ロードリオンVSオンラク
久しぶりの投稿です。
ひょんな事から続き書こうと思いました。
薄暗い穴から奥へ奥へと向かっていくロードリオンだったが、進めば進むほど感じる禍々しいオーラを身体で感じていた。
「嫌なオーラだ……来る者拒み、引き返したくなるようなそんな感じだね」
人除けのオーラでも放っているのだろう。だがリオンにはそんなものは何の意味もなさないので、深淵へと一歩一歩進んでいた。
「アファームドが復活するまでにもう少し時間がかかるのが残念だな……彼が戻れば九兵衛達もこっちに戻せるかもしれないのに……」
ロードリオンの能力で夢の世界で別の世界にいる者や封印されている者とも対話する事ができる。そこで離れた世界にいるランスロットや封印されているアファームドともやり取りをしていた。
「百年か……僕からすればあっという間だった……」
遥か昔から悠久の時を生きる彼にとって、百年など大した時間ではなかった。妖精王始祖として千年前の神争を経験し、二十柱の再編成や戦姫選定等に関わってきた彼からすれば、今回の出来事もたくさんある歴史の一ページに刻まれるだけだ。
「二十柱が全員まとまるまであと何年かかるだろうな……」
地下に入っていき、奥へと進みながら昔を思い出していた。
当時敵対していた初代魔神と激闘を繰り広げたりと、たくさんの死闘を超えてきたリオンに油断はないが、偽神との戦いにおける戦闘後の強制転移対策に頭を悩ませていた。
「どうやら中は意外と単純なつくりみたいだね」
入り口に入るまで木々に囲まれカモフラージュされていた事もあり、入り口までの道はかなり厳しかったが中は逆に単純な構成になっていた。
「ダリウスの奴も本当は連れていくつもりだったけどね……」
当初はダリウスも見学のつもりで連れていくつもりだったが、九兵衛やシンの今を考えればそんな余裕もなくなった。
「木々よ、我に従え!」
木や植物の意思を聞いて、操る事ができる能力を持つリオンにとって木々が生い茂る、この洞窟を進むのは朝飯前だ。例え問いかけに答えなかったとしても無理矢理操ればいいだけの話だ。
「しかしどんどん禍々しいオーラが強くなっていくな……」
偽神の1人であるオンラクとの対決は近い事を意味していた。
妖精王として全ての植物を意のままに操れるこの大陸でリオンと戦うのは自殺行為でもあるぐらいに有利な状況だ。だが偽神側の狙いが勝つ事ではないとするとその優位性は無意味なものとなる。
地下の奥深くへと進んだ先にその禍々しいオーラの元凶はいた。眠ってクリスタルに囲まれているその姿を見たリオンはつい舌打ちをしてしまう。
「百年前殺し損ねたのを思い出してしまったね……」
リオンはオーラを全開にして攻撃の準備を始めた。
「光霊樹縛!」
周囲に木々を発生させ何重にも縛りあげる。光の樹木がオンラクを囲うクリスタル事覆い隠すと続けて唱えた。
「光よ集まり強化せよ、神樹の目覚め!」
オンラクを覆うクリスタルに絡みついた樹木にオーラが纏われる。
「どこまで効果があるか分からないけどこの大陸に被害を出すわけにはいかないからね……僕の力を見せるとするよ」
リオンは考えた対抗策……それは夢の世界へと誘い、そこで倒す事だった。
妖精王であるリオンの持つ夢境属性は夢の世界を支配し自由に操る能力であり、直接干渉して精神そのものを攻撃する事ができる。
「夢境の彼方!」
リオンは夢の世界へと入り、オンラクに干渉する。干渉する為の条件としては対象がどういう状態か把握していなければ有効ではないが、目の前でクリスタルに覆われて眠っている状態であれば干渉は可能だ。この能力で外の世界にいるその他二十柱や封印状態のガルカドールと会話していた。
「見つけた!」
「あなたは……」
「百年ぶりだねオンラク」
「妖精王ロードリオン……そうですか……こういう干渉をしてくるとは百年前よりも陰湿になりましたね……」
知的な雰囲気をだす若い姿の男……それがオンラクの姿でもあるが、ロードリオンと対峙したオンラクは忌々しそうに睨んでいた。
「僕は元々こうさ、それに君達の好きにはさせないからね」
リオンは夢の世界でも木々を操りオンラクを縛りあげる。
「クッ……」
「九兵衛やシンのようにいくと思ったら大間違いだよ!」
夢の世界ではリオンより能力が低いとより抗う事が難しくなる。夢から覚めればいい話でもあるが、クリスタルで守られているオンラクが自力でそれを行うのは難しい状況だ。樹木で覆ったのはその為でもあった。
「私も舐められたものだ……この程度の拘束で倒せると思わない事ですね!」
オンラクは自力で樹木の縛りを解くとオンラクのステータスを覗いた。
オンラク
種族:神族
レベル:799
攻撃:850000
防御:900000
魔法攻撃:850000
魔法防御:900000
素早さ:850000
魔力:900000
固有スキル:神の光、土神の節制
称号:四大大陸守護神
「君が大陸の守護神とは笑わせてくれるね!」
リオンは更に強い拘束を行い、縛りあげる。
「僕はこれでも妖精王始祖……君らが誕生する前から二十柱として世界を守護してきた。この大陸の自然を創り上げたのは僕だという事を思い知らせてあげるよ!」
「ならばこれだ……神の光!」
オンラクの身体は輝き始め、拘束された樹木を払う。
「まだまだこれからですよ」
「やるじゃん、でもその程度?」
「なにっ!」
