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殲滅

主人公達の殲滅行為です…

 次の日の朝になり、アルマンゾールへと向かった。高級な馬車だけに整備が完全じゃない林道でもそんなに揺れることなく進んでいく。なんでも客室の部分になるべく衝撃がこないように作られているらしい。


 「昨日のその覗き野郎の目星がついたのかしら?」

 「ああ、時機に姿を現すさ」

 「それも不気味ですが、ここいらでたまに盗賊団が出るみたいなんですよ」

 「噂で聞いた話によると、そこそこ大きい盗賊団がファウンド周辺にいるみたいで、馬車とか襲うみたいだな」

 「ちょっと怖いこと言わないでくださいよ……」


 祐二のやつかなりびびっているな。まったく……俺達以上におっかないやつなんて、黒姫やランスロット先生達二十柱ぐらいしかいないってのに……


 「ドン!」


 馬車で向かう途中大きな音がし馬車が止まる。窓から覗くと盗賊団のような奴らがこちらに近づいていた。どうやら噂は本当のようだ。


 よし来たな。


 正直来るのを待っていた。わざわざ高級馬車にして襲われるようにしたのだ。


 「来なすったか……立花、祐二臨戦態勢に入るぞ!」

 「えっ……」


 馬車を動かす男が悲鳴を上げる。


 「ひっ……盗賊団だ……」


 やはりな、おそらく昨日覗いていた奴は盗賊団で、この傭兵の中に仲間がいる。まぁこっちとしても襲ってきてくれるのが狙いだし、金貨五枚分払ったのは正解と言えるだろう。シルキーサリヴァンから少し話を聞いていたが、かなりの収益はありそうだ。


 「今でるよ」


 馬車から降りると、護衛が武器をこちらに向けている。予想通り護衛共は盗賊団の仲間だったようだ。盗賊団は全部でざっと二十人ってとこか。


「身ぐるみを全部剥いでもらおうか。それと女はこっちにこい!」


 男の一人が立花に触れようとする。


 まぁ今ここで立花を助ける必要はないが、ここは男らしくいくか~

 

 立花に触れてくる男の腹にパンチを放ち、吹き飛ばす。当然一発ノックアウトだ。


 「俺の立花に触れんじゃねぇよ!」

 「フフッ、周平ったら」


 まぁこんなことする必要はまったくないわけだが一応男を見せておくべきだろう。


 「さぁてお前ら~死にたくなければアジトを教えな。お前らここをなわばりにしているエステイツ盗賊団だろ?随分と悪さして金ため込んでるみたいだし金貨五枚の投資に見合うもんもらおうか」


 俺は馬車を借りる時、あえて血の匂いがする護衛を集めた高級馬車を探した。シルキーサリヴァンから高級な馬車が狙われやすいとは聞いていたが、まさか馬車自体が盗賊団の所有でそれに乗った金持ちの身ぐるみを剥いでいたとは……馬車自体がかなり血の匂いを残していたからすぐにわかった。


 「貴様……なめやがって……こいつを殺せ」


 一斉に襲ってくる、さてどう料理するか……


 「なぁ立花、十九人をどう料理する?」

 「一人残して殺しましょう。救いようのない屑が多そうだし」

 「えっ……」


 まじすか立花さん。相変わらず敵には容赦ないんだな。


 「別に殺さなくてもいいんじゃないか?腕と足消滅させるぐらいでさ」


 さすがにこんな雑魚ども殺したところでだし。


 「だってこいつら私達同様人殺しでしょ?しかも弱者を食い物にする最低なほうの。それに魔法を久しぶりに試したいわ」

 「だがな……」

 「ガルカドール卿の復活に必要なものはなんだったかしら?それとこの世界での私達二十柱に与えられた権限を忘れたままかしら?」


 立花のその言葉に俺は頭を悩ました……権限……それもある程度は思い出していた……


 「一つ教えてあげるわ。騎士団メンバーの中であの戦争で死んだ者は、彼を除けば確実に転生している。でも彼は違うわ……そしてそれを復活させるために必要なものと私達の権限……あなたが誰よりも仲間思いなのを知っているしそのためなら何万人もの命を一緒に奪ってきた」

