神兵ヴァダモス
続きです~
陣は途中の魔物をもろともせず進んでいく、二層のティアマト、三層のリヴァイアサン、四層のアジ・ダハーカと層を守る神獣クラスの魔物も第十位階魔法を武器に攻略していった。
そんな陣のステータスだが
宗田・アロゲート・陣
レベル:450
種族:天魔
職業:天魔
攻撃:400000
防御:380000
魔法攻撃:420000
魔法防御:420000
素早さ:380000
魔力:420000
ギフト:身体強化、成長速度UP、魔法適性、戦士適性
異能:波動砲(AA)、視魔眼(AA)
称号:ハイブリットの申し子、血塗られた勇者、奇跡の子
戦姫をも超えるこのステータスだ……二十柱にならないでも世界一つの統治をできるほどに強い。
偽神を除けば二十柱の脅威になるような存在はいないからな。
「そういや何で異能を二つも?十個持ってる俺が言うのもなんだがAAランクの異能はそう簡単に得られるものではないぞ」
「ああ、パールダイヴァーで天魔となってアロゲートの名前を貰った時についでに貰ったんだ。最奥にいる天使が保有してたみたいでさ、役目を終えたからってくれたんだ」
「へぇ~」
「私のステータスを遥かに超えるとは確かに挑戦するに値するな」
というかこの場所に来た挑戦者なんざ果たしているのか?
こんな隠された場所で普通に強い番人がいるんだし気付いてここまでありつけたのがいるとは思えんが。
「そいや前にこの試練を受けた奴なんているのか?」
「ちらほらいたぞ、まぁ全員断念したがな」
「それはつまりダークアヴェンジャー状態のあんたを倒して会話するまではいったってことだよな?」
「うむ、最近だとあの男女のペアが来たよ、五十年以上前だがあの二人は中々に異彩を放っていたよ」
男女のペアね……最後の末路が気になるところだな。
「確か地球人で勇者と言っていたな、なんでも使い捨てられそうになったから逃亡生活してて偶然見つけたとか」
二代目勇者は王国を裏切ったことで命を狙われ死んだって噂だったけど二人は生きていたってことか?
「へぇ~そんでそいつらはどうなったんだ?」
「それが能力的にキツイだろうし一層でリタイアかと思いきやコンビネーションと機転を利かせてこの五層まで辿り着いたさ、流石にヴァダモスはヤバさ感じて断念してそのまま帰っていったがな」
「それじゃあその後の足取りは知らない感じか~」
「流石にな……ただ戦神の丘を目指しに魔大陸入るとは言っていたがな」
そいつらマジで何者だよ……戦神の丘を知ってるのもびっくりだけどなんでそこ目指そうとしたのか気になるな。
元の世界に帰る為の方法として考えついたのか……
「周平、そろそろいけるぜ」
五層の最後の扉の前で休憩をとっていた、難なくここまでこれたとはいえ最後のヴァダモスは格が違う。
そもそも陣のステータスをもってしてもヴァダモスを倒すことはできないだろう、ただ勝てないまでもその資質と強さを見せるのが試練となる。
「待てよ……」
確かヴァダモスとの戦いで試練が認められれば天王ルシファーとの会話をすることができたはず。
現段階では数少ないルシファーとのアプローチ方法だ、ロードリオンのあの能力があれば会話は可能だがあれは少し面倒だからな。
「試練に打ち勝った後の話だが二十柱の王ともいえる人と会話ができる、そこでこの世界にいない二十柱の票の確認と俺がお前に話したあれについてどう思うか聞いてほしい」
「オーケー、というか始まる前から終わった後の話とか成功前提かい」
「当然だ、それじゃあ頑張れよ」
中に入れるのは試練を受ける者のみ、俺やダークロナルドは入ることを許されていない。
「それじゃあ行ってくる」
◇
扉を開けるとキラキラ光る全部が水晶で出来たような大きな部屋に入る、真ん中には小さな子供が立っていた。
「あれは……」
おそるおそる進んでいくと子供は声を出す。
「お前は試練を受けにここに来たのか?」
「ああ、お前がヴァダモスか?」
「否、我はヴァダモスにあらず!お前は試練を受ける資格がある、よって試練を開始しよう」
「おう!」
この子供がヴァダモスじゃないってことはどんな奴なんだ?周平やダークロナルドは人形と言っていたが……
「なんだ……」
ゴゴゴッと大きな音が響く、フィールドの奥の方の地面が裂けそこから何かが顔を出す。
紫色の体に不気味に刻まれた線から青白い光を放っている、紅く光りながらこちらを不気味に見つめる眼……というか嘘だろ……
体は体長二十メートルはあるだろうその体……巨人じゃないんだから……
「ではこれから試練を始めるぞ」
「お、おう……ばちこいや!」
とは言ったが中々にヤバいな……今まで殺ってきた奴とは格が違うわ。
天魔モードになるか……
「いくぞ!」
灰色の翼を具現化させ空中に飛翔する。
「バオール!」
多少なりとも耐性をつけなくてはいけないな。
「まずは挨拶だ、ゼロディメンスィオ!」
あんだけデカいんだ、体の一部を消滅させれるかどうかだな。
体の一部を消失させる、だが消滅するどころか魔法が消失したのだ。
「おいおい嘘だろ……」
「一つだけ教えてやろう、ヴァダモスの体はハマジクと魔力の海が常時発動していると考えてよい、つまり大半の魔法はやつにはきかん」
「なんだって……」
おいおいそんなんありかよ、つまりあの体自体が第十位階魔法までの魔法を受け付けてないってことか、なら……
