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妖精の国へ

クラスメイトの話をいれようかと思いましたがもう少し主人公達の話で

 次の日の朝、俺達は出発の準備をし、ギャラントプルームを出た。


 ラグーサの大森林を西に向かって行くとエルフの国だ。馬車に乗っていくのだが、走っているのは馬ではない。


 「こいつを走らせるよ~」


 出発の一時間前、九兵衛さんが俺達に見せたのは地龍だ。


 「こいつは飼いならしてあるから大丈夫~」


 九兵衛さんは百年の間に、アーティファクトスキルの習得に勤しみ、魔獣使い系のスキルはカンストしているらしい。俺も立花と再会した直後に習得だけはしたが、結局活用することなくここまで来た。そもそも習得していても、使わなければあまり意味はない。


 「俺も立花もそっちのスキルはそっちのけだったからな~」

 「まぁ私と周平だと必要ないからね~」


 だが完全記憶パーフェクトメモリーのおかげで、勝手にレベルが上がっているスキルがあるな。料理スキルとか解体スキルとか知らぬ間に上がっていた。


 「まぁ周平は見ただけで勝手にスキルが上がるし、立花ちゃんは王のルールブックがあるからね~」

 「俺も皇家の人間であり、勇者でもあったから、自分は選ばれていて強いなんて自負があったけど、二人や他の騎士団メンバー見て、現実を思い知らされたな~」


 そういえば実は会った頃は、自分の実力を鼻にかけていたな~

 まぁ俺や立花がへし折ったんだけどな。


 「みのるんで落胆されたら私なんか存在できないんだけど……」

 「ザルはかなり強い方だから落胆することはないよ」


 実がザルカヴァにフォローをいれる。

 どうやらザルカヴァは実とそれなりに打ち解けたみたいで、みのるんザルと呼び合っているみたいだな。


 「私だって自分ではかなり強い方だって自負があったのに、たまたまトップオブトップが数人自分の周りにいるせいで、プライドと誇りがズタボロ……それも悔しいとか、そういう感情が一切ないレベルにね」

 「まぁこの三人と一緒に戦うとそうなるよ。それに騎士団はこの三人と同等なのが、まだ三人もいるんだぜ」

 「会ってみたいけど、メンタル持つかな……」

 「ザルは負けず嫌いだからな~」


 ザルカヴァが負けず嫌いなのはなんとなくわかったけど、そんなザルカヴァも、圧倒的実力差と超えられない壁ぐらいは見極めているんだな。


 ちなみに一般的には極限まで頑張っても、ステータスは平均十万ぐらいが上限である。勇者が頑張っても、これぐらいが限界であり、ステータス百万超えの前では、十万が十人いてもたいして変わらないのが現状だ。

 単純に三十万の大きな攻撃を一気に当てれば、その十人を倒すのは一瞬だからだ。まぁ勇者といえど、ステータス十万までいくのは、相当な鍛錬する必要があるし、下手すれば百年ぐらいかかるかもしれないな。


 「ずっと森続きだな」

 「まぁここいらはずっと森が続いているからね~」


 外を見た感じ、ずっと森だ。まぁ軽快に森を飛ばしているし、これなら抜けるのはそんなに時間はかからないだろう。


 「そういえば妖精族ってかなり閉鎖的だったわよね?」


 立花の言うとおり、閉鎖的で他種族に対して、かなり排他的だったイメージがある。勿論、ロードリオン自体はそんなことはなかったし、俺達の力や使命に関してはかなり理解があった種族なので、俺達に対してはそこまでではなかったな。まぁその背景には、俺達の圧倒的な力があったことにあるが。


 「九兵衛さん、ロードリオンと前会ったのはいつ?」

 「う~ん十年ぐらい前だったかな。たしか少し眠り入るとか言っていたよ~」

 「九兵衛さんは、妖精の国での扱いはどんな感じ?」

 「俺は冒険者ギルドの総長だったし、ロードリオンとは千年以上の付き合いだからね。巨人族の王という事もあって、国賓待遇だったよ~」


 そうか、なら安心だな。

 なるべく穏便に争うことなく事を済ませたい。


 「だとすると、今は代理の王がいるのかしら?」

 「ああ、そうだよ。眠りに入ってからは行ってないけど、そういう風に聞いてるよ~というかリオンは初代妖精王ってだけで、王の職にはついていない。圧倒的な力と人望があるからみんな従っているけどね~」


 ロードリオンは俺みたく力を受け継いだとかではなく、文字通り初代妖精王なのだ。ランスロット先生や黒姫や九兵衛さんも千年以上生きていて、二十柱の中でも最古参だが、三人は元々人間だ。だから、格も二十柱の中ではかなり上の方だ。


