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夢での対話

遅くなり申し訳ございません。

 「この光景は?」


 辺り一杯に広がる花畑、それが地の果てまでも続きそうなそんな場所を目にした俺はそれが夢である事に気付く。


 「安らぎの場か……悪くないな」


 その場所は何故か居心地がよくその場に寝てみる。


 「空も悪くない」


 上に見えるのは天にも続くようなピンク色の光。その光景に見惚れていると声が聞こえてきたのだ。


 「お気に召したかな?」

 「ああ、最高だよ」


 声を聞いた瞬間にそれが誰なのかを把握した。前に会った時もまともに話していないだけに懐かしさを感じてしまう。起き上がると長髪の男がこちらに来る。前に会ったのはいつ以来だろうか……向こうからしたら百年以上前の事だろう。


 「君が紹介した陣君は見事に二十柱の一角となった。これも運命というやつだろうな」

 「黒姫がいなきゃ流石のあんたもわからないって事か。少し人間味を感じたぜルシファーさん」


 ルシファー・エクリプス……二十柱の王にして宇宙の管理者であり神とも呼べる男だ。話すのはもう少し先になると思っていたので予想外だ。


 「フッ、未来を完全確定させるのは妻の能力を持ってしても難しいさ。二十柱クラスの能力者は予言した未来の上をいく事は過去の経験からわかっている事だ。君達が百年前ああいう形で終わるのも予知できなかったからな」

 「全くだ。俺も勝利を信じて疑わなかった。ガルカドール卿がいたし余計にな。だがそのお陰で新たな可能性にも出会えた。今思うとよかったと思う」

「私が力を完全に取り戻せばこんな案件一瞬なんだがな。すまない……」


 ルシファーさんは、千年前の神争のせいで起きた意図しない惑星とそれらの存続を完全にする為に全宇宙に力を発動した事で半封印状態となっている。その封印が完全に解けるのはまだ先の話で、その期間を短くしたり代行管理を行う為に二十柱を完全確立させようとしている。


 「ルシファーさんは全宇宙の為にやった事だ。何も謝る事はないぜ。むしろ部下たる俺達が慢心してるのは悪い。というかよく俺の夢に入ってこれたな?」

 「陣君と接触した時に思念体の一部を入り込ませ君の夢に入ったのだ」

 「なるほどな。俺もあなたと話がしたかった」

 「だと思ったよ。だから先に言うが君のやろうとしている事には賛成だ。偶然の産物だがそれによって今後の我々のやる事の力の一部となるし、ある意味それがあるべき姿だ」


 ルシファーさんは俺のやろうとしている事について全てお見通しだ。この人が完全復活すれば全ての存在は管理される事になるだろう。


 「そうか、まぁそっちは陣からの伝言で聞いてるし確認で聞いただけだ。本題はもう一つさ」


 俺は疑問だった。二十柱という唯一無二の存在がどうしてこの問題の解決に長年費やしているのか?


 「この世界の神を名乗るエクリプスは一体何者だ?何故あなたの名前を名乗っている?百年前ガルカドール卿はは自身の消滅させてまでアーシアの中に入った奴を退けたがガルカドール卿がそこまでしないといけない相手というのは完全体となった俺よりも強いという事になる」


 エクリプスと名乗る偽神の頂点だが、ガルカドール卿に言わせれば俺と真っ向勝負したら奴に勝ち目はないと言っていた。確かにガルカドール卿は二十柱の中で飛び抜けた存在でありルシファーさん、黒姫に次ぐ存在。だからこそ先に障害となるガルカドール卿を潰しにいったという事だろうがそんな存在が二十柱以外に存在出来る事がおかしい。


 「ふむ、確かにまだ話してなかったね。これはリオンや九兵衛は知っている事だが周りに言わないようにと伏せていた。確か君達にはあの星のエネルギーに意志が宿り形成されたと言っていたね?」

 「ああ、あの当時はそれに対して疑問はなかった。ここは創生された時から他の星よりもエネルギーを使って産み出されたと聞いていたからな。だけどこないだ記憶ある程度戻っ時、その程度の存在がアーシアを操るような事が出来ると思えないなと思ったんだ」


 ここにいる二十柱は不完全含めてもかなりの人数がいる。完全体な二十柱が一人いればこの星など簡単に塵にできる。その程度の星の力がアーシアを侵食し操るなど不可能だろう。


