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クラス会議

文章おかしかったら指摘してくださいな~

 周平が地下の迷宮攻略を続けている間クラスメイトも訓練を重ねていた。



 神山がいなくなったあの日から一週間……心に傷を残したものをいたが、みんなの意識も徐々に変わりつつあり迷宮攻略の再開を予定していた。


 「浩二、そろそろ切り上げようぜ」

 「そうだね」


 訓練を切り上げ、竜也と共に部屋に戻る。


 「今日はクラスでの今後を決めるミーティングだな。今後どうしていくかもう決めているのか?」

 「ああ、俺の考えはしっかり言うつもりだ」


 自分なりにもう考えは決めてあるし、自分の意見はこの後のミーティングでかなり影響はするだろう。それを踏まえた上で臨むつもりだ。



 ◇



 クラスメイトと先生を交えたミーティングが始まった。あの直後はショックで寝込んでいた玲奈先生もすっかりよくなり今日はの会議は出席してくれた。


 「まず今後についてだけど、この間の迷宮でのことで恐怖を覚えたメンバーもいると思うし、素直にもう戦いなんかしたくないって思うメンバーもいると思う……」


 クラスメイト達が一丸となれるかはこのミーティングにかかっている。

 正直恐怖で戦いたくないメンバーもいると思うし、こんな事強要をしたくはない……でも逃げられるわけでもない。

 

 俺がみんなを引っ張らないといけないんだ……


 「みんながどう考えているかわからないが、俺は元の世界に帰りたい!そのために俺はクラス一丸となるべきだと考えている」


 嶋田の言葉に反応したのはクラスメイトの鮫島裕也だ。


 「嶋田……俺は怖い……神山がああなっちまって、俺もああなるって考えると俺は戦うのが恐ろしいんだ……」


 鮫島の発言に対してだらしない、臆病といった言葉はない。みんな口に出さないだけで恐ろしいのはわかっているからだ。大半のメンバーはこちらから目をそらしているのは見ればわかるし、目をギラギラ輝かせているのなんて菱田ぐらいだ。


 「鮫島の言葉はもっともだけど逃げるわけにも行かないわ!」


 発言したのは田島亜紀だ。クラスの女子十四人の中のうち、四人のチャラいグループのリーダーだ。


 「仮に戦いを放棄したらこの国を追い出されたり、牢屋に行かされたりする可能性が出てくるわ。だから何かしろの形で戦う意思を見せつける必要があるんじゃない?」

 「確かにそれは……」


 田島の言うことはもっともだ。ここで戦いから逃げたとしても、結局大変な思いをしなくてはいけない。仮にここを追い出されてしまったとしても生きていけるようになる為に、今は訓練をして戦闘能力をつける必要があるだろう。


 「私は戦うよ!」

 「杉原?」

 「私は元の世界に帰りたい。だからそのために私は戦う」

 「私も美里ちゃんと同意見よ。だから今は迷宮攻略で力をつけるべきだと思う」


 杉原に続いて月島が発言する。クラスの女子でも影響力のある二人のこの発言は大きい。この二人がこちらに賛成してくれれば一気にまとまる。


 「俺も戦う意見に賛成だ。反対のやつは言ってくれ」


 竜也もこのタイミングで発言しこの時点で俺達四人の意見に対し反対できるような発言力を持てるのは菱田ぐらいだ。竜也は菱田のほうを見ると、菱田はしょうがねぇなと言わんばかりに発言する。


 「俺も戦う方に賛成だ。どのみち何もしないってのは愚か者以外の何でもないだろ?」

 「うん、そうだね。みんな戦う方向で決まりでいいかな?」


 俺のその言葉に反論する人間はいないはずだ。今は強引にでもこの場を閉めて……


 「待ってくれ!」


 と声を上げたのは東剛毅だ。


 「俺は今橋本と考えていたが、迷宮攻略が終わった時点でもう一度話し合うべきだと思う」

 「今は戦闘能力を身に着ける為に迷宮攻略をするのは、今後どうするかにしても必要なことだと思うし、それに反対する理由はない。だがその後は違うと思うんだ」


 東に続き橋本隆司も発言する。


 「元の世界に帰りたくないのかい?」

 「いや、その後は魔大陸遠征になるはず。その時はみんな少数で動くはず。この世界の外を見れば嫌でも価値観は変わる……そうだろ?」


 魔大陸遠征……いずれは魔族と戦うためにこの国をでることになるだろう。確かにそうなった時、みんなが同じ考えでいられるかどうか今はまだわからない。


 「つまりいずれは気が変わるかもしれないと?」

 「ああ、だが今の所は元の世界に帰るために頑張る予定さ」


 東と橋本に対し今はどうこう言っても無駄だろう。今は一つ一つ目標を達成することが重要だ。迷宮攻略に関しては反対するものはいないだろうし、今回はこれで〆るか。迷宮攻略に関しては反対する正当な理由のあるやつなんていないだろうし、とりあえずの当面の目標は定まったと言ってもいい。


 「了解、とりあえず今は迷宮攻略に向けてクラスみんなで頑張るということで。先生は何か意見ありますか?」

 「ないわ、神山君のこともあって本当はあなたたちを戦わせるようなことはしたくない……でもそういうわけにはいかないだろうから……だからみんな生き残りましょう!これ以上犠牲者をださないようにしましょう!」


