特訓へ
今日は休みなのでいつもより投降多めです。夜にまた新しい話投稿します。
次の日の午前中は街を歩き回った。
二本柳夫妻の作る野菜やお米はこの街の限定的な場所でしか作ってない。というかそこの部分で地球の野菜や米が育つようにレダさんが何かをしたみたいだ。そういったことが得意なのは騎士団のブレーンでもあった天才藤島直樹なのでもしかしたら絡んでいるのかもしれない。
この街の人も畑仕事に参加するが、それは二本柳夫妻にその場所を借りることで畑仕事に参加しているようで二本柳夫妻はレダさんの力で大量の土地を持っている。ここは小さな街なのとファウンドにいく道の途中にある休憩街の一つなんで領主はいない。聞くと米を売ってほしいという商人や貴族が来るらしいが、米の輸出は基本なしでこの街の食事処でしか出していない。街の長がファウンドのギルドマスターであり冒険者ギルド総長の高天原九兵衛が年に数回訪れる街だけあって王族も手を出せない状況らしい。
それとこの世界でも地球の食材はやはり人気のようである。
「昼飯食べたら早速サガス山地に向かう。祐二準備はいいか?」
「はい、よろしくお願いします。」
「一時間後に出発すれば今日の夜にはなんとかアホヌーラ山脈の入り口にはたどり着けるかな?」
「魔物や天候に阻まれなければ夜には着くかと思います」
「なら大丈夫ね。私の魔法があれば天候なんて捻じ曲げるから問題ないわ。魔物も手に負えないやばいのは直接狩るし」
「そうでしたね。山の常識とか通じる人じゃなかった……」
こうして祐二の訓練は始まった。序盤にでるレッドウルフやキラースネークあたりは問題なく倒している。レダさんに鍛えてもらったってのは嘘じゃないな。何しろあの動きはレダさんを意識しているのは間違いないし。
「はぁぁぁぁ!」
祐二の剣はレッドウルフの群れを全滅させた。
「悪くない太刀筋だな。ただレダさんを意識しすぎてるな。もっと自分にあった動きにアレンジするんだ」
「あと、敵を倒すとき一瞬躊躇するのが癖になっているわ。すべての相手にそんなことしては助かる場面も助からないわ」
「はい」
どうにも優しすぎる所があるんだな。性格的なものだし今更治すのは難しいか……まぁそれがあいつの長所にもなり得る。とりあえず戦闘の時だけでもでないようにしてやらんとな。
「お前にこれを教えよう」
隠れていたキラースネークがでてきたので周平は剣を別空間からとりだし構える。
「嚶鳴流剣術秘技、峰崩し!」
祐二にも見える速度でそれを実践する。キラースネークは瀕死状態かつ麻痺をした状態にだ。
これは相手を死なせないかつ麻痺した状態にさせる攻撃であり、万全な状態な相手にも麻痺攻撃自体は有用だがそれは気を纏えればの話で、相手が弱ってなければツボをつけないので成功率も下がる。ツボをつく原理は気を纏い、相手の弱っている所に気を通すといった感じだ。気とは体術を極めた達人が纏えるオーラのようなもので使いこなせるようになれば感覚が鋭くなるし攻撃力もアップできる。同じステータスでも気を纏えるか纏えないかで全然違う。
「す、凄い……」
「まぁ見てすぐの習得は難しいだろうから今回の特訓の中で習得だな」
「お願いします」
流石に気の習得は無理だろうが、気を纏えなくても相手が弱っていればツボをついたダメージを通すのは可能だ。祐二にこの技を教えてやればあいつの弱点を少しは補えるだろう。教える技についても一月ほどじゃ教えれるのにも限度があるから絞っていかないとな。幸い戦姫の加護があるしレダさんに基礎は叩き込まれている習得はできるだろう。
「ところでお二人の武器は何級なんでしょうか?」
「武器のランクのことかしら?」
「はい、お二人のことだからきっと伝説でしか登場しない幻神級の武器もお持ちなのかなと」
この世界の武具にはランクがある。ノーマル級、レア級、マスター級、国宝級、伝説級、幻神級の順である。幻神級は幻の中の幻で持っている者の噂がでることのない本の伝承の中の武器だ。伝説級だと持っている者の噂や国として保有していたりと所在は一応確認されている。
「私も周平も昔は武器を一つずつ保有していたわ」
「そうだな」
「えっ、やっぱり持ってたんですか?」
「一応な」
そうかつての境界騎士団十三人のうち俺と立花と九兵衛さん、魔剣聖と言われたシン、初代妖精王ロードリオンの五人は武器を保有していた。騎士団以外には他にもランスロット先生や黒姫、竜王や図書館や戦神も保有していたな。というか二十柱は全員持っている。
幻神級の定義は幻の金属である真オリハルコンを用いて作られていることだ。また金属自体が特殊で使いこなすには契約という形をとるので、契約者以外の者は使えず奪ったとしても契約者の元に戻る。原則二十柱の為に作られるものだ。
「もう今更これぐらいのことでは驚きませんよ」
「お前も俺達の行動や言動にすっかり適応してるんだな」
祐二の将来がとてつもなく心配だ……何事にも動じない子に育つのはいいことだが。しかしあれも見つけないとだな。
