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捜索開始

ちょっと早めに書けたのでアップします。

 「これは?」

 「アーシアの写真だよ~昔の記憶を元に直樹に複写してもらったんだ~」

 「つまりこれを見せて聞いて周れと?」

 「そういう事~まぁ椿ちゃんには向かない仕事かも」


 すると椿は嫌そうな顔を見せて顔を顰める。


 「聞き込み捜査なんてまた古典的な……面倒くさそう~」

 「ハハッ、ダルジナと二人でやってもいいよ~」

 「そうね、でもダルちゃんは九兵衛さんの方ね。女の子がいた方が捗るわ」

 「確かに~椿ちゃん美人なんだしきっと聞き込み捜査もすぐだよ~」

 「そんな煽てても何もでないわよ!まぁ取り敢えずパッパと済ませちゃいましょう~ダルちゃんそこのエロ親父がサボらないように監視よろしくね~」


 椿はそう言って聞き込み捜査に向かった。


 「さて俺達も行こうか~」

 「ですね、というかこの村にアーシアさんが来たというのは確定なんでしょうか?」

 「どうだろ、ただここら辺はアーシアの気に入ってた場所だし祈りの場所も近い。もし祈り場所に向かってたならここにも立ち寄っている確率も高いだろうね~」


 九兵衛達は早速昼食がてらお店に入る。一気に大人数への聞き込みも出来るからだ。


 「ここ座ってもいいかい?」

 「へいらっしゃい!構わないぜ~」

 「どうも~」


 カウンター席に座り、早速店主にアーシアの写真を見せた。


 「この子は?」

 「アーシアって子なんだけどね~見かけた事はないかい?」

 「へぇ~可愛いじゃねぇか。ただ俺は知らねぇな~」

 「あ、あの!私達この人探してて……この店のお客さんに聞き込みしてもいいですか?」

 

 ダルジナの問いかけに店主は顔をにやける。


 「お嬢ちゃんも探してるかい?よし、なら全員に見せるぜ!」

 

 すると店主はカウンターを出て大声で叫ぶ。


 「みんな、ちょっとカウンターに集まってくれ!この嬢ちゃんが人を探してんだ!」


 店主の呼びかけに見せの客全員が集まる。


 「ほう~」

 「ありがとうございます!」

 「いいって事よ~」

 「いきなり呼び出して一体なんだ?」

 「手短に頼むぜ~」

 「おう、この嬢ちゃんがこの絵の女の子を探しているんだ。誰かこの女の子を見た事ある奴はいねぇか?」

 

 店主は写真を持って全員に見せるように前に出す。


 「凄いわかりやすい絵だな~」

 「肖像画にしては凄いな~」

 「可愛いな~」


 写真という物が普及してないので皆物珍しそうに見る。


 「この女の子の絵に見惚れるのはいいが見た事あるかないかだけ教えてくれな~」

 「う~ん……見た事ないな~」

 「こんな可愛い子見たら忘れないな」

 「それな~」


 全員首を傾げている。


 「一人も見てないか~」

 「みたいだな……みんな来てくれて感謝するぜ!」

 「すまんな~」

 「申し訳ない」

 「いえ、皆さん私の為にわざわざありがとうございます!」


 ダルジナが深々と頭を下げると写真を見ていたおっさん達が一斉にダルジナに近づく。


 「お嬢ちゃんいくつ?是非うちの息子の嫁に……」

 「何言ってんだ!戯けた事を……俺の弟に……」

 「いやうちに……」

 「是非自分と……」


 まさかのダルジナがアタックを受ける。これには九兵衛も店主も溜息をつく。


 「ほらほら、ここにいお親父がいるんだから本人よりまずお父さんに許可を得るのが普通だろ?」

 「お父さん、是非娘さんをうちの息子に……」

 「こら貴様……その子は俺の末の弟に……」

 「何を……」

 「この子にはまだ早いから駄目~」


 九兵衛が珍しく大声を出す。だが何人かが頭を下げて土下座をし始めた。


 「そこを何とか……」

 「お願いします」

 「お父様~」

 「君達ね……」


 結局全員諦めさせるのに三十分の時間を要した。


 

 ◇



 「知らないよ~」


 椿は一人ずつ聞き込みをしていたが成果は得られてなかった。


 「全く……アーシアちゃん本当にこんなとこ来たのかしら?」


 ブツブツ言いながら歩いていると人とぶつかってしまう。


 「いてっ」

 「あ、すみません~」


 すぐに移動しようとするとぶつかった男は椿の肩を掴む。


 「いきなりぶつかっといてそれはないんじゃないの~」


 周りに取り巻きがいたのか追加で四人の男が集まって来る。


 「よく見たら可愛いじゃん!ぶつかったお詫びに遊ぼうか?」

 「いいね~優しくするよ~」


 椿は溜息をつきながらつばを吐く。


 「私そんな暇じゃないのよね~」


 椿はいい終えると同時に一人を蹴り飛ばす。


 「なっ……」

 「少しむしゃくしゃしてたし遊んでもらうわよ~」


 一人また一人となぎ倒し最後の一人には刀を向ける。


 「ヒッ……」

 「私今凄くむしゃくしゃしてるんだよね~」

 「お、俺が悪かった……」

 「どうしようかな~このままあんたを殺ってもいいんだよね?」


 椿は舌で刀を舐めると顔を青ざめる。


 「そ、それだけは……俺本当に舐めてて……」

 「そうね……じゃあ私に協力してくれたら特別に助けてあげてもいいかな~」

 「き、協力?」


 椿は男に写真を見せる。


 「こ、この女の子の絵は?」

 「私ね、この子探しにこの街に来たんだけど全然でね~これを見せても皆見た事ないって感じで困ってたのよね~」

 「つ、つまりこの絵の女の子の目撃情報を知りたいと?」

 「そゆこと~話が早いじゃない」


 男は倒れていた四人を早急に起こす。


 「おいお前ら?この絵の女の子の目撃情報を探すんだ!」

 「こ、この子を?」

 「可愛いな~」

 「姉御がこの絵の女の子の目撃情報を提供してくれれば命は助けてくれるって言っている」


 すると男の一人が紙にアーシアを書き始める。


 「姉御、俺達に任せてくだせぇ」

 「う、うん。というか姉御って?」

 「あの強さと剣裁き、姉御って呼ばせていただきます!あ、自分はペティションって言いますよろしくお願いします!」

 「あ、うんよろしくね」


 椿は逆に困惑しながらも駒をゲットする事に成功した。



 ◇



 「ここがアルサブか……」

 

