四人の再会
最近投稿ペース遅くてすみません。
「あの時廊下で別れた以来か……」
陣は驚きを隠せない様子だ、それは俺も同様だが見た所随分と危ない力を手に入れたようだ。
「随分と偉そうで傲慢な姿じゃねぇか?」
灰色が混じった白い翼と光なのか闇なのかわからないオーラ……経緯はわかりかねるが禁忌である闇と光の融合ってやつに手を出したのだろう。
「そういうお前も得体の知れない力を感じるぜ!」
魔神モードへと姿を変える。
「フフッ、俺は元々こうさ」
陣の元へ歩み寄ろうとすると女がそれを塞ごうとする、見た所ダークエルフのようだが陣の女だろうか?
「安心してくれ、俺と奴は親友だ。構える必要も意味もない」
「それはどういう意味ですか?」
「そう敵意をだすな」
その程度の力では邪魔にすらならないということだがあえて火に油を注ぐような真似はしない。
「アン、周平の言う通りだ。武器をしまってくれ」
陣の言葉で武器をしまい下がる、その場は異様な空気に包まれていた。
魔神と落ちた天使とダークエルフ以外はみな死ぬか瀕死かという状態だ、騒ぎに乗じてここに侵入し暴れたのだろうが間一髪だったな。
ゼラの息はまだあるようだ。
「いい女見つけたな」
「ヘヘッ、そんなんじゃないさ。元気だったか周平!」
「ああなんとかな、そっちこそ暴れて魔大陸行ったなんて話を宮本から聞いたから心配したぞ!」
陣は屋上で俺に見せたような笑顔を見せる、そんな陣を見て改めて実感する。
姿形が多少変われど陣は陣だということを。
「宮本とは接触したのか?」
「ああ、保護してるよ」
「そっか、お互い色々積もる話があるようだな~だが……」
陣は一度会話を止め一呼吸置くと瀕死のゼラの方に目を向ける。
「何故この屑を守る?こいつは……」
「フフッ、まぁ俺の話を聞け、こいつを粛清するのはそれからでも遅くはないだろう?」
獣人族の革命は成功……シンによってアリダーは秘術を発動し元獣王ラムタラの魂を乗り移りさせ立ち上がった各街の獣人族が連邦軍を次々に打倒している。
首都ファラモンドも壊滅状態になるのも近い……この戦は大勝利だ。
「この国は今や半壊状態……俺の仲間達が介入し後処理をする、こいつの使い道はまだある」
「仲間?使い道?俺のこの国への憎しみは強い……俺を納得させられる内容なのか?」
憎しみ……確か投獄されて酷い目にあったと聞いているがそれほど強いということか……
「クールダウンしようぜ、こいつはお前が手を汚すに値しない」
陣がこいつに対して強い憎しみを持っているということは俺達は手を取り合うことが出来るということだ、これだけの強大な力を得ているのだし当然こちら側に来させる必要があるからな。
「クールダウン?俺達はこいつに……」
「わかってるさ、だが建設的に考えるのであればこいつを殺す必要はないぜ」
「建設的にか……ならこいつの処分はお前の話を聞いてからでも良さそうだな」
陣は拘束魔法でゼラを拘束する。
「外に凄い強い力を感じるんだがお前の仲間か?」
「ああ、俺の過去の話もお前にするさ。だがその前に感動の再会もしないといかんな」
暫くすると階段を駆け上がる音が聞こえてくる。
「はぁはぁ……上まで登るのに時間かかっちゃったよ周平く……」
ここまで一番早く登ってきた美里が言葉を失う。
「じ、陣君なの!?」
変わり果てた陣の姿に少し驚いている様子だ。
「よっ、元気か美里ちゃん~」
「周平君もだけどまさか陣君も前世は人間超えた超越者ってオチかしら?」
美里はジト目でこちら側を見る。
「前世?周平ことか?俺は後から得たのさ」
すると雪達が続いてやって来る。
「はぁはぁ……美里ちゃん早いよ……って陣君?」
「月島もご無沙汰だな」
後ろに嶋田達もやって来るが俺達を見て一歩引いた様子だ、雪は美里同様こちらに来る。
「これで無事再会だね~私達四人!」
雪が満面の笑みを浮かべる、そんな雪を見て俺もホッとしてしまう。
やっと再会できたんだと改めて実感する。
「だな、二人は周平と今まで一緒に行動していたのか?」
「ううん、周平君は私達を放って中学の時行方不明になった幼馴染兼前世の妻と再会してよろしくやってるわ」
「私達捨てられちゃったよね美里ちゃん……」
二人がニヤニヤしながらこちらを見る。
「周平そりゃどういうことだ?お前という奴は……」
「いやそれは……」
二人に何も言えないのが悲しき男の性か……
「立花はハーレム禁止なもので……」
「というわけで陣君私達周平君に捨てられたからもらって?」
「おいおい美里ちゃん~それ悪い話ではないが……」
すると陣の女と思われるダークエルフがこちらにやって来る。
「ジャッジ・アンジェルーチです、陣の相棒ですわ」
うわぁ、この姉ちゃんもハーレム厳禁か?すんごい対抗意識燃やしてるわ。
「陣君この人は?」
「ああ、魔大陸で助けてもらったダークエルフだ。一緒に旅をしている仲間だよ」
「凄い美人さんだね~おっぱいなんかすんごくデカい!」
「どれどれ……」
美里が後ろに下がりおっぱい揉む。
「ヒャア、やめてください~」
「これはけしからんな~」
美里が胸を揉む姿がなんともエロい、この姉ちゃんの乳に目が釘付けに……
「何楽しい事してるのかしら?」
「うわぁ!」