 先生の言葉にはみな「はい!」と答える。あの菱田も変わりかけているとはいえ、いつもの倍以上の真面目顔だ。前々から思っていたが先生に対してどこまで本気なのか気になる所だな。


 「それじゃあクラス会議を終わりにしよう」

 「待って!」


 会議の終わり待ったをかけたのは杉原だ。


 「うん?まだ何かあるのかい?」

 「ごめんね、みんなに一つだけ言っておきたいことがあってね」

 「別にかまわないよ。それで?」

 「ありがとう、それで周平君のことだけど私は本当にあれが事故だったのかなって疑問を感じているの」


 杉原の言葉にまわりがざわつく。


 「どういうことだい?」

 「そのまんまの意味よ。私はあの時周平君は誰かに狙われたんじゃないかなって考えているわ。周平君は戦えないこともあってか後ろのほうにいたわ。そんな彼が逃げ遅れるのが考えにくいの」


 確かに逃げ遅れたのはおかしな話ではある。でも咄嗟にあのタイミングでそんな器用なことができるだろうか?


 「杉原の言うことももっともだ。でもあの状況で神山を落としに行こうなんて考えられるほどみんなの余裕はなかったはず。意図的ってのは少し考えすぎではないか?」

 「浩二の言うとおりだ。それに根拠はあるのか?」


 竜也の言葉に杉原は少し苦い顔を見せた。


 「私周平君が援護射撃で飛ばされるのを見たわ。それも二回連続、偶然にしてはできすぎているわ!」

 「それは本当なのか?」

 「ええ、間違いないわ」


 杉原は嘘をつくような子ではない。つまりそれをしっかり見ていただろうし、だからこそこの議題を出したのだろう。


 「その件に関しては俺も同意見だ。確かに俺があいつを死なせるきっかけを作ったことは間違いないが、その後があまりにも不自然だ。おそらくあいつは狙われた」


 菱田がそれを言うと東がそれに対して反論をした。


 「それは君が言い逃れするための言い訳じゃないのか?」

 「んなわけでねぇだろ!あいつがああなったのは確かに俺のせいだ。だがあれを利用した奴がいた。間違いなくな!」

 「果たしてどうかな……」

 「なんだと!」


 菱田は東にガンつける。まぁまぁと周りは鎮めようとする中、竜也が発言をした。


 「まぁその件に関しては杉原や菱田の意見は間違っちゃないと思う。ただ犯人探しはナンセンスだな」

 「どうゆことかしら?」

 「犠牲になったのは神山だ。こういう言い方はあれだが、あいつじゃクラス全体で犯人を捜そうなんて空気にはならない。そうだろ?」

 「ぐっ……まぁそうね」


 杉原は苦虫を嚙み潰したような顔を見せている。まぁ竜也の言う通り神山だし、名乗り出る者などが出るどころか、むしろいなくなってよかったなんて思う奴のほうが多いだろう。


 「だが俺はクラスメイトを死に追いやるということが出始めていることに危惧している。神山だってクラスメイトだ。嵌めた奴はおそらくいるし、今後そういうことを間違ってもしないようにする必要がある」


 竜也が危惧しているのはその考えだ。それでもしこの先も似たようなことがあればクラスは崩壊する。力を得たものが狂気に走るのは簡単だからだ。


 「竜也の言う通りだ。俺は別に犯人探しなどはする気はないが、それぞれ最低限の仲間意識を持ってやっていってほしいのと、悪いことの区別だけはつけておいてほしいんだ。今後も迷宮攻略をしていく上でイライラしたり喧嘩したり恨むことだってでてくると思う……でもそれだけは各自ちゃんと線引きをしておいてくれ!」


 俺の言葉が果たしてちゃんと届くかわからないがそれだけは本当に守ってほしい。悲劇を起こさないためにも……


 周りが俺の言葉に頷く。この頷きが嘘でないと願うばかりだな。


 「杉原この話はこれで終わりでいいかい?」

 「そうね……この話は終わりでいいわ。みんな混乱させてごめんね。でも嶋田君の言ったことは本当にお願いね」


 杉原は神山の話をこれ以上は突っ込まなかった。こうして会議は終わり、解散した。



 ◇



 とある部屋で一人ぶつぶつとつぶやく生徒がいた。


 「くそ……まさか意図的なものだと勘付かれているとは……」


 周りに誰もいないその部屋で一人呟く。杉原はさっきの会議で周平の話を議題に上げることが目的でありそれをしっかり果たしたのだ。といってもそれは本人以外では雪にしかわからないことだが……


 「まぁいい、俺だというのはわかるまい。なぁに神山はもういない。この件は深く掘られることはない」


 しかしそれでも男は焦りを隠せない。周平を落としたことが明るみにでれば月島に拒絶されてしまうからだ。


 「まぁいい、とりあえず次のステップに進もう……」


 男は気を落ち着かせる。いつもの顔に戻し部屋を後にした。





クラスメイトも徐々に出していきます。次は主人公達です。


8月20日に改稿しました。



2019年3月13日修正


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