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試練の始まり

五章スタートです

 「ここだよ」

 「へぇ~確かに多々ならぬオーラが漂ってくるね~」


 あれから時間が経ちある程度安定してきたのでギャラントプルームに戻った、昨日は落ち着いたということでみんなで祝賀会なんかをして盛り上がった。

 だがそうノロノロしているわけにもいかず早速動き出した。


 今陣と共に立花のゲートによってアホヌーラ山脈のあの場所へと移動した、最初は立花と三人でという話であったが陣の連れであるジャッジ・アンジェルーチが駄々をこねたので男だけで行くということになった。

 流石にあのダークエルフも今回は御呼ばれではないからな。


 「まぁ気楽にいこうか」

 「おう!」


 緊急要件がない限りは二日後にゲートを開いてきてくれる、一日で終わると思ったが念には念をで二日にしたのだ。


 「しかし俺が記憶を取り戻し絶対的な力を得てもなお俺の隣を歩こうとしてくれるとはな……」

 「へっ、お前の相棒の座は立花ちゃんにも渡さねぇよ」

 「まぁ比翼連理な俺と立花だけに妙に対抗意識をいだいていたな」


 まぁ男相手に本気で嫉妬するような奴ではないから口だけだとは思うがね。

 中に入ると早速魔物達がお出ましだ、だが陣だけでも十分……それほどまでに陣は強い。


 「あのデカいやつ今日の昼飯にすっか?」

 「ダークベヒーモスか?特別うまくはないけど焼いて塩コショウつければいけるな」

 「オッケー、それじゃあ……グランドクロス!」


 第八位階魔法を無詠唱、流石は陣だ。

 ベヒーモスにそのまま直撃すると壁に打ち付けられそのまま息絶えた。


 「そんじゃああいつ解体すっか~」


 適当に食えそうな部分だけ切り取り俺の宝物庫シャッカンマに入れる。

 最近使ってなかったけどこの異能便利過ぎてヤバいわ~

 もっと使用していない異能を使っていきたいんだがどうにも相手が弱すぎるんだよな……下手に異能使うより拳で十分だし。


 「そういや脱走後パールダイヴァーに行くまではどういう経路を使ったんだ?」

 「ああ、シンさんに港を案内されたからそのまま船奪って上陸。初めての船旅で酔っちゃってな~」

 「ああ、わかるわ~それで?」

 「結局はいちゃってさ~最後は魔法で平衡感覚を一定にしてやり過ごしたよ」


 いくら強くなっても初めての船酔いには勝てなかったか……

 俺も昔飛空船に初めて乗った時同じような経験したから気持ちはよくわかるわ~


 「そうか、でもまぁいい経験になったな。これで船乗ってる時に襲われても万全の状態で戦えるし」

 「だな、それで魔大陸上陸後はビックリの連続だったぜ~最初は名前の通りどんな奴らが住んでいるのかと思えば人間も普通に住んでるし他種族共存ってのが何より驚いたよ」

 

 魔大陸の南部は特に逃げてきたような人もいるだけに他種族共存で助け合いをしている街も多い。

 戦争の激化で街を追われることもしばしばあるからな。

 

「魔族はそこまで多種排斥って感じではないしな、そもそも魔大陸なんて言われてるけどいろんな種族が住んでる、巨人族や魚人族なんかもいるはずさ」

 「へぇ~そんなのいるんだな。そういえば九兵衛さんって巨人王だったな、ファンタジーとかでよく聞くドワーフもいるのか?」

 「ここにドワーフはいないね、この世界は人間除くと元々上位種族だったのしかいないからな」


 ドワーフってのはファンタジーでよく聞く種族で鍛冶等の物づくりに優れている、他の世界では数多く存在しているがこのエクリプスは少し事情が違う。


 「上位種族?」

 「ああ、二十柱確立以前にそのクラスの力を保有していた王がいた種族のことさ」


 そもそも二十柱が確立される前の時代でそれに値する力を持っていた種族が上位種族として君臨している感じだな。

 竜王、鬼神、魔神、大天使、妖精王、悪魔帝、獣王、巨人王、人魚姫の九種族。

 種族としてのくくりに入れるのが微妙な精霊王をいれた十種が上位種族となる。

 千年以上前の上位種族同士で戦った神争で妖精王ロードリオンを除く全てが消滅したので大半がみな二代目だ。

 その後ルシファー黒姫夫妻が自分達の親しい者にその力を受け継がせることで二十柱を確立させた。

 その時にゴロのいい二十という数字にこだわったルシファーが、力の数に合わせて自身の力を分け与えて追加されたのが戦神、幻術王、図書館ザ・マスターの三人だ。

 ドワーフに関しては能力自体優れていたこともあり、二十柱にしようという動きがあったことで戦神ネレイデにドワーフの血を与えてドワーフ族の姿を与えたが、種族としての力があったわけではないので上位種族とはまた別だ。

 ちなみに人間は一応下位種族という分類だが繁殖力が高く平均的で他の種族の力を継承するような順応性が優れている、一応というのは人の中でも特殊な力を持った古代人は上位種族にあたりその筆頭であったエデンの民とそれのリーダーであった大賢者は二十柱の一角になっているからだ。


 「ああ……古の時代に二十柱クラスの力を持つ王がいた種族が上位種族として君臨しているんだっけ?、種族を持たない二十柱もいるから全ての種族の王に二十柱がいるわけではないって話か」

