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さらばアルマンゾール

今回で一区切りですかね。読んでくれている皆様に感謝です。

 祐二の試験が終わると、剣を一つ取り出し、祐二に渡す。


 「これは?」

 「伝説級の武器聖剣カロだ。お前の奴さっき折っちゃったしやるよ」

 「いいんですか?それ伝説級の剣ですよね?」

 「ああ、そのためにお前の剣を折ったんだし」


 祐二へのささやかなプレゼントだ。

 ステータスもこんなに上がったしな。


 二本柳祐二

種族:人間族

レベル145

職業:戦士

攻撃:20000

防御:16000

魔法攻撃:20000

魔法防御:16000

素早さ:18000

魔力:18000

異能:戦いの唄(B)

コントラクトスキル:戦姫の加護

称号:戦姫の弟子、●◆の脅威


 レベルアップも凄いが何よりステータス上昇も凄い、初めて出会った時とはもう桁が違う。


 「自分で言うのもなんですけど見間違えかななんて思います」


 祐二はクスっと笑いながら言う。

 内心は嬉しくてたまらないのだろう、もうゴールドランクの仲間入りだし。


 「あ、周平さん、それと立花さん。僕は周平さんが前に言った、勝者が国を作り法律を作るというのは間違ってないと思います。でも僕は国とは弱者が力を合わせて作るものだと思います。もちろんそれは理想ですが、弱者が力を合わせれば強者にだって立ち向かえる。大半の人間はそっち側にいるしそんな人たちをまとめ上げることができればそれも不可能ではないと僕は考えました」


 それを聞いた俺と立花は少し安心した。

 俺達二人は二十柱の力を受け継ぎ圧倒的強者にいる。そんな自分たちの持つ思想や考えを祐二には持ってほしくなかった。

 あの盗賊達の虐殺も祐二に見せるのはある意味賭けであったが、あれから自分たちとはまた違った考えや思想を導き出してくれたところを見ると、あの行いは間違いではなかったのかもしれない。

 悪人だから殺していいわけでは当然ないが、その行い一つで今後上にたつかもしれない男の思想が良い方向に向いたのであれば俺は良かったと考えてしまう。

 おそらくそんな自分や立花は歪んでいるのだろう。


 「そうか、だったらそれを忘れずに貫け!間違っても俺達みたいになるなよ」


 それは一つの決別だったのかもしれない。

 でも俺達が相いれないかといえばそれはまた違う話だ。もし仮に祐二と今後道を違えたとしても、俺達が仲間であることには変わりはないのだ。もし祐二と敵対すような状況ができたとしたら、俺はその状況ごとぶち壊すのだから。


 最後の夜になるその日は最高級松坂牛シャトーブリアンのステーキだ。

 俺達というか卓を囲んだ全員がそれに感動する。

 俺なんて涙が止まらなかった。まぁいつでも立花のゲートでここに来れる現状日本食というか地球食に飢えることはなさそうだ。


 夜は祐二と二人で会話を交わした。


 「改めてありがとうございました。周平さん達のおかげで僕は強くなりました。しかも今後の道標まで与えていただき感謝してもしきれません」

 「なぁにいいってことよ。それに感謝するのはこっちのほうだ。お前さんのおかげで日本食を含む地球食が食べれた。ウィンウィンだな」

 「そちらも喜んでいただいたようで何よりです」


 これからのことも考えたら食事は本当に安泰だ。定期的にお金を渡しておけば、文句なくおいしいのが食べられるし、月島達にも食わしてやりたいものだ。


 さて今度は俺が祐二と会って感じた疑問をいくつか答えてもらおうか。


 「祐二質問だが俺と初めて会った時お前、俺達のこと知ってたな?」


 祐二は一瞬驚くが、すぐに表情を元に戻す。


 「流石は周平さんだ。レダさんから境界騎士団の集合写真を見せてもらいました。それと騎士団メンバーのことも色々教えてもらいましたので」

 「なるほどな。それで俺達を見てピンと来たんだな」


 祐二は頷く。だが本当に俺が聞きたいのはそこじゃない。


 考えてみればおかしい話だ、今でこそ超えたが、レベル百を超えていない段階でどうやってメガフレアを習得できる?連続魔などもってのほか。

 普通の十六歳ならあそこの大量虐殺で何か思う所があるだろうに、祐二は慣れていた。


 レダさんといたから?


 それだけではない、それにこいつの体に順応するように流れる異質な魔力。

 これの正体は昔神魔石を埋め込まれた証だ。

 別に神魔石が入ったから体に害があるわけではないし、むしろ身体能力はアップするだろう。


 「魔石を埋め込んだのはレダさんではないな?おそらく藤島直樹か。それと剣術は神代椿にあの連続魔はレイチェル・アレクサンドラに教わったか?」


 それを聞き、今度こそ祐二は動揺を隠せない様子だ。冷汗が祐二の体から流れ出る。


 「どうしてそれを……」

 「俺が仲間の技や動きがわからないわけないだろ」

 「確かに……その部分の記憶が思い出せていればわからないわけないか……」

 「なんで隠してた?騎士団メンバーの生存を知りたがっている俺に隠すとは何かわけがあるんだろ?」


 祐二は観念したのか口を開く。


 「僕がここに来て何年かした時、盗賊に襲われ死にかけたんです。そんな僕をレダさんは助けてくれました。僕のために怒りに身を任せ、盗賊を虐殺したあのレダさんを見て僕は心を奪われた。死にゆく盗賊達を見てとても愉快だった。おそらくそれからでしょうか。僕は無残な虐殺を見るとあの時の気持ちを思い出してしまう。でも人を自ら殺めることには勿論抵抗があるし、魔物を殺した時に感じる感触なんかはあまり気持ちのいいものではないので、もちろん自分からあんなことしようとは思いませんがね」