 ラグーサの大森林を超える途中には、大きな魔物がうじゃうじゃいたが、俺達の発するオーラのせいで誰も襲ってこない。


 「まぁ二十柱三人を乗せた馬車を、襲撃する命知らずは流石にいないね」


 実が半分呆れた顔で言うがザルカヴァもそれに続く。


 「最強の魔除けね……」


 ザルカヴァも絶句して、いい言葉がでないようだ。


 自分が獲物であり、好敵手と認めていたカイザーゴリラが、俺達に対して跪いているのを見て、正直ガッカリを隠せなかったようだ。


 「俺や立花よりも九兵衛さんの巨人王だな。巨人王は大地の支配者としての特性があるから、陸の獣の大半が跪くよう、DNAの段階でそれが刻まれているんだ」

 「そうなんですか?」

 「ああ、二十柱はそれぞれ特性を持っていてな。巨人王は守護という特性と、大陸属性を持っているんだ」

 「へぇ~周平さんのは魔神は?」

 「俺の特性は戒律に、属性は煉獄。立花の特性は叡智に属性は創魔だ」

 「大陸に煉獄に創魔?属性って光、闇に火、水、風、土、雷、氷だけじゃないですか?」

 「俺達のは神属性分類だな。二十柱それぞれが持つオンリーワンで、正確には属性とはまた違うんだけどな」


 属性というよりも、それぞれがもっとも得意とした力というのが正解しれないないな。


 「ザルもオンリーワンが欲しいかい?」

 「うん、でも総長とかみたいなのは私には無理かな。二十柱になんてなれないし……」


 ザルカヴァは自分を卑下するように言う。


 「ははっ、でも二十柱は無理でも、オンリーワンの力を手に入れた人は過去に結構いるんだ」

 「そうなんですか?」

 「そもそも二十柱の力とは、この宇宙を創生した神の力の一部だと思っていい。そして過去にそれを手にしたのってのは、その残りカスにありつくことができた者なんだ~」


 九兵衛さんの言うその残りカスにありつく為に、人生をかけた奴も過去にはたくさんいたみたいだ。


 「そうね、そこにいる実もDNAで、その残りカスの力が刻まれてるし、騎士団のメンバーも何人かいたわ」

 「そう、十万の壁を超えるのはそこにありつけるかだ」


 十万の壁を超えることが、化け物へのスタートラインだ。


 「つまり私にもチャンスがあるってことですね?」


 ザルカヴァの表情が明るくなる。


 「そうだな、ただそれに辿り着けるかも運だからな」


 何事にも運が大事である。俺がこの力を得れたのだって、運があってこそだ。


 「まぁ色々世界を回ると、そういう力にもありつけるかもだね。だからまずは、ザルが世界を自由に回れるようにしないとね~」


 九兵衛さんが言う。


 そういえば獣人族も二十柱に入っていた時期があったと、図書館ザ・マスターが昔言っていたから、獣人族から二十柱を輩出出来ればな……


 獣人族が解放を求めて、連邦側に戦争を仕掛けるという流れを作りだすのは、今後の流れで欲しいとこだ。俺達の表立った侵略よりも、解放の為の戦争の方が聞こえはいい。

 ただ人間側が悪にしたいとかではなく、最終的な目標は共存、つまり獣人族の勢力だけでなく、俺達側につく人間の国も必要になる。


 「やることは山積みだ……」

 「フフッ、焦っては駄目よ周平。私達は戦いになれば負けない。だから時間をかけて、ゆっくりと地盤を固めていきましょう」

 「立花ちゃんの言う通りだ。まずは力を取り戻しつつ、助けたいクラスメイトだけ助けていけばいい。俺もこの百年色々と準備はしているからね~」

 「ははっ、まったく頼もしい奴らだ」


 昔の記憶の中で、まだ実感をしていなかった部分が多々ある。そのうちの一つが、戦いを楽しんでいた自分なわけだが、それを徐々に実感していっている自覚があった。


 果たしてそれはいいことなのか?


 楽しむというのは、その過程で起こる、殺し合いを楽しむということと同義でもある。ただそれに抗うのは、かつての自分を否定することにもなるし、その衝動に抗えないのもわかっていた。


 「大切な仲間を優先して行動する……」


 俺は俺だしこの気持ちは変わらないんだ。今更汚い事はできませんなんて、言う権利は俺にはない。

 俺は二十柱が一角、第8柱の魔神なんだ。


 俺の中でももう覚悟はできているんだ……


・通常属性

光、闇、火、風、水、土、氷、雷


・二十柱の専用属性と特性

それぞれオンリーワンの専用属性と特性を持つ。

魔神(周平)→煉獄属性と戒律の特性

大賢者(立花)→創魔属性と叡智の特性

巨人王(九兵衛)→大陸属性と守護の特性



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