 「それはわかっている……」

 「覚えているかわからないけど……昔、共に背負うって昔言ったの覚えてる?あなたが修羅になったとしても私は一生隣にいるわ。だからまずあなたにかつての自分を受け入れてほしい」

 「立花……」


 そうだ……俺は昔奴を……いやうまく思い出せない。もやがかかるようにその時の記憶はうかんでこない。ただ俺は彼と約束をしたし、それを果たさないといけない。仮に俺がたくさんの命を奪ったとしても……

過去に体験した戦いの日々、俺は戦争で多くの人間を葬ってきた。


 今更そこらへんの躊躇はない!


 「了解したよ」

 「フフッ、ずっと一緒よ」


 俺は覚悟を決めた。俺は俺の正義を持って命を奪う。


 「祐二、今から俺達のやることをよく見ておけ!これも訓練の一環だ」

 「はい!」


 今から俺達が行う行為……それは敵を完全に潰す殲滅だ。


 「フフッ、死になさい」


 立花は魔法を発動する。

 人の限界を超えなければ発動出来ない、第八位階魔法の無詠唱かつ連続魔法という人間やめなきゃできない芸当だ。


 「ホーリーエクストリーム!」


 射程と極力抑えて光の砲撃は一人の体を貫き消滅させる。血すら残らないその技に相手は消えたという認識しかないだろう。


 「ヘルフレア!」


 また一人消滅。本来なら一発で周りの雑魚は跡形もなく消し飛ぶだろう。だがこれは祐二への教育も兼ねている。あいつがレダさんの隣に立ちたいというのなら、俺達がランスロット先生や黒姫によって受けてきた教育を奴に施すまでだ。


 「ヴァイスシュヴァルツ!」


 黒と白の無数の弾丸をあえて一人に集中砲火だ、立花の奴容赦ないな…


「あののびてる奴は消しとくぜ……ゼロイクリプス!」


 迷宮でクレセントには効かなかったこの魔法も、雑魚にやるとこうも違う。一瞬にして消滅だ。一人一人丁寧に消していくその様を見た盗賊団もだんだん顔を青ざめていく。もちろん逃がさないように結界を貼ってある。


 「てめぇにはこれだ!ディバインデス!」

 「ひっ……」


 光る髑髏がまた一人の命を奪う。これは神々しい髑髏が対象の相手に死と消滅を与える第九位階魔法だ。残り一人になったとこで立花が大技を放つ。


「久しぶりに創生魔法使おうかしら」

「立花さん楽しんでますな~」

「当然よ。元々人間なんてやめたも同然だし」


創生魔法とは、立花のもつエデンの力によって発動でき立花のみが使える固有魔法だ。


「ポカポンタスの呪縛!」


 神々しい鎖がまとわりつき最後は人の面影をなくし黒い物体へと変化する。どういった原理なのか俺の完全記憶パーフェクトメモリーをもってしてもわからない。大賢者の叡智は魔神王の戒律同様簒奪やコピースキルの無効がついているから当然だが。


 魔法は一般的に攻撃魔法系の黒魔法、回復魔法系の白魔法、補助魔法系の緑魔法の三分類だ。この三分類は基礎魔法群に分類される。

 魔物の使う魔法は灰魔法と呼ばれ、魔物を解析することで習得可能だが、習得難度には相性や適性が重視され、これは例外魔法群に分類。

 そして世間的にはまだまだ解明されていない特殊魔法群に時空魔法や裏魔法がある。時空魔法は四位階ぐらいまでは普通に習得が可能だが、それより上、特に六より上は生まれつき数種類習得できているというのがまれにあるだけで解明は進んでいない。

 

