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守れシルバーチャーム

なかなかアップが……

 リヴァーリッジをでた六人だが今度はシルバーチャームに向かっていた。


 もう少ししたら日が暮れそうだが日が暮れるまでになんとかつくとのことだ。


 「しかしさっきの総長は恐ろしかった……」


 やる時はやるが、優しくて残念な一面ばかりを見ていたザルカヴァにとって、さっきの九兵衛さんは衝撃的だったのだろう。

 優しい人ほど怒った時は怖いものだ。初めて九兵衛さんと会った時戦慄したのをよく覚えている。

 大地のいたるところが陥没してクレータを作り、周りにいるのは息をしない屍……そこで座り俺に笑いながら声をかけたあの時だ。


 「まぁザルにはあんなこと絶対しないから」

 「まぁそうだと思うけどさ……」

 「あれが大事な人の為に動く九兵衛さんの姿よ。いつもああだといいんだけどね~」

 「普段見せないからこそじゃないか」

 「それもそうね、でももう少し残念なとこをなくせば……」

 「まぁそれは……」


 本人がいるのに気にせず言えちゃうぐらいのフランクさも九兵衛さんの良い所でもあるんだよな。残念な一面もあるからこその親しみやすさというか……

 

 「君達~何勝手に言いたい放題話しているのかな~」

 「わぁっ、でた~」

 「出たも何もさっきからいるね~」


 何とも言えない複雑表情だ。

 しっかりと褒めてあげればよかったな。


 「ははっ、みなさんといると楽しいですね、昔からこんな感じなんですか?」


 ダリウスが笑いながら言う。


 「そうね、一応ザル以外の四人はロードリオンも含めて昔の仲間よ」

 「そうなんですね~随分得体のしれない力持ってるからなんでかな~なんて思ってましたけど初代様の仲間だったんですね!」

 「そういえば言ってなかったが俺と立花と九兵衛さんは二十柱だ」

 「二十柱って宇宙を作った神が残した大いなる力のことですよね?三人がそうなんですか?」


 ダリウスは驚きを隠せない様子だ。

 この国の象徴たる人物と同等の存在が三人もここにいれば当然の反応だ。しかしこの口ぶりからしてやはり伝承の伝わり方が違うようだな。


 「ここではそういう感じに伝わっているんだな。人間の間では神に仇名す二十人の神殺しなんて呼ばれてるしな」

 「神殺しなんてとんでもない。確か初代様もその一角を担ってましたね」

 「そうだな、特にあいつは俺達とは違い、始祖そのもので最古参の一人だ」

 「そんな人を罪人扱、封じ込めた今の王は一体何を考えていることやら……」


 ダリウスはそんな現王の愚行ともいえる行いに理解できず、ついていけないと言った感じだ。封印を強固にしたと聞いたが、その封印もロードリオンが敢えて解いてない可能性だってあるわけだし、何を考えている事やら。


 「まぁ黒幕がいる可能性もあるからね~」

 「確かに……ああぁ九十九ちゃんは無事なのか……不安だ……」

 「フフッ、暴れて関係ないの人まで殺しちゃ駄目よ実」

 「一応ロードリオン様の国だし自重するよ」

 「そういえば迷宮はどうなってるかわかるか?」


 俺達の目的の一つである迷宮攻略でオンラクの迷宮で力の一部を回収すること。

 当初はヒムヤーについたら、ロードリオンと九十九と再会してから即攻略という流れだったので、予定は大幅に狂っている。


 クラスメイトの魔大陸遠征もあるし早いとこ済ませたいのだが……


 「迷宮は封鎖されていますね。現王は危険な場所に民を入らせるわけにはいかないと言って封鎖しました」

 「前はそうじゃなかったんだよな?」

 「はい、五年前までは封鎖されてなかったですし、腕試しに入る人もいましたね」


 封鎖した理由に正当性はあるが、俺には別の理由がある気がした。迷宮という場所で力をつけられると困るという理由が俺の中には脳裏に浮かんだ。何しろ五年たった今でもエイムウェルのように従わない集落もあるぐらいだし、力をつけて反逆されるのを恐れているに違いない。


 歩くこと数時間、何とか日が暮れる前にシルバーチャームに辿り着くことができた。


 「なんとか着いたな」

 「くたくたです……ザルはお腹がすきました」

 「同じくね……今日のご飯も楽しみにしているわ周平」

 「ああ、みんな楽しみにしててくれ」


 集落ごとに覆われている結界を抜けて入る。

 どうもこの結界を抜けた妖精エルフは同族を傷つけることができなくなるらしい。これにより同族による集落への襲撃を防いできたらしい。


 「うん?火の匂いがしないか?」


 ここは集落といっても大集落であり一つの街で、エイムウェルのような小さな集落ではないので、ここから全貌を確認できるわけではない。

 だが先を見渡すと真っ赤に燃えているのが確認でき、火が上がっている方向を見て、九兵衛さんはいち早く焦りを見せる。


 「ファーディナンドがいるのはこの先だ、急ごう!」


 俺達は街の中にあるファーディナンド邸を目指そうとしたが、侵入者を防ぐための兵士が俺達の邪魔をした。


 「何だ貴様等?ここは今立ち入り禁止だ!大人しく……」

 「君達邪魔だよ……拘束地縛!」


 九兵衛さんの攻撃で、兵士の周りの地面が動き出し兵士達を拘束した。


 「行くよ~」


 街を駆け抜けるとそこでは同族同士の争いをしていた。


 争いといっても直接殺生はできないので、兵士の恰好をした妖精エルフが街に住む妖精エルフに拘束具をかけていた。


 「何てことしやがる……」

 「もう少し早く来れれば……」


 ダリウスが気の重い声をだす。


 「そんなことを言ってもしょうがないよダリウス君、あそこがファーディナンドの家だ」


 燃えていたのはファーディナンドの家でありそこに何人もの兵士がそれを囲って見ていた。


 ヤバい、早く消火しなければ……


 「おい!貴様等何をしている!」

 

 俺は怒鳴りながら声を荒げた。


 「貴様等は人間!?なぜ貴様等ここにいるかは知らんが、我々のやることに口を出さないでもらおうか」

 「我々は王様の勅命を受け、謀反を企てているこの集落の長老に裁きを与えにきたのだ!」


 はぁ?

