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ギャラントプルームへ

とりあえずアップ

 三人はアホヌーラ山脈を越え、ギャラントプルームに近づこうとしていた。


 基本チートの周平と立花に、人間では勝てる相手など数えるほどしかいないであろう、実の三人は順調に山を越えようとしていた。


 「本来なら寒いのだろうけど、まったく気にならないわね」

 「それはそうだろ」


 立花は、俺達三人の周りの気温を変える魔法を使っている。風もあり、本来ならけっこう寒いはずだが、その風が気持ちいいぐらいだ。


 「二人がイチャイチャするのはわかっていたけど、外野が自分一人だとな……」


 実は不満を吐く。ちゃんとこいつにも一緒に召喚された恋人がいるが、今は離れ離れなので色々と不満が貯まっているのだろう。


 「お前だって九十九とイチャイチャしていたくせに、何言ってんだか……」

 「そ、そんなことはない!二人みたいにそんなストレートじゃないし……」


 実は少し焦りを見せる。実と九十九も負けないぐらいイチャイチャしていたものだし、実としては早いとこ再会したいだろう。今の所生存が確認されていないのは五人。もしこれがあの時の続きならちゃんと全員いるはずなのだが……


 「周平さんは昔に比べて押しが足らないね、立花さん。息子も随分衰えてそうだね」


 実も言われっぱなしが気に入らなかったのか、挑発をしてきた。


 「実く~ん随分なめたこと言ってるけど、この俺に喧嘩を売っているのかな~」


 実の坊やが、俺に喧嘩を売るなど百年早いわ!


 「真面目に今なら俺のほうが勝ってる自信があるだけだよ。だって俺は周平さんみたく転生してないからDTじゃないもん!」

 「なっ……」


 その単語を突きつけられ、一瞬思考が停止してしまったがそうだ……この体になってからはまだ一回もしてないじゃないか……記憶も不完全でそんな自分では実に軽く劣ってしまう。

 俺は悲しい現実を突きつけられたのだった。


 「ふふっ、実もそう虐めて上げないでね。記憶を取り戻したばかりでまだ子供だし」


 グサッ、立花お前まで……

 俺の心に突き刺さる子供という単語……

 追加点の後にホームランを駄目押しでくらった気分になった。


 「でも私もこの体は処女だし、周平とするまでは私も似たようなものよ」

 「立花さんは記憶戻ってるからさ。まぁ周平さんも時期するんだし気にしないで」

 「実に馬鹿にされるとは……」


 それに反論できない自分もまた虚しいものだ。


 「あら~」

 「もう虐めすぎよ実」

 「ごめんちゃい……」


 謝るんじゃねぇよ。

 対等になったらしめてやるから覚悟しておけよ!


 「まぁまぁもうすぐ着くし魔物狩りも最後気合入れていきましょう!」


 襲ってきた魔物はすぐに片づけては素材を回収する。立花や実の持つアーティファクトスキルの収納庫は、俺の宝物庫のように無制限ではないが、それでもかなりのレベルだ。騎士団を再開した時の為に、ありあまる資金力も重要だからだ。


 「そろそろ目的地だな」


 山脈を超え、ギャラントプルームに辿り着いた。高い所から見上げた、その街の夜はどこも光っていて、賑わっているように見える。


 「さて目指すはギルドか……」

 「とりあえず今日は適当に宿を見つけて休みましょう。できればシャワー付きで」

 「オーケー」

 「賛成~」


 三人は適当に宿を見つける。次の日には騎士団メンバーであった高天原九兵衛との再会がある。とりあえずギルドに近い宿を探すことにした。


 「ここがよさそうね」


 三人が辿り着いたのは、ギルドから五分の宿なので冒険者がとても多い。


 「さてここに……」

 「きゃぁぁぁぁ!」


 突然女性の悲鳴が聞こえた。


 「なんだ?」

 「敵襲か!」


 三人が周囲を見渡すと、声はどうやらこの宿のとなりの酒場からだ。


 「へぇんたぁぁぁいが!」


 女性の大きな声とともに店から男が吹っ飛ばされてくる。


 「んもう~連れないなロカちゃんは。僕ちゃんと愛の喜劇を紡ぐ約束をしたじゃないか~」

 「そんな調子いいこと言って、他の女の子にもちょっかい出してるくせに何を抜け抜けと……」

 「それじゃあせめて僕と一夜の愛を奏でよう……」


 男はロカと呼ばれる女性に飛びつこうとするが、逆に顔面を蹴られ飛ばされた。


 「ふん!寝言は寝て言えボケがぁ!」


 女は店に戻ってく。


 「ま、まって僕のお尻ちゃん……」


 男は力ない声で叫ぶ。三人はそれを冷ややかな目で終始見ていた。


 「はぁ……また駄目だったか……でもあのお尻と胸に飛びつかないなんて男じゃない!」

 「はぁ~相変わらずだな」

 「ほんとね……」

 「騎士団一の欲情男は相変わらず健在か……嬉しいような悲しいような……」


 三人はそろって溜息をはく。


 「よっ、まだそんな犯罪まがいなことしてたんだな」

 「これこそが男の性であり止められな欲望さ。君にも昔教えてあげたはずなんだがね~」

 「私の夫に変なこと吹き込まないでほしいものだわ」


 そう、この欲情男こそが騎士団ナンバー五で二十柱の一角、巨人族の王である巨人王の力を受け継いだ高天原九兵衛だ。


 「ファウンドを通らないで山脈を超えてくるのは予想外だったよ~」


 九兵衛は服の埃をはらい立ち上がる。巨人王といっても千年前ぐらいまでは、普通の人間であったし、大きさは人間サイズがデフォである。


 「色々あってな。ファウンドにもちゃんと行くつもりだ」

 「そうだね、あの国入るのは、今はミゴリからのほうが容易だろうからね~」


 九兵衛の引っかかるようなもの言いが、気になる。


 「ファラリス連邦で問題発生してるのかしら?」

 「まぁね、とりあえず今日はもう遅い。明日ギルドの総本山で待っているよ~」

 「そこじゃないのか?わざわざギルドに近いとこを探したんだが……」

 「そこは一般依頼用の窓口さ。総本山はここから少し離れてる……そうだなやっぱり今日は俺の家に泊まるといい。案内するよ~」


 九兵衛は三人を自身の家に案内する。今の場所から少し歩くと、ギルドの総本山があり、そこの近くの大きなお屋敷が九兵衛の家だ。


 「さぁ今日は俺も眠いし風呂とか好きに使って構わないよ~」


 九兵衛はそのまま寝室に入っていった。


 「相変わらず自由だ……」

 「ほんとね……」

 「でも再会できて嬉しいよ。あ、お風呂どうする?」

 「周平と実に先に入ってもらって、その後私がゆっくり入るわ」

 「「了解!」」


 少し不安もあったが、九兵衛さんは昔と変わらない一面を見せてくれた。昔から色々残念な所はあったが、彼も本気になると地図を変えるようなことを、平気でやる頼もしい一面もあったし、明日はしっかりそれを見せてほしいものだ。


騎士団ナンバー

NO2.神山周平

NO3.神明・フォルモサ・立花

NO5.高天原九兵衛

NO13.天竜院実


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