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エミリアの襲撃

今加筆修正中ですのでよろしければ後程見返してくださいな~

 「相変わらずね」


 砲撃の方向から女がこちらに向かって歩いてくる。外見は朱色の長い髪に、眼鏡をかけた色気があるお姉さんといった感じで、すごい殺気とただならぬオーラを放っていた。


 「あ、あなたは……」

 「まったく……こんな砲撃も避けられないなんて情けないわ」


 女はため息をつき、タピットを見下したような目で見る。


 「エ、エミリアさん……」

 「久しぶりねタピット、元気かしら?」

 「あなたは何者ですか?なぜタピットさんにこんなことを?」

 「あなた達が噂に聞く勇者達ね。あなた達には関係ないから話す理由はないわ。引っ込んでてちょうだい」


 エミリアと呼ばれる女性は少し挑発気味に返す。


 「てめぇ……」


 菱田は攻撃破壊を付与した剣で攻撃しようとしたが、エミリアの手から放たれた見えない弾丸のようなものがぶつかり、ふき飛ばされた。


 「ぐはっ……」

 「隼人君!」


 菱田は壁にぶつかりそのまま気を失った。


 「はぁ~死にたいのかしら……雑魚はどいてなさい!私はタピットに用があるの」


 周囲が戦慄する。ウガルルムの戦闘後とはいえ、菱田に目もくれず一発でノックアウトさせる力をもつものに勝てる実力者はここにはいないからだ。エミリアはタピットの胸倉をつかみ、持ち上げながら睨み付ける。


 「私があなたに言った言葉忘れてないわよね?」


 エミリアは鋭い視線をタピットに向ける。


 「わ、忘れていない……」

 「でもこの子たちは知らないようね……」


 エミリアは不機嫌な顔と声をあらわにする。


 「こ、この三〇〇層攻略が終わるまでは伏せておきたかったのです……ここは勇者たちの育成のために使っている……だから……」


 エミリアはタピットのお腹に一発拳を当てる。


 「ぐっ……」

 「あなたにも立場はあるし同情はするわ。でもあなたは私の警告を無視したととるわ……わかるわね?」

 「それは……」


 エミリアはタピットを数回殴り始めた。


 「ぐはっ!」


 タピットは抵抗することなく、殴られ何回か殴られたところで雪や浩二が止めに入る。


 「やめないか!」

 「そうです、あなたのしていることはただの拷問だわ!」


 嶋田と雪の眼を見るとエミリアは無表情のまま口を開く。


 「これはタピットと私の問題よ。あなた達は関係ないわ!」

 「そんな風にタピットさんを扱う輩を見て黙って見ているのは無理だ!」

 「そうよ、それにこの人数で私たちとやりたくはないでしょ?」


 嶋田と雪の言葉に大きな笑いを見せると、フィールド全体に殺気を放つ。


 「聞こえなかったのかしら?死にたくなければなおとなしくしていなさい!」


 クラス全体はエミリアの言葉に委縮する。


 「一年前のこと覚えているかしら?」

 「ああ……」


 タピットは力のない声で答える。


 「バスティノ団長みたいに殺してほしいのかしら?どうして私があなたは殺さなかったのかしら……ねぇ……なんであなたは生きていられるのかしらねぇ?」


 タピットは何も答えない。どこか後ろめたいのか目を背けている。そんな中、浩二は見るに堪えられなくなり再び止めに入る。


 「これ以上はさすがに見過ごせない……」


 嶋田は間に入り、エミリアとタピットを引き離す。するとエミリアは嶋田の溝に一発いれて吹き飛ばす。


 「死にたいのかしら?ほんと馬鹿な坊やね」

 「げほっげほっ……俺はあの人を見過ごせない……」

 「はぁ?」


 嶋田は戦闘態勢をとり元始の爪を発動した。


 「いくぞ!」


 嶋田がエミリアに向かって攻撃を始めた。


 「鬱陶しい……ルナティックフレア!」

 「くっ……」


 嶋田は両腕でなんとか耐えようとするがエミリアが近づき浩二に蹴りをいれて吹き飛ばした。


 「ぐはっ……」

 「ワイルドローズ!」


 バラのつるで相手を打ち付ける第七位階魔法だ。


 「ぐあぁぁぁぁぁ!」


 嶋田はもうボロボロだった。疲れがあるとはいえ圧倒的な実力差があるのは明白だった。


 「まだやる気?邪魔するなら殺すわよ!」


 助けようにも圧倒的な力差の前に手を出せずにいた。出たら自身も殺されるんじゃないかという恐怖心が植え付けられていた。だが嶋田はそれに臆さず、まだ立ち向かおうとしていた。必死に立ちあがろうとする嶋田をエミリアは胸倉を掴んで持ち上げる。


