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シェフとコース料理

グルメ小説ではありませんが書いてたらこの回はこんな感じになりました。

 少し待つと目の前にシェフが現れた。なんとそのシェフは俺達の知り合いだ。


 「ゆ、祐二のお父さん?」

 「やぁ二人とも」


 なんとそこに現れたのは、こないだ別れたばっかりの二本柳俊樹さんだ。


 「ここでシェフをやってらっしゃったんですね」

 「まぁね。ただ僕もアルマンゾールでのお店もある。ここが予約で一杯なのも、僕が毎日来て作るわけじゃないからなんだ」

 「今日いたのはたまたまです?」

 「今日は九兵衛さんが夜食べに来る予定の日だったんだよ」


 この人の作る料理は美味しかったし、ここを任されてても不思議ではないな。


 「それでメニューを見たいんですが……」

 「メニューの前に、君達はどんなのを食べたいかな?祐二を特訓している間、よく私の地球料理を食べていたし、そんなのを食べさせても、君達に大きな感動を与えられるとは思わない」


 何が食べたいかだな。

 確かに地球食はかなり食べさせてもらったんだよな。


 俺は少し考えその意図を察した。


 「なるほど、そういうことか」

 「どういうこと周平?」

 「多分だけど、俊樹さんはこの世界の食材を、自分流に料理してくれるということさ」


 俺は迷宮で回収した、レジェンドドラゴンとキングベヒモスの肉の一部を取り出す。


 「立花、王の書でこいつらの一番おいしい部位をサーチしてくれ」

 「わかったわ」


 立花が特定すると、レジェンドドラゴンは胸からお腹にかけての部位が、キングベヒモスは前胸部の部位が美味だというのがわかった。


 「俊樹さんこいつをステーキにしてほしい」

 「ふふっ、かしこまりました。その他のサラダやスープ、魚料理はこちらの世界の高級食材を使わせていただきます」

 「ちなみに値段はいくらですか?金貨百枚ぐらい?」

 「もちろんあなたがたはタダですね。九兵衛さんと同等ですからね~」


 ブラックカードマジパネェ。


 早速俊樹さんは目の前で調理にかかった。まずお肉に、それぞれ味付けを始めた。おそらくこれは塩胡椒等をかけているのだろう。


 「調味料とかは地球のものなんですね」

 「そうですね、塩胡椒その他香辛料等は、この世界ではあまり手に入らないし、なにより地球のものより劣ります」

 「なるほどな~」

 「そういえば飲み物は、何か希望がありますか?」

 「そうだな、城にいる時飲んだ、ビアーという果物を絞ったヤツがいいんですが、ありますかね?」

 「高級果物のビアーを選ぶとは、さすがは周平君だ。立花ちゃんは何にしますかな?」

 「周平のと一緒でいいわ。それがこの世界の果物では、一番おいしいとされているし」

 「かしこまりました」


 俊樹さんが合図を送ると、数分後にビアー百%のジュースが目の前にだされた。これはマジで美味しい。前世でも食べたりジュースを飲んだ記憶がうっすらあるが、格が違う。


 「美味しそうね」


 物自体は地球のビワの食感と、糖度が最低二一%程で、外見は外側がメロンのように覆われていて、外の色は紅く、中の実は黄色い。


 「これは糖度が高いですが、飲んでも後味がさっぱりなので、様々な方から人気です。セレブはもちろん、冒険者もこれを食べるためにお金を貯める者もいます」

 「相場は?」

 「そうですね~一つあたり、だいたい金貨十枚ほどでしょうかね。落ち品で五枚とかでしょう」


 高すぎる。

 贅沢の極みだが、この味だし無理もない。


 「さすがにただで食べるのは気が引けるんだが……」

 「大丈夫ですよ、出回らないので高いですが、九兵衛さんは独自ルートがありますからね~」


 さすが九兵衛さんだな。百年間寝ていたわけではなさそうだ。


 「さてお味はどうでしょうか」

 「神ですね」

 「同じく」


 ジュースにしたのは、久しぶりに飲んだが、感動に包まれる。これより美味しいジュースはないんじゃないかと思うぐらいだ。


 「神殺しのお二人に、神認定とはさすがビアーですな」


 俊樹さんは苦笑している。


 前菜の虹色ウサギの頬肉のコロッケと喜、怒哀楽草をのせたものがだされた。

 喜怒哀楽草は四種類に色が変化し、それぞれ異なる味をだすことで有名で、虹色ウサギはラグーサの大森林に稀にでるとされる素早いウサギだ。


 「これはここのコースメニューかしら?」

 「いいえ、これは今まで私が考えていたモノの中から、選出していますので、コース自体は二人の為のオリジナルですな。食材自体は、過去にも九兵衛さんやレダさんにだしていますがね」

