別れ
語彙力、文章力がないと苦労しますね…
「こいつは……」
ステータスを見るとえぐいことがわかり菱田も顔色が変わる。タピットはこの魔物のことを知っていたのかより顔が青ざめていく。
鉄巨人
レベル100
種族:魔法生物
攻撃:10000
防御:11000
魔法攻撃:100
魔法防御:9000
素早さ:7000
魔力:6000
固有スキル:剛烈剣
ステータスを見た俺も流石にこれはやばいんじゃないかと冷汗がでる……
「みんな逃げろ!総員撤退だ!こいつは本でしかみたことないが確かAA級の魔物だ……」
タピットのその言葉で全員が悲鳴をあげ撤退する。幸い宝箱から離れて出現した為、三人もすぐに逃げられる距離にあった。しかし百四十三層に戻ろうとすると、今度はもう一体の鉄巨人が邪魔するように現れた。
「マジか……」
鉄巨人に挟まれる形となり、やむを得ない形で応戦することになった為、悲鳴を上げて動揺している生徒が多数だ。タピットさんが引き連れている精鋭の騎士団員達もみな青ざめた顔をしていが、タピットさんだけは冷静でありみんなに指示をだした。
「鉄巨人を二体ともこちら側に引き寄せれば……よし俺と菱田がもう一体を、そしてもう一体を嶋田と木幡が引き寄せて退路を作る。そしてある程度二体を同じ場所に引き寄せたとこで、橋本の粘着床で足止めて俺達も撤退だ。魔法等の遠距離攻撃ができる者はできる限りの支援をするんだ!遠距離攻撃が不得意だったりできないものは、鉄巨人二体を引き付けた時点で上の階に撤退してくれ!」
タピットの指示のもと、それぞれ二人で一体ずつ鉄巨人を引き寄せ二体を同じ所に向かわす。そして攻撃が来るところで、菱田の異能である攻撃破壊を鉄巨人にかける。これは自身で直接、もしくは手にとる武器で触れた相手の攻撃力を一時的にダウンさせる異能だ。
「いくぜ!」
菱田は攻撃破壊を一体は引き付ける段階でかけ、もう一体は橋本の異能である粘着床で二体の動きが止まった段階でかけた。橋本の異能である粘着床は、任意に指定した場所をネバネバした床に変えて動きを止める異能だ。
「よし、いいぞ菱田」
「タピットさんがあいつの攻撃をうまくさばいてくれたおかげだぜ」
「菱田こそいい動きだったぞ。後でお説教だが今はそんなこと言ってられないな」
「へ、へい……」
菱田も今回ばかりは自身の非を認めているのか顔にあまり覇気がない。嶋田と木幡もうまく誘導することに成功させており、何とか二体を同じ位置に移動させかつ動きを止めることに成功した。
その後に来る二体の鉄巨人の剣の攻撃を木幡のカウンターシールドで防御し、鉄巨人に攻撃の一部を跳ね返させ鉄巨人をぐらつかせた。カウンターシールドは広範囲にシールドを貼ることができ、さらにそのシールドが受けるダメージを跳ね返す異能だ。もっとも攻撃破壊がなければシールドはダメージ負荷で貫通していたことは間違いない。これは菱田の攻撃破壊のダウン割合と、木幡のシールドの防御力、そして鉄巨人の攻撃力を考え耐えられるとふんでタピットが瞬時に判断した作戦だった。
作戦はうまくいき、ぐらつかせたとこで再び橋本が粘着床を発動させ、身動きをとれないようにした所で四人が鉄巨人のもとを離れる。
「よし撤退だ!」
全員で四十五人いるこの部隊を無事撤退させること、タピットはそれを無事達成させることだった。ここで誰かが死ねば確実にトラウマになるからだ。
この先のことを考えればそれは絶対に避けないといけないことだった。
「ヤバイヤバイ」
タピット達と一緒に前のほうにきてしまったせいか、上の階に撤退することができなかったのだ。やっと鉄巨人の動きが止まって撤退が始まったので、このまま流れにのって逃げられそうだ。
しかしこのまま無事に撤退かと思いきやそううまくはいかなかった……そう俺の体が急に止まったのだ。
