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告げられた真実

2020年5月24日にここまで修正しました。

 迷宮攻略を終えた宴は来た時以上に盛大だった。王様を含む貴族達が集まり、勇者達は普段絡むことのないような知らない、中年親父とも会話は正直疲れた。


 貴族たちの黒いものも見えてしまい、こんなどす黒い世界で生きるのは自分では考えられないな。途中で会場を抜け出し、タピットのとこに向かうと、夜風に一人浸るタピットの元に、嶋田、木幡、雪、美里の四人が集まる。


 「きたな」

 「はい、三人ほど連れてきちゃいましたがね」

 「なぁにかまわんよ。後である程度の話はクラス全員に話すが、お前達四人にはさらに秘密を話しておこう」


 タピットは瓶に入ったワインをぐっと飲み干す。少し酔っているようだが、このほうが話しやすいのだろう。


 「まずお前達勇者がどうやって召喚されたかわかるか?」

 「召喚魔法ですよね?」


 木幡が答える。


 「それはそうだがではその上でそのために必要な魔力をどうやってまかなったと思う?」


 四人はわからないといった感じに首を傾げる。


 「話そうか……」


 タピットは語り始めた。


 この国の北に位置するラシュカリという街があり、そこには捕らえた魔族を収容する場所がある。数年前、そこの魔族の命を引き換えに得た魔力を用いて、勇者召喚がされた。しかしその魔力を得るやり方にも問題があり、周辺の住民も犠牲になった。

 勇者召喚は過去何度か行われてきたが、百年ちょっと前の第一回目を除き、捕らえた魔族の魔力で召喚されているという。

 そもそも魔大陸は、魔族以外にも別の種族が住んでおり、それぞれが穏便に暮らしていたが、いつしか人は魔大陸の資源を狙い侵攻を始め、魔族はそれを守る為に人と戦いを始めた。ファーガス王国にはいないが、もう一つの大国ファラリス連邦では、妖精族以外に他種族の奴隷制度が認められており、他種族を見ることができるという。ファラリス連邦は今まで勇者召喚をやっておらず、今回ファーガス王国との提携で初めて召喚をした。魔族との争いは、百年前の大戦の終結を境に始められた。


 「そんな……それじゃあまるで人が……」


 あの女性の言っていたことは本当だったのか……


 嶋田はエミリアの言っていた言葉を思い出す。


 「ああ、今までそれを勇者には隠してきた。勇者召喚は今回で五回目だが、皆魔王との戦いで死亡か行方知れずさ。だが王様はそのことを秘匿しろとのことだった。秘匿しなければ監獄行き、しかし秘匿すればエミリア様に殺される。そんな運命を背負うのが騎士団長なのさ」


 タピットはずっとそのことに葛藤し続けた。エミリアに、目の前でバスティノ団長が殺された時からずっと。バスティノ団長は殺される時、タピットに向かって、この死は私の罪故だと、やりきれない表情で笑いながら死んでいった。

 バスティノ団長もまた葛藤し続けたのだ。


 「エミリアというのは何者なのですか?」

 「エミリア・ルーナ・アーバンシー、あれは百年前の神争において神殺しに貢献した、十三人の反逆者である境界騎士団の一人だ。それでいて、当時の世界で偉大な騎士十三人の事を、十三騎士ナイツオブラウンドと呼んだが、その一角であったファーガス王国騎士団長ナシュワンの師匠でもあった。騎士団長になる者には、エミリアとナシュワンとの契約を伝承するということになっている。もちろんその伝承に嘘がないように、エミリア自身も姿を現す。エミリアがバスティノ団長を処刑しに来た時、バスティノ団長は俺にそれを伝承し、殺された。当時俺は若くして副団長で次期団長だったからな」

