VS白夜虎
尾形編少し伸びちゃうかもです
スタセリタを置いてカーリンさんと共に様子を見にいった。
俺としてはあまり気が進まないがカーリンさんが俺を連れていく以上仕方がないだろう。
「連れ出してすみませんな光一殿」
「白夜虎を見に行くんですよね?正直怖いんですが……」
さすがにここで死ぬなんていうバッドエンドは勘弁願いたいからな~
「昼の白夜虎はそこまで獰猛ではないと聞いています。なので様子を見ていけそうならすぐにでも離れてジャジルを目指しましょう」
「一度スポットに行ったのはスタセリタの身を案じてですか?」
「そうです、お嬢様に何かあってからでは遅いですからね」
「自分を連れてきた理由を伺っても?」
「私に万が一があったらお嬢様を連れて山を越えていただくためにですな~」
「ちょい、ストップ~」
縁起でもないフラグを建てるのは勘弁してくれ。
そんな十字架背負えませんわ。
「というのは半分嘘であなたの魔法剣士としての力をぜひ貸してほしいといった感じです」
「交えるんですか?」
「いや実は昼にでる白夜虎は覚醒していません。なので好戦的ではないし腕の立つ者に対しては身を引きます。奴は頭のいい生き物ですから」
「そうなんですか?だったらその時こそ討伐のチャンスでは?」
「ダメージを一定量喰らわせると本気の夜モードに自動的になります」
「ああ、なるほど」
過去にそれをやって痛い目にあったということか。
眠れる獅子には手を出すなということか……
「それで白夜虎のステータスはどれぐらいなのですか?」
「奴のステータスは個体差があると言われていますが夜は50000を超えると言われています」
「50000……人間に討伐できるとは思えませんね」
クラスメイトでも俺が脱走した時で18000とかだったし1対1で勝てる奴は化け物だな。
カーリンさんでもステータスはこんな感じだ。
カーリン・ハンセル
種族:人間族
レベル180
職業:戦士
攻撃:22000
防御:20000
魔法攻撃:12000
魔法防御:18000
素早さ:18000
魔力:15000
異能:武器強化(B)
称号:ジャジルの番犬、破壊者
まぁ強いことは強い。
俺の見てきた中では一番の攻撃力だが50000にはほど遠いのも事実だ。
俺達は白夜虎を見える位置まで移動し木の陰に隠れて動向を観察した。
大きな体に白い体と黒い縞、そして傷跡を残しているその姿には圧倒される。
「あれが白夜虎……」
「はい、どうやらここで何かしているようですな~」
見ると白夜虎は何かを待っているのか俺達の通りたい道を塞ぐように辺りを見ていた。
「これじゃあ通れないですね」
「そうですな、とりあえず奴に少し近づき襲ってくるかを確かめます」
「大丈夫ですか?」
「ええ、過去にも同じような経験をしていましてね。だいたい昼間は私ぐらいのものが近づけば引きます。」
カーリンは白夜虎に近づいていった。
一歩一歩少しづつ近づいていく……ただいつ来られてもいいように武器をすぐに構えられるように警戒して近づく。
「そこをどいてもらいたい!」
カーリンさんが声をかけたその瞬間だった。
「ガァァァァ!」
大きく吠えてこちらに向かってきたのだ。
「何!」
カーリンさんはすぐに引き撤退するが白夜虎が襲い掛かってきた。
「カーリンさん!」
「光一殿は一旦引いてください、私はこいつの足止めをしますのでその間にお嬢様を!」
体長10数メートルはあるであろうその巨体がカーリンさんを襲う。
こんな状況で1人逃げるわけにはいけない。
俺はそんな薄情な奴ではないさ!
「カーリンさんを置いていくことなどできません!」
俺は剣を取り出し構える。
白夜虎のステータスをこの勇者カードで確認したがこんな感じだ。
白夜虎
レベル180
種族:獣族
攻撃:25000
防御:21000
魔法攻撃:18000
魔法防御:21000
素早さ:22000
魔力:19000
固有スキル:覚醒の牙、
カーリンさん一人ではきつい。
俺は本能のままにカーリンさんの元に近づいた。
「光一殿?きては駄目だといったのに……」
「おいて逃げたらスタセリタに怒られちゃいますよ~それにここで死ぬなら俺の命はそこまでだったということですよ」
周平君ならそうするはずだ……俺はかっこよくないがそんな生き方に憧れていた。
こんな世界に来たんだし好きにやりたい……恐怖ならもう迷宮でさんざん体験したさ!
