実の本気と1000層攻略
次かその次で2章終わりです。
肩を貫かれ大地に叩きつかれた時昔の記憶が脳裏に浮かんだ。
俺が召喚された当時ファーガス王国は魔大陸遠征をして領土を獲得しようというまさに帝国主義ともいえるような風潮があった。
近隣諸国を狙う考えもあったが反発の少ない土地への侵攻の方がいいと考えたのだ。
俺達はそんな中召喚され戦い続けてきたがそのうち疑問を持ち王国に背くようになった。
だがそんな俺を野放しにするはずはなく一人の時ダーレー教団側の戦姫の一人が俺の命を狙った。
俺は九死に一生を得る形となったがそのおかげで俺はこの力を意識して使いこなせるようになった。
これはあの時の戦姫を、そして王国を倒す為の力だ。
「皇家の光」
実を光が包む。
「これはヒムヤーの独房で見せた……でもあの時よりも光輝いていて」
「あれを発動すると実のステータスは大きく上昇するんだ」
上昇した実のステータスを確認する。
天竜院実
レベル:333
種族:人間
職業:剣士(マスター級)
攻撃:222222
防御:199998
魔法攻撃:222222
魔法防御:199998
素早さ:222222
魔力:210000
固有スキル:皇家の光
コントラクトスキル:和国の歴史
ギフト:身体強化、成長速度UP、剣士適性
異能:剣歯虎の牙(AA)
称号:居合マスター、王国の英雄、神速の空間斬り
久しぶりに見たが人類最強のステータスだな。
「いくぞ!」
実は虎徹零式とは別の鞘をだす。
「叢雲の鞘」
鞘から刀を具現化する。
「光鳴剣!」
光の斬撃が人造人間の片腕を切断する。
「決めるぞ、倭健命!」
実が皇家の光を使うとコントラクトスキルもパワーアップするのだ。
屈強な男が具現化され人造人間に襲いかかる。
「うおぉぉぉぉ!」
実も共に剣をふるい人造人間の片方は消失した。
「あと数分か…九十九ちゃんそっちは?」
「こっちはもう少しかかりそうです」
「援護するよ」
実はもう片方と対峙し居合の構えをとる。
「九十九ちゃん2分押さえつけといて」
「任せて」
実君のあれが久しぶりに見れる……戦姫にも匹敵するあの大技……
「みんな2分持ちこたえて」
九十九は近接戦闘へと切り替える。
「動きが鈍くなってきてますね」
かつて300層を攻略した時と今を照らし合わせていた。
人の身であっても900層までは突破できると今ここで証明しているのだ。
「封魔の陣」
人造人間の動きを止める。
「実君」
「ああ、準備はできているさ」
実は刀を抜いた。
ただ空間をきるのではない、それは空間を切り裂き破壊する必殺の斬撃。
「神滅閃!」
実から放たれた斬撃は人造人間を二つに分断しただけでなく切った場所が爆発し大きな歪みを発生、その歪みは人造人間を巻き込みその場で消滅させた。
「俺達の勝ちだな……」
実はその場で崩れ落ち九十九がそれを支える。
不完全なのでこの状態を長時間維持できないのだ。
「お疲れ様、また無理をして」
「あいつに勝つにはあれださんと無理だよ」
大きな音ともに下の層への道が開かれた。
「やった~」
ザルカヴァは歓喜の声をあげ2人のもとに駆け寄る。
「みのるん凄いよ!何あれ?それとステータス」
ザルカヴァはテンションをあげあげのようだ。
「ははっ、まったくザルの奴大はしゃぎだね」
「まぁそれは俺達もでしょ九兵衛さん、実の腕が落ちてないのも見れた」
「そうだね~本当は刀の本体があればあの状態の維持も可能なんだろうけどね」
天野叢雲の本体を実は持っていない。
この世界に飛ばされる前何者かがそれを持ち去った為だ。
こっちが片付いたら刀も探してやらんとな。
「ザルははしゃぎすぎだよ、それにあれは不完全だから」
「あれで不完全なんてヤバすぎだよ~」
