妖精の国へ2
投稿遅れました。
ラグーサの大森林の中のエルフ領側に入った。
四つの大陸は、それぞれファーガス王国側がクレセント、ファラリス連邦側がレガリア、妖精の国がオンラク、魔大陸側をオルメタと呼ぶが、ギャラントプルームは四つの大陸のどれにも該当しない。
ギャラントプルームは四つの大陸の真ん中に位置し、九兵衛さんの力で無理やり作った大地を、ロードリオンが周りを森で覆ったのだ。これは各大陸にいつでも行けるようにし、さらに中心点になる場所に、ギルドを置くことで、各国の監視をできるようにしただ。
「もうそろそろ森林を抜けるな」
「そうだね、ここを抜けたらどこかで野宿だね~」
妖精は人間のように、街をつくったりはしない。というのも妖精は魔法適性が高く、魔法の力で森自体を一つの集落にして暮らすからだ。
「となると、野宿する場所は慎重に選んだほうがいいわね」
認識阻害をしたとしても、妖精族は違和感に対し敏感で、気づかれる可能性があるし、睡眠中の襲撃とこは避けたい。
「なるべく集落から離れていて、かつ森の力の影響が小さいとこが理想だね~」
「そんな都合のいい場所があればいいんだが……」
森の一部を死滅させるのが手っ取り早いが、それはさすがに控える。森が燃えれば、妖精達は不審に思い、集まるからだ。
「前来た時はどうしたんだい?ロードリオン様が、迎えに来てくれたのかい?」
実が聞いた。
「その通り。あの時は、向こうから迎えに来てくれたんだよね~」
「というかロードリオン様はなんで眠ったんだい?」
「多分動けないルシファーさんや、封印中のガルカドールの奴とコンタクトをとる為じゃないかな~」
これはロードリオンの能力の一つで、封印中の存在や遠く離れた者と、夢を通じてコンタクトをとることができる。この能力で、二十柱のリーダである封印中のルシファーさんや、ガルカドール卿やランスロット先生やジェラードさんとかとも、コンタクトをとるのが可能なのだ。
ただこの世界にはいない、ルシファーさんやランスロット先生とかとのコンタクトをとると、膨大な魔力がかかるし、それを多用し続けると回復の為に眠る時間も長くなる。
「にしても十年は長くないかい?」
「もしかしたら時が来たら、起こしてくれっていう合図かもね。一応リオンが寝ていると、王都ヒムヤーの光大樹の輝きが増すし、国の周りの結界も強くなるからね~」
それはかえって面倒くさいパターンだな……
「それって入るのもダルそうな予感なんだが……」
「たぶん森林を抜ける時に結界にあたるだろうね~」
「解除はできるのか?」
「たぶんいけるだろうけど、立花ちゃんに任せたいところではあるね~」
「やるだけやってみるわ」
森を駆け抜け、結界の貼ってある、境界線へとたどり着いた。
馬車から降りて、早速結界の解除を始めた。
「相変わらず面倒な術式ね……」
「魔術じゃないからな」
立花は文句を垂れているが、この結界は魔術ではなく、妖精の使う妖術というもので、解除も簡単ではないからだ。俺と九兵衛さんも立花の解除を手伝う。
「とりあえず創生魔法を駆使して、一部を無効化するけどたぶんバレるわ。でも少しの間は、その無効化を隠せるから、その間にとんずらしましょう」
「さすがの立花でも、妖術は難しいんだな」
「この結界自体が広範囲すぎて、隠蔽がそもそも不可能に近いってのが原因ね。結局一部分だけ解除する事になるから、完全隠蔽は不可能よ」
「それで、どれぐらい隠蔽できるんだい立花ちゃん?」
「おそらく三十分程度ですね。なので、その間にできるだけ遠くへ入りましょう」
立花がそう言うと、俺達は地龍と馬車全体に隠蔽魔法を発動、さらに立花の認識阻害もフル発動させその場を後にした。
「でも九兵衛さんなら、国賓待遇としての受け入れなんだし。こんなコソコソ入る必要があるのかい?」
実が疑問に思ったのか、九兵衛さんに質問する。
確かに実の言うことは最もだが……
「まぁ国賓と言っても、それはリオンが直接迎えてくれたからだからね。それに正規の方法で入るとなると、申請をとるのに時間がかかる。今俺達にそんな暇はないからね~」
