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聖地潜入組の現在

暑いですね(笑)

暫く主人公はでません(たぶん)

 「もう行ってしまうのか?まだおもてなしが足りてない気がしてな」

 「ハハッ、十分だよ~それにやる事が山積みだからな~」


 街の再統制の協力をして三日ほどアクエリアに滞在し、来た時とは正反対の好待遇を受けた。本音はもう少しここにいたかったが、この後もやる事はたくさんある。迷宮で拾った映像に映った元勇者であるキタノ兄妹が言っていた場所の事や戦神の丘の祭壇、聖地に潜入したシンやレダさん達がどうなっているか等も気にる事は盛り沢山だ。


 「うむ、世界の真の支配者として我々も協力を惜しまない。妹の事もよろしく頼む」

 「ああ、まぁ主にあそこで鼻の下伸ばしてるエロ親父に一任する事になると思うけどな……」

 「九ちゃん~昨日の夜は良かったですわね~」

 「ハハッ~恥ずかしいな~」

 「ゴミね……」

 「ノーコメントで」


 立花と宮本が軽蔑の眼差しで見てやがるよ……前から思ってたけど、九兵衛さんって人間族には全くモテないけど亜人種にはやたらモテるんだよな~


 「九兵衛さん、流石にみっともねぇからシャキッとしてくれよ~」

 「大丈夫、向こうに戻ったらちゃんとするから任せなさい~」


 昨日の夜の宴もアキーダがベッタリのお陰で、他の人魚が九兵衛さんに近づかなかったし、九兵衛さんも手を出さなかったからか苦情もなくて良かったがな。まぁギャラントプルーム戻ったらザルカヴァとかヴィエナがいるから当然問題が発生するだろうが、それは俺には関係ない。一人頑張って解決してくれって感じだ。


 「あの顔は不安ね……」

 「ああ……」

 「フフッ、巨人族の長は相変わらずだな。初めて会った時から変わらない」

 「ある意味一番ブレないからな~」

 「そうね、でもあの人柄がたくさんの人を集めて、ギルド設立の原動力になったと考えれば凄い人なのは認めるところね。問題はあるけど……」

 「ハハッ、女性への問題がなければ長は完璧ですからね~」


 ヴァルドマインの発言で笑い声が響く。全てを与えるほど世の中甘くはないって話だ。


 「さて、立花ゲートを」

 「ええ、次はデートでまた来ましょう。普通の待遇を期待しているわよコロネーション?」

 「と、当然次は最大限の誠意でお迎えする事を約束するさ。世界の管理者に無礼など許されん」


 あの時の立花が怖かったのか、コロネーションはやや怯え気味だな。


 「そんな怖がるなって~もう怒ってないし」

 「周平の言う通りよ、そちらの事情は聞いて把握してるし仕方がなかったと思うわ」

 「そう言っていただけると助かる」


 ゲートが開かれ、通る準備を始める。


 「それじゃあまた」


 ゲートを通り魚人族一番の街であるアクエリアを後にした。



 ◇



 「クソっ……」

 「まだまだ甘いのう~そんなんじゃ教えられんのう~」


 パールダイヴァーで訓練中の四人だが、宿屋で会った老人に戦神の丘について聞いたら「ワシを楽しませてくれたらよいぞ~」と言われ、それを聞きだすべく戦いを挑んだものの歯が立たなかった。


 「てめぇ……一体何者だ……」

 「ワシはただの爺じゃよ~お主がまだまだ未熟なだけじゃい」


 パールダイヴァーの住民はみなこの地で自身を高めるだけあって一人一人の平均的な強さも段違いだ。限界突破するような人はほとんどいないが、現在の菱田ぐらいの戦闘能力を持つ者は少なくない。


 「ねぇメイスちゃん、あの爺さんどれぐらい強い?」

 「そうね……私達全員が束になれば相手になると思うけど今の菱田君一人じゃまず勝てないわね……」

 「隼人君は勇者の中でも強い方だけどそんな隼人君が手も足もでないなんて……」


 秋山と大野はそんな現状を見て改めて魔王討伐が無謀である事を実感していた。魔族襲撃の後からそれに打ち勝つべくクラスメイトは訓練を重ねてきた。三人も別行動をしているがここに来るまででパワーアップしているが、それでもあの時クラスメイトが手も足も出なかったザラックに勝てるイメージは抱いていない。それを簡単に倒した周平は言うまでもない。