「悪夢劇場!」
リオンが発動すると周りの景色が変わる。映し出されるのは百年前にリオンがオンラクを打ち取ったシーンだ。
「覚えているかい?」
「忌々しいですね……忘れもしませんよ!土の守護!」
「無駄な事を……夢の呪縛!」
夢はオンラクの脳そのものにイメージとして伝わる。
嫌な記憶そのものを具現化して映しており、そこには自身がリオンに倒された記憶だけでなく、他の仲間が倒される記憶も映していた。
「全く性格の悪いお方ですね……」
「かもね~神樹の裁き!」
神々しい樹木がオンラクに纏わりつくと輝きながらオンラクの身体を蝕む。
「グァァァァ!」
「君のスキルである土神の節制はここでは機能しない。何故なら君の身体は無事だからね~ここはあくまでも夢の世界であり傷がつくのは君の精神だけさ」
土神の節制はダメージを追うと相手の攻撃力を下げて軽減するという特性を持つが、夢の世界では意味をなさなかった。今のオンラクは壮絶に気分の悪い悪夢を見ているような状態に過ぎない。その上で悪夢を見せて精神そのものに過度な干渉を行い、破壊するのが今回の技でもある。
「ですが身体が無事ならこれを耐えればいいだけ……私はこんな夢には屈しませんよ!」
「本来人々が見る悪夢はその許容範囲を超える事はないけど僕が見せる悪夢はそれをはるかに超える。僕のこの力はそんな精神を破壊する。嘆きの神樹!」
神樹はオンラクに身体そのものにリオンが過去に経験した痛みを共有させていた。
「かつて初代魔神に焼き殺されかけた僕さ……大天使が助けてくれなきゃ恐らく僕も消滅していたかもしれないその記憶……君に耐えられるかな?」
魔神と妖精王では夢の世界でなければ相性が悪い相手でもあった。起きている相手を無理矢理夢の世界へ誘う事は可能だが、それだと本当に寝ている時よりも優位性が損なわれる。神争の時にリオンが一番苦しんだその記憶をオンラクは痛みと共に体験していた。
「グアァァァァァ!あ、熱い……焼き殺される!」
「今君は僕だけでなく魔神とも戦っている状態でもある。どうだい?僕はその時耐えきれないぐらいだったけど君は耐えきれるかな?」
実際リオンにとっても忌々しい記憶だが、千年の間に克服した。
「神樹の誕生!」
オンラクに纏わりついた神樹が大きくなる。
「君の精神を取り込んで樹木は大きくなる。百年前に戦った時は夢の世界ではなかったから恐らく君は現実で戦う際の対策は考えていただろうけどここでは意味を為さない」
「厄介な……節制の守護!」
オンラクは纏わりつく樹木に対して抑制させようと技を発動し、樹木の成長スピードを止める。
「節制は体力が減ってなくても使用できたね。でも現実の君の身体はまだまだ元気だからね~節制の能力は最大限に発揮できない以上、遅かれ早かれ飲み込まれる」
「ならば……私の力を舐めるな!」
土神の節制の力が大きくなり、樹木の成長が著しくダウンした。
「なっ?節制の力を強めただと?」
「私はエクリプス十神の一人だ……二十柱に負けるわけにはいかないのです!」
「そう来なくっちゃね~」
節制の力が強くなるとこちらの攻撃が通りにくくなるが、百年前に実際に対峙した時より効力が弱いのは明白で、リオンには余裕があった。
「この力であなたを私の夢から一時的に追い出し目を覚ませばあなたの優位は落ちますよ」
「それが出来るとでも?」
「このままいけばこの鬱陶しい樹木を私から離れます。成長が止まり退化し始めてますよ」
夢の世界でこちら側が優位の中、偽神の底力を垣間見たが所詮はその程度。リオンはまだ奥の手を使っていない。
「なら終わりにしようか?」
「ほう、なら見せて貰いましょうか」
「夢世界の支配者!」
場面は変わり、何もない無の空間に変わる。
「これは?」
「かつてこの宇宙の支配者が仲間を失い、悲しみと共に世界を再構築した。その時長きに渡る封印で眠りについた。そんな彼が見た最も嫌な夢を体験してもらうよ」
「なんだと……これは……」
それは宇宙の支配者である二十柱のリーダーが神争を終えて傷ついた世界を再構築した際に傷ついた宇宙や世界を見て陥った無念と後悔だった。宇宙で一番強い存在として、世界の行く末の為に良くしていこうと動いていた彼が思い通りにいかずに感じた後悔、傷ついたたくさんの世界を目の当たりした絶望はオンラクの許容を超えていく。自身の許容を超えた悪夢の攻略はその夢体験を受け入れ、乗り越える事にあるが、それには最低でもリオンと同等の力が必要になる。二十柱よりもステータスが劣り、ましてや干渉を受けて精神ダメージを追っているオンラクがそれを耐えられる事はできなかった。
「や、やめてくれ……こんなの耐えられるわけが……」
再び樹木が成長を始める。
「君にルシファーの痛みは耐えられないよ」
「おのれ……妖……精王……」
オンラクを囲う神樹がどんどん大きくなる。
「君の節制の力も夢の世界では大した障害にはならなかったね」
「この……しょう…ぶ……は……」
「君の負けだよ、百年前同様にね!」
「わ……た……しの……」
オンラクの意識が完全に消失した所で樹木の成長は止まり、大きな樹木が誕生した。
「樹木となった夢は永遠に元には戻らない。チェックメイトだ!」
リオンはオンラクの精神を完全に破壊した。
最初から読み返したら誤字が多いのと細かい修正が必要な事に気付きました。
ボチボチやっていきますが誤字報告助かります。