 「ふむ、あれは複雑で今はどういえば正解なのか迷うが……そうだな、今の時代で言えば元二十柱とでも言っておこうか」

 「元だと?」

 「ああ、だがそれは昔の話だ。もうその時の意志は残っていないだろうしな」


 元二十柱……どの能力を有していたかだが一体何者だ。


 「何番だったんだ?」

 「それは今のあれにとっては答えにくい質問だね。ただ元の最初は十九番だった」

 「パンドラか……だがおかしい。元の奴とは妖精の国でやりあった」

 「答えにくいというのはそういう事だ。奴は言うならば亡霊の集合体、千年前の神争で倒された二十柱クラスは一人じゃないのは知っているだろ?」

 「ああ」


 今二十柱と呼ばれる存在も昔はそういうくくりでなく敵対していた。竜王や魔神なんか敵側として倒されている。


 「少し話過ぎたね。後は実際に会って確かめなさい」


 ルシファーが指を鳴らすと俺の身体が消えかけていく。


 「お、おいルシファーさん、俺はまだ話したいことが……」

 「またいずれ会えるさ。あそこで再会する日を楽しみにしている」


 ルシファーさんが背を向ける。後は自分の目で見ろって事か……上等だ。


 「わかったよ。またいずれ」

 「ああ、そういえば最後に一つだけ……勇者に気をつけなさい」


 勇者か……月島と杉原は今頃どうしているのか……玲奈先生も無事だといいが……俺を殺そうとしたアイツもどういう立ち振る舞いをしているか気になる所だ。


 「了解。取るに足らない奴らだが慢心はしないさ」

 「生きて行動する集団は予想外の行動を起こしやすい。私や妻の想像を超えたケースは過去に何度もある」


 そういえば世界が何度か滅んだ話とか絶対的な未来予知を破ったりと、時代が変わる時や世界を変える存在が世界を動かす時なんかは黒姫の聖痕スティグマの異能も役に立たなかったな。今がその時なのだろうな。


 「前に聞いたな。まぁ俺が新しい時代に向けて膿を全て除去するさ。だから待っていてくれ」


 全ては望む世界の実現の為……管理者として反逆者は始末する。



 ◇



 「ハッ!」


 ふと目が覚めるとまだ暗い。隣で立花は寝ているし起きる時間を間違えたようだ。


 「夢に出てきたせいか変に覚醒しちゃったか……」


 もう一度寝ようとするが、下で音がする。ここはVIP専用だし他に客はいないはずなのにこんな夜遅くに音がするのは少しおかしいな。


 「見に行くか……」


 立花を起こさないようにドアをそっと開いて出ると、そのまま下の階へと向かう。


 「こんな時間に何の用なんだか……」


 暗殺者でも来たのか思ったがそれならこちらの動きを見に来るはず……どうやら俺達に用があると見た。


 「こんな時間に何の用だ?どうせならもっと日の当たっている時に来てくれ~」


 下の階まで降り、ランプに火をつけながら言うと人の影が見えた。


 「す、すみません……」


 部屋の蝋燭を全てつけると、緑の髪の色をした美女が立っていた。なかなかに美しい。


 「こ、こいつはびっくりだな。あんたみたいな美女が俺に何の用だ?」


 もしかして逆ナンか?なんて言いたくもなったが上に立花がいるので辞めておく。


 「わ、私はアキーダです。長であるコロネーションの妹にあたります」


 ほう、という事はこの美女が九兵衛さんが好きだって人だな。九兵衛さんのくせにこんな美女捨てておめおめと出禁になったとか頭にウジ沸いてるんじゃないかと思ってしまう。俺ならどんな障害があろうとも……っといかんいかん。流石に今の立花に読まれたら殺される。まぁ巨人族と魚人族との交流の為だったし色々仕方なかったのだろう。


 「話は少し聞いてるよ。俺は神山周平、二十柱が一角魔神を継承した者だ」

 「よろしくお願いします」

 「さて、ここに来たという事は九兵衛さん絡みだよな?」


 アキーダはこくりと頷きながら椅子に座る。


 「俺に接触しに来たという事は何か俺にやってほしい事でもあるって認識でいいか?」

 「はい、私を九兵衛さんの元に連れて行って欲しいのです!」

 「連れていってもいいがその結果起こるであろう種族間の不協和音に対して責任を取る事ができるか?」

 「それは……」


 アキーダはその言葉の意味を理解しているのか口が止まる。アキーダが俺達と共にこの街を出たらその有力者とやらが黙っていない。勿論俺達が力づくでいけば報復が来るような事もないだろうが、アキーダの姉であるコロネーション、そして巨人族との交流に関しては影響を免れない。姉の事を考えて良心があれば即決にはなるまい。


 「こちらとしても二十柱を軽く見るような態度やふるまい、出禁となった九兵衛さんの事を考えお前さんと九兵衛さんを引き合わせてもいいとは思っている。だが巨人族との交流もあるしお前さんの姉に無断でやるには抵抗がある」

 「そ、それならこれならどうですか?私の元婚約者であるギュイヨン家はあなたがた二十柱を軽視する派閥のトップを担っています。魚人族こそ至高と考え、それ以外は下という思想を街に植え付けていています。二十柱としてそれを見過ごす事はできないのでは?」

 「それは初耳だな。つまりそいつらを片付けて俺達の力を見せれば俺達に舐めた態度をとるような事もなくなりお前さんも自由に街を出て九兵衛さんと仲良くできるというわけだな」


 一石二鳥でお互いウィンウィンとでも言いたのだろうが今は無駄な面倒を起こすべきではない。偽神との戦いもあるし余計な問題を抱えたくはない。


 「はい、今後二十柱が支配していく世界にそのような考えを持つ輩はいらないでしょう?」

 「随分過激じゃないか~婚約者に情はないのか?」

 「あれは仕方なしの婚約……未練はありません!」

 「そうか……だが今は駄目だな。面倒を抱え込むには都合の悪い時期だ」

 「そんな……それでは困るんです!」


 急に焦りだすような態度を見せ声を荒げる。


 「落ち着け……連れ出さないとは言ってない!一度九兵衛さんのとこに戻ってだな……」

 「それでは時間が……」

 「その問題ぐらい簡単に解決できるんじゃないかしら?」


 後ろから声が聞こえると同時に立花が来た。


またアップできる時にあげます。

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