九十九の救出
もうずぐ2章的なの終わります。
牢獄で少女は一人考えていた。
100年前異世界から召喚された私は一緒にきた顔馴染みと共に王国の為に戦った。
現在魔大陸と言われるヘルメタを支配し王国を脅かす背徳卿と呼ばれた者を倒す為に遠征した。
「実君……」
私は地球にいた頃から帝国の皇族と関わる立場にあった陰陽士で次期大元帥となるべく男の子ととは元々親しかったし一緒に召喚された時はホッとした。
一人変人もいたけど3人で苦難を切り抜けた。
「あの時……」
王国は私達が真実を知るや私達を排除しようとした。
きっとことあるごとに反発し始めた私達が邪魔になったのだろう。
実君が1人の時狙われ分断された。
私達は当時ヘルメタで勢いのある騎士団に保護されそこに入った。
騎士団のメンバーは私達の標的とされていた背徳卿のほか神殺しと呼ばれる者や4大戦姫といった世界でもトップクラスの強さを持った者の集まりだった。
なんで私が標的であった背徳卿のいる騎士団に入ったかは色々複雑な事情があるわけだが結果騎士団によって世界の真実を教えてもらい実君を助けることもできた。
「長かった……」
戦争によって実君が眠りにつかざるをえない状況になった時私はそばで待つつもりだったがそれもとある事情で断念。
ロードリオン様と共に妖精の国で待ち続けていたが5年前事件が起き私はこの牢獄にいる。
でもそこから5年で実君達が来るのは知っていたし今がその時なのも外が騒がしいからわかる。
「そろそろですね……」
浴衣を着た少女は立ち上がる。
扉を空間ごと斬り正面突破をした。
中に入るとそこは牢獄というより客人をもてなす部屋だった。
「ここは本当に牢獄なのか……」
「でも一応独房だし……」
「ベッドにトイレにあれはシャワールームまでありますね~」
九十九はもっと苦しい生活をさせられていると思ったが……
「元々ここの建物は客人をもてなす所でここはまだその時の名残が残っているのよ」
中にいた女の子が俺達の元へ来る。
それはずっと会いたかった……ショートヘアに片目が髪で隠れて浴衣姿もあの時のままだ。
その子は俺を見る涙を流し俺に向かって走り俺に飛びつくと俺はそれを受け止めた。
「実君!」
「九十九ちゃん!」
「会いたかったよ~」
「俺もさ」
抱き合ったまま九十九とキスを交わす。
九十九の温もりを俺はようやく感じることができたのだ。
「ぐすん、よかったねみのるん」
「もらい泣きしちゃいました」
「実君この二人は?」
「紹介するよ、こっちの獣人族はザルカヴァ、九兵衛さんの部下だ。こっちは途中の集落で会い道案内を頼んだダリウスだ」
「よろしく~」
「よろしくお願いします」
「私は御子神九十九、境界騎士団の一人で実君の恋人です」
「それじゃあいこうか、九十九ちゃんいけるかい?」
「問題ないよ」
俺達は独房からでるとグレイントンを含む残りの看守達が待ち構えていた。
「お前たちここから逃げられると思うなよ」
まだいたのかお前……
俺達を囲むのは看守長含む数十人の精鋭といったところか。
「ふん、面白いここは俺が……」
刀を抜こうとすると九十九が俺の前にでる。
「九十九ちゃん?」
「ふふっ、実君ここは私にまかせて」
九十九は一人前にでると看守達は笑い飛ばす。
「まさかあなた一人で私達とやるとは笑わせてくれますね~」
「その笑いは不快ね……」
「いいでしょう、お前達この牢屋ボケしてる罪人と遊んでやりなさい!」
ふふっ、九十九と遊ぶか……大きく出たな。
俺は内心笑いが止まらなった。
九十九は俺より強いのにな~
「開け地獄門、牛頭馬頭」
二頭のつがいの怪物が召喚される。
九十九の使う陰陽術はこの世界にはない術で華国発祥の術式で帝国が華国やシベリア連邦を倒すことができたのは九十九が次期当主になるかもしれなかった八島大社の力が大きい。
牛頭馬頭が看守達を襲い、九十九はさらに術式を唱える
「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前(りん・びょう・とう・しゃ・かい・じん・れつ・ざい・ぜん)……拘束の陣!」
出現した陣は看守達を拘束する。