 周平達はハードロック山脈ウィ下山しアルサブの村に着いた。


 「外から見た感じは普通ね」

 「はい、村そのものは荒らされてませんからね~」

 「まぁそうだよな~つかパヴォット?」

 「何でごわすか?」

 「お前本当に山の方は大丈夫なのか?」

 「大丈夫でごわすよ~というかハードロック山脈荒らしにくる者がそもそもいないでごわすからね~」


 あんな劣悪環境の山好き好んで登る奴なんざまずいねーな。俺ですら面倒くさく思ったからな。


 「そりゃそうだな」

 「それにここは山のふもと、守備範囲でごわす」


 早速村の中に入る。


 「リリィ~」

 「リリィか!」


 リリィを見た村人がリリィの元に来る。


 「こんにちは~」

 「山に行ったきり何日も戻らないから心配したぞ」

 「ご両親は凄く心配していたわ」

 「食料を取りに行ってたら寒さにやられちゃって~」

 

 心配そうな目でリリィを見る魔族も他人なのだろうが、小さい村だけに全体が家族みたいな感じなのだろう。


 「無事なだけでも何よりさ」

 「ところでその三人は?見た所人間みたいだけど……」

 「ああ、この三人は私が凍えて死にかけている所を救ってくれた三人です。見かけは人間ですけど三人とも人間離れしてる超人で西の方からハードロック山脈を超えてここまで来てます」

 「それはなんと……」

 「リリィを救ってくださり感謝です」

 「いえいえ~それよりもリリィ、まずは両親の所だろ?」

 「あ、そうでした~二人ともまた後で!」


 リリィはすぐに家に向かう。


 「いい村ね、あの二人はただの村人でしょ?」

 「はい、小さい村だけに皆が知り合いなんです。助け合いですから」

 「ハハッ、いい事だよ」

 「そうでごわすね~」


 家に着くとリリィは元気よく挨拶をした。


 「ただいま!リリィ今帰りました!」

 「おおっ、リリィ!」

 「心配したのよ!」


 両親はホッとしたのだろうか嬉しそうにリリィを抱きしめる。親が子を想う気持ちに種族は関係なんだなと実感する瞬間だ。


 「心配かけてごめんなさい……」

 「そちらの三人は?」

 「山で私を助けてくれた三人で私達の救世主になるかもしれない三人です!」


 リリィの両親に挨拶がてら身の上の話をした。


 「成程……あなたがたがあの……」

 「神の救いですね……しかも山の神様まで……」


 二人もリリィ同様俺達を前に深々と頭を下げて祈り始める。


 「よ、よしてくれ~流石に恥ずかしいぜ……」

 「あら、周平~これも二十柱の務めよ~」

 「そうでごわすよ、神として当然でごわす~」

 

 いや、確かに魔神の力はあるし強さには自信ある。強いという自負はあるけど、自分を神だなんて思った事はないんだよな……所詮二代目で元は人間だし、真に神なんて言えるのはルシファーさんぐらいだろうからな。


 「いえいえ、二十柱はバイアリー教を信仰する我等からしたら神も同然です!」

 「山の神様もこの村の守り神みたいなものですから~」

 「あのな……まぁいいか~それでリリィ早速酒場とやらを案内してほしい。早いとこ片付けよう」


 引き受けた以上はちゃんとやらないといけないからな。


 「そうですね。それじゃあ二人とも三人を酒場まで案内してきます」


 家を出て早速酒場へと向かう。確かに村人を見ると活気はあまり感じられない。直接荒らしたような形跡こそないが、疲弊しているのは間違いない。


 「確かに活気がないな。食料不足のせいか?」

 「それもあります……でも一番の原因は酒場の兵士達のせいですね……彼等は好き勝手して村から食料を奪うだけでなく暴行を加えたりと好き放題やってますから……」


 リリィが苦虫を嚙み潰したような顔で言う。


 「いつからだっけ?」

 「数か月ぐらい前です。前まで活気があったのに……」


 魔王軍が正式に宣戦布告をしてからだろう。


 「村全体で追い出そうという流れにはならなかったのかしら?」

 「そんな事をして魔王軍がせめてくれば簡単に潰されてしまいますから……」


 この規模の村では少し軍を送り込めば潰れるのはあっという間だろうからな。こんな辺鄙な場所じゃそんなに在駐しないだろうし、上官の目もなさそうだからそれを逆手に好き勝手という訳か。


 「まぁまぁ、魔神殿と大賢者殿が何とかしてくれるでごわすよ」

 「ああ、だがお前にも働いてもらうぞパヴォット?」

 「えっ……」

 「フフッ、山の神様が助けないで見ているだけじゃ村での信用も地に落ちるわ~」

 「わ、わかったでごわす。山の神として加勢するでごわす!」


 俺と立花で軽く脅すと観念したかのように参戦を決める。二十柱の方が当然権威も力も上だからな。ただ観戦させるわけにはいかないな~


次も今週中にアップできる様頑張ります。

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