尾形光一とエミリアの独白
時系列がごっちゃになるかもしれませんが尾形の山越えはエミリアのタピット襲撃より前です。
ハクショウ山に入り順調に山超えをしている尾形達3人は1日目の夜は洞穴で過ごした。
白夜虎に脅威にさらされるこの山を旅人が通れるようにと冒険者が作ったスポットと呼ばれる場所がいくつか存在するという。
スポットは洞穴がほとんどで白夜虎があまり通らない場所でかつ道が行き止まりになっている箇所に存在している。
ジャジル王国はそれを把握することで山越えてファーガス王国領にこっそり入るのを可能にしている。
山のふもとにはいくつも関所があるが馬車などがなければこっそりと侵入できる経路があるのだとか。
その日の夜俺は一人考え事をしていた。
脱走するにあたり唯一の心残りだった犯人探しだ。
あの時確かに見た周平君に向かって誘導されるように放たれた援護射撃……一体誰があんなことをしたのか……俺はとりあえず杉原にそのことを異能を使い密かに報告した。
自身の考えでは犯人から除外されるのは自身を入れて26人。
残りの7人の生徒は石橋大、岡部隆文、河内洋子、高橋康介、戸山愛、中野敦、安田祐樹でこの中に実行犯が2人いるのは確かだ。
皮肉にも周平君をターゲットにしていた菱田隼人、大野康太、秋山祐一は除外される。
何しろ菱田は戦っていたし残りの2人は早々に上階に逃げたからだ。
「さてあの中で周平君に恨みがありそうなのは……いや安易な考えはよくないな。」
俺は色々考え消していったが4人まで絞った。
結局高校時代のあの事件が関係していると考えれば予想はつく。
「2組のうちのどっちかかな……ただ今となっては関係ないか……」
犯人を見つけても周平君が帰るわけではないのだから……
俺はクラスでは俗にいう陰キャラだ。
ただ俺はそのことを別に卑下することもなかったし常に自分のペースで生きることをやめなかった。
友達をたくさん囲って女子と絡むなんていう高校生活をしてみたいなどという願望はあったが俺はそれよりも優先したものがあった。
それはゲームだ。
色んな分野のゲームをやり賞金がでる大会で入賞するレベルに辿り着いたものもある。
そんな俺は周りと違う世界で生きていると自負していた。
「そんな俺が格闘ゲームで負けたのが周平君だったな……」
中学生の頃不良に絡まれた俺を助けてくれた直後に遊んだゲーセンで俺とやった格闘ゲームで俺と互角の動きを見せ俺は敗北を喫したのだ。
俺はその時悔しさよりも仲間を見つけた嬉しさの方が大きくその後は打ち解けお互いにゲームをやりお互いに切磋琢磨した。
ハンターになって獲物をかるハンティングアクションゲームのラストクエスト5分討伐なんかもよくやったものだ。
「あの時は楽しかったな……」
自分と同じように自分のペースで生きる周平には憧れを感じたものだ。
俺と互角のゲーム力に加えて頭もよく強くていつも隣に幼馴染の美女がいたからな
「俺は主役にはなれないが何かしらの形で生きた証を刻みたいな……」
俺みたいなモブでも輝ける舞台を俺はここで見つけたい
クラス会議で東郷と橋本がこの世界に残留する可能性を示唆していたが俺はこの世界に来てからそんな気分だった。
自身の求めたファンタジー世界にいると思うと胸が高鳴る気分だったからだ。
「とりあえずあれだな」
いくつものラノベを読みゲームをしてきた俺がこういう世界で成功する方法……
俺は脳裏にそれを浮かび眠りについた
同時刻エミリア・ルーナ・アーバンシーはファーガス王国へ行こうとハクショウ山を登っていた。
「さてと、タピットの奴をボコボコにしないとね」
エミリアは口笛を吹きながら進む。
夜の口笛などという行為はあまり褒められたものではないがそれは地球で言われていることでエミリアには関係ないのだ。