 「そうだ、残りの不安定な枠はお前の狙う一枠だけだしな。かつて力を暴走させ消滅したダークエルフが一度ついていた曰くつきの一枠だ」


 ハーフが忌み嫌われることはよくあることだが禁断の恋とはどこの世界でもある話だ。

 悪魔族と妖精族の間に生まれた者をはダークエルフとされる、ダークエルフが特別忌み嫌われるのはダーレー教の歴史にもバイアリー教の歴史にも妖精の国の歴史にも悪く書かれているからだ。

 悪魔と妖精のハーフとしての爆発力から大きな力を持ったそいつは自身の力に過信し二十柱となる為の試練に挑んだ。

 結果力を取り込むことに成功して二十柱にはなったが二十柱が持つはずの力を発現することができず暴走、神争時に二つに分かれた二十柱同士の争いではルシファーの方についたものの敵だった初代人魚姫と味方だった初代巨人王ごと消滅し星一つを滅ぼす結果となった。


 「その話は聞いたがそいつはなんで力を得るところまで昇りつめたのに特有の力ってのを発現できなかったんだろうな?」

 「そこが下位種族が安易に二十柱になれなかった理由だろうな」

 「どういうことだ?」


 二十柱になれば得ることができる特有の力とは俺でいう戒律の特性に煉獄属性のことだ、シンは背信の特性に陰黒属性といった感じに二十柱になればそれを得ることができるのだがあのダークエルフは力を取り込むことが出来たのにもかかわらずそれを発現することが出来なかった。

 その理由に関して断定はできないが俺が考える要因は一つ。


 「種族としての力がなかったが故に発現できなかったのだろうな」


 ルシファーさんが三人を確立させる為に与えた物は種族云々を気にせず得た者に合わせて体に浸透していくやつだったがあの一枠は違う……本来それは誰かが得ているはずが何故か力だけ残って誰も適合者がいなかった天然物。

 それだけにそれを得る為の審査は厳しい、天然物だけにその人物の資質と力だけでなく種族をも見るのだろう。


 「種族?俺なんてよくわからないハイブリットだぜ?それが原因なら俺なんて無理な気が……」

 「それがそうでもないんだ」


 天使と悪魔という相反する二つの力から生まれる消滅を超えて確立した天魔は他の肺ブリットとはわけが違う。

 他のハイブリットを遥かに超える爆発力を得ているだけに格が違う、最強のハイブリットならあれを継承するのも不可能でないはずだ。


 「お前のは格が違う、それは俺が保証するから大丈夫だ」

 「まぁ俺もそう思ってここにいるからな~当然何聞いたって逃げる気はないさ」


 この時点で戦姫を超える能力……消滅に耐えて誕生したこの奇跡のような存在なら成功はほぼ間違いないのだから。


 「そろそろだな……」


 話しているうちに目的地の前に辿りついた、前回来た時は武器回収の為だったが今回は違う……果たしてどうなるか……



 ◇



 「陣と一緒に行きたかったのですが……」


 立花は周平達をアホヌーラ山脈へ連れて行ってからはギャラントプルームに戻りアンの相手をしていた。

 ずっと不服な顔でムスッとしてるアンをなだめていた。


 「フフッ、あなたと陣君はもう私達の組織に所属しているのよ~」

 「でも……私と陣は……」

 「はいはい~気持ちはわかるけど駄目よ、これはあなたを気遣ってのことのことよ」

 「どういうことかしら?」


 二十柱になる為の試練……彼女の実力ではそこに立ち入る資格すらない。

 別に彼女に限った話ではなく試練の中で戦うであろう神兵ヴァダモスとの立ち合いに許されるのは二十柱か戦姫クラスの実力を持つ者に限られる。

 あの一枠を守る為に図書館ザ・マスターを筆頭に二十柱複数で作成された最強の人形……初代大賢者がエデンの民と共に作った船と戦神がドワーフ達と作った玉と並ぶ三大兵器。


 「あの場所は資格のない者は立ち入れないわ、だから大人しく私の相手をして待っていなさい」

 「うっ……私だってそんなに弱くないのに~」


 ダークエルフとして生まれ持った高い能力に加えて生きる為に鍛錬を重ねてきたのだろう、確かに彼女の能力はかなりのものではある。


 「りっちゃん~」

 「あら里菜じゃない、どうしたの?」

 「陣君の女が来てると聞いて顔を見にきたの~」

 「こちらよ、といっても私達みたく正式ではないわ、まぁ時間の問題だと思うけどね~」


 里菜がこちらに来るとアンはつい顔を隠そうとするそぶりを見せる、ダークエルフが迫害されている故の行動だろうか。


 「凄~い美人だ!しかもおっぱいとかヤバいし……」


 里菜はそのまま近づき顔をに触れる。


 「キャッ……何を……」

 「よろしくね、私は宮本里菜です」

 「ジャッジ・アンジェルーチよ……いきなり触らないでくださいな」

 「ごめんごめん~だって可愛いんだもん」

 「フフッ、駄目よ里菜。彼女はシャイだから」


 里菜は可愛い子を見るとこうやって触れたがる、悪い癖ではあるがこの人懐っこい性格が周りからもよく思われていた。

 

 「あなたのお友達はみな気にしないのね……」

 「気にする理由がないわ、あなたが今所属する組織はこの世界では忌み嫌われた伝説的な存在が集まっている、あなたがダークエルフであることは問題ではない……それに万が一そんなことを気にするような輩がいるようなら……」


 種族間の差別などというくだらない真似をするようなら容赦はしない、もし仲間内にそういう思想を抱くようなのがいるなら排除するまで。


「責任をもって排除するわ……あなたを引き入れた責任は果たすわ」



出来る限り早く更新していきます。

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