 「なるほどな」

 「その時の傷を治すために神魔石を埋め込んだらしいです。藤島直樹という人が埋め込んだと教わりましたが僕自体は会ってないです。椿さんやレイチェルさんは少しの間うちに来ていたので、その時に教えてもらったんです」

 「それで俺に言わなかった理由は?」


 俺が一番聞きたい理由……なぜ祐二が隠したのか。


 「レダさんがもし周平さんや立花さんに会っても聞かれるまで答えるなと言われていたんです。周平さんがかつておかした罪を思い出し、真実を聞けるまで会う気がないと言ってました」

 「罪だと?」


 罪?昔俺は何かしたのか?

 何しろ俺は前世の記憶が欠落しているので今考えても出てこないのが現状だ……


 「なんでもそれはレダさん、椿さん、レイチェルさんが周平さんといる時の話らしいです」

 「なるほど、それはいつの話だと言っていた?」

 「魔大陸のディスカヴァリーでの戦闘だって言ってましたね。」


 はて、ディスカヴァリー……明確には覚えてないが、騎士団内を三グループに分けての大規模戦闘だった記憶が……

 だが思い出そうとすると激しい頭痛が俺を襲う。


 「ぐっ……」

 「周平さん!?」


 そうか……ガルカドール卿絡みだな……体が思い出すのを拒否しているな。


 「大丈夫ですか?」

 「ああ……」


 どうやらまだ集結は先延ばしのようだな。

 まぁ何でもすいすい楽ににはいかないか……


 「正直現状記憶がまだ完璧ではない……だから今はその答えはだせないんだ」


 悔しいがそれが現状。仮に俺が何かしていたとしても見当がつかないのだ。


 「レダさんは当時周平さんにいずれわかると言われたそうです」


 おそらくだが何の意味もなく仲間に不信感を与えるようなことはしなかったと思う。

 きっと俺の行動には何か意味がある。残りの力を集め、記憶を完全なものにすればその答えもでてくるはずだ。


 「とりあえず話してくれてありがとう。なんだか気が重くなったけど」

 「いえいえ、それもレダさんの狙いかと」

 「俺達がお前と会うことを確信していたところを見ると黒姫が絡んでいるな。まったく回りくどい……」


 この話を二人に話しても二人はわからなかった。

 立花はディスカヴァリーでの戦闘時は別のグループにいたし、何より激戦だったこともあってか細かいことまで覚えてないそうだ。その時俺から個人的な内緒話を特にされたわけでもないとのことだ。

 ただガルカドール卿が離脱したのもこの戦いで、俺とレダさん、椿、レイチェルと五人だったらしい。

実も当然わからないらしいが、レダさんから激戦が終わった後メンバー全員のこと信じられるように全員のことはある程度頭にいれておきなさいと言われたそうだ。

 これがどういう意図で言われたのかはわかりかねるが、ガルカドール卿の離脱は俺と何か関係があるらしいな。


 そしてこの先のことだが色々考えた結果ファウンドには行かず山脈を超えてギャラントプルームに入るという道を選んだ。その後ファウンドに入り船で港街ミゴリに行く予定だ。

 アルマンゾールでの最後の夜を経ていよいよ出発だ。


 「それじゃあお世話になりました」

 「またいつでも遊びにいらっしゃい」

 「はい、ぜひ定期的にお邪魔させていただきます」

 「祐二ファウンドに行くときはまた連絡を入れるから案内よろしくな!」

 「はい、任せてください!」


 二本柳一家に見送られ三人でアホヌーラ山脈へと旅立つ。

 少し名残おしいが俺達にもやるべきことがある。目的地はギャラントブルームだ。


 快晴の空はまるで俺達を祝福しているかのようにも感じた。

 この先苦難があろうと俺達は負けない、いや負けるはずはないか……だな。

 それを空に誓いアルマンゾールを後にした。



 ◇



 周平達がアルマンゾールを出た頃ギャラントプルームでは……


 「そろそろ彼らがくるね~」

 「そうですか……では私は行きます」

 「そんな拗ねなくてもね~」

 「周が理由なしにガルカドール卿を見殺しにしていないのは理解しているわ。ただちゃんと理由を聞けないと私も椿もレイチェルも納得できないの。もちろん彼のことは信頼しているわ」

 「そうかい。ガルカドール卿は正確には死んでいるわけじゃないし、周平に考えがあったんだと思うけどね~まぁどのみち力を取り戻させる必要があるからまぁいいけどさ」

 「ごめんなさいね九兵衛……」

 「気にするな。君は引き続き別の仕事を頼むよ。彼らには俺がつく」

 「あなたがつくなら安心ね。彼らのことよろしく頼むわね」

 「了解、そっちもよろしくね~」


 蒼髪のメイド服を着た女性、レダ・スパイラルは部屋をでて囁いた。


 「祐二……あなたもこちら側に来るのね。ふふっ、待っているわ……」


 その日のレダはとてもテンションが高かった。

 時期再会するであろう今後を想像し胸に期待を膨らませていた。


次は設定や登場人物を軽くおさらいできるように載せますね


境界騎士団メンバー(現時点での登場メンバー)

神山周平

神明立花

天竜院実

レダ・スパイラル

神代椿

レイチェル・アレクサンドラ

高天原九兵衛

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