宝物庫には昔手に入れた伝説級の武器が沢山あるし、異能の中に封じ込めていたおかげでそのたくさんの武器や防具はロストしなかったがあの武器は別……宝物庫には入れられなかった。Sランクの異能では干渉が不可能な強力な武器なのだ。
「あれも探し出さないとだな」
「そうね」
あの武器は個人専用だから誰かに使われるなんて事もないが、コレクターに回収されているかもしれないな。
三人はサガス山地を駆け抜けアホヌーラ山脈のふもとに辿り着いた。
「さてサガス山地の敵はお前もレダさんとの特訓で倒していたみたいだし、魔物に対しての戦い方も熟知していたな」
「はい、レダさんとの訓練は基本サガス山地でしたからね~」
「この先は行ったことや魔物と戦ったことは?」
「ここより先は行ってませんね。倒したのもここいらに出る魔物ぐらいしかないです。ここを攻略前にレダさんが家をでてしまったので……」
祐二が少し悲しい顔をする。しかしこの顔見るとレダさんに対して苦言を言わなければと思ってしまうな。
祐二にはまだここを攻略できる実力はないだろう。サガス山地の魔物に関してもボス級のベヒーモスも前に戦ったであろう経験と知識を生かして倒していたからな。おそらく初見で倒せるほどの実力はなかったはず。ただ魔法も剣も両方とも適性があるのでいい感じに育てることはできそうだ。
「さてもう夜だし今日はここで終了だ。立花の転移魔法で家に帰るぞ」
「祐二お疲れ様。さて戻りましょうか。ゲート!」
目の前の空間が裂け祐二の家の前が写る。
「すごい、ここを通れば家なんですよね?」
「そうよ」
「僕一番乗りしますね~」
祐二は興奮しながら先にゲートを通る。
「しかし凄い魔法だな、立花」
「フフッ、エデンの力で色々な魔法が作れるの。ただ地球とのコネクトはできないけどね……」
立花は少し悔しそうな表情を浮かべる。創生魔法をもってしても無理なのか……
「というかロックされている感じがするから、力が完全になればそのロックが解けるかもしれないわ。そうすればあっちとの行き来も可能になるわ」
「それは本当か?」
「ただ確証はできないわ。あくまでも可能性の話よ」
「その可能性があるだけでも朗報さ」
少しテンションが上がる。
「おそらく敵対するであろうクラスメイトを早く元の世界に戻してやりたいのね」
「ああ。もしあいつらが祐二やこの街に手をかけたり、月島や杉原や尾形に何かあれば俺は王都を煉獄にするし魔神の戒律を責任者に与える」
「だったらその前に力を取り戻さないと行けないわね」
「止めないのか?」
「フフッ、何年の付き合いだと思っているのかしら?あなたはそうなったら止まらないわ。昔も似たような経験あるし、だから私も隣についていくの。それで関係ない者は全員生かしてやらないと。だって私はあなたの妻だもの。夫の行き過ぎた行為のフォローはしないとね」
「まったく立花には敵わないな。まぁ女性は男性より強いというからな」
ほんと……愛おしいことだ。前世で結婚する前のあの時もそうだったな。こんなにも俺を想ってくれる女の子がいて俺もそれに応えようと一生懸命で。それを見透かしたように笑って……でもそれをずっとそばで見て感じてくれて。立花は俺をずっと愛してくれるだろうし俺も立花をずっと愛し続けるだろう。
「立花、こんな俺を愛してくれてありがとう。俺も立花のことずっと愛してる」
「フフッ、そんなストレートに言われると恥ずかしいわ~でも私も同じ気持ちよ周平。私以外の人間に恋心をだせば私はその人間を殺してしまうほどにあなたを愛していもの」
そうだ、立花もまた歪んでいたな。でも俺はこの子以外をそういう目で見ることはなかったし、この先もきっとないだろう。それが立花の愛の形で俺はそれを受け入れ肯定している。それが当たり前なのだ。
「それと記憶を思い出してくれて嬉しいわ。王都に煉獄の話をするあたり結婚直前の記憶ね」
「完敗です」
鋭いやつめ……
前世の結婚前の話だがとあることに怒り、人食い街と呼ばれた街一つを消滅させたことがあったが、それを行った時も立花は俺を支えるように傍でずっと見ていてくれた。
祐二の家に戻りマツタケご飯とマツタケのお吸い物、土瓶蒸しをごちそうになった。高級食材食べるために白金貨を二枚ほど渡しておいたので毎日の料理が楽しみでしょうがないのだった。
騎士団のメンバー十三人が再集結したら一緒にここで宴会を開いてみたいものだ。
途中で投げることはないです(たぶん)
2019年10月4日修正
武器ランク
幻神級→真オリハルコンで作られた二十柱のみが持つ事を許される武器
伝説級→世界に数えるほどしかないとされる武器、所在が不明で名前だけの伝承で伝わるぐらい
国宝級→国の宝物庫に眠るぐらいしかない希少度の高い武器で勇者等に与えられる
マスター級→上位冒険者や王国騎士団長クラスが使う事が多く、優れた鍛冶屋が希少度の高い鉱石等を使って作られた武器がこれに該当する
レア級→普通の武器屋で買えるが値段は高価
ノーマル級→一般的なスタンダート武器




