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魚人族のいざこざ

最近暑いです……

 「久しぶりの地上ね」

 「ああ……空気がおいしいね~」


 さて宮本達のとこに戻らないとだな。きっと暇そうにして待っているはずだからな。


 「里菜達のとこに戻りましょう」


 歩いて街の方に向かうと変な違和感を感じた。街の活気が迷宮に入る前よりもない感じがする。人通りも少なく変だ。


 「こりゃ何かあったか?」

 「そうね……里菜達が危ないわ!」


 その瞬間複数の殺気を向けられる。


 「はぁ~少し嫌な予感はしたが迷宮攻略中は止めてほしいね~」

 「全くね……しかも私達が誰だかわかってやってるのかしら?無知と身の程知らずってのは怖いわね」


 あっという間に複数の魚人族の兵達が俺達を囲む。


 「これはこれは魚人族の皆さん、派手なお出迎えですな~二十柱たる俺達を迎える体制としてはいささか無礼がすぎると思いますがね」

 「つい先日、魚人族の里はギュイヨン家が治める事となった。これからはギュイヨン家の定める法の下、街の運営がされる。貴様等が何者だろうと例外ではない!」


 うん?空耳でも聞こえたかな。俺達相手に敵対するとは……どこまでも愚かな奴らだ。


 「そりゃ大変だ……じゃあ………戦争だな!」

 「エミリウスの宴!」


 一人を除いて兵士達を石にする。しかも俺より横で殺気出してるしこりゃおっかないな。


 「なっ……」

 「私達への宣戦布告ととれる発言……ギュイヨン家とやらを敵と見なし殲滅しましょう~」


 目ギラギラ輝かせていますな~こうなるとうちの嫁おっかないからな。まぁ俺も流石にカチンと来てるし当然やるんだんがな。ちょうど大義名分もできたしそういう意味ではタイミングは良かったかもな。


 「客人の二人は何処だ?何処にいる!」

 「それを俺が言うとでも……」


 その瞬間刀を取り出し片腕を切り落とす。


 「ギャァァァァ!」

 「今ならもっかいくっつけてやる。場所はどこだ?」

 「ヒッ……」

 「後ろにいるうちの嫁は吐かないとわかればお前を殺すぞ?」


 後ろにいる立花の殺気……立花は逆らう奴には容赦はないが、怒りという感情が強くなければ痛めつけてボロボロにした上で懐柔策をとることもある。だが宮本の身やこの街に来てから感じているイライラ考えればそれは皆無。ボロボロにした上で殺すのが目に見えている。


 「ギュイヨン家に永遠の忠誠を……」

 「なら要らないわね……」


 立花が一瞬で近付き頭に触れる。可哀想だが俺達を前にして見上げた忠誠心……尽くす相手を間違えたな。この冷たい目をした立花は誰だろうと容赦しない。


 「周平の与えた吐くチャンスを無駄にするなんて馬鹿ね……言っておくけど貴方が吐かなくても頭を覗けばわかる事……無駄な忠誠心ね」

 「なっ……」

 「ちなみにこれやると頭壊れるから気をつけてね」


 立花は容赦なく魚人の兵長の頭に干渉して記憶を覗きこむ。


 「うっ……」

 「へぇ~場所はギュイヨン家のお屋敷、そこにコロネーションとアキーダと里菜とヴァルドマインがいるのね~」

 「うぁぁぁぁぁ!」


 見るに耐えんな……しかもわざと相手の頭に負担がかかるように無理矢理干渉してやがる。時間をかけてしかるべき手順で覗けば相手への負担はそこまでかからないし、廃人になるような事はないが今の立花にそんな情はないな。


 「立花そろそろ止めておけ、残忍な事してるお前をなるべく見たくはない」

 「フフッ、そうね」


 覗き終わるとその場で倒れこむ。見ると案の定目が死んでいる。こりゃ数年は廃人だな。


 「腕ぐらいはつけてやっか~御愁傷様」


 治癒魔法で腕をくっつけその場を去る。目的はギュイヨン家のお屋敷……さてどういう処罰を下すかだな。



 ◇



 「こんな事をしてタダで済むと思わない事ね……」


 ギュイヨン家の屋敷にて捕らえられた長のコロネーションとアキーダ、ヴァルドマイン、宮本の四人はそれぞれ分散して捕らえられていた。


 「少しは出来るようだが所詮は人間……俺達の敵ではない」


 宮本やヴァルドマインは抵抗をしたが人数差に勝てず屈し、軟禁状態にあった。


 「井の中の蛙大海を知らず……あなた達にぴったりな言葉ね……せいぜいイキがっているといいわ。痛い目を見るのは……ガハッ!」

 「何を言ったのかわからないが非常に不快だな……この魚人族最強の戦士であるサデックスを前にまだ減らず口を吐けるとは……あの巨人族といい気に入らん奴だ」

 「女の子を殴るなんて最低ね……」

 「すまんな、人間は殴っても何も感じないな。暫くそこで頭を冷やすといい」


 サデックスが去ると宮本はホッと息をつく。


 「全くいきなり殴るなんて酷いな~まぁこのお守りのお陰でダメージはないんだけどね」

 

 宮本とヴァルドマインは予め二人にもしもの時の為にお守りを貰っていた。皮肉にもそれが役に立ってしまったわけだが、落胆はしていなかった。というのも宮本は自分が誰かに何かをされれば立花が黙っていない事を知っている。故にむしろ魚人族の心配をしていた。


