表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
189/280

オルメタ迷宮最下層攻略

久しぶりの連投です。

 「どういう事だ?」

 「パールダイヴァーは自由な場所です。行ったからわかると思いますが強くなろうとする意志があれば歓迎されます。治安こそあまりよくありませんが、それこそ私のような迫害された者達も普通に受け入れてくれます」

 

 それがアンのような者達が定住していた一番の理由だし、ギャラントプルーム並みに自由な街だし居心地がよかった。


 「それはわかる。だからハーフ系の種族も沢山いたしな」

 「だけどそんな誰でも自由に受け入れるあの場所には、住む場所を追われた犯罪者が身を隠すのに最適な場所でもありました。ギャラントプルームでのルールは覚えていますか?」

 「ああ」


 誰でも歓迎、但し強くなる意志があることとある場所で大きな問題を起こさない事。あの場所は仕切る者はいないが、里自体が見えない力で守られており、強くなる意志のないかつ一定以上の力を持たぬ者や里で何か問題を起こした者は強制的に排除される。なので札付きでもあそこに入って問題を起こさなければ、身を隠せるし、追ってが来ても、入れない可能性があるから雲隠れには持ってこいの場所だったな。


 「結果あの場所に逃げる札付きを防ぐ為にあの付近に魔王軍を常駐させました」

 「それはいい事では?」

 「最初は良かったのですが、あの里から力を得て出てくるものに対して脅威を感じたのか徐々に魔王軍は私のような迫害者を殺したり、里に向かおうとした人間、里から出てきた者を待ち伏せて手をかけるようになりました」

 

 確かにあの里にいるのは一人一人の強さの平均値が高い。魔王軍からすれば人間族とか特に後の脅威になると考えたのだろう。


 「あちゃ……そりゃいかんな……」

 「結果里の者も黙っておらず、集団で魔王軍を倒そうという動きになり、戦争になりました」

 「結果は?」

 「魔王軍のボロ負けでしたわ。パールダイヴァーの猛者達が一つになれば幹部クラスのいない魔王軍など取るに足りませんでした。結局極端な事をして痛い目を見るのは自分達だというのに気付いたのか軍は撤退しました」


 確かにあそこの人達はそこら辺の軍よりも遥かに強い。癖の強い連中ばかりで一つになる事なんて皆無だろうが、極端な事して眠れる獅子を動かしちゃったわけか。


 「あの時は面倒だったね~俺も狙われたよ~」

 「九兵衛さん狙うのは身の程をしれって感じですけどね」

 「勿論攻撃してきたのは始末したけど、その時に行くこと自体が目につく行為になると思ってその時から行くの辞めちゃったんよね~」

 「ギルドへの勧誘がよく来たというのは里の者が言ってましたがあなただったのですね」

 「そだよ~君とは会ってないけどもしかして避けてたかい?」

 「私が交流を持っていたのは、迫害が特に酷い者達でしたので外部と関わらないようにしていましたから」


 俺がアンに懐かれたのも天使と悪魔のハイブリットとしての力を持っていたからに他ならない。力を欲しコントロールする術を探していた俺は、少しでも似たような境遇を持つ者を探してハーフを探したが、里の中でも隠れて暮らしていたアン達と出会うのには苦労した。


 「俺とはして君のような特殊な人材を探していたんだけどね~まだ世界がまだ君のような存在が表に出る事は許してくれないのがね……」


 九兵衛さんは少し悲しそうな表情を見せる。ギルドの長として長年他種族共存を目指してきただけに、それがまだまだ進んでいないからだろう。


 「でもこうして合流していますし、世界を変えればそんな世界も来ますよ」

 「うん、そう願っているよ~ところで陣は戦神の丘という場所を知っているかい?」


 戦神の丘……名前だけなら聞いた事があるが……


 「いや、アン知っているか?」

 「この世界のどこかにあるとされる異世界への道があるとされる場所ですわね。力を得る事もできるとも言われており、場所についてはパールダイヴァーが最有力候補とされていますが、謎に包まれていますわ」

 「俺も探したけど全然でね~あそこに辿り着いた奴の話もまるで参考にならんからね~」

 「あそこに辿り着いたものがいるのですか!?」

 「うちのレダが過去に辿り着いているよ~彼女もパールダイヴァーから戦神の丘に行ったらしいけどその時の記憶が曖昧らしくてね~」

 

 行くと記憶でも抜かれちまうって事か?行く方法が世に広まらないように対策でもされてる感じかな。俺もパールダイヴァーの大半を回ったがそんな場所に続く道は現れなかったしな。