 「わざわざありがとうございます。私達夫婦の為に、このようなコースをお出しいただき感謝です」

 「いえいえ~」

 「ほんとにありがとうございます。ただ普通に食べたら、金貨凄い飛びそうなコースだな~」

 「そうですね、コースによっては、白金貨一枚飛ばすこともできますからね~まぁそんなコース食べにくる人はいませんし、貴族にはそんなメニューだしませんがね」


 あくまでもここは九兵衛さんと、その取り巻きの為のお店なんだな。

 そんでもって貴族からは高い金をとるし、実にいいシステムだ。


 サラダは、エルフの国の王都にある光大樹からと取れる光大樹草と、断崖絶壁に稀に咲くとされる、千年崖花に、珍声鳥の半熟卵をのせ、オリジナルドレッシングをかけたものがだされた。


 「シャキッとした食感にしつこくない卵……そしてドレッシングのハーモニー……最高だわ~」


 立花さん絶頂モードだな。


 「俺も感動のあまり言葉がでませんな」

 「まだまだ続きますぞ」


 スープは、レジェンドドラゴンの尻尾からだしたエキスと、地球の調味料と、コンソメを掛け合わせた、レジェンドドラゴンのテールスープに、パンは単純に地球から取り寄せた、オリーブオイルにフランスパンだ。


 「さて後は魚料理と肉料理にデザートですな」


 俊樹さんは俺達の前の鉄板で魚を焼いている。

 見た所地球食材ではないのは一目瞭然だが……


 「そういえば祐二はどうですか?」

 「もうギルドではゴールドランクを超え、白金を目指して頑張っていますよ」

 「ここ数日でさすがは祐二だ」

 「お二人のおかげですよ。本当にありがとうございました」

 「彼の才能ですわ。ところでその魚類群は?」


 立花がそれを聞くと、俊樹さんはそれらを説明し始めた。


 「これがメインの取れたてのキンググローリアで、こちらがマーブルイカに、仙人ホタテです。どれも魔大陸海域でしかとれない高級食材ですね」


 それぞれワインソースで焼き、シェフ特性ソースをかけ出された。


 「次は肉料理にかかります」


 肉料理はレジェンドドラゴンとキングベヒモスのステーキだ。魚料理もとにかく、神過ぎてもうノックアウト寸前だが、最後にオーバーキルをくらいにいき、駄目押しのデザートも受け入れる態勢は整っている。

 ステーキは純粋に塩胡椒をつけて食べたが、これは自分で調達した食材だけあって格別だった。デザートは高級果物盛り合わせた、ミックスゼリーが出され、俺と立花は大満足だった。


 「ごちそうさまです、ありがとうございました」

 「またきてくださいな、今度は仲間全員連れて是非!」

 「はい、絶対に来ます!」


 十三人でここで食べたいものだ。


 「しかし俺にも是非あれを……」


 横で見ていたアザムールが懇願する。それを横で見ていたら、食べたくならないほうがおかしいわな。


 「アザムールさんは白金ですので白金貨一枚ですかな」


 俊樹さんは笑いながら言う。


 「た、高すぎる……」

 「レジェンドドラゴンあたりの肉の価値は、測定不可に近いですし、あのコースにかかる費用自体白金貨一枚軽く超えてますからね。白金貨一枚でもかなりお得ですよ」


 まじか……

 俺達が食べたコースってそんなするんだな……


 「それと二人とも、これは後で総長から聞くと思いますが、勇者達が迷宮攻略を終えて、魔大陸遠征に向けて準備をしているらしいです」

 「そうか、思ったより早いな……」


 ということはあいつらとの再会もそう遠くはないな。

 月島や杉原や尾形は元気にしているだろうか……今の俺を見せるのは、少し怖い気持ちもあるが、いずれは会わなくてはならないからな。


 「あっちにも、何かしら手をうつ必要がありそうね」

 「ただファラリス連邦がごちゃごちゃしている間は、すぐに遠征にはならないと思いますが、耳に留めておいてください」

 「ああ、ありがとう」


 俊樹さんとも長話をしすぎて、気づけばもう夕方に近い時間だ。デートを終え、俺達は九兵衛さんの家へと帰還した。

       

そろそろクラスメイトや脱走した尾形の話もはさんでいきます。

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