陣の帰還
前書きは特にありませんが暑いです(笑)
「ふぅ~」
「陣?あの男はそのままでもいいの?」
「ああ、そいつは別に殺す理由はないからな」
ただ無闇に人を殺すというのは見境のない殺人鬼のやること、俺ももう何人か手にかけてしまってはいるが自分の信念亡き殺しは自粛していきたいと考えている。
もう人の域を超えてしまい化け物同然、こんな俺を見た親友は拒絶はしないにしても驚くこと間違いなしだ。
「し、書記長の元へは……いか……」
それを言いかける前にユースを気を失った、お前がわりかしまともな人間だというのは理解してるし今後のこの国の為に生かしておく。
「この先が玉座に通じていたはずだ……」
玉座へと進んでいこうとすると兵士達が立ちはだかるので魔法で軽く蹴散らす。
「雑兵がうるさいな……これじゃあ懐かしながら進めないな~」
城内の玉座へと続く道の前にある大広間まで足を運んだ。
そうだ、脱出はここの兵士をどうするかってのにかかっていたな、俺達が寝ていた塔から脱出するのにここを通る必要があったからな。
あの時はつけられた隷属の腕輪をどうするかというので夜中に抜けだし街をでたら魔力感知を無効にする魔具を使って気づかれないように逃走するはずだった。
「あいつのせいで全てパーになったがな……」
密告した……いやさせられたあいつを今更責める気はないがあいつが密告しなければ俺とあいつが抜け出し周平のいるファーガスまで逃げて助けを求めるはずだった。
あいつは元気にしているのだろうか……あの部隊を壊滅に追い込んだ時恐怖に怯えた目をしながら俺から逃げて行った後は行方知らずだ。
「裏切った男の心配なんざ余計なお世話かもな」
「陣を裏切った男など万死に値します……陣は優しすぎます」
「ハハッ、周平にも言われたな」
親友の顔が目に浮かぶ……元気にしているのだろうか。
風の噂で今この首都にファーガスの勇者達が来ていると聞いた……この城がピンチならきっとここに……
「取りあえず済ませるか……アン援護を頼む!」
「はい、あなたと共にいきます!」
◇
その同時期玉座にてゼラとスタイミーが戦闘の準備をしていた。
「書記長あなたに戦わせては……」
「そんなこと言っている場合でもないだろ?」
外に逃げるということも考えたものの街全体がこの有り様では逃げるのにもリスクがある、なら迎え撃ち鎮圧せよという考えに至ったわけだがどうにも城内が騒がしい。
「お前とはよく腕が訛らないよう訓練をしているが実戦となると少し緊張するもんだな」
日頃訓練をしていて良かったと実感するほどだ。
「書記長の実力は私もよくわかっていますがくれぐれも自分の命を優先してください……」
「ああ、他の息子達は幸い他の街に行っている。もし私の身に何かあれば息子に託すさ」
といってもまだまだ野望がある、当然こんなとこで死ぬつもりはない。
「大丈夫です、私があなたを死なせませぬ……十三騎士ナイツオブラウンドの称号は飾りではありませんので」
「フッ、頼もしい奴だ。ユースとお前にブッシャーには安心して背中を任せられる」
「むっ……よからぬオーラが……」
すると玉座の間にある部屋が吹っ飛ぶ。
「なんだ!」
煙の中から二人の人影が現れた。
◇
「操作がむずいな……」
魔法を使って自身と連れて来た四人を宙に浮かせながら城に向かっていた。
「神山それは魔法なのか?」
「まぁそうだな、俺含め全員を魔力で包み使用する物として宙に浮かせている。複数の魔法の応用だな」
「それは俺でも習得できるのか?」
「そうだな……勇者として才能抜群のお前でも今の俺の操作レベルに到達するのには五年から十年はかかるだろうな」
召喚された勇者として魔力もあり恵まれている反面小さい時から魔力を扱ってないせいかこういう応用技術に関しては習得はかえって難しい。
しかも魔力量もなまじ高いせいか細かい操作をより難しくさせているから余計だ。
「そんなにかかるの周平君?私達ステータスは結構高い方なんだけど……」
「だからだよ美里、小さい頃から魔力に慣れ親しんで日常生活で使っていれば割かし簡単なんだがそういうのすっ飛ばしていきなり高い魔力を得ちゃってるからかえって難しいんだよ」
本来ならそういう訓練を幼少期より行い魔法力を高めていくのだが最初から強い装備持った状態で力任せである程度のことはなんとかなってしまうこいつらだ。
しかも来た時からそういう訓練やらされてるから余計にだ。
「なるほどね~前に変装して訓練してくれた時は基礎がなってないって言ってたけどこういうとこで差がでてきちゃうんだね~」
「そういうことだな、魔法も覚えて使えることができてもその魔法のコントロールや応用はすぐには習得は出来ない、剣術とかも同様さ」
「ということはこの世界出身の同等のステータスの相手とやるとこっちの分が悪いと考えるべきだな」
「そう考えた方が正解だ、同じステータスの相手と魔法や剣術と個別に勝負したらお前等はまず勝てない」
そこに気付き基礎を学ぶことが出来れば勇者はもっと強くなれるんだがな……