 「こ、浩二!」

 「あなた鬱陶しいわ……死んどく?」


 エミリアは攻撃の構えをとった。


 「し、嶋田君……やめて!」


 周りが悲鳴を上げる中でも嶋田の目は死んでなかった。


 俺はこの人を助けたい……たとえ今ボロボロでかっこ悪くても……無意味な行動だったとしても……俺は助けてもらった人を見捨てはしない……

 

 嶋田はボロボロになりながらも口を開いた。


 「お、俺はタピットさんにお世話になった。色々教えてくれたしこの世界にきてから世話になりっぱなしだ……そんな人を見捨てるわけないだろ?見捨てるなんて死んでも御免だ!」


 そんな嶋田の言葉に動けず見ていた者も口を開く。


 「浩二の言う通りだ俺もあんたと戦う!」

 「私も戦うわ!」

 「俺も!」

 「私も!」


 徐々にみんな声が上がり歓声へと変わる。

 嶋田のまっすぐな目と、そんな周りの声を聞いたエミリアはため息をつくと攻撃をとめ、憐みの表情をだした。


 「あなた達は何も知らないだろうけど真実を知った時どう思うかしらね……」

 「えっ……」

 「何も知らないのはほんと罪ね……」


 エミリアはまたため息をつく。


 「まぁいいわ。私は別にあなた達をどうこうしたいわけじゃないわ。その男も生かしてやった以上は対価として償いをしてもらわないとだし」


 エミリアは嶋田の胸倉から手を放し、離れると後ろから美里がエミリアに話かけた。


 「随分とえらそうだけど果たしてあなたが私たち全員と戦って勝てるのかしら?さすがに一対一じゃ難しいけどこの多人数ならあなただってきついんじゃない?」


 エミリアは余裕の表情崩さない。むしろ挑発されたと受け取り、さらに殺気を放つ。


 「はぁ?小娘がずいぶんとなめたことを言うわね。その口を塞いでや欲しいのかしら?」


 エミリアは殺気を美里にぶつけると、美里は委縮しその場で崩れ落ちた。


 「まぁいいわ。隠蔽魔法でステータス隠しているけどせっかくだから解除してあげるわ。それで少しはだまるだろうし」


 エミリアはステータスをオープンにしクラスメイトが覗いた。


 レベル:301

エミリア・ルーナ・アーバンシー

種族:人間

職業:大魔導士マジックマスター

攻撃:100000

防御:100000

魔法攻撃:120000

魔法防御:100000

素早さ:100000

魔力110000

コントラクトスキル:紅魔装

異能:空気圧縮(AA)

称号:紅の厄災、侵蝕の魔女


 エミリアのステータスを見た瞬間美里は驚きのあまり言葉が出なかった。さっきの魔物を遥かに超える力の持ち主であることはわかっていたが、それでもこのステータスは予想外だった。そしてそれが、目の前でこっちに敵意を向けているとなったら改めて生きた心地はしないだろう。


 「魔法攻撃十万超え……」


 嶋田も言葉をなくす。嶋田たちも訓練や迷宮攻略を経てかなり強くなった。しかし目の前にいるのは、それでもまだ届かない存在だった。


 「さて私は帰るとするわ」


 エミリアは転移装置に向かいながらタピットに語りかける。


 「ねぇタピット、たとえ国家が要求しても、良心に反することはしてはいけないと、私はバスティノにもその前のカラグロウやムトトにも言ってきた。ムトトをカラグロウの前で殺しカラグロウをバスティノの前で、あなたの前でバスティノを殺し、何世代にもわたって教え込んだつもりだけど、つくづく人は愚かね。あなたもそう思わない?」


 「あなたが騎士団長の業を背負い続けるその理由はいったい……」

 「それが私とナシュワンが交わした約束だからよ……」


 エミリアは転移装置を使いその場から去った。エミリアがいなくなったことで緊張が解けたのか、何人かの生徒は足がふらつき崩れ落ちる。


 「タピットさん大丈夫ですか?」

 「ああ、なんとかな……」


 だがタピットの言葉に力はない。


 「あの人はいったい?」

 「ああ、城で話そう。お前達には全部話しておこうと思う」

 「わかりました」


 その後、全員で城に帰還した。エミリアの襲撃による不安が残ったが、次の日の夜三〇〇層攻略が無事終わったことによる城での宴が始まり、少しずつ元気を取り戻していった。


ランキングに載るにはどうしたらいいのか……

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