あの時何もできず彼を助けることができなかった……だから今はカーリンさんの力に。
「魔法剣ブリザード!」
白夜虎の手前に切り付け氷を張る。
「まったく、あなたは見かけによらず本当に勇気がある……お嬢様についてきて王国を抜け出したりと本当に見かけとは違う……背中は預けますよ!」
カーリンは剣技を放ち相手の足元を斬り付ける。
「シン流剣術第3の技鋼剣!」
白夜虎はその前に避けたので前足に少しカスッただけだ。
「光一殿策はおありですか?」
「一応ありますよ。ただやつは一定以上の攻撃を喰らうと夜のモードに入りますよね?なのでそのモードになる瞬間に決める必要があります。カーリンさんは奴をひきつけてください、僕が下準備をします」
「わかりました」
俺は魔法剣ブリザードをあたり一帯にまき散らす。
魔法剣士とは各属性を含んだ攻撃を自身の武器にこめることができる。
弱点はその武器に耐久がある程度必要になることで質のいい魔力親和性の高い武器を使うほど強力な攻撃を放つことができる。
「まだまだ~」
氷をどんどんつくり氷で周りを覆いつくす。
「シン流剣術第1の技槍剣!」
カーリンもまた足元を狙い動きをじわじわ遅くさせていく。
「光一殿あとどれぐらいかかりますか?」
「第1段階は完了です、まだもたせられますか?」
「まかせなされ」
今度は火でその氷を溶かす番だ!
「魔法剣ファイア!」
辺り一帯の氷を溶かし地面を水でビシャビシャにする。
いきなり水にしなかったのは地面をドロドロにしてしたくなかったからと氷と火が有効かを確かめるためだ。
「さてと……後はあいつの体を水で濡らせば……」
俺は魔法剣ウォーターで白夜虎の体を濡らしていく、どうやら水は弾かないようだ。
「カーリンさん雷耐性だけはつけておいてください」
「ふむ、光一殿のしたいことはわかりましたぞ」
「わかってくれましたか、果たしてダメージになるかはわかりませんがね」
「一般的に奴の体は全属性に耐性がありますがそれはあくまでも表面のみです」
「なるほど、動きは少しづつ鈍くなってきていますので後は奴の動きを一瞬止めてほしいのと奴が覚醒するときダメージ自体はどうなるか聞いてもいいですか?」
「ダメージは残るはずですので覚醒する前に大きなダメージを与えるのがベストです。それと動きを止めるのは了解です」
カーリンは白夜虎に近づき剣技を放つ。
幸いダメージは足メインに与えていたおかげで相手の体力をそこまで削ることなく動きを鈍くできている。
「シン流剣術第5の技痺剣!」
カーリンの斬り付けによって一瞬動きが止まる。
よしここだ。
「魔法剣ウォーター」
あいつの顔に目がけて放ち準備は完了だ。
「カーリンさん俺に雷耐性魔法を」
「了解」
カーリンが雷耐性の魔法を俺にかけてくれたと同時に俺は剣を大地に突き刺す。
「魔法剣サンダー」
地面のいたる所に氷が解けかけて水溜まりになっており俺の雷は白夜虎の足から全身へと伝わる。
「ウォォォォォン!」
白夜虎は悲鳴を上げ全身に感電しさらに動きが鈍くなる。
「カーリンさんは片足に大技を」
「了解ですぞ!シン流剣術第7の技剛剣!」
カーリンは右足に強力な斬撃を斬り付ける。
そして俺はこれよ。
「喰らいやがれ魔法剣サンダー!」
雷を含んだ剣で奴の右目をおもいっきし斬り付ける、奴が仮に雷耐性があったとしても水で濡れた顔に雷の斬撃を目に目がけて斬り付けて効かないわけがないのだ。
「次は左目だ!」
追加でさらに左目を斬り付けカーリンさんも左足に大きな一撃をいれる。
「ウォォォォォォォォォン!」
山全体に響き渡る大きなうめき声とともに白夜虎は倒れた。
「よし!」
「これでとどめですぞ」
倒れかけた虎にとどめを刺そうとしたその瞬間だった。
「カーリンさん!」
そうほんの一瞬の出来事だった……目を赤く光らせた白夜虎がカーリンさんに襲い掛かったのだ。
尾形もいずれは主人公達の助けになるはず……




