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王との対話

陣の話はこれにて一旦〆です。

 「あなたがあの宇宙最強の!?」

 「うむ、色々あって本体を封印しており満足に力を発揮することはできんがね」

 「周平はあなたに会いたがっていました」

 「だろうな、私に色々と聞いておきたいことがあったのだろう」

 「はい、自分の計画についても許可を頂きたかったと、それは……」


 それを言いかけるとルシファーはそれを当てる。


 「なっ……」

 「封印中で力は出せないとはいえ私はこの世界で起こりえた全てのことを知りえている、それはこの世界に残したこの思念体にも伝わる、特にあいつらの動向は常に見ているよ」


 確か全てを見通す能力を持っていると言っていたな、流石は二十柱の統率者であり宇宙最強の男だけのことはある。

 本来封印さえなければここに直接出向いて速攻で片付けられるらしいからな。


 「この戦い、聞けば聞くほど僕達は有利、そう思うのですが意味はあるのでしょうか?」

 

 二十柱は宇宙最強の証、その偽神どもとて二十柱に勝てるとは思えない、しかも複数こちらにいるのだから。


 「確かにこれだけ二十柱いれば負けないなんて思うだろううな、結論からいって負けはしないだろう」

 

 やはり、ということはこの戦いは……


 「だが百年前に全て終わるはずが終わらなかった、我が妻であるリンデントの予言が覆された!」


ということは二十柱ナンバー二の能力に抗う術を偽神達は持っているということか。


 「偽神の中に二十柱クラスの実力者がいるということですか?」

 「そうだな、私も前回見落としたが偽神共の最高神であるエクリプスは私がここに残した力を使って二十柱と同等の力を得ていた、私が封印から目覚めればすぐにでも私に戻るが今はそれができない!」

 「つまり直接殺らないといけないってことですか?」

 「ああ、前回は甘く見たせいで殲滅出来なかったが今は違うからな、もう舐めはしない!かつて私が面倒を見てこの地の管理を任せた男だが奴は私を裏切った!我が盟友であるアファームドをアーシアを使って倒させたどころか同胞たるシンも周平も……」


 ルシファーは声を荒げた、周平の話では全能の王なんて言うぐらいだ、自分の計算を違え同胞を失うようなことをしてしまったのが許せないのだろう。


 「まぁここまで来るのに百年以上かかったが、結果君と言う存在にも出会えた、これは周平が転生した結果によるものだ」

 「ですね、あまり喜んでいいかわかりませんが周平とも出会うことができましたし」

 「そこで改めて君に二十柱として生きるという覚悟はあるかを問いたい」


 先代のこともあるからな、俺はたかだか十数年しか生きていない若造だ、力はともかくその資質や人格を問われて自信をもってはいと言えない。

 だが俺も変えたい世界がある、俺がここに来て見て感じてきたことを踏まえて二十柱にならないといけないんだ。


 「正直俺にその資格があるかと言われればわかりません、あの時俺は感情に任せてゼラの奴を殺そうとした……まだ感情のコントロールについて自信はありません、でも俺は二十柱になってやりたいことがあります」

 「それは何だ?」

 「理不尽に召喚される勇者をこれ以上増やさないこと、他の世界でもこういうことが起きているなら止めないといけない……そしてわからせたい!」


 もし不当な扱いを受ける勇者が他の世界にもいるなら俺はそれを止める、闇に勇者がいればそいつを闇に堕とした奴らを殲滅し勇者をも救う。


「ふっ、聞かずとも分かっていたがつい口に出させてしまったな、元々勇者召喚システムは封印中の私が助けを出せない世界に送り込んで世界を救ってもらったり色んなデータを取る為に作ったシステムだ。今後そのシステムを停止させる気はないがその運営や管理なんかにも携わってもらいたい」

 「はい、よろしくお願いします!」

 「あれもそうだがもう私は君を認めている、この世界が終わったら後に他の世界で百年ぐらい研修なんかをしてもらうけどそれはまた今度話そうか」


 話が終わり祭壇のある小さな部屋に連れていかれた、真ん中にある光る何かがこの力の根源たるものなのだろう。


 「さぁこれに触れて、もし適合者じゃないものが触れれば拒否反応で死が訪れるかもだが君は大丈夫だ」


 ニヤニヤしながらそんなこと言われると少し不安だがあれが俺を求めている気がするし大丈夫だろう。


 「じゃあ早速……」

 「あっ!」

 「ど、どうしました?」

 「君が他の同胞から賛成票を貰ってたけど私がオーケーということは図書館ザ・マスターや戦神、幻術王の三人はオーケーということだ、あの三人はこの件については私に同意をしていたからね」


 つまり十票獲得で今十七票しか有効票がないから確定ということだな。


 「あなたに意見をする者などいるのですか?」

 「う~ん……物にもよるが同胞内では基本的に話し合いをしてできるだけ周りが納得してくれた上で方針を決めようってことにしているからな、ただこの件に関してはその三人は既に私に任せると言ってくれたということだ、妻のリンデントや盟友のアファームド、統轄をしてるランスロットなんかは自分の意見をしっかり述べるからな」

