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一方的な再会

とうとうクラスメイトと接触ですね。

 模擬戦をしているクラスメイトはどうやら嶋田と木幡のようだ。

俺の見ないうちの成長しているようで動きも白金ランクぐらいの能力はあると見た。


「いくぞ竜也」

「こい」


嶋田の異能である原始の爪の攻撃を木幡のカウンターシールドでガードするが相殺。

なかなか見ごたえのある模擬戦だな。


「なかなかやるな~」


回りを見ると女子生徒やその他の女性が多いのは流石ってとこだな。

しばらくして戦闘が終わると二人は女子生徒やその他の貴族の女性に囲まれてウハウハしている。


「さすがですわ」

「ぜひ魔王を倒して人族の未来を守ってください」

「ははっ、困ったな~」


木幡なんかもいつものクールな感じが台無しだな。


「あの、遠くから見ているのでしたらもっと近くに見てはどうですか?」


いきなり自分の見ていない方向から声がし振り向くとそこには二人の女性だ。

そう、俺の大事な二人の友人だ。


「生きてて嬉しいよ……」

「えっ?」


俺は思わず一言そういってしまった。


「ああ、違うんだ。君達は?」


俺は慌てて言いかえる。


「人から名前を聞くときはまず自分からっていうのが礼儀ですよー」


杉原にごもっともなことを言われてしまったが俺はどうやら同様しているようだ。


「すまんな、俺はシャーガー・ヒンドスタン、冒険者だ」

「私は杉原美里よ」

「私は月島雪です」


まぁ知っているがな。


「噂に聞く召喚された勇者だな」

「ええそうよ、あなたは冒険者でしたよね?冒険者が何故ここに?」

「ああ、サラフィナ第一王女の教育係として冒険者ギルドから派遣されたんだ、ついでに召喚された勇者達も見てくれなんて言われているんだがね」

「そうなんですねー確かにあなたからは強そうな感じがします」

「一応白金ランクだからな、白金ランクの目安だがあそこで戦っていた二人ぐらいの戦闘能力はあると思ってくれていいかな」


本当は黒だがな。


「ふふっ、ならぜひ今度手合わせしてくださいな~」

「ああ、いいぞ」


2人の実力がどんなものか是非試したいところだ。


「あとできれば外の世界のことを教えてもらってもいいですか?」


雪が言う。


「別に構わんがあまり詳しくない感じかな?」

「はい、一応これから魔大陸遠征があるのでそれに向けて聞いたりしていますが文化とか遠征に関係ない地域のことは教えてくれないもので……」


確かに安易に色々教えて離反の可能性を作るぐらいなら教えない方がいいからな。


「ああ、城にいるし適当にうろついてるからいいぞ」

「ほんとですか!」

「ああ」

「ありがとうございます」


この二人には色々と教えていけば後々いい方向にいくに違いない。

境界騎士団団長であり二十柱第八の魔神となっても俺はこの二人との関係を断つつもりはないからな。


「うん、それは?」


俺は二人のついている腕輪に目がいった。


「ああ、これはなんか私達が王都を脱走しないようにつけた腕輪みたいなんですよ」

「なんでそんなものを?あまりいい気はしないが……」

「そうなんですけどクラスメイトの一人が脱出しちゃってつけるのを義務付けられたんですよーまったく嫌になりますよねー」


杉原が笑いながら言う。

尾形の奴再会したら説教だな。


「まぁどの道遠征するにあたってはつけるのが義務付けられる予定だったらしいですけどね」

「まぁせっかく召喚した勇者に逃げられたら困るだろうからそこはしょうがないな」

「そうなんですよねー」

「ちょっと見せてもらってもいいか?」

「はいどうぞ」


月島は右腕を前にだしたのでそれを確認した。


「これは……」


俺は手に取り確かにそれを感じた。

これはただの発信器機能がつく腕輪ではない。

この腕輪を二人につけたこの国に対し怒りがこみ上がってくる。


「なるほど、複雑な腕輪だな。無理に外さないようにな」

「ははっ、そうですね」

「今日はとりあえず城内の散策の予定でな、また明日にでも話そうか」

「はい、よろしくお願いしますね」


俺は2人に手を振りその場を離れた誰も見ていない所まで離れたとこで壁を思いっきり殴りヒビをいれた。

あれはファラリス連邦が奴隷に課すのと同等の隷属の腕輪だ。


「生きて繁栄できると思うなよ……」


まぁあんなもの俺なら簡単に破壊できるしあの二人のはいずれなんとかするとするか……

他の場所も回ると別の場所では菱田達も特訓をしていた。

相変わらずムカつくぐらいいい動きをしているな。

あいつ俺が生きていて対峙したらどういう反応するのか見てみたいものだな。


城内を探索するともう夕方になったのでサラフィナのいる塔へと帰還した。


「遅い!」


扉を開けると目の前でサラフィナは俺を待ち構えていたがとてもご機嫌斜めな様子だ。


「ああ、すまん」

「すまんじゃないわ、私言ったわよね?」

「ああ、今日は勇者と言うよりも先に城内を散策してマップを頭に入れていたんだよ、必要事項だろ?」

「いい訳は結構よ」

「すまんな、明日からはちゃんとお相手いたしますよ姫様」

「当たり前ですわ、まぁ今日はあなたの言い分に正当性があるようだし確かに城内をうろうろしていたのはこの塔の上から見ていましたから大目に見ますわ」


なんとか機嫌を直してくれそうだな。