 お前等そんなことしてタダで済むと思うなよ……この世界の法は二十柱の下にあるという事を教える必要がありそうだな。


 「立花!」

 「ええ、アクアパラダイス!」


 これは水で一定空間を包み込む第六位階魔法だ。


 「中で反応があるのは三人だ!」

 「俺が行く、周平はこいつらを抑えてくれ!」


 九兵衛さんが家の中に入ろうとすると、それを兵士が防ごうとしたので実がその兵士を攻撃した。


 「てめぇらただで済むと思うなよ……実にザルカヴァ!」

 「「了解」」


 三人で囲んでいた兵士に襲い掛かった。


 「破槍撃!」


 ザルカヴァの槍捌きは見事だ、さすがは白金ランクは伊達ではないようだ。


 「いでよ虎徹零式!」


 実は虎徹零式を具現化させ構えた。


 「絶一閃……」


 今の攻撃で兵士の三分の一が戦闘不能だな。

 実は居合の達人だけあって、攻撃はどちらかといと大技が多く、同じ騎士団メンバーの剣術に精通していたメンバーの中ではやや攻撃速度が劣っていたが、この相手ではそんなのは関係ない。


 「俺も負けてられないな……」


 本気でやると殺しそうなので、うまく力を抑える。


 そうだな……体術で全員と戦闘にするか。


 「縮地」


 目に見えぬ速さで動き、兵士を一人ずつ倒していき、その場にいた兵士全員を戦闘不能にした。


 「こっちも終わったわ」

 「ナイス」


 立花も消火を終え、家の中から九兵衛さんと三人の妖精エルフがでてきた。

 どうやら助かったようで九兵衛さんもピースをしながらでてきた。


 「まだ終わりじゃないわ。とりあえず残りの兵士を全員拘束してくるから、周平はこいつらを拘束しといて」

 「了解~」


 数十分後には、集落を襲った兵士全員を一か所に集めて拘束し、ファーディナンド夫妻とその息子三人の治療を無事終えた。シルバーチャームの長老であるファーディナンドはエイムウェルの長老よりも年がいっているようで、息子であるアリシーバもかなりのおっさんだ。


 「すまない九兵衛殿……お主のおかげで命を救われたわい……」

 「友よ無事でよかった……もう少しここに来るのが遅かったら俺はこの大陸をめちゃくちゃにしていたかもしれないな」

 「ふぉふぉ、確かに九兵衛殿ならやりかねぬのう。そこの妖精はエイムウェルのダリウスじゃが他の御仁達は?」

 「獣人族の子は冒険者ギルド所属の部下で、他三人は前に話した境界騎士団の仲間です」

 「なるほどのう。そこの二人はオーラからしてリオン様と同じ二十柱であっているかな?」


 放つオーラからそれを察知するとは、さすがは大集落の長老だな。


 「お初にお目にかかります。境界騎士団の団長代理にして第八の魔神を受け継いだ神山周平です」

 「副団長にして周平の妻であり、第十の大賢者を受け継いだ神明・Fフォルモサ・立花です」

 「そんなにかしこまらないでくだされ。本来ならワシはあなた方に平伏す方の立場にある上に、命まで救ってもらっておるのじゃ」


 どうやらこの国において二十柱は神格化されているようだな。初代妖精王であるロードリオンがその一角である以上、当然といえば当然か。


 「俺達よりあなたの方が長く生きているし、上の者に対して敬意を払うのは当然です」

 「周平の言う通りです」

 「しかしのう……」


 ファーディナンドが少し困惑していると、九兵衛さんが助け舟をだした。


 「まぁまぁお互いそんなかしこまらずに行こう。ファーディナンドは俺と話すみたいに接すればいいと思うしさ~」


 九兵衛さんのこういう所はほんと凄いと思うし、これは一種の才能だな。

 低姿勢で威圧的ではないこの感じがみんなに慕われるのだろう。それでいて頭も回るから、交渉ごとにおいても自分のペースに相手を持っていく。エミリアと共に騎士団の中での交渉事を一手に担っていただけのことはある。


 「うむ、ではそうしよう。そちら二人の御仁の自己紹介もお願いできるかのう」

 「ああ、俺は元初代勇者だった天竜院実です」

 「私は獣人族の白金ランク冒険者のザルカヴァ・ストイコビッチです」

 「ふむ、わしはここシルバーチャームの長であるファーディナンド・アルム・シルバーチャームじゃ。この集落を救ってくれたことを改めて感謝する」

 「自己紹介も済んだことだし、後はあそこに捕らえた兵士たちを尋問して本題は明日にしようか」

 「そうじゃのう」


 いよいよ本格的にロードリオン奪還作戦が始まろうとしていた。


しつこいようですが感想ずっとお待ちしてます~

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 元初代勇者とありますが、それだと「今は初代ではない」と受け取れます。この場合、「元勇者」もしくは単純に「初代勇者」でいいかと。初代は初代、現役やめてもそこに変わりはないですからね。 […
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