 「二十柱の中でも発言力のあるないはあるのですね~」

 「ああ、強さの序列でも私、リンデント、アファームドでその下は団子だ、ランスロットは古いし大半が師事してるから発言力は強い」


 確か周平や立花さんもそのランスロットって人に師事していたな。


 「俺もその人に教わる感じですかね?」

 「ああ、奴に師事してもらうよ、君は基礎がまだまだ未熟だからな」

 「わかりました」


 水を差される感じになったが祭壇の光に手を伸ばす。


 「うっ……」


 何かが俺の中に入っていく、光が大きくなり部屋中に広がる。


 「私の役目はひとまず終わりだ……また天上で会おう」


 ルシファーは背を向き消えていく。


 「えっ、ルシファーさん!」

 「周平に伝えてくれ、私は君の全てを理解してるしその考えも肯定する、思った通りにやり給えと」

 「それはわかりましたけど折角だし再会すれば……」

 「それは無理だ……周平に聞けばわかるがな」


 ルシファーはそのまま消えていった。


 「まぁいいか……それより今は……」


 入ってくる大きな力をこの体で受け止める。


 「うおぉぉぉぉ!」


 拒否しては駄目だ、この力を受け入れるのだ!

 お前はもう二十柱が一角、第十四の運命の天魔なのだ。


 「はい!」


 ルシファーらしきその声に従い全力で受け止める。

 そのたった数分の時間がどれだけ長く感じただろうか?

 俺はただ無心になって入ってくる力を受け入れたのだ。


 「これが……」


 天魔になった時自身にみなぎる力の大きさに驚愕したが今はそれ以上だ、その気になれば世界なんて簡単に崩壊させることができるだろう。


 「周平達の立つ世界か……」


 これだけの力があれば全ての生き物がちっぽけに見えるのかもしれないな。


 「うん?」


 俺の周りに転移陣が出現し移動が始まった。

 そのまま洞窟の入り口に移動すると周平やダークロナルドが待っていた。


 「よっ!その力、どうやら上手くいったようだな」

 「見事、魔神の言った通りになるとはな」

 「ハハッ、なんとかな……」


 上手くいったとはいえ体はクタクタだ、まだ体が慣れていないのだろう。


 「それでルシファーさんにはあったか?」

 「ああ、その話もするよ」


 一連の流れを話すと周平はそのことに驚愕していた。


 「フッ、上手くいくとは思っていたけどここまでとはな……」

 「どういうことだ?」

 「ルシファーさんは適合者にしか姿を見せない、というか見せられないんだよ」

 

 適合者ににしか姿を見せられない……俺は入った時点でもう会話をしていた、まさか……


 「それってあそこに入った時点で適合していたってことか?」

 「ああ、その回復したのもお前がやられてもヴァダモスを倒すまでエンドレスだったってことさ」


 つまり出来レースだったのか、俺がいくら倒れて致命傷を受けても体は再生し続ける、PP無限の状態……とにかく何回死んでもいいから倒せば良かったのか。

 そもそも倒す必要すらなかった。


 「そもそもヴァダモスを倒すというよりあれと対峙したことで力に目覚めればそれで終わりだったわけか……気付かんかったな~」

 「ハハッ、まぁ良かったじゃねぇか、その能力も中々に恐ろしい能力だしな」

 「まぁな、それでお前があの人に会えないってのはどういうことだ?俺は普通にあったが」

 「あれは昔あそこを訪れる適合者の為に置いた思念がたまたまバリアを貼られた後も本体とつながり機能できていたって感じなんだけど、あそこは試練受ける人しか入れないからな、偽神共をガードする為か俺でも無理なんだ」

 「なるほどな、それであの人がお前の考えを肯定し全て許可すると言っていたよ」

 「そうか、なら良かったよ」


 周平はホッとしたような表情を見せる、確かに周平に言われたあれは実行すると色々と面倒なことになりそうだからな。



 ◇



 ここは眠らずの地……旧レイルリンク王国の首都シカンブル、その地の遺跡の奥深くにあるとある石室にて大きな動きがあった。


 ゴゴゴッ……


 その石室が光だし大きな爆発が起きた。


 「ここは……」


 目覚めたのはかつての大戦で二十柱の勝利を邪魔し裏切り者とまで言われた悲劇の王女、二十柱の一角たる大天使の力に目覚めながらも隙をつかれ結果三人もの二十柱の殺してしまったアーシア・フォン・レイルリンク。


 「そう……とうとう目覚めたのね……私は……」


 まだ十代後半だった少女がその行いを全て受け止めるのは難しいかもしれない。

 操られたとはいえ彼女にはその血塗られた記憶が頭に残っていた。


 「ガルカドール卿、周平君、シンさん、そして国のみんな……」


 少女がしたことは許されることではない、それでも彼女は決意していた。

 封印されていた百年の間にさんざん泣き後悔と葛藤に苦しんだ、彼女の傷を癒すにはちょうどいい時間だったともいえるだろう。


 「それでもやらなくちゃ……」


 この百年の封印の間に力を完全なものに近づけていた、かつての失敗を繰り返さない為に。


 「私を操ったあいつらを倒し私はこの地に慈愛捧げる……それが私に出来る唯一の償いだから!」


 少女は翼を開きその地を飛び立った。


 

次の話はまだ決めてません(笑)

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