 「立ちゃん、周平君……やり過ぎないよう気をつけてね……」



 ◇



 「こんな事をしてタダで済むと思っているのですか?」


 アキーダの高い声が響く。


 「何の話だ我が妻よ」


 アキーダと話しているのはギュイヨン家の現長であるマムールだ。かつてアキーダに求婚したが九兵衛の一件でお流れになってからずっと狙っていた。だがコロネーションが長である以上それを阻まれておりずっと機会を狙っていた。


 「妻ですって……あなたの妻になった記憶はありませんわ!勘違いも甚だしい!」

 「ふん、時期我が妻となる。この俺が長となれば力ずくでもそれがなされる」

 「お姉さまがそれを承諾するとでも?あなたはお姉さまに負けて長になれなかった。そんな中このような事をして街の者全員がついてくると考えているなら少し楽観的すぎかと」

 「だからこそ力を誇示するのだ!あれから俺は長の座に就く為に何をすべきか考えた……それが力だ。だからこそ俺は裏で力をつけ、賛同者を集めた!そして俺が長へと成り代わる日が訪れたのだ!」


 アキーダがマムールの求婚を断ったの一番の原因は考え方の違いからくるものだった。アキーダは他種族との交流を望んでいるが、マムールは魚人族こそ至高で、他種族は全て下のような偏った考えの持ち主である事に気付いたからだ。


 「力を得てあなたは何をするおつもりで?まさか他種族を侵略するつもりですか?」

 「フフッ、別に他種族は侵略するつもりはない。我等魚人族は神聖なる一族、これからは種族間に絆をより強固にする為に動くとしよう……手始めにあの秘宝を使い他種族の介入を一切できないようにする。外の世界との繋がりを一度遮断し、我々だけの楽園作るのだ!」

 「ふざけないで!あの秘宝はそんな事の為にあるわけではないわ。あれは魚人族が他の種族と対等であり続ける為に必要な物、そんなくだらない事に使うなんて到底許せる事ではない」


 秘宝とは魚人族の長に代々伝わる物。それがあるだけでこの地域の魚人族は加護が与えられ、アクエリアの街やその周辺の海と大地をコントロールする事ができる。かつて人魚が人によって攫われた時代があり、それを不憫と思った二十柱によって造られ与えられた。それを使えば街ごと海に沈めたり、街の周りに結界を貼る事ができるだろう。


 「黙れ!お前は先祖がどういう目にあったかわかっているのか?それでも我らは復讐ではなく断絶という道を選ぼうとしている。それの何が悪い!」


 魚人族は数百年前、人間達による拉致の被害を受けた過去を持つ。地域的にも人間達が拐った人魚を奴隷として売買できた数は少ない。だがそれでもその過去を忘れないでいる者も多い。


 「ならそれに私を巻き込まないでください!私は外の世界に行くのです、外でたくさんの種族と交流をするのてす」

 「そんな事俺が許すと思うか?お前は俺の横で魚人族の行く末を見守るのだ!」

 「絶対に私は貴方に屈しません!」

 「強がりだな……さてコロネーションのとこに行くとするか……お前達アキーダを見張っていろ!」


 ◇


 「エミリウスの宴!」

 「俺の出番がないね~」


 敵がきても立花が速攻で石にして決着がつくので何もしていない。


 「フフッ、流石に全員廃人にするわけにはいかないわ~これが一番効率がいいから」

 「だな、しかしギュイヨン家の屋敷ってのは遠いな~」


 さっき脅迫した兵士から場所は聞いたが、そもそもあそこからけっこう離れてるって話だからな。ちなみにこの騒ぎは三日前に勃発したらしい。


 「コロネーションのいた屋敷よりも更に奥見たいだし、もう少しなはずよ」

 「二人が心配だな……何もされてないといいが……」


 ヴァルドマインはともかく宮本が何かされているのがわかれば、うちの立花の雷が飛ぶことは間違いない。確か宮本を操ってた連邦の特殊部隊は拷問の末石にして砕いて殺したみたいだし、宮本の事となると容赦ないからな。


 「貴方もわかると思うけど、あのお守りの発動具合的に今のとこは命に別状はないわ。あれの効果が発動してるという事は身体的なダメージはないはずだし」


 お守りは俺達の力を用いて作成されている。ダメージがある程度蓄積すれば壊れるが壊れればわかるし、壊れていないと言うことは身体へのダメージはまだないというのがわかる。


 「ああ、だがこのクーデターが起きてから三日経っている。その間あいつらがどういう目にあったかがわからんし楽観視はできんな」

 「ええ、私の親友の身が危ないし、慎重かつ本気よ」


 このクーデターを利用し、この街での俺達二十柱の権威を見せる。そのギュイヨン家とやらについた奴らは全員完膚なきまでに叩き潰す。


 「ああ、当然さ!それにあの丘に見えるのが目的地だろ?」


 ふと前を見上げるとデカイ建物が目に入る。あれがギュイヨン家のお屋敷だろう。


 「フフッ、目的地まであと少しね」

 「いたぞ!」


 するとたくさんの兵士が目の前に湧く。


 「屋敷が近いからか兵士も多いな~」

 「そうね……地味な時間稼ぎは止めてほしいわ……」

 「ここは通さん、やれ!」

 「邪魔よ!」


 立花のエミリウスの宴によって全員が石となる。


 俺の出番がなくて退屈だ……俺も攻撃したい……


 「フフッ、あのお屋敷に入ったら貴方にも暴れてもらうから大丈夫よ~」

 「ハハッ、退屈でな。まぁ屋敷も見えてきたしそこまでは頼むわ」

 「了解~それと屋敷にもう少し近付いたら一度ゲートを開くわ」

 「何か忘れ物でもしたのか?」

 「そそっ、この一件には欠かせない大事な忘れ物よ」


今回つなぎみたいな話ですみません(笑)

次もできるだけ早くアップします。


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