 「それが今の勇者達って事かしらね?でもあの子はポテンシャルはあるし、ここに来たと事でもっと強くなれると思うわ」

 「一度休憩じゃの、小僧」

 「俺はまだ……」


 菱田は立ち上がろうとするが、身体が思う様に動かず起き上がれない。秋山と大野がそんな菱田を引っ張り上げて支える。


 「フォフォフォッ、無理をするでない。まずはサードダンジョンに行くのじゃ、今のままではいくらやってもワシには勝てんからのう……」

 「クソッ!」


 菱田は声を荒げて悔しがる表情を見せる。


 「そのサードダンジョンに行けば飛躍的なパワーアップを望めるという事かしら?」

 「うむ、今の主らなら間違いなく伸びるじゃろう。戦神の丘の情報はそこ行って強くなってきてワシを楽しませる事ができるまでお預けじゃのう~」


 老人が意気揚々で言うとメイスは怪訝な顔つきで老人を見る。


 「失礼ですが何故見ず知らずの私達にそのような助言を?」

 「何となくじゃのう……ただ前にも若い男女のペアが戦神の丘について聞きに来た事があってのう。それを思い出しての事じゃ」

 「そんな物好きが前にもいたんですね」

 「随分昔じゃが骨のある二人でのう……結局どうなったかはわからんがお主らにも似た何かを感じておる。だから行くのじゃ」



 ◇



 「だから是非とも私の愛人にだねぇ~」

 「そういう申し出は迷惑なので止めてくださいと言っているのですが……」


 ファラリス連邦領内の聖地ペブルスにて神父であるワッスルから執拗な誘いを受けていた。


 「君は美しい……それに加えて熱心に活動……このワシの愛人に相応しい……」

 「しつこいようですがお断りします!」

 「いいのか?私がその気になれば、折角教団内で積み上げている地位も無にできるのだぞ~」


 神父はニヤニヤしながら卑猥な目でレダを見る。レダの方も内心では殺意がこみ上げており、手が出てもおかしくない状況だ。


 「それは困りますね~」

 「そうじゃろ~賢い君ならもうわかっているよね~」


 レダもニヤついた表情を見せると、神父はレダの肩に触れようとする。


 「そうですね……もうあなたに用はないわ」

 

 レダが言うと同時に後ろに合図を出すと男が一人目の前に姿を見せる。


 「困りますな、ワッスル神父……」

 「あ、あなたは……」


 神父がその男の登場に腰を抜かして崩れる。


 「神父が己の権力を盾にして愛人強要とは……全く嘆かわしいものですな!」

 「これは……その……誤解を生むように見えますが決してやましい事は……」

 

 言い訳をする神父の頭を掴み睨みつける。


 「お前は俺の言う事を素直に聞けばいい?できるな?そして今聞いた事は何も覚えていない」

 

 男の不気味な紅い目を見たワッスルは、そのままその言葉に頷く。


 「ナイス~」


  司祭に変身して、ワッスルの前に現れた男は変装したシンだった。


 「全く……話は聞いていたが、ここまで酷い感じなのだな」


 変身を解き、シンの姿になる。


 「ええ……裕二なんていつもあいついつ斬りましょうかなんて言ってくる有様だったし丁度よかったわ」

 「ハハッ、裕二はお前の事が大好きだからな。ああいうセリフは聞いてて殺意がわいてくるのだろう」

 「ええ、殺すのを止められてなかったら今頃殺しているわ」 


 レダが殺意を神父にぶつけるがシンがそれを宥める。


 「さて……司祭の動向を探って来い!」

 「わかりました。では失礼します」


 洗脳された神父は素直にその場を去る。


 「あの術はずっとかしら?」

 「ああ、だが何かの拍子に解ける可能性はある。最も本人はその事はを覚えてないがね」


 シンの洗脳術は解けた瞬間に脳内の記憶が飛ぶようになっており、自分を見た時の視覚の記憶なども常にガードかけて覗けないようになっている。


 「なら大丈夫ね」

 「まぁ奴からは情報収集をしっかりやっていたようだし、あのまま殺しても良かったがな。今殺人が起きても内部に潜入した反乱分子のせいになるぐらいに混乱しているからな」

 

 現在教団ではファラリス連邦が二十柱に屈した事で国内での影響力が落ちており、ダーレー教団に恨みがある者やバイアリー教を密かに信仰する者、無宗教家等が一つになり反乱分子として内部に多数潜り込んでいた。


 「周平に真の武人として尊敬されているあなたがここまで裏工作が得意というのは少し違和感があるわね」

 「フッ、武人の志を習い、持つようになったのは友と出会った百年前……昔はこっちの方が得意分野だったからな」


 今でこそ武人としての印象も強いが、かつては死の呪術士、不死王と呼ばれ、策略家でもあり最恐と恐れられたシンはこっちが生業だった。その頃の経験や味わった苦い記憶がなければ、今のような人格形成はされていないし、周平にここまで信頼される事もなかっただろう。


 「そういえば昔のあなたはそうだったわね。あの時はあなたにはランスロット卿も随分と手を焼かれていたわ」


 最愛の恋人との別れや竜王ジェラードとの一騎討ちにて一度死の世界へ行った事が彼の大きな方向転換となったのは言うまでもない。


 「懐かしいな……ただ今は昔と違うさ、今はただ友や仲間の為に最善を尽くすだけだ」

 「ええ、頼りにしてるわ」

 「レダさ~ん」


 祐二とレイチェルが二人の元に来る。


 「祐二!」

 「だ、大丈夫でした?あの変態爺は?」


 するとレダが祐二を抱きしめる。


 「大丈夫よ~シンが洗脳してくれたから」

 「良かった……アイツがレダさんといると落ち着かなくて……」

 「フフッ、私はあなたしか見てないわ」

 「レダさん!」


 この場でイチャイチャする二人をシンは冷ややかな目で見るが二人の目には映ってない。レイチェルもまたかという感じで苦笑いだ。


 「ゴホンッ!スパイラルに祐二よ、ここにベッドはない。今はそんな事やっている暇ではないぞ」

 「そうですよ~こっちはまだ誰も援軍来てないし、余裕ないんですから」

 「もう!全く二人は無粋ね~祐二とイチャイチャしてたとこでバレる訳じゃないんだから~」


 レダは少し拗ねたような表情を見せるがすぐにスイッチを切り替え、険しい表情になる。


 「それじゃあ各自潜入の成果を答えて頂戴!」


次も一週間以内に頑張ります。

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