 「里では行った者は帰ってこれないとも言われてましたが、レダさんはしっかりこの世界にいますし噂に過ぎないということですわね」

 「そうだね~ただレダさんはともかく過去に異世界への道が開いて、そのまま帰ってこないという選択をした者もいるだろうから、その噂もあながち間違っていないかもね~」

 「確かに、過去に何人かは辿り着いてるだろうし、そういう選択をした者がいてもおかしくないですからね」


 確か周平が同じクラスの菱田にパールダイヴァーに向かうよう示唆していたな。期待は薄いがもしかしたら辿り着くかもしれないな。



 ◇



 「雰囲気が変わったな」


 一二三層から落ちたこの場所が何層目なのかはわからないが、三百層より下の深層部分に無事辿り着いたのは間違いない。


 「ええ、無事深層に辿り着いたという事ね」


 ここまで来るのにまだ一日近く。少なくともこの迷宮の三分の一を一日で進めたのは上出来と言えるだろう。


 「ボスのいる層まで辿り着ければ、何層かわかる。そろそろ休みたい所だが、安全に休む為にもボスのいる層まで進みたい。大丈夫か?」

 「ええ、大丈夫よ。私もその方がいいと思うし」


 立花は近づき腕を組む。


 「フフッ、いきましょ~」


 迷宮を進んでいるが、何故かこの層はあまり敵がいない。深層にしては層内も狭いしどういう事だろうか。


 「立花、この層はあまり敵の気配がないが理由はわかるか?」

 「一二三層と繋がった事で、この層自体も再構築が働いちゃってるらしいわ。そのせいで下の層に行くルート以外の余計な道がない状態になっているって王の書に書いてあるわね」

 「なるほどな~でも一つ下まで降りたら通常だよな?」

 「ええ、一つ下に降りたら敵が私達のデートの邪魔をじゃんじゃんしてくるわ」


 資金源の考えて恒例の素材狩りだな。うまく表面を傷つけないで殺して魔石も回収ってのが理想だな。


 「ハハッ、デートならもっと明るいとこでしたいもんだな~」

 「フフッ、向こう戻ったら夢の国とかUSJとか色々行きたいわね~世界一周とかもしないと」

 「夢の国は昔はいかなかったっけ?」


 中学の卒業前ぐらいにいった気が……世界一周はともかく、中三までの間にアトラクション系はけっこう攻めたんだが。


 「あの時私と周平は恋人じゃなかったから駄目よ」


 ムスッとした顔でこっちを見る。


 「いや~記憶戻る前の中学生だったしガキだったからな~」

 「里菜の話だと中三の初めぐらいから告白を計画して伸びに伸び切ったのは聞いてるわよ。あの時こっち来て寂しい思いさせたから何も言えないけど、夏休み海に行ったぐらいに告白してくれたらまた違ったわよ」

 「あれは宮本達生徒会メンバーの邪魔があってだな……ハハッ……」


 だがもしあのまま付き合って失踪されたらメンタルブレイクもっとヤバかったし、そういう意味では良かったのかもしれないがな。だけど付き合った事で記憶と力を呼び覚ましてくれたかもしれないから何とも言えないが。


 「言い訳はいりません!でも今こうして一緒にいるのだから何も問題ないわ」

 「結果良ければ全て良しって事で!それともう一つ聞きたいんだがいいか?」


 この戦いが終われば、俺達は二十柱の住む天界へと昇る。そうなれば地球に頻繁に来る事はなくなる。そしてクラスメイトともほとんど会わなくなるだろう。そうなる前に気になる事は消化しておきたい。


 「なぁに?」

 「俺は河内に対して何か償うべきだと思う……だから俺は……」


 それを言いかけると立花は俺を壁まで押し付けながら顔を目の前まで近づけさせて睨む。


 「あなたが今後やろうとしている事について、月島さんや杉原さんを守る為だし、私と離れるわけではないから許可をだしたわ。だけど河内さんは許さないわ!」

 「お、落ち着け。俺はただあの時酷い事を言って拒絶した……それも二回だ。確かに宮本を虐めるような真似をしたあいつを許すつもりはない。だから俺はそれを理由にとある事を決めた」

 「とある事?」

 「実行犯として俺を迷宮で殺そうとした事は不問にしようと思う。だから立花、お前もあいつに対して俺の事で何かするのは辞めてほしい」


 あいつは俺と関わろうとしたせいで立花から報復を受け、俺もそれに従う様に酷い事を言った。俺はあいつに命を狙われても仕方がなかった。黒幕であろうあいつを許す気はないが……

 

 「なるほど、それならいいわ。確かに彼女があなたに報復する権利は認めたくないけどあるし、そうさせてしまったのは私だから……」

 「すまんな」

 「いいのよ、それが周平だから」


 立花の表情から怒りが消えるとキスを交わす。宮本もいたしあまり出したくない話題ではあったが、これで立花は河内に対して何かする事はなくなるだろう。何でこんな事を言ったかと言えば、玲奈先生に直接的な報復をしない事を約束しちゃったからだ。玲奈先生的にもクラスメイトが報復で殺されるのなんて見たくはないはずだからな。


 「宮本もあいつを許さないと思うが、今後報復行為をしようとしたら辞めさせてほしい」

 「ええ、それはちゃんと里菜に言い聞かせるわ。あの子は周平みたく殺されかけたわけじゃないから流石に殺意まではないと思うし。ただあの子の前で河内さんを庇うような発言は控えてね」

 「勿論だ」


 宮本は河内に虐められたせいで不登校になりかけた。だけど立花が宮本を不登校にするのを許さず登校させて彼女を守った。ちなみに三年になって、立花が河内を追い詰めたのは宮本の対しての仕返しでなく、俺に近づいたからだったりする。まぁ改めて思うのは女の争いはマジで怖いという事だ。


 「この話はこれで終わりかな。いきなりすまんかったな。不快に思ったなら頭を下げるよ」

 「いいのよ、今回は全部不問にするわ」

 「オッケー、それじゃあ進もうか」


感想お待ちしております~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