「体が……妖術を使うんだ」
すると牛頭馬頭が一人づつ金棒で蹴散らしていく。
「ふふっ、させないよ……いでよ破邪の双剣」
九十九は短めの二つの双剣を手に取り襲い掛かる。
「クソが、光霊撃」
グレイントンは妖術を唱え迎撃する。
「縮地……」
九十九はグレイントンの攻撃をあっさり避け懐に近づき斬り付ける。
機敏に舞い踊るように動く様ははまるで忍者のようだ。
九十九も久しぶりの戦闘なのかとても楽しんでいた。
屈託のないその笑顔は俺をいつも癒してくれた。
「ぐっ……」
「遊んでくれるのではなかったのですか?」
「この……」
グレイントンは必死に動き抵抗しようとするが為す術がない。
このグレイントンという男も決して弱くはないが狛眼の巫女と呼ばれた九十九の前では実力差がありすぎるな。
「終わりよ!いでよ四神」
九十九は四神を召喚すると勝負は決した。
召喚された四神や牛頭馬頭はグレイントン含む精鋭をすべて戦闘不能にした。
久しぶりに見たけど相変わらず美しい戦い方だ、椿姉もこれを少しは見習うべきだな。
「見てた実君?」
「ああ、衰えはまったくなかったな」
「えへへっ、頭撫でて」
九十九の頭を撫でると嬉しそうな表情を浮かべる。
昔からよく頭を撫でてやると九十九嬉しそうな表情を俺に向けていたな。
「あの人も凄いですね」
「凄いどころじゃないよダリウス、あの人もマジもんだよ」
ザルカヴァは九十九の双剣の腕を見て驚いていた。
早さもだが手をうまく急所だけ無駄なく攻撃し相手を戦闘不能にしていた。
「これが騎士団の実力……凄い」
4人は独房をでて九兵衛さんの元に戻る。
「光大樹の方が騒がしい……」
「きっと周平さんと立花さんがロードリオン様を救出したんだな」
「周君と立花さんが来てるのね、それと九兵衛さんと実君?」
「うん、そうだよ」
「メンバーの再集結は着実に進んでいるのね」
「ああ、時期にあの時の続きができる」
「そうだね……あの時実君を殺そうとしたあの国をやっとだね……」
俺や九十九ちゃん、そして直樹を召喚したファーガス王国。
偽神に偽りの安らぎをもたらせられあるべき姿を失った背信の国。
「楽しみだね……」
九兵衛さんの待つ家に戻ると家の前の地面を大きく盛り上がり先ほど囲っていた兵士達はみなのびて倒れていた。
「あら~」
「九兵衛さん相変わらずね」
俺達が入ろうとすると九兵衛さんが家をでて出向く。
「よっ、九十九ちゃん久しぶり~」
「お久しぶりですね九兵衛さん」
「10年ぶりかな、5年間大丈夫だったかい?」
「はい、ロードリオン様のおかげ特になんともなかったですよ」
確かに九十九はなんで独房に閉じ込められただけだったんだ?
助けた時すっかり聞くのを忘れていたがな何かされててもおかしくはないはず。
「そういえば5年間何で無事だったんだ?何かされてもおかしくないはず……」
ザルカヴァが言う。
「ロードリオン様はもし自分に何かあった時の為に妖精が自分に手を出せないように体に特殊な守りを施してくれたの」
「なるほど、妖精族始祖のリオンなら他の妖精が手出しをできない守りを施すことも可能だね」
「お~いお前等」
「どうやら向こうもお仕事を終えたようだね~」
周平さんと立花さんは無事ロードリオンさんを救出したようだ。
「よっ、元気そうだなリオン」
「君も相変わらずで何よりだよ九兵衛、九十九も無事でよかったよ」
「ええ、ロードリオン様のおかげでなんともなかったですよ、5年間退屈でしたけどね」
「それはすまなかったね、ブルーピーターのアホが反逆するのはなんとなく予想していたがこっちも眠りに入る必要があったからね」
「ふふっ、何はともあれこれでメンバー揃ったわね」
「立花さんも周君と再会できたようで何よりです、今度ダブルデートでもしましょうか」
「それはいい考えね」
ダブルデートか……昔たまにやっていたな、だがあれはどっちがイチャイチャできるかを競う感じだったな。
これで予定通りメンバーは揃った。
後は城に行きかたをつけたら一件落着だな。
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