模擬戦
夜アップしようとしたら落ちてしまった…
一週間の間俺は探索をしていたが祐二は死にもの狂いの特訓をした(というか何度か死んでる)結果課題の魔法は全部習得出来た。
メガフレアとスティールビジョン以外は当然無詠唱での習得だ。祐二の習得が終わった後、三人であの場所に向かい祐二にもあそこの魔物と戦ってもらったがまだあそこの魔物はきつそうだった。
あの転移装置の前に辿り着いたら俺は弾き返された。
どうやら武器の回収を終えた者が行こうとすると光の結界の外に追いやられるみたいだ。立花が二十柱以外の者が転移装置に触れるとどうなるかを闇貴族ダークロナルドに聞いたところ一度警告が入りそれを無視するとザ・ディサピアランスを喰らうとのことだ。
俺と祐二は立花の戦闘を観戦していた。
「流石エデンの力だな。大賢者の叡智は神破魔軸空間の影響を受けない。創生魔法なら使い放題ってわけだ」
「というか立花さん近接戦闘も得意なんですね~」
「まぁ魔法の方が凄いけど近接もそこらへんの達人の遥か上をいってるな」
立花は創生魔法エレノアの光で身体能力の強化及び耐性をつける。呪術をはねのける守りをつけているためワンサイドゲームだ。
「話にならないわね」
立花は気を体に纏い直接攻撃でダークロナルドを追い詰める。無言で応戦するダークロナルドがかわいそうになってくる。というかこの空間では神魔法すら無効化されるがそんななか魔法を唱えられる立花は二十柱の中でも特に有利に戦えるだろう。
というか俺も最初から魔神化すればこんな奴余裕だったわけだが……
立花はザ・ディサピアランスが来るのをわかっているから最初から本気なわけだし。
「ここら辺で〆ましょうか、破槍アイシングラス!」
空間に生み出される古代文字の刻まれた大槍はダークロナルドの体を貫く。そして俺の時と似たようなコメントを残しザ・ディサピアランスが発動する。
立花はあらかじめ賢者モードへと体を変化させて受ける体制だ。賢者モードになると瞳が金色になり強力なオート魔方陣が体を守るように自身の周りに配置される。
「ダイオメドの盾!」
立花は身体強化に盾まではり備える。さてどうなるか……俺の時も最初から分かっていればもっとダメージを軽減できたのは間違いない。
「くっ……」
それは一瞬の出来事だった。やはりザ・ディサピアランスは伊達ではない。立花は両腕の前腕が吹き飛んだ。
完全じゃない状態の賢者モードではやはり駄目だったか……
「はぁはぁ………ジェラードさんのやつと同等の威力ってのが気に入らないわね……オーヴィルの癒し……」
吹き飛んだ腕の再生を始める。しかし再生速度も高速というわけにはいかず数分かかった。
「お疲れさん」
「立花さん凄すぎです」
「ふふっ、二人ともありがとう。早速とってくるわ。あなたたちはゲートを開くから先に入り口に戻っておいて。おそらく武器回収したら自動的に入り口に戻るだろうから」
神細剣ローズメイデンを回収し三人でふもとまで戻った。
「さて祐二、今日はもう遅いし周平の指導は明日からにして、今日は周平の前で一週間の成果を私との模擬戦で見せなさい」
「わかりました」
なるほど、確かに祐二の成長ぶりを見るにはいい機会だ。まぁさっきの神殿内で充分見せてはもらっているがな。
「ではいきます!」
祐二はまず無詠唱でハイマジックガードを発動し次にハイプロテクトを発動する。
悪くないな、無詠唱での魔法発動は魔法をより頭の中でイメージすることが大事で、そのための発想力と集中力が重要となってくる。無詠唱が得意じゃない者はイメージ力や集中力に欠けるのだろう。
「ハァァァァァァ!」
祐二は剣を片手に立花に切りかかる。立花はそれを軽くよけるが祐二は攻撃をやめず立花に切りかかる。
「悪くないラッシュよ祐二」
「スペースクエイク!」