何でなのかわからないが俺の体は動かない……その間にみんなとの距離が開いていく。
「くっ……動け……」
動けないままの俺に援護射撃の魔法が飛んできた。おそらく鉄巨人にあてるつもりの魔法だったのかもしれないが、この体の硬直といい俺を狙ったのか?真実はわからないがおそらく後者だろうと悟った。
何もできないまま俺の体は鉄巨人の方向に飛んでいった。
「クソ……逃げないと……」
立ち上がりそこから離れようとするが、立ちあがった瞬間またも狙ったように魔法弾が被弾しさらに鉄巨人のほうへと飛ばされた。
「周平君!」
月島が叫び今にもこちらに助けに来そうな勢いだ。
お前は来るんじゃねぇぞ。
「ここまでか……」
鉄巨人の攻撃が届きそうな範囲にいる俺を野放しにすることなく、大剣が俺に向けられる。
「あなたを死なせません!」
もう駄目かと思いきや、声と共に先生が飛び出し、俺ごと押し倒したことで間一髪攻撃を免れた。
「玲奈先生?」
俺を守ったのは玲奈先生だ。こんな時でも俺は玲奈先生の胸が自分の顔に当たっていることに興奮を覚えていた。
「あなたを死なせませんよ神山君!」
俺達は立ち上がり鉄巨人と距離をとる。
「先生何してんだよ!俺なんかかばって命の無駄使いなんかしないでくれよ!」
そんなことを言ったからか、玲奈先生は俺の頬を引っ張たいた。
「せ、先生?」
「あ、あなたは私の大事な生徒です!私はこの世界にきてからあなたのことをちっとも守ってあげられなかった……教師失格です……」
玲奈先生はそのことをずっと後悔していたのだろう。でも玲奈先生もこの世界に適応する為に必死で、俺のことまで見れなかったのだ。この一ヶ月玲奈先生とはあまり話していない。ただ俺を気遣ってくれたことは何度もあった。
「先生、ありがとうな。あの事件のことも月島や杉原同様ずっと俺をかばってくれてたな」
「ふふっ、あなたがあんなことをするわけないのは明白です。その話はここを脱出した後にしましょうか」
鉄巨人とは間合いをとったが、百四十三層側とは逆側にいるし鉄巨人は今もこちらも見ている。
「先生、俺が引き付けるから異能で神山を連れて戻ってくるんだ!」
向こうから菱田の声が聞こえる。玲奈先生がこっちにきたから撤退できなかったのだろう。
「神山君、私の異能であるターボギア(B)であそこを抜けますので手を絶対に離さないでください」
玲奈先生の異能は一時的に俊足で動くことができる異能だ。能力差のある俺なら引っ張りながら高速移動することも可能だろう。
「さて行きましょう!」
玲奈先生が俺の手を握り準備をし、月島や杉原もそれを心配しながらこちらを見る。
「行きます」
玲奈先生が高速移動した直後のことだ。
二人して体がマヒする感覚に襲われ、高速移動が中途半端に終わり俺は玲奈先生から離れ吹き飛ばれ、玲奈先生も足をくじいてしまった。
「クソ……どういうことだ……」
月島達の方向を見てその目を疑った。そうか……俺がこんな目になって満面の笑みを浮かべるクソったれの存在を確認した。今の麻痺もさっきの麻痺も連続被弾した魔法弾も意図的に仕組んだわけだ。
「玲奈先生!」
叫びこちらに来ようとする菱田とそれを止めるタピットが目に映る。
「そうか……玲奈先生!」
玲奈先生は足を挫き身動きがとれないでいた。菱田達を警戒している一体の鉄巨人は剣で大きな竜巻を起こし向こう側の視界が遮断される。
「前が……」
そんな中もう一体の鉄巨人は玲奈先生に向かい剣を振るおうとする。
「ヤバい……でも俺には……」
その時俺の目の前に金髪の男の幻覚が見えた。夢で何度も見た男が俺に何か言っているのだ。
「何なんだよ……」
やがてその声は俺の耳に響いてきた。
「目覚めよ……」
目覚めよだ?わけわかんねぇ……
その声は何度も響き俺は頭痛に襲われる。幻覚の男は玲奈先生を守れと言っているようにも見える。