「ロードリオンを、眠りから覚ませればオーケーだから、こっそり入って覚ますのが、一番理想的だし早い。寝ている場所と迷宮の場所がわかれば、後はパワープレイでどうとでもなる」
正直強引だがこれが一番早い。
それに今の王が、俺達よそ者に対しての強い敵意を持っていて、入国を遅らすようなことをされたらたまったものではない。
別に相手が、こちらに敵意を持っていようがいまいが、それは最悪どうでもいいことだが、それで正規の入国を阻まれたら、やっかいな事この上ない。
結局入れさえすえば、パワープレイが可能となり効率もあがるが、入れなきゃパワープレイも活用でき出来ないのだ。
「王都ヒムヤーまであとはどれぐらいだ?」
「そうだね、一日か二日ってとこかな。野宿はもう少し進んだ先にしようか~」
さらにまた進み、木々が生い茂る場所へと移動した。
ラグーサの大森林を抜けたが、結局領内も木々が生い茂っているので、なかなか進むのに苦労する。王都などの一部例外を除き、基本集落で過ごす妖精族の国はほとんどが森である。
「どうやらここがよさそうだね」
「確かにこの周辺にはエルフの集落はない。明日になれば移動だし、まぁ今日はここで問題ないな」
俺達は森の中の馬車でそのまま一泊となった。
地龍は目立つので、餌を上げたらすぐに眠ってもらうことにした。
出発前に、予め俊樹さんに弁当を作ってもらったのを、宝物庫に入れたので、それを取り出しみんなで食べた。
「幕の内弁当とは粋なものを作るわね~」
「俊樹さんらしいけどな」
またも懐かしいものを作ってくれた、俊樹さんには感謝だな。特に卵焼きや、煮物は家の弁当の味がするし、俊樹さんはこれも狙ってやっているあたり、本当に気の利いた方だ。
「フフッ、昨日高級料理を調理して、出してくれた人と、この家庭的な味の弁当を作った人が、同じ人なのはなんとも信じがたいわね周平」
「まったくだ、まぁこれはこれで昨日とは違った美味しさがあるし、これからは長期遠征の時は、あの人に頼むことにしよう」
「そうね。、賛成よ」
「そういえば他のみんなはどうだ?」
「俺の時代の幕の内弁当とは、随分と変わったんだね。というかこれが百年後の幕の内弁当か~」
そうか、でも実が地球にいた頃も、幕の内弁当があったよな。
「当時は質素だったのかしら?」
「父上と歌舞伎を見に行った時に食べたけど、もっと豪華だったよ」
「あらそうなの?」
「実の時代の幕の内弁当は、歌舞伎を見る時に食べる奴だもんな」
そもそも幕の内弁当は、江戸の終わり頃に歌舞伎が盛んな大阪で誕生したんだったな。当時の芝居は朝から晩まで続いていて、幕間という一つの場面が終わり、次の幕の間に行く間が長く、その間に食べる弁当が必要になり、その時出された弁当が幕と幕の間に食べる弁当ということで、幕の内弁当という名前になったんだとか。
「時代は変わるんだね~」
実も地球に行くことがあったら、ビックリすることが多いだろうな。勿論感動もあれば、ショックを受けることもたくさんあるだろうけど。
「まぁ私は美味しければなんでもいいかな~」
ザルカヴァは幕の内弁当に、特に思い入れもないからこんな反応だ。
「九兵衛さんは昔地球にいましたよね?」
実は九兵衛さんも地球出身だ。
「ああ、だけど俺がいた時代は弁当なんかないし、随分昔だよ。古墳作りとかしてたな~俺は皇族だったから眺めてたけどね~」
最早日本ではなく倭国のころだ。
「というか九兵衛さんも皇族って事は、実とも血がつながってる感じ?」
「まぁ一応ね。古来より続く皇族のDNAは互いにひいているからね~」
九兵衛さんは確か向こうにいる時、不老不死になって、いられなくなった所を、ルシファーさんに誘われてこっちに来たんだったな。
「まぁこっちきてからも色々大変だったね。変な戦争にも巻き込まれるし、気づけば巨人王になってたからね~あの時を知る人もほんとごくわずかになっちゃったからね……」
九兵衛さんは少し寂しげな表情を出す。
千年以上生きるってのは、それだけたくさんの死と別れを見てきているってことだからな~
俺人はまだわからない境地である。
誰か小説を面白くする方法を教えてくださいw