初代勇者の三人は別格に強い二人と要領のいい天才だったから話は別だがこいつらは違うからな。
「なるほど……だが今更基礎はどう学べばいい?」
「そうだな、弱い魔法を駆使して頭使って魔物を倒してみたりするといい。弱い魔法ほど操るのも簡単だからな」
「神山もそういう風に覚えたのか?」
木幡よ俺がそんな苦労をしたわけがないだろ。
「いや、俺は前世でも生まれながらにして完全記憶パーフェクトメモリーの異能があったから全く苦労していない、加えてSランクの異能は身体能力アップがあるから生まれた時からお前等以上に才能があったからな」
立つのも喋れるようになるものすぐ出来たし魔法や体術の習得も十歳ぐらいで達人クラスだった、加えて魔神の一部を取り入れたことから自分の周りにいて対等なのは立花しかいなかった。
「ハハッ、周平君流石だね。異能は今沢山あるみたいだけど当時はそんなに持ってなかったんだね」
雪が言う。
「ああ、二十柱だけで百八しかないSランクの異能を振り分けるって話で俺と立花は四つづつ持ってるんだよ」
ルシファーさんなら異能を自由に振り分け後から与えることも出来るからな。
「異能は生まれながらにして持つだけじゃないのか?」
「基本的にはな、だけど俺達の王は全異能の管理する能力を保有しているから振り分けができるわけよ」
宇宙最強の能力Xランクの異能創世の神ザ・ゴッドはSランク以下全ての異能の力を有しとこの宇宙の管理をする能力があったな。
「へぇ~Sランクってどんな異能があるの?」
「そうだな……重力を自由に操って隕石落としたりするのとか広範囲にわたって強力なドレインを働かせるのとか知っている相手の能力と姿を完全再現するのとか破損した物を再生させるのとか色々かな」
どれも色んな漫画やアニメで出てきたような能力だがSランクとなると基本チート級の能力だ。
「どれも聞いたことあるような能力だけど実際にあるんだね……見てみたい」
「俺も全部見たくてその知ってる相手に変身できる異能持ってる奴に全部見せてもらったよ」
俺と立花でその異能を持つ図書館ザ・マスターに頼み込んでショー形式でやってもらったな。
ちなみにその能力を持ってしても魔神や大賢者といった二十柱の能力の再現は不可能らしい。
「羨ましい~私も機会があったらよろしくね周平君」
「おう、この世界に巣食う癌を倒して次元エレベーターが開通出来たら見せてもらえるさ」
実際こいつらもそれを待てばいいのかもしれないがそれに関してはいつになるか保証が出来ないからな。
魔王城いってあれを起動させれば一応帰ることはできるからな。
だが俺らがあれ使うと……なことになるから使えなかったりする。
「そろそろつくな……お前達くれぐれも邪魔をするなよ?まぁ邪魔なんざしようとしても出来ないと思うがね」
「ああ、一応君に連れて来てもらっている身ではあるからね……」
嶋田が不服そうな顔で言う、この後仲間がこっち集結するだろうし邪魔なんざ到底無理だろう。
俺達が見ている景色とそれに逆らうことの無意味さを知って邪魔しなくなってくれればそれでいい。
「城だな……」
どこから入ろうか……この際だからわざわざ門から入る必要はないな。
下手に入るの拒否されたら面倒だからな……
とそんなことを考えてうた瞬間だった。
ゴゴゴッ……
「何だ!」
大きな音ともに城の上の方で爆発が起き揺れたのだ。
むっ……この大きな反応は……
「ちっ……ちと急ぐぞ!」
「わあぁぁぁ……急に早めるな!」
スピードを上げ一度城の中庭に着地しようとする。
「ぶつかるぅ!」
地面の直前で止まって着地すると兵士達がこちらに駆け寄る。
「なんだお前達は!」
「怪しい奴等め……ってファーガスの勇者達か」
「そうです、街が騒ぎになっているので戻ってきました!」
嶋田が手を上げ周りに訴えかけるみな武器を下ろす。
「神山感謝してくれよ」
嶋田が得意顔で言う、この後のこと考えると少なからずお前はこのことに後悔を覚えるだろうな。
「別にこいつらが向かって来てもなぎ倒すか無視して進むだけだがな」
「だとしたらお前のそれを防ぐことが出来て良かったよ」
「ああそうかいよ……」
なんか負けた気分で腹立たしいな……だがこいつに構っている暇もないな。
「悪いな、四人共上に来るなら後は自力で上に上がって来てくれ」
あの強大な反応……今までに感じた事のないオーラだったが強者に変わりはない。
書記長を殺されると当初の計画がパーになるし手遅れになる前に向かわねば。
「お前はどうするんだ?」
「飛ぶだけさ!」
その場で大きく飛び城壁から爆発のあった上へと向かった。
◇
「グホッ……」
爆発があったのは玉座の間……そこには玉座の護衛をしていた兵士の死体と瀕死状態のゼラとスタイミーが陣と対峙をしていた。
「これが悪夢という奴か……」
スタイミーは満身創痍で何とか立ち上がる。
「恐ろしい奴だ……私への報復の為に人を捨てるとは……」
「どうだ?今の気分を聞かせてくれないか?」
陣は見下すように問いかけた。
異能で強い能力考えても大体パクリになってしまう……許してください(笑)