「神山君私のことはいいから逃げて……」
鉄巨人の剣が振り落とされる。
玲奈先生……死なせるわけにはいかねぇな
この人にはあの時の恩がある。
「オラァァァァァ!」
俺は無我夢中に突っ込んだ。鉄巨人の剣は俺の体を無情にも斬り付けた。
「グハッ……」
これで死ぬのか……クソったれが……まだあいつと再会してないのによ……
後ろでチラッと見ると玲奈先生はすでに気を失いかけている……このままじゃ庇った意味が……
その時だった。同時にまたも強烈な頭痛に襲われ、様々な光景が脳内に入り込んできたのだ。その中には夢で見たような光景も入り込んでくる。金髪の男の幻影は最後にこう語り消えた。
「目覚めよ友よ……」
「ウッ……頭が……」
激しい頭痛と共に記憶の一部と力が流れる。激痛を超えた激痛が全身にはしったが、それはすぐに収まる。頭の整理が追い付かないが、問題はない。その思い出した記憶と力でまずやるべきは目の前の敵を倒す事だからだ。
「そういうことかよ……」
斬られた体を再生させ飛び上がり、鉄巨人を横の壁に打ち付けるように蹴り飛ばす。
「神……山君?」
玲奈先生はそう言って意識を完全に消失した。
クソ……頭がクラクラすんぜ……だがなんで俺にギフトがないのか理解したぜ。
「はっ、いいね~」
どうやら俺はこういう星の下に生まれていたようだ。気を失った玲奈先生を抱きかかえる。
「さてここは逃げるかね~」
その瞬間だった。
「うん?」
後ろからさらにもう一体の鉄巨人が現れ、蹴り飛ばした鉄巨人と同じタイミングで剛烈剣を俺達に向かって発動したのだ。
「ちっ……魔障壁!」
魔法で結界を作り二体の剛烈剣による攻撃をガードする。
「口ほどにもな……」
攻撃は直接効かなかったが地盤沈下が起き俺達の周りが崩れ、それと同時に菱田達の鉄巨人が放った竜巻の煙が晴れようとしていた。
「これはまずいな……」
とりあえず気を失った玲奈先生にバリアをかけた状態で風魔法を発動し、菱田達の方向まで飛ばした。
「どうやら俺はこの下に行くことを本能が求めているようだ」
煙が完全に晴れると菱田達がこちらを見る。玲奈先生は無事向こうに飛んでくれたようだ。
「よし、後はこのまま落ちるだけか……」
迷宮は崩れても一定時間したら再生する特性を持っているので、もう俺を追ってくることはないだろう。崩れ落ちる中向こうを見ると泣き叫ぶ月島がいた。
「あいつと杉原には一言いっておきたかったな……」
まったく……あの時みたいに泣くんじゃねぇよ……
すまんな……なんとなくだが俺はこの世界に来た意味をやっと理解した。今そっちに戻ってもお前らとは歩くことはできない。
「とりあえずこのずっと下に俺を呼んでいる何かがあるからそれを確かめてくるか……」
まぁこの声はあいつらには届いていいないがな……
そしてまた目に入った満面の笑みを浮かべるクラスメイト……俺はそれを見てから一つの確信を得て下へと落ちた。
「もうクラスメイトは普通ではない……力を得た人間は何をするかわからないってことか……」
そのまま下へと落ちていったのだ。
◇
周平が崖から落ちるのを確認したクラスメイトや騎士団メンバーは撤退しようとしていた。
「ぐすっ……周平君が……」
だが雪はそこから動かず泣いていた。
「今は逃げるんだ!これ以上尊い命を減らすわけにはいかない!」
嶋田は説得し、泣きながら無謀にも落ちた崖に飛び込もうとする雪を美里が止める。
「雪駄目よ!」
雪は泣きながら心の底から叫んだ。
「周平君がぁぁぁあ!」
助けに行こうとする雪を無理やり担ぎ、クラスメイトは上の階への脱出になんとか成功。クラス全員での迷宮攻略は大きな傷跡を残したのだった。
ちゃんとクラスメイト全員ださないとね
10月22日大幅な改稿をしタイトルを変えました。
2019年3月11日修正