 裏魔法も第四位階ぐらいまでは普通に習得可だが、これは発動に対するリスクがあるものもあり、人体実験を進めることで発展していったという歴史もあってか今はそんなに研究も進んでいない。というのも昔第七位階の裏魔法の実験を行ったことで、大きな街が滅びたという。裏魔法は魔法条件を完全に知りえた上で使わないと悲劇を起こす。その魔法条件とは知識と魔力とそのコントロールだが俺達クラスならそこらへんはばっちりなので、今後対策に乏しい裏魔法はかなり使い勝手がいいだろう。ゼロイクリプスやヴァイスシュヴァルツは裏魔法に該当する。


 最後に伝承でしかない創生魔法や神魔法だが、創生魔法は魔法の祖とされるエデンの力を受けついだ立花のみが使える魔法で、これは俺の異能パーフェクトメモリーをもってしても習得ができない魔法だ。二十柱の神殺し、大賢者エデンを受けついだ立花のみが使用。もう一つの神魔法は神が作った魔法のことで、第十位階より上の魔法であることを意味し、使うには神の力を有することが条件の一つであるとされる。当然ながら二十柱はみな使え、取得者の少ない順でいけば創生魔法>神魔法>裏魔法=時空魔法>灰魔法>黒、白、緑魔法といった感じだ。


 「凄い……これが二人の……」


 祐二は唖然としている。血を見せるのではなく消滅させたせいか、そっちのほうのショックはあまり受けていないようだ。


 「助かった……ありがとう」


 馬車の操者が礼を言う。


 「あんたも無事で何よりだ」

 「あんたたちが瞬く間に倒したからな。護衛はいないがあんたたちなら護衛なしでもアルマンゾールに向かえるな」


 男は安堵の表情を浮かべる。だが俺は気づいている……血の匂いがたっぷりついた馬車の操者が盗賊団の仲間でないわけがないのだ。


 「その前に向かうとこがあるわね」

 「ん、どこか寄り道したいとこでもあるのか?」

 「盗賊団のアジトよ、あなたあいつらの仲間でしょ?」

 「えっ、立花さんどういうことですか?」


 祐二は話についていけてない様子だ。まぁこの操者が一番血臭かった……だからわかったわけだが。


 「そうだ、いったい何の話だ」

 「とぼけるなよ、なんで俺がお前らをわざわざ指名したと思う?」

 「えっ……」


 操者の男の表情少し焦りがでてきていた。仲間を跡形もなく消滅させられた後、自身もバレれ疑われていれば当然と言えば当然だが……


 「血の匂いがプンプンするからだよ。あとあいつらを一人残らず消したのはお前さんだけ生きてれば道案内には十分だからだ」

 「お前たち一体何を勘違いしている。俺は……」

 「デザートカッター!」


 砂の刃が男の右の前腕を切断する。認めないなら自白させるまでだな。


 「ギャァァァァァ!」


 男の悲鳴と同時に立花が魔法で出血を止める。


 「さておとなしく連れて行けば腕をくっつけてやるぞ」

 「まってくれ……俺は……」


 今度は右の上腕を切断だ、待つわけがないだろ。


 「ギャァァァァァ!」


 また出血をすぐに止める。そう、こういう場合は生かさず殺さず痛めつけ、ゆっくりと徐々に人間の意思を挫けさせる。すると閉じている口が面白いように開いていくのだ。


 「わかった……認めます……案内もしますから助けてください……」


 こいつの心は意図も簡単の折れるのだった。


加筆修正するかもw


2019年3月18日修正


魔法の種類

創生魔法→立花のみが使用可

神魔法→第十位階魔法を超える二十柱を含むごく一部が使用可

裏魔法→上位の位階になると反動やリスクから習得者が少ない

時空魔法→上位の位階では天性の才能による部分が多い事から取得者は少ない

灰魔法→魔物の技を魔法にしたもので相性や適性が大きく出る。習得者は好みによる。

黒魔法→一般的な攻撃系魔法

白魔法→一般的な回復系魔法

緑魔法→一般的な補助系魔法

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