「ふふっ、実君素敵でしたよ」
「九十九ちゃんまで」
実は顔を赤くし、いつも以上ににやけている。
「ここからは俺達の番だな立花」
「ふふっ、そうね」
「後ろの守りと彼らの護衛は引き受けるよ~」
901層以降は俺と立花を前衛に3人を後ろに下げた陣形で進んだ。
「ヴァイスシュヴァルツ!」
「グランドクロス!」
901層より下の魔物は集団ででてくるソウルハウンドですら平均30000で中には100000ぐらいの敵もうようよでる無法地帯だ。
「さすがにこのレベルの敵とこのペースでやるのはきついね九十九ちゃん」
「そうね、ここはまさに神の領域……」
「ここより先は20柱の領域だ、ザルは極力俺の傍に」
「はい」
ザルは九兵衛さんにくっつく。
「立花、どう進む?」
「後ろは気にしなくてもう大丈夫そうだし武器を手に向かってくる敵を薙ぎ払いましょう」
「了解」
わずか3日で999層まで攻略し1000層のボスの前までたどり着いた。
「ここでラストだな……」
「ふふっ」
早いとこ回収するもんを回収してここから脱出だ。
「2人共ペースが速すぎですよ~」
ちなみザルカヴァは途中から九兵衛さんにお姫様抱っこをされる形で道中を進んでいた。
というのも俺と立花の速度だとザルカヴァでは持たないからだ。
まぁおかげでザルカヴァはずっと心臓バクバクでウハウハだったのは言うまでもない。
「まぁ俺達もけっこう疲れたよ」
「2人に合わすのは無理です……」
実と九十九もこんな感じでへとへとだ。
「すまんな、だがもうここでラストだ」
「そうね、2人でささっと倒すから横で見ていて」
扉を開き中に入り俺と立花は闘技場の真ん中に残る。
「来るぞ」
「ええ」
緑色の光が人型の形を作り襲い掛かる。
ヒムヤー
種族:神族?
レベル450
攻撃:400000
防御:400000
魔法攻撃:400000
魔法防御:400000
素早さ:400000
魔力:400000
固有スキル:神の光、■◆●の節制
称号:エクリプス創生神の使い、4大守護神
クレセントとステータスは同等のようだな。
最初から本気で行かせてもらおうか。
「立花」
「ええ」
それぞれ本気モードになる。
てめぇにかける時間なんてないからな。
「大賢者の叡智を使うわ」
「オーケー」
立花の大賢者の叡智は一定の範囲内いる相手のすべてを筒抜けにする。
ステータス画面で見えない弱点部位や相手の攻撃や奥義といったもの全てを除く。
「周平あいつの固有スキルの何とかの節制は相手の魔力使用や攻撃を制限するらしく自身が弱まるほどそれが強くなるらしいわ」
「つまり相手をある程度削った所で大技を決まればいい感じかな」
「そうね、私が指揮と補助をするわ。周平は前に」
「あい」
さてまずはぶん殴って手ごたえを見るか。
「おらぁぁ」
早速相手の間合いに入り顔面に拳を入れると相手は吹き飛んだ。
「おせぇよ」
魔神モードで休むことなく肉弾戦に持ち込み一方的に殴り込む。
「周平気をつけて、節制が発動しているわ」
殴ろうとする手が止まり攻撃が止まり反撃を喰らい後ろに吹き飛ぶ。
「なるほど、連続攻撃は有効ではないみたいだな」
「周平相手の体力は10%ほどカットしているわ、バフをかけるから攻撃力の高い攻撃を上手くあてて」
「了解」
立花は第7位階魔法のバオールをかけ全ての強化スキルを付与する。
「いでよ絶門!」
周平はまたも間合いに入る。
どうやら俺のスピードも少し落ちているようだ。
「だがまだお前じゃ捉えきれてないようだ、覇剣!」
無駄な攻撃よりも同箇所を攻撃して相手のスピードを落とすか……
「神空閃!」
速度落ちる限りに連撃を加えある程度加える。
ここらで一度後ろに下がってあれをやるか……
「立花、居合をするから少し魔法で止めといてくれ」