これは空間を揺らす魔法だ。ただの地震ではなく対象の周りの空間を歪ませて振動させる魔法だ。
視界と平衡感覚を歪ます魔法だ。
「いいわ、祐二。スタンボルト!」
これは単純に体を電気で一時的に痺れさせる異能だ。鈍くなった祐二の腕を取り戻した剣で軽く切り付ける。
「くっ……」
祐二は離れて間合いをとる。
「スーパーリフレッシュ」
痺れ状態を解除しさらにラ・ヒーリングを発動させ出血した腕の傷を治す。そして呪文を唱える。
「そうよ、次はどうするのかしら?」
「スティールビジョン!」
これは対象の見ている視界を盗み見ることができる魔法だ。脳内での処理に負担がかかる魔法ではあるがこっちを見る相手の視界を見ることができる。周平は立花の直接攻撃をうまい具合に避ける。
「どうやらちゃんと使えてるようね」
「おかげさまで習得しました!」
祐二はもう一度間合いをとり後ろに避けながら飛び少し長めの呪文を唱える。
「メガフレア!」
立花の周りに大きな爆発が起こる。
「クイックスター!」
「なっ……」
これは高速移動魔法だ。縮地と違うのは移動向けではないということだ。
主に戦闘で相手に間合いを詰めるときに有用な魔法なわけだが、祐二はメガフレアとの連続魔という形でこれを発動した。連続魔とは呪文を唱えるにおいて二つの呪文をつなげて唱えることで連続して魔法を唱える高等技術だ。もちろんいくつもつなげて唱えれば何連続でも可能だ。無詠唱の連続魔のほうは脳内で次々に魔法をイメージして唱えるのでスキなく何連続でもいけるが一般的に難易度はかなり高い。
「連続魔まで習得していたのか……」
祐二は爆風の中をクイックスターで進み立花の間合いに近づき剣を向ける。一瞬見せた焦りの表情からしておそらく立花は連続魔など教えてないのだろう。
「やるじゃない~」
立花は剣で祐二の剣を弾き首に剣を向ける。
「勝負ありね」
祐二は両手を挙げる。
「今のはいい手だと思ったんですけどね~」
「連続魔メガフレアからのクイックスターはなかなか見事だったわ。まさか習得してたとはね」
「昔レダさんがやってるのを見てつなげ方を教えてもらったことがあったんです。まぁ三つ以上は無理で断念しましたけどね」
二連続をできるだけでもたいしたものだがな。やはり祐二は才能がある。
「まぁ合格ね祐二、明日からは周平のレッスンを三週間弱やった後に残る二人で魔法剣の習得かしら」
「そうだな、魔法と違い剣技の習得は少し時間を有するからな」
祐二は魔法の習得よりもこっちの習得のほうが時間かかるだろう。何しろ魔法と違いほぼ1からの習得だ。魔法はある程度の階位の魔法を習得しておけば、人類の習得可能な七位階までの習得は数さえ多くなければ無理やり頭に詰め込ますことも可能だ。しかし剣技はそうはいかないだろうからな。
「さて祐二明日から三週間みっちり鍛える。それで最後はあの神殿洞窟を除いたこの山脈で一番強い奴を倒してもらう予定だ」
「はい、よろしくお願いします」
祐二のレベルは六十を超えていた。このままいけば百超えは普通にいけるだろう。
◇
次の日は祐二を山脈の中の滝のある所まで連れていき祐二を滝の中で座禅させていた。
立花は山脈の探索をはじめ俺同様ギャラントプルームまでの道の探索を始めた。このままギャラントプルームまで行きその後ファウンドに戻り、そこからファラリス連邦に入るという計画を立てていた。よくよく考えると人と遭遇しないこっちのルートのほうが色々楽だろうという判断だ。立花は一週間ほどで探索を終えた後とある場所への探索を一人考えていた。
「王都ね」
立花も今まで行くのを我慢していたのだろう。クラスメイトの顔を見て、把握しておきたいと思うのは当然といえば当然だ。
「ふふっ……どんな子たちなのか覗かせてもらうわよ周平……」
ゲートを開き、立花の王都詮索が始まった。
次はクラスメイトの話及び立花の王都探索ですね。