 「処刑の理由はその魔族の命を……」

 「ああ、だがそれは契約内容の勇者召喚の為の魔族虐殺行為の助長というのにあたるとのことだ」

 「それならあの王様に直接圧力をかけたらいいのに……」


 美里は納得いかないと言った感じの表情だ。


 「ファーガス王国が大半を治めるこのクレセントの大陸はいくつかの小国があり、そこを抑えるために王族は必要なんだ。それに反逆者であるエミリアの言葉に王様は耳を傾けまい。俺はまだ代理扱いで受け継いでないが、騎士団長が代々受け継ぐスキルと証があり、それはエミリアとナシュワンの契約も受け継ぐから俺は無視できないがな」

 「それでこの話のどこまで他のやつに話すんですか?それとこのまま牢屋に行くんですか?」


 木幡が聞いた通り、このままいけば牢屋行きだ。しかし嶋田も含め、そんなことは望んでいない。この人をそんな目に合わすわけにはいかないからだ。


 「だからこれは内緒だ。他の奴には、魔族の命と引き替えに得た魔力で召喚されたということだけを伝え、エミリアに狙われた理由も、それだということにしておいてくれ。お前達は元の世界に帰る為の手段を魔族と戦いながら探すんだ。幸いなことに、オルメタにある魔王城に転移装置があると聞いている。そこを目指せ」

 「王様はともかく、エミリアさんはそれで大丈夫なのでしょうか?」

 「それは大丈夫だ。リーダー格であるお前らにこのことを話した事で、契約に従い動いたことになる」


 タピットが四人に真実を話したことで、勇者が真実を知った上で行動することになる。それを徐々にクラスメイトに浸透させていけば、エミリアとのナシュワンの契約は守られるのだ。エミリアとナシュワンの契約の真の目的は、勇者が反逆し王国を変えるということにある。しかしそれもまた保険の一つでしかないのだ。


 パーティ会場に戻り、タピットは他のクラスメイトや王様のいる前で、勇者召喚の方法のみを告げ、自身が襲われた理由も、少し嘘を混ぜて話した。王様や大貴族達はそれに対し困惑したが、魔大陸侵攻を助長する発言を最後にした事で、問題になることはなかった。


 嶋田浩二

種族:人間ヒューム

職業:勇者

レベル125

攻撃:20000

防御:20000

魔法攻撃:20000

魔法防御:20000

素早さ:20000

魔力:20000

ギフト:身体強化、成長速度UP、魔法適性、戦士適性

異能:元始の爪(AA)

称号:王国の光


 木幡竜也

種族:人間ヒューム

レベル124

職業:ナイト

攻撃:22000

防御:22000

魔法攻撃:12000

魔法防御:16000

素早さ:16000

魔力:16000

ギフト:身体強化、成長速度UP、戦士適性

異能:カウンターシールド(A)

称号:王国の盾、上級ナイト


 菱田隼人

種族:人間ヒューム

レベル126

職業:剣闘士

攻撃22000

防御:16000

魔法攻撃:16000

魔法防御:14000

素早さ:20000

魔力:16000

ギフト:身体強化、成長速度UP、戦士適性

異能:攻撃破壊(A)

称号:王国の牙、上級剣闘士


 月島雪

レベル:124

種族:人間ヒューム

職業:混色魔導士

攻撃:12000

防御:14000

魔法攻撃:22000

魔法防御:22000

素早さ:18000

魔力:22000

ギフト:身体強化、成長速度UP、魔法適性

異能:キャットクイーン(A)

称号:王国の癒し、上級魔導士


 杉原美里

レベル:124

種族:人間ヒューム

職業:狩人

攻撃:18000

防御:14000

魔法攻撃:18000

魔法防御:18000

素早さ:22000

魔力:18000

ギフト:身体強化、成長速度UP、狩人適性

異能:気配探知(A)

称号:王国の矢、上級狩人


 周平と離れてから召喚されし者達は、目覚しいパワーアップを遂げ、ステータスの低い者でも平均一万は超えていた。冒険者なら嶋田達は白金ランクだ。

 だがこれでもまだまだ足らないのだ。


次は主人公達に移ります。

改めて感想やブクマ登録お待ちしてますので気軽にどぞー

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