は解除され完全に開放された。


 「嘘……私自由なの?」

 「ふふっ、協力してくれるかしら?」



 ◇


 

 ヴィエナを連れて宿へと向かった。

 途中変な輩に襲われたが全て片付け外でのびている。

 ヴィエナは九兵衛さんが気に入ったようで顔を赤くして腕を組んでいる、ザルちゃんに見せてあげたいわね。


 「改めてありがとう、まだ実感がわかないけど感謝してもしきれないわ」

 「ふふっ、礼には及ばないわ」


 そんなことを言うヴィエナだが顔からはウキウキの表情がにじみ出ている。


 「それで立花ちゃんの考えを聞こうか」

 「そうね、ヴィエナの隷呪を解除し輪を破壊したのはヴィエナの所有主がすでに死んでいるというのがわかったからよ」


 それを聞いたヴィエナは驚きの表情を隠せないようだ。

 

 「どういうこと?」

 「あなたのその魔道具は所有主からもらったのよね?」

 「うん、所有主であるお爺さんがお守りだから肌身離さずつけておきなさいって」


 やっぱりそうか、どうやらいい主人だったようね。


 「あなた前の主人の時はそれなりにいい生活していたんじゃないかしら?」

 「ええ、一人だったし私は身の回りの世話をしていただけだから特に何かされたわけでもないわ」

 「その魔道具は主人の死を隠蔽するものよ、普通隷呪はその主人が死ねば色を変えて消滅する。だけどその魔道具、生命の篝火は所持しているだけで主人が疑似的にその場にいるかのようになるの」


 つまりヴィエナの御主人は……


 「それってあれかな?自身が死んでも奴隷として売られないように……」


 九兵衛さんが言う。


 「そういうことね、あなたの主人は何か言っていなかったかしら?」

 「念の為だがもしその街にいなかったらコートマーシャルまで行けって……通行許可証を発行してくれて……あれ……まさか……」


 ヴィエナの目から涙が流れる。

 おそらくあなたの主人はあなたを自由にするために、でも奴隷が国境を超えることが許されてないからここまで誘導したのね。

 その主人が死ぬと同時に生命の篝火が発動、主人といなくても隷呪が有効で輪がついていれば特に何か捕まることもなく許可証があればその街まで移動できる。


 「いい人で良かったね~」


 九兵衛さんはヴィエナの頭を撫でるとヴィエナは九兵衛さんの胸で大泣きをし始めた。

 その涙には複雑な感情が絡まっているのだろうと私は思う。


 「ううっ……お爺ちゃん……ありがとう……」


 さて次はマラケートの家ね。


 

 ◇



 次の日の朝、私達はマラケートの家に向かった。

 当然だがヴィエナにも同行してもらう。


 「ここだね~」

 「ふふっ、楽しみね~」


 昨日あれだけコケにしてきたのが冒険者ギルドの総長なんて夢にも思わないはずだ。

応接室で待っているとマラケートがやって来る。


 「私がこの街の領主のマラケートだ、よろ……」

 「昨日はどうも~」


 九兵衛さんはマラケートにとびっきりの笑みを浮かべて言う。


 「お、お前は……」

 

 マラケートの顔が白くなる、おそらく色々察したのだろう。


 「どうも~改めて冒険者ギルドの総長の高天原九兵衛です、隣にいるのは秘書であり冒険者のフォルモサ、そして同じく冒険者の……」


 「ヴィエナ・エンペリーです、よろしくお願いします」

 「な、何!き、貴様奴隷のはずじゃ……」


 ヴィエナは腕を見せ隷呪と隷属の輪がないのとギルドカードを見せつける。

九兵衛さんがいて私の魔法があれば即席のギルドカードの発行が可能なのだ、つまり彼女は本日の朝をもって立派な冒険者の仲間入りをしたのだ。


 「ああ、あの輪はアクセサリーの一環ですよ~」


 ヴィエナはクスクスと笑う。

 つまりマラケートは冒険者ギルドの総長の前で冒険者に粗相をしたことになる、それをマラケートは理解したのだ。


 「昨日はその……わしもついイライラしてだな……」


 マラケートはタジタジになる、もし自分のせいで冒険者ギルドが連邦から撤退すれば自分の責任になるからだ。


 「ははっ、うちの冒険者にしようとしたことは目を瞑ってもいいと本人はいっているからね~」

 「あ、ああ、それはこちらとしてはありがたいですな~」


 マラケートは白い顔で苦笑いをしている。

 

 「ただ、こちらも頼みごとが聞きいれてくれないと口が滑っちゃうかもしれないからそこはよろしくね~何しろ総長である俺の前で部下である冒険者に辱めを与えようとしていたからね~」


 九兵衛さんが笑いながら脅しをかけるとマラケートは観念したのかその後の要求の大半は通った。

 流石に首都ファラモンドへの通行許可証は難しいらしく申請の手助けをしてくれるだけに留まったが、追加物資の支援を約束させ他の街への移動などはすんなり行くようにしてくれるみたいだ。

 マラケートは終始焦った顔で私達の顔色を窺っていた。

 要求をするたびに苦虫を嚙み潰したよう顔をしてきたが何か言おうとする度にソフトに脅しをかけると素直に言う事を聞いたのだった。


 「というわけでそんな感じだからよろしくね~」

 「し、承知した……だから昨日の件は……」

 

 マラケートはすがるような目でこちらを見てくる。


 「ああ、夜俺達を襲った件も含めて水に流すよ、ただしわかっているね?」

 「は、はい、街で獣人族への乱暴はしないと約束するしその他の頼み事もお任せください」

 「うんうん、これで冒険者ギルドもこの街の緊急時には懇意に動いてくれるはずさ」


 さすがは九兵衛さん、こういう交渉事で相手を丸め込むのは流石ってとこね。

 

 交渉が終えると屋敷をでて次の街へ行く準備をする。 

 一人仲間が増え、ヴィエナをいれた三人で次の街へと向かった。


次はかねてより予定していたクラスメイト編です。

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