突然ゲートから立花が来たので思わず倒れる。
「り、立花か。脅かさないでくれよ~」
「フフッ、周平が人様の女の乳で欲情しているからつい脅かしたくなって……」
目つき怖いよ立花さん……それとおっぱいそんな強調せんでも……
「周平この人は?」
「中学の時行方知らずになった幼馴染で前世は夫婦だった神明立花だ」
「よろしくね、宗田陣君よね?その姿は周平の親友に相応しいわ」
「あ、どうも。こんな綺麗な人が妻とか周平流石だわ~」
お前の連れも雪も美里もかなりの上玉だがな、まぁうちの立花が一番だが……
「取りあえず話は後にしてこの場を治めましょうか」
◇
暫くすると首都に来ているメンバーが集結した。
空から雄々とここまで来たシンとラムタラは上空から首都にいた精鋭たちを倒し獣人族を覚醒させた。
九兵衛さんとザルはアルアイン公爵で過去を払拭、クロコルージュ達はダルジナ等の戦闘力の低い者を護衛しながら教育、ロードリオン達は首都を駆け巡り邪魔者を片付けてくれた。
「これが周平の仲間達か……」
「びっくりしたか?」
「ああ、強そうなのばっかりだし人間やめましたみたいな人ばっかりだ、特に周平と周平の彼女とそこの妖精とあのスケベそうな人にあの魔族と獣人族は今の俺でもたぶん勝てないかな」
どうやら観察眼にも優れている様だ、流石は陣だ。
陣の戦闘能力だが俺の見立てでは九十九や椿より上でレダさんより下といった感じだ、もっと伸びしろがあるならもしかしたら……
「お前もかなりのもんだ、まだまだ力を安定させるのに苦労しているようだが使いこなせればもっと強くなれるさ」
「ああ、こんな化け物になっちまったし色々突き詰めてみるさ」
「友よ集まったがどうするのだ?」
さてショーを始めるか……今回はゲストもいることだしな、あいつらに関しては見慣れない猛者たちを前にオドオドしている様子だが無理もないな。
「立花頼む」
「ええ」
立花の異能再再生によって破損した玉座の間を修復させる。
「城が元に戻っていく……」
「これがさっき周平君が言ってた物を再生させる異能ってやつね」
「凄い……」
雪と美里がその光景に目を奪われ見惚れている、周りの何人かもそれを見て驚いている様だ、天井の一部が吹き飛び太陽お光をもろに浴びるようなぐらいに破損している建物を時間を巻き戻すかのように直すのだから無理もない。
「ああ、あれが立花の持つSランクの異能大再生だ。破損した無機物の再生や人に対しても外的損傷等を再生させる能力を持っているチート級の異能だ」
癌などの内科的ものや魂は再生不可能だ、体だけでなく精神的な傷や体に残る傷跡などから痛みを再生させることも可能だ。
「ロードリオンはあそこで死にかけてる指揮官級の騎士と陣がとらえているゼラを立てるぐらいまで回復させてくれ」
「了解」
変な注文つけんななんて一言ありそうな気もしたが黙ってやってくれれると今回の件はロードリオンにとっても喜ばしいことだったのかもしれないな。
「立花は各街にて捕らえた領主や権力者をここに、全員縛ってあるよな?」
「勿論、ちょっと待ってて」
立花はゲートで一時的にどこかに消えていく、何をするのか予想のつかない陣が何をするのか聞いてくる。
「なぁ何をするつもりなんだ?」
「何をすると思う?」
「たぶん獣人族の騒ぎに加担してこの首都を壊滅させたということはこのまま征服宣言か?それで見せしめでどんどん殺して……」
「そこまで残忍じゃないわ~」
流石に手も足もでない状態の人見せしめにどんどん殺す趣味はないっす。
向かってくる盗賊とかなら問答無用に殺るがな。
「和平交渉さ」
そう今回の俺の目的は襲撃後の和平交渉にあった。
「待て、じゃあこいつらを許すのか!?」
陣が少し声を荒げる。
「落ち着け陣、ポツダム宣言って知ってるだろ?」
連合国によって敗れた帝国が受け入れた条件を全て受け入れますから許してください降参ですという無条件降伏だ。
「それって歴史の授業でならった無条件降伏をした……うん?無条件降伏?」
「そうだ、こいつらは俺達在るべき世界に無条件降伏を受け入れてもらうのさ」
ファーガスも今や俺達に逆らう事は出来ない状態……この国も同じように従ってもらうというわけだ。
「だがこの男がもしそれを受け入れなかったら?」
「現状を知れば受け入れるさ、受け入れないなら受け入れるまで圧力と痛みを与えるだけだ」
この男も家族や自分の信頼する強い部下や各権力者多数を人質にとられたらそれを呑まざるを得ない、立花の話によると西側の旧ダルシ国領の大体の街は制圧し連邦の半分以上がこちら側だ。
圧倒的な戦力差と現状を叩きつければ俺達に逆らおうとは思えまい。
「なるほど、なら余計な口出しせずに素直に任せるよ」
立花が戻るとゲートから何十人もの鎖でつながれ中には痛めつけられた後のある各街の領主達を連れて来た。
「ここの映像この街のいくつかに映るようにしてるんだよな直樹?」
「そっちの準備は万端さ」
「ラムタラ殿は自身が今ここで見る光景をこの世界全ての獣人族に見せていただきたい」
「任された」
準備が出来たところでゼラやその他の騎士たちの目を覚まさせた。
「これは……」
「お目覚めかな?」
さて色々と調印してもらいますかね。
あと二話で四章を終わりに……




