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オルメタ迷宮最下層攻略3

なんとか日曜日にアップできました。

「癪だけど……聞こうか」


 百年前のあれは忘れない……相手が戦姫だろうと必ず償わせると誓った。せっかく会う事が出来たのに実体がなく手を出せないのが歯痒い……


「先程のファラモンド制圧により二十柱の名が表にでるようになりました。ファーガスでは二十柱寄りの次期王と王妃、ファラリスではその圧倒的な力によりペブルスのダーレー教団よりもそっちに傾いています」


「ああ、それは周知の事実さ。周平さん達が動き出せばあれぐらい当たり前さ」

  周平さんが設立した在るべき世界モンド・ペレッセリの力は広がり、真の歴史が広まりつつある。あとはアイツらを倒せば理想の世界が出来上がる。


 「はい、ですがその結果ペブルスにいるダーレー教団が動き出そうとしています。つまりその裏にいるこの世界の神が動き出そとしている」

 「神と名乗るにはおこがましいがね。それこそ周平さん達の狙いさ。あぶり出てきたあいつらを叩く。あんたが邪魔しようが止められない」


 最高神ヘロド・エクリプスと残りの四人……俺では遠く及ばないが周平さん達なら負けることはない。今やクレセント、オンラクの勢力はこちら側、オルメタは味方ではないがあいつらと敵対している。戦力ではこちら側が有利である事は間違いない。


 「ええ、今回あなた達は勝つでしょう。もう付け入る隙があるとも思えません。しかし彼等狙いは何でしょうね?」

 「狙い?」

 「フフッ、よく考えて見てください。それと私は戦姫です……私を追っかける前にやることがあると思いますよ」


 リジーナの姿をした実体のないヒルデが消えていく。


 「貴様!何を言って……」

 「私はいずれ報いを受けるでしょう……だけど物事には理由があります。あなたがこちらに来たのもまた理由があってのこと……またいずれ会いましょう」


 「待て……俺はまだ……」


 目の前から完全に姿を消した。


 「クソッ……」


 過去の忌まわしい記憶……あの時の死体の山の前で血に染まったあいつは淡々と俺に言った。


 これが運命です……


 その言葉にただただ殺意を溜め、刀を奮った。だがこちらに援軍が来たことで姿を消した。


 「リジーナ……」


 妹のようになついてくれたあの子を守ってあげる事が出来なかった。力のない自分を憎み、負の感情を一つにしてあの時誓ったんだ。


 あいつを殺す事……


 それがリジーナも含めあの時死んでいった者達へのせめてもの手向けになると。

 

 「実君何事ですか!?」

 

 九十九が息をハァハァ言わせながら駆け足でこちらに来る。あの時見せた殺気に反応したのだろう。

 

 「ごめんごめん、ちょっとね」


 心配させないようにと笑顔を見せ、頭を撫でる。


 「あんな殺気……一体何があったの?」

 「ヒルデに会ったんだ……」

 「えっ……」

 

 変に隠しても余計に心配させてしまうだけだ。


 「ギャラントプルームへ戻ろう。九兵衛さんに伝える事がある」 


 ヒルデの言ったことが気になる。今更わざわざ俺の所に来るって事は何もないわけがないからな。



 ◇



 「また水攻めか……」


 迷宮の七〇〇層を越え、八〇〇層に近いとこまで来たが、定期的に迷宮内を襲う水攻めに苦戦していた。


 「まったく芸がないわね~」


 立花がバリアを張り、水の流れを塞ぐ。


 「これは今までで一番面倒だな」


 七百層のボスを単独で倒す実力者でも、層一つ一つの攻略で下手をすれば命を落としかねない。というのもこのオルメタの迷宮は迷宮内を水が襲う。そんな時は上手く各層の高台とかに逃げないとだが、来る頻度がランダム。それに加えて水と共に流れて来る強力な魔物とのバトルも発生するからだ。ボス層よりも道中が辛い。


 「ちなみに私達は結構運が悪い方かしらね。結構喰らってるし」

 「まぁ残りの層でまったくこない可能性もある。まだ一概には言えないが、そっちに期待はできんな」


 クレセントの迷宮は火の迷宮だったが火に耐性がある魔神はまったく問題なかった。オンラクの迷宮は土だけど九兵衛さんが巨人王の力で抑えたし、レガリアの迷宮は風だが、多い人数で攻めたから色々補えた。比べたら一番面倒で、宮本を連れて来なくてホッとしているところだ。


