冒険者ギルド
読みにくいとこ多そうなのであったら言ってください。
ギルドに入り受付を探した。ギルドの中は賑わっており、依頼を受ける者や素材を交換する者、雑談している者と様々だが中の雰囲気は悪くない。この光景を見ていると、また昔のように仲間と集まって色々やりたくなってくる。
受付のお姉さんらしき人を見つけたので早速聞きに行く。
「すいません、魔石や素材の交換はどちらの受付ですか?」
「見ない顔ですね。冒険者の方ですか?」
受付のお姉さんには俺達が物珍しく見えたのか色眼鏡で見られているようだ。
「いえ、冒険者ではないです」
「そうでしたか。では右側の一番奥の受付でお願いします」
奥の受付に案内されるとそこにはごついおっさんが立っていた。肌は褐色で頭は光輝くごっついおっさんで、強そうな外見をしている。
「魔石や素材の売り替えをお願いしたい」
「ふむ、では早速だしてもらいたい」
とりあえず迷宮三五〇階から五〇〇階あたりのから出すか。
宝物庫からがどんどん素材や魔石を取り出しいった。俺の出していく姿を見て、おっさんはどんどん青ざめた顔をしていくが気にせず取り出していった。
「まだあるがとりあえず三割ほどだ」
「ふむ……黒の魔結晶に白の魔結晶、鉄巨人の核、ダークベヒモスの角、冥龍の牙……お前ら何者だ?」
無理もない、これだけの素材を見て顔色を変えずにはいられないだろう。
「そこは触れないでいただけると嬉しいわ……」
「とはいってもな……お前ら冒険者じゃないんだろ?そんな伝説級の素材持っている以上野放しにはできないんだが……」
男は怪訝そうな顔でこちらを見る。やはり簡単にすんなりいかないか……
「それはどういう意味だ?」
「いや、ぜひ冒険者ギルドに入ってもらいたいということだ」
まぁそうなるよな、しかしこっちとしてもそれは無理な相談である。この国でそんなことして色々騒ぎになれば出るのも面倒になるからだ。
「それはお断りしたい案件ね。こっちも事情があって少なくともこの国でギルドに入る気はないわ」
するとおっさんは少し考え代案を出してきた。
「うーん、だったら冒険者ギルドの総本山である中立都市ギャラントプルームで登録しないか?もちろん俺が総長に直接連絡して、あんたらが見られたら面倒な情報やステータス面や称号等を秘匿できるギルドカードの作成もする」
このおっさん頭は悪くないようだ。俺達がギルドに入りたくない理由をしっかり理解しているな。ギルドに入りたくない一番の理由はステータス面や称号を覗かれることにある。普段は立花の認識阻害の異能や高位の魔法で覗かれるのを防いでいるが、作成するときは当然見られてしまうし、それがギルド中に広まれば冒険者ギルドがいかに中立だとしてもかなり面倒なことになる。
「あんたするどいね。でももし俺達がギルドを壊すような存在だったらどうするんだ?あんたの責任問題になるぞ?」
「いや、それがだな……俺も総長から伝説級の素材を持ったカップルが現れたら俺の元に連れてくるようにって言われててさ。一月前から来るまでしばらく素材交換所で仕事をしてくれと言われたんだ」
その言葉に二人は反応する。その総長ってのは一体……
「ねぇその総長の名は?あなたと総長の関係は?」
「ああ、総長の名は高天原九兵衛で俺はシルキーサリヴァンだ。ここのギルドマスターで総長の元ボディーガードをしていた」
「なるほどね……それなら納得だわ」
立花はその名前を聞いてある程度察したらしい。
高天原九兵衛……その名を聞いて記憶がまた蘇りだす。それはかって彼が仲間に入った時のことだ。陥没した大地とおぞましいほどの死体……そこで彼は俺を待っていた。同じ神殺しとして俺達のサポートのために派遣され、その日から背中を預ける仲間となった。
その日の記憶が脳裏に浮かぶ。
「九兵衛さんあなたが本当に来てくれるのですか?」
「ああ、黒姫やランスロットにも頼まれているからね~それに僕と君は同胞だ……頼まれずとも君の旅に同行するつもりだったよ~魔神の誕生に祝杯を!」
「ははっ、まだ俺は完全ではないので」
「ふふっ、そのために僕が同行するのさ~」
俺達が作った騎士団のメンバーであり、二十柱の神殺しの一角、巨人族始祖である初代巨人王の力を受け継いだ男。
「思い出したよ、九兵衛さんが待っているならギャラントプルームまでいく」
「やはり知り合いか」
「昔共に戦った仲間だからな」
「なるほどな、とりあえず素材は全部確認したうえでお金に換算する。とりあえずギルドのVIPルームで待っててもらいたいのだがいいか?」
「了解した」
シルキーサリヴァンにVIPルームに案内され、そこで素材が現金換算されるのを待っていた。
「まさか九兵衛さんが冒険者ギルドの総長とは……」
さすがと言うべきか。
「ええ、びっくりね」
「あの男も九兵衛さんの部下なら信用してもいいかもな」
「ただあの男が知っているかね」
「ああ……」
そう、九兵衛さんが神殺しなどというこの世界での異端行為をしていたことを知っているかだ。この世界では大半の人がダーレー教を信仰しているし、それはつまり二十柱は人間族の敵だという事を意味する。宗教への信仰心の強いこの世界でそれを簡単に受け入れられるかだ。
「お待たせしたな」
シルキーサリヴァンが扉を開けて入ってきた。