「ならこれでどうだ、神宴の雷槍!」
神魔法なら無効にできまい、立花ちゃんに聞いといてよかったぜ。
大いなる雷の槍がヴァダモスの胸に向かって飛んでいく。
「いっけぇぇぇ!」
雷の槍はヴァダモスに直撃、大きいだけにこの空間では自由に動けないのか攻撃を当てるのはさほど難しくない感じだ、だが効いているかどうかは微妙だ……
「君はレインボーウルフで何も学んでいないのかい?確かに神魔法はその属性に耐性があるものでも大半の敵にはそれを無効にして与えられる、だが神魔法は二十柱クラスの域に達した者が放つことでさらに能力を上げる……君のじゃヴァダモスの属性耐性を貫通できないよ!」
クソ……いちいち横からうるさいな……
「ならこれだ!大いなる神罰!」
無属性のこれなら多少は違うはずだ……どうだ。
「グホッ!」
少しよろけたし無属性の光の裁きは多少は効くようだな、だが大きなダメージがあるわけでもないようだ。
「あ、そうそう言わなかったけどここでのヴァダモスは移動をしない代わりに魔法攻撃に関してはカウンターが返ってくるんだ。それも倍返しでね!」
「何!」
俺の前にあの光が現れる、嘘だろ……あんなん倍でくらったら……
「ちっ……遥か高き塔!」
俺の周りを鉄壁の塔が塞ぐ、だがこれだけでは足らない。
「インフィニティシールド!」
これなら防げるはずだ。
「果たしてどうかな?」
光の裁きが俺に襲い掛かると塔を破壊し俺の周りのシールドを破壊しようと襲い掛かる。
「ぐっ……耐えろ!」
俺のシールドを容赦なく破壊したがそこで魔法は終わった、なんとか無傷だ。
「はぁはぁ……嘘だろ……」
あんなもんまともにくらった流石にマズイ、ノーガードであのクラスの神魔法を倍の威力で喰らったら俺でも無理だ。
「取り合えず魔法で攻めるのは無謀だな……ならこっちか……」
偽りの魔剣アベルを手に直接戦闘にシフトした。
「いくぞ!光闇剣!」
直接攻撃で何処まで与えられるか……比較的柔らかそうなひざ関節の側部を狙う。
「おらぁ!」
確かに少し柔らかそうな部分は狙いしっかりそこに入った、だがその部分も固く斬撃も通らない。
「嘘だろ……」
動きが止まったその一瞬のことだった、上から大きな手が飛んでくるのがわかった。
「まずい……」
とっさにバックし避けたので間一髪だった、掠りそうになったことでわかったがあの手には魔法破壊の能力が付与されている、避けるときシールドが一部かき消されるような感覚があった。
「つーか腕の動きも普通に速いのな……」
頑丈が取り柄の動かないデカブツだと思ったがそうではないようだ。
「さてどうするか……」
まともにやったってあんなのには勝てない、試練の一環だしあれが二十柱と同等ならはなっから勝ち目はない。
つまり何かをすればクリアなはずだ。
「考えろ陣、あいつをよく見るんだ……」
あいつのあの体はどうなっているどこか違和感が……そうかあの胸の乳首の部分だ。
「あそこ、光っていて何かのスイッチになっていやしないか……」
そうかもしかしたら……
「おおっ、行くぜ!」
飛翔し奴の乳首をよく見る。
「やはり何か押すスイッチが……」
飛び回り隙を見て試しにスイッチを狙ってみる。
「よしこれを犠牲にするか……」
アイテム袋から剣を取り出す、当然使ってないいらない剣だ、これに俺の力を込めると耐えきれず一回何かに振れれば砕けるだろう。
だがその一回で十分だ。
「行くぞ!」
まずは右側の乳首を狙う、当然向こうもそれを払おうと狙ってくる。
「こいつは確かに速いが別に避けれないわけでもない、図体がデカいから狙いもすぐわかるからな」
手が当たらないよう飛び回って避ける、あいつが両手を下に払った時が狙い目だ。
「そろそろ頼むぜ~」
あいつの両腕が上がったその時だ、胸部分の前で動きを一旦止める、ちょうど真ん中にいることで奴の両腕が俺に向かって一斉に飛んでくる。
「よし今だ!」
その一瞬で奴の右側の乳首に向かって思いっきりパンチをするとスイッチが動き後ろに後退する。
押した方の光の点滅がなくなった、そして奴の腕が飛んでくるその前にさっき力を付与した剣を投げ片方の乳首へと飛ばす。
「いっけぇぇぇぇ!」
飛んだ剣はそのままもう片方のスイッチに向かって飛んでいく、よしと思ったその瞬間それが絶望に変わる。
「嘘……」
剣が突き刺さるその瞬間スイッチの周りにバリアが発生し剣を弾いたのだ。
「くそ……」
そのまま逃げようと背中を見せたその刹那、俺の動きが止まる。
「えっ……」
口から血が……どういうことだ、そうかあいつの目からレーザー光線が飛んできて俺に貫通を……クソ体があつい、今の俺の体を貫通するレーザーってやばすぎだろ。
あっマズイな……あの手が俺に……
一瞬止まったせいかやつの腕から俺は逃げられずそのまま直撃……魔法効果を破壊する高威力の無慈悲な手は全身骨折も辞さないぐらいの衝撃を俺に与え壁に打ち付けられたのだ。
「う、嘘だろ……」
「あいつのステータスはオール一千万を超える、そもそも倒させる試練じゃないと考えスイッチを狙ったのは正解だ……だが少し軽率過ぎたようだね」
ごちゃごちゃとうるさい声が聞こえやがる、クソ体が動かないだけじゃなく痛みも感じない。
ヤバイ意識が……俺はこんなところで終わるわけには……
他にも書いているのでよかったら見て感想とか評価くれたら嬉しいです。