 「そうね、こういう時は大抵悪い方が起こると思っていた方が精神衛生上優しいわね」

 「俺の力で水を蒸発させる」

 「お願い」


 魔神の力で層全体を高温に上げ、水を蒸発させる。これをやると常人だと干からびてしまうので使用場所が限られてしまうが、立花はそれに耐えうる存在だし問題はない。


 「ふぅ~収まったわね……」

 「この層はもう水は流れてこないと思うが、気温が馬鹿高くまで上げたし、早いとこ抜けようか」


 耐えうる存在と言っても、熱く感じるのは間違いないからな。


 「そうね、別にバリアしているし問題はないけど、ずっといると汗だらだらになるし、さっさと抜けちゃいましょう」


 速度を上げて駆け足で進む。最短ルートは立花が王の書の異能を使って特定してくれているので道を間違えるような心配はない。


 「こっちよ」


 目の前に三つの道がある。これ分かんないで進んだら相当なロスだな。


 「これ立花いなかったら相当キツいな」

 「フフッ、でもクレセントの時は一人で攻略したわよね?」

 「したにはしたけど、やっぱり凄く時間かかったよ。一月ぐらい迷宮の中をずっと彷徨ったし」


 どれが正解かわからない時は一つ一つ虱潰しをしながら進んだ。クレセントの時なんかは下の層への道がわからない層はではかなり苦戦させられていたな。


 「地図なしじゃそれはしょうがないわ。先生達もこんな攻略させる気のない迷宮よく作ったわね」

 「そもそも封印とかするためだしな。特にこの深層は基本的には攻略させる気はないはず」


 難易度を二十柱クラスじゃないと攻略不可にしているのはその為だ。超人クラスでも八〇〇層、戦姫クラスでも九〇〇層が限度なはずだからな。


 「そうなんだけど、ここは特に酷いわ。夢に出てきそう」


 立花なら夢でも同じように魔法で防ぐんだろうな。そういえば子供の頃水の夢を見ると漏らすみたいなのが言われて、そういう夢を見た時の朝はビクビクだったな。結局何ともなくてホッとしていた記憶がある。


 「ははっ、夢でも立花なら現実と同じように簡単にはねのけるだろ」

 「ムッ、これでも私も女の子なんだから少しは労わりなさい」

 「ごめんごめん~」


 

 ◇


 

 さらに進み八〇〇層のボス層まで辿り着いた。入ってからここに来るまで、まだ一週間経っていないというかなりのハイスピードで来ている。その分疲労も溜まってはいるが残り二百層だし、一番最後の前だけじっくり休んで油断しなければ問題はない。


 「さて、ここのボスのお手並み拝見と行こうか」

 「今回は周平にお願いしていいかしら?」


 百層ごとに交互で攻略しており今回は俺の番だな。


 「任せとけ~」


 闘技場の真ん中まで足を進めると、光り始めてボスが現れる。だがそのボスの姿は見覚えがあった。


 「ヒルデ……?」


 綺麗な銀髪のセミロングに美しいオッドアイ……姿そのものは四大戦姫が一人、ヒルデ・パーシアそのものだが、オーラが少し違う。ヒルデのオーラはもっと高貴かつ強かったからな。


 「お前ヒルデじゃないな……姿を現しな!」


 一瞬で接近し、お腹に一発いれて吹き飛ばすと柔らかい感触がはしる。恐らくこれはスライム系特有のやつだ。


 「へっ、ビックリさせるなよ」


 吹き飛ばされると体の一部が水色になり、そこからヒルデの身体に戻る。たしかこいつはスライム種の中では最も上位とされる魔物……


 スライムロード

レベル255

種族:スライム

攻撃:80000

防御:110000

魔法攻撃:80000

魔法防御:110000

素早さ:80000

魔力:100000

固有スキル:割合ダメージ無効、物理ダメージカット大


 スライムのくせに破格の能力だな。八〇〇層のボスなら当然ともいえるが、こいつにお目にかかれるのはこの迷宮ぐらいだろう。


 「周平何か飛んでくるわ」


 ヒルデの姿をしたスライムは身体から何かを飛ばしてくる。当然避けそのまま直接攻撃をして腹に一発。だが腹に入れた時に手にスライムが引っ付くような感触がはしると、姿形を変える。なんと俺に変身したのだ。


 「どうやら触れた時に皮膚のほんの一部を掠め取り、相手の姿にトレースするらしいわ」

 「なるほどな」


 つまりヒルデはこいつと過去に戦った事があるのだろう。俺の姿で魔法を唱えると第八位階魔法、ヴァイスシュヴァルツが飛んでくる。


 「相手のよく使う魔法までトレースしてんのか?ならこっちもヴァイスシュヴァルツで返してやるぜ」


 ヴァイスシュヴァルツを発動して相殺し、その顔面目掛けて思いっ切りぶん殴る。自分の顔を殴るというのはあまり気持ちよくはないが、真似をされて動かられるのも気に入らない。顔を殴って変形させたからかすぐに姿を変える。


 「今度はミラー・ブリッドか……」


 あいつもこの層まで辿り着いたという事。だがあいつはソロだったみたいだし、来れてもここが限界だろうな。


 「周平イノセントブレイクよ」

 「了解」


 あれは喰らうと少し面倒な魔法だ。避けるか防ぐかして直撃は避けないとだ。そういえばミラーはこの魔法を好んで使っていた記憶があるな。


 「インフィニティーシールド!」


 だいたいの攻撃を防いでくれる第十位階魔法、欠点はシールド貼っている間は、自身がその場所から移動できないという事だ。


 「こっちもイノセントブレイクで仕返ししてやるよ!」


 同じ魔法と言えど、抑えてうたなければ魔力も威力も違う。相手は俺のイノセントブレイクを防げず、 直撃すると姿がスライムに戻る。イノセントブレイクの効果で身体機能を制限し変身能力に異常をきたしたからだ。


 「姿形は真似ても能力までは真似できないようだな」

 「王の書によると、スライムのままだと魔法を唱える事が出来ないみたいね。ミラーのステータス的にイノセントブレイクで勝負をつけたと考えるのが妥当かしら」

 

 スライムは懸命に身体の一部を飛ばしてくるが当たらない。そろそろ終いにするか。


 「もう終わりにしようか……炎獄!」

 

 スライムの周りを獄炎の壁で覆い燃やし尽くす。ステータスは超人クラスだが、二十柱クラスの攻撃に耐えられるはずもなく、消滅した。

 

次もなるべく早く更新します。(目標は金曜まで一話と土日二話)

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