「とりあえずお金の換算だが白金貨が五十二枚、金貨が六十六枚、銀貨が五十二枚、大銅貨が四十四枚、銅貨が三十枚ってとこだ。ちなみに中貴族よりの蓄えがだいたい白金貨五〇〇枚ってとこだな」
まじか……残りの素材はもっとレアだろうから全部売ったら……ちなみに貨幣の事を詳しく聞いた所、銅貨十枚で大銅貨一枚、大銅貨十枚で銀貨一枚、銀貨百枚で金貨一枚、金貨百枚で白金貨一枚だ。
「ちなみにここでの換金はこれ以上資金的にすぐには無理だ……もっと強い魔物のレートはここじゃつけられん。」
まだ半分もだしてないのにギルドの資金運用に影響するレベルのなのか……
「あら、まだ全部じゃないって気づいてた?」
「なんとなくな。あとこれはここだけの話だが……神殺しのことは隠しておけ。話は聞いているが、あんたら総長同様二十柱で魔神と大賢者だろ?」
シルキーサリヴァンはやはり知っていたようだ。まぁ俺達を自分の元に連れてくるよう指令をだしている以上知っていて当然っちゃ当然だな。
「知っていたんだな」
「ああ、総長に来る二人のことを聞いていたからな。俺はダーレー教が嫌いでね……一応反逆罪にならによう隠しているし、無宗教を貫いている。だから神殺しには割と賛成派だ」
人族だからって全員が全員信仰しているわけでないということか。反ダーレー教も探せば割とたくさんいるかもな。
「九兵衛さんの腹心はみなそんな感じなのかしら?」
「ああ、九兵衛さん正体を知るのは俺含め八人だ。この国のもう一つの大ギルドがファウンドという街にあるが、そこにいるギルドマスターのベーリングは俺同様総長の腹心。お前達が行っても話が通じるように連絡を入れておく。それと総長に言われた通り、仮だがVIPランクの発行もしておこう」
「VIPランク?」
「冒険者のランクは実力に応じて銅、鉄、銀、金、白金、黒というランクに分かれている。黒は九兵衛さんのみだが、それと同等のランクの発行してもらえる。当然縛りはないし、どこのギルドでもVIP待遇だ。依頼の強制なんかは九兵衛さん頼みごとを聞く感じ以外ではない」
それは悪くない条件だ。もっとも九兵衛さんは俺達が飲むような条件をあらかじめわかった上でだしているわけだが。
「それはいいわね。その申し出なら受けてもいいわ。というか随分準備がいいけど、それは九兵衛さんがあなたにこうなることを見越してのことかしら?」
「そうだ、ちなみに同等ランクの発行は初らしい。白金はギルド職員では俺達腹心八人ともう二人の計十人と冒険者扱いなのが十人だ」
白金クラスになるとそれぐらい少なくても当然か。
「そのファウンドまではどれぐらいかかる?俺達はファラリス連邦の首都ファラモンドのレガリアの大迷宮を目指しているが、ギャラントプルームにも行きたい」
「それだったらこのコジーンからファウンドは馬車直行便がでてる。ファウンドからは船でファラリス連邦の港町ミゴリに行き、そこからファラモンドに行くか。もしくはファウンドからラグーサの大森林を抜けてギャラントプルームまでいくかだな。ファラモンドとギャラントプルーム間はそこそこ離れているしどっちを先にするかだが、どのみちラグーサの大森林を通らないといけないからな。どちらでもいいが、今の世界を把握してないなら九兵衛さんとこに先に行くのもありだし、果たしたい目的があるならファラリス連邦に行ってもいい」
「なるほど、そのラグーサ大森林はでかいのか?」
「ああ、妖精の国や魔族の大陸にいくのにもそこを通らないとだし、ギャラントプルームを囲うように森が存在しており、ギャラントプルームに入るにはアホヌーラ山脈を越えるか大森林に入るかなんだ。もっともギャラントプルームからファウンドまでの道とファラリス連邦領へいく道は、それぞれ森林内でも整備がされているがな」
どっちにするか迷うな……森を二回通るのは面倒そうだが、九兵衛さんに会うのも大事だ。
「立花、どうする?」
「そうね……取り敢えずファウンドに向かい、その後はその時に考えるのはどうかしら?」
確かに……ファウンドに着くまでに決めた方へ行くのに不都合な事態が起こらないともわからない。ファウンドに着いて、そこのギルドマスターから話を聞いてから決めるのも悪くない。
「そうするか」
「わかった。ファラモンドからギャラントプルームに入る場合は、総長の腹心のいる街タウィーに行ってから森に入るといい」
「ありがとう、そうさせてもらうわ」
「了解、一応お前たちが通りそうな街には連絡を入れておくよ」
思わぬ形で今後向かうルートを確立できたのは僥倖だったと言えるだろう。かつての仲間との合流は目的達成に近づく。しかし俺達が来るのは予期していたところを見ると、後ろに黒姫がいて俺達を引き合わせるつもりがあるということだ。つまりこの先起こりえる幸運も不運も、あらかじめあの人に仕組まれているものだという可能性がでてくる。
ただそれはごめんだ……
「俺達があんたの思惑通りに動き続けると思わないことだな……」
それを強く決意しギルドを後にした。
感想により追記(2020/02/05)
この世界の通貨と日本円比較について
銅貨一枚→一円
大銅貨一枚→十円
銀貨一枚→百円
金貨一枚→一万円
白金貨一枚→百万円
ぐらいで考えといてくださいな~
また後々の話でレート的におかしいなと思う点がございましたら感想にてご指摘いただけると嬉しいです。