「たしかシュウや立花の住んでいた世界では泥棒と間違えられるとか人さらいがきた合図だとか蛇や鬼がでるとか色々迷信があるみたいだけど私には理解できなかったわね~」
エミリアの周りは静寂につつまれており魔物の気配すらない
「ふふっ、あの虎で少し遊んでおきたいわ~」
夜は白夜虎が徘徊するせいで他の魔物は基本的に大人しく姿を現さないのだ。
エミリアはこの時王国に召喚された勇者と王国騎士団長のタピットの下へ行こうとしていた。
「勇者召喚……」
かつて13騎士の一人として名をはせたナシュワンと交わした契約……勇者召喚がどのようにして行われているかを騎士団長が召喚された勇者達に伝えると言うもの。
「ふふっ、100年続いたこの約束も今回で最後のはず……ねぇナシュワン?あなたは歴代の騎士団長達を私に殺させたかったのかしら?」
それを考えるとナシュワンという男はとても残酷な人間に思えてくるがナシュワン自身はそんなつもりはもちろんない。
ただ彼は勇者を召喚することそのものを辞めさせたかったのだ。
「後継者に選ばれたムトトという男が実に愚かだった」
2回目の勇者召喚はナシュワンの生存中に行われたしその時はまだ契約などしていなかった。
当時騎士団が解散しバラバラになっていたし再結成にはまだ1世紀かかるとのことだったから私は当時各地を放浪していた。
「そんな時あの事件が起きた……」
人間側が魔大陸にちょっかいをかけ始めていたが当時ファラリス連邦は今ほど大きくなかったし今みたいな感じではなかった。
2度目の勇者召喚がされ魔大陸へ公に宣戦布告をしたのだ。
ナシュワンに確認を取ろうとファーガス王国に戻ったが彼は幽閉されていて勇者召喚は魔族の命から刈り取った魔力で召喚されていることも知ったので私は彼を助けた。
そして事情を聞いた後彼は私に言った。
「あなたに託したい……」
そこで騎士団長を譲ったムトトの断罪や今後行われるであろう勇者召喚の後の騎士団長のすべきことなどの取り決めだ。
当時戦争が終わりやっと落ち着いてきた世界情勢的にあの国を滅ぼすことはできなかったが故に決めたことだ。
その後私は召喚された勇者達6人のうち2人が戦死したことを知りムトトを裁こうとしたが勇者達は私を襲った。
「貴様が魔大陸側の異端者であることは知っているのだ」
ナシュワンを助けた時点で襲われるのはわかっていたようだった。
「いくぞ、お前達奴を殺せ!」
勇者達もまた洗脳されていたのか殺意むき出しであった。
魔族との戦闘で2人の仲間をなくした4人は私の言葉に聞き耳を立てなかった。
「ごめんね……」
私は4人を殺した。
手を抜いたら勝てる相手ではなかったし何よりムトトやほかの兵もいた。
殺してしまったのは4人が傷ついてて戦えない状況でも私に向かってきたからだ。
それだけ仲間を殺されたのが悲しかったのか……ぶつけるとこがそこしかなかったのか……
そんなまでに追い込んだ王国やムトトを私は許せなかった。
「あなたを裁くわ」
私はナシュワンと取り決めた契約内容を見せそれに反した騎士団長を断罪するというのをその場にいたカラグロウという副団長に言いムトトを処刑した。
それをナシュワンに報告するとホッとしたのかその1年後に彼は病死した。
13騎士として名をはせファーガス王国を存続に導いたファーガスの英雄としてはあまりよい死にかたではなかったが彼は死に際私に言った言葉は今でも忘れない。
「ありがとう……」
私もありがとうと言い彼と別れた。
彼と違い年をとれない私にとって彼と過ごした日々はあっという間ではあったが永遠の宝物となった。
その後カラグロウもバスティノもムトトと度は違えど同じ過ちを起こし私は彼らを処刑した。
「あなたの意思は私が……」
そろそろ再集結……シュウ達が復活して世界を変える日は近い。
この後エミリアは迷宮にてタピットを襲撃するに至ったのだ。
ストレスをうまく吐ける何かがあるかないかで生活が変わりますな~