あまり機嫌を損なわせてお役御免になるとそれはそれで面倒だからな。


「とりあえずご飯にしましょうか」

「ああ、それでどこで食べるんだ?」

「ここに運んできますわ、奥の部屋が食事をする部屋になっていますの」


サラフィナに案内され奥の部屋に行くとメイドが数人いて席に座った数分後に食事が運ばれてきた。


「飯は親と食わんのか?」

「ええ、お父様もお母様も弟も私に苦手意識があるようで」

「なるほど、それでここにいるメイド達は?」

「このメイド達は私の専属ですの」

「そうか」


俺とサラフィナは二人で飯を食べる。

久しぶりに城の料理を食べたがどうも味が微妙だな。

物自体は高級食材を使っているようだし勿体ない……俊樹さんがいればな……


「それで今日はあなたとどういう話をしようか考えていましたの」

「それで」

「あなたもご存知至る所で使われている魔法ですが何故人類一個人では第七位階魔法までしか唱えられないのかということについて議論しようかと思っていましたの」

「姫様の意見は?」

「私の意見は八8位階以降の魔法を人が唱えようとすると大きな負担がかかるのではないかと考えています。特に魔力源とされる心臓部、もしくはイメージし発動するために使用する脳に大きな負担があるから人が唱えようとすると体が防衛反応を働くのではないかと」


悪くない考察だ。

この姫さんはやはり頭はいいようだ。


「六十五点だな」

「なっ……」

「まぁ悪くないよ、答えを知りたいか?」

「是非聞かせてほしいですわ」

「ええ、どうしようかな~」


俺はわざとじらす。

するとサラフィナはさらにムキになる。


「誰にも言いませんから早く教えなさい!」

「はいはい、まぁあれだ、お前さんは心臓か脳かどっちかっていう考察をしたが両方だと結論していれば七十五点だったな」

「ななんと、じゃあ私の考察は的外れではなかったと言う事ですね」

「ああ、ちなみにそれを誰かに話したことは?」

「父上に話したら八位階魔法以降は人が単独で使うことを許されていないから唱えられない、いわば魔法であって魔法ではないと怒り口調で言われましたわね」

「ふっ、滑稽だな、第八位階以降では使う魔力の質が違うんだよ、だから人の身であっては第八位階を発動できないのさ、魔力の質ってのは人の域を超えると変わる、だが人の身であっても発動できなくはないんだ」


厳密にこの質の変化のボーダーラインはステータス十万越えが最低限の目安だが極めている職種だったりで個人差がでる。

騎士団メンバーで言うと精霊憑きの九十九や隔世遺伝で固有スキルを持つ実は十万行かずとも魔力の質は変化していたしエミリアやレイチェルのように魔導士レベルの高いものは十万行く前で魔力の質を変えていたのに対し直樹はその段階に行けたのは平均ステータスが全て十万を超えた時だったらしいからな。


「魔力の質が違うのに発動ができるのですか?」

「理論上はな、魔力の質が人のまま発動すると心臓が停止するレベルで魔力を持ってかれるんだよ、つまり八位階以降の魔法を人の身のまま使うと魔力源を無理やりいじる形になって発動、当然死だ」

「なるほど」

「そんな危険なことをできなくする為にあるのがここ」


俺は手で自身の頭を指さす。


「脳ね」

「そう、脳が魔力源を無理やり弄ることを止めている、無理やり脳を操って発動しようとしても魔力源がいじられ始めた段階で脳をオーバーヒートさせて処理落ちして意識を失う安全機構が確立されているんだ」

「そうなんですね~知らなかったですわ」


サラフィナは俺の話は聞いてとても興味津々でわくわくしている様子だ。

目も輝いているしさっき初めて挨拶を交わした時の不愛想な顔は何処へいったという感じだ。


「まぁ後発動するにも無詠唱じゃなければかなり長い呪文になるから無理やり操って発動させるのもほぼ無理だから戦争とかで生贄呪文特攻なんてのもできない」

「どんなものかいつか見てみたいですわね」

「まぁ見せてやってもいいがここで発動すると塔が下手すると崩れるからな~それと俺は基本無詠唱だから長い呪文唱えるのが面倒でな、特に第十位階なんて詠唱ありで唱えたら面倒だ」

「えっ?」


俺のその発言にびっくりしたのか目が点になる。


「あなた八位階以降の魔法が使えるんですの?」

「まぁな、あんまし大っぴらにはせんでくれ、ギルドに帰らないといけなくなるからな」

「それは大丈夫ですわ、というかあなたは本当に人間かしら?」


一応今もきっと人の部類にはいる、というかもとは人だだわ。


「ああ、一応な……というか人でもある一定のラインを超えて限界突破すれば魔力の質が自動的に変わって唱えられるようになる。第八位階以降は体全体を動力源として発動するような感じなんだがそれが第九、第十となるそれがまた少し変わるのさ」

「ということはあなたはその質を変えた超人クラスということになるのかしら?」

「まぁそうなるな」


人が唱えられないという世の中のその決まりようなものはそれまでほぼ全ての人類が長い間その10万を超えていないことを証明しているようなものである。


「ふふっ、冒険者ギルドの中でも総長に近しい男だと聞いていたけどさすがね」

「それはどうも、今度人がいないとこで見せるよ」

「是非お願いしますわ」


サラフィナを上機嫌にして飯を終えた後は塔の一番上に登り一人星空をみて黄昏ていた。



まだ完全な再会は早いなw

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