「わかったわ」
俺は一度下がり居合の構えをとる。
「ベンドアの鎖!」
ヒムヤーの体を黒金の鎖で拘束する。
「神滅覇閃……」
俺の放った斬撃はヒムヤーの右腕を吹き飛ばすと立花はすかさずその腕を鎖で拘束した。
「斬られた腕をそのまま拘束してしまえば再生もできない……なるほど」
「それにうまく連携する立花さんも凄い」
「あの二人だから当然だよ~」
ザルカヴァと実は感心したのか目が離せないようだ。
「周平煉獄を」
フィールドを煉獄へと誘う。
「体力は残り7割ほどだしいいタイミングね」
「極解!」
ヒムヤーの左腕を吹き飛ばす。
すると動きが急速鈍くなる。
「獄炎撃!」
直撃するがどうやら威力まで弱体化しているようだ。
「周平、時間がたつに連れて動きや攻撃まで下がる仕様のようね……」
「厄介な……」
動きはまだ止まっているし直接殴り込むか……
「煉獄拳!」
渾身の一撃を当てた所でヒムヤーが緑色に光り始める。
「周平逃げて!」
回避しようとするが俺の腕はヒムヤーの腕から離れられない。
俺はヒムヤーの光の放出をもろに喰らい吹き飛ばされる。
「クソが……」
傷ついた体を再生させようとするが再生せず動きも相当ノロマになっているようだ。
鎖からほどかれたヒムヤーが俺に向かい攻撃をしかけようとする。
ちっ……避けれんか……
「させないわ!」
立花は無数の魔弾を放ち攻撃を防いだ。
「すまんな、立花」
「大丈夫よ、あれの神の光の能力は大幅な節制のようね、クレセントは高い攻撃力に対しヒムヤー大幅なデバフ……やはり一筋縄ではいかないわね」
「相手の体力は?」
「残り4割を切っているわ」
よしならば……
「今度はおれが支援に回る、といっても一度しかまともな支援はできないがな」
「ふふっ、わかったわ」
立花は俺の考えを読んだのかそれ以上聞くことなく前にでた。
「いくわ、エレノアの光!」
立花は連続魔で削るようだな。
「破槍アイシングラス!」
破壊の槍はヒムヤーへと直撃するがヒムヤーは耐え、両腕がないなか体から光の砲弾を放出する。
「あれを喰らったら面倒ね、ダイオメドの盾」
立花はさらに一度下がり魔法を発動する。
「大いなる神罰!」
これは神魔法か……これなら速度はあまり関係ない。
さてそろそろ仕事をしないとな。
光の裁きはヒムヤーに降りかかるがガードの態勢にはいっているようだな。
「ふふっ、これはおとりよ……周平」
「あいよ」
攻撃が終了と同時に発動するのは魔神の戒律を発動する。
これは逆らう者に容赦のない罰を与えるというもので死を与えることもできるがヒムヤー相手では死を与えることはできない。
だが不完全ながらも相手の能力を一時的に封じこめることができた。
「立花俺はまだ動きが鈍い、頼んだぞ!」
「ええ、とどめはいただくわ」
立花はローズメイデンを手に接近する。
「はぁぁぁぁ!」
立花の斬撃は容赦なく体を貫く。
「神撃の舞」
ヒムヤーの体は徐々に光を失っていく。
「とどめね、ディバインバルカン!」
ヒムヤーは完全に消滅し、立花が俺の元に駆け寄る。
「ふふっ、少し直接攻撃をしすぎね」
「まぁな、後ろに立花がいたから好きにやらせてもらったよ」
サシでやる時はもう少し考えてやらんとだな。
ステータス差はけっこうあるが偽神の攻撃は侮ってはいけないということだな。
「まぁ予定通り短時間での決着はついたしその為の直接攻撃だったんだろうけど気をつけて……」
立花は心配そうな顔で俺を見る。
あまり心配をかけてはいかんな。
「ああ、俺は常に勝つために考え戦っている、サシならやつの攻撃をもろ喰らうような真似はしないさ」
サシでやっていたら確かに少し苦戦したかもしれないな……
あの程度の奴は軽く倒せないとだな。
3章はどうするか……




