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シンの解呪

シンと周平の回です。

 デラローズを購入し宿に入り早速解除の準備に入る、行くまでにある程度この呪いがどういう物なのかを結論付けていた。


 「まずお前の呪いについてだが……」


 これは呪いというよりは一種の加護である、十年前に何故この子にそんなものを与えたのかはわかりかねるが戦姫は従者を欲す。

 これは我々がいなくともパンドラやまだ見ぬ脅威から世界を守るため、戦姫は本来黒姫直属……ヒルデがあの時俺達と敵対したのには何か理由があるはずだ。


 「それは正確には加護、四戦姫フォースヴァルキリーが一人ミッディ・パールキャップがお前に付与した者だ」

 「なっ……加護ですって……私はこれのせいで殺されかけたのよ!」

 「でも結果お前は奴隷商館で買われないまま生活できたのだろう?」

 「ぐっ……確かに……でも!」


 ミッディがこの子に与えた物が呪いのような理由……俺の考えが正しければ……


 「まずはこれを解けば解決する」


 隷属の輪に関してだが主人が死んだ場合通常は輪についている赤い光が点滅しなくなりその場合大抵その主人の親族が奴隷商館に行き再契約をする。

 そうなった奴隷が一人で外を徘徊すると大抵捕まり商館に戻されるのも奴隷制度を維持する為だ。

 ではこの輪を外し奴隷じゃなくすることは購入した主人ができるかというと簡単にはできない、これも奴隷制度の維持の為だろう。

 何故できないかはこの輪に呪術が使われていて通常人間は呪術を唱えられないからだ、しかも魔術と呪術が混合して作られているので尚更だ。

 最初にこれの術式を組み上げた奴が誰か知りたいぐらいである。


 「いくぞ……」


 まずはこの輪に組み込まれた術式を読み取る、九兵衛殿のような破壊ができれば一瞬だが俺には出来ないからな。


 「これは中々に高度な術式だ……より高度な呪術を高位魔術が緻密に紐をするよう縫い付けられているな」

 「ちょっと何を……」

 「動くな!下手に動かれると狂う……そうなれば自爆装置が起動するぞ!」


 無理やり術式を解こうとすると自爆動作が発動する仕組みにもなっている、それも魔術的な部分のみを無効にしようとすると作動する。

 神魔法で魔法効果除去系では最高峰の神の戒厳ゴッド・ディスペル対策だろう、ちなみにハマジクを使っても魔具には影響しない、ただその空間にいる時は輪が正確に作動しないといった不具合が生じるだろうがな。


 「二人共よく見ておけ、今俺がやろうとしているのは世界を変える力を持つ者のみが可能とする最高峰の技だ」


 二人はコクンとうなずくと神妙な顔つきでこちらをずっと見ている。


 「説明するとこの腕輪は呪術と魔術を合わせたものだ、無理やり解除しようとすると……特に魔術的な部分をある一定のとこまで解除しようとすると自爆動作を起こすようになっている。そして呪術的な部分は魔術的要素を取り除かない限り解呪できない仕組みだ」

 「それだとほぼ不可能ですね、呪術はそもそも人間である私達が通常では扱えないですし……仮に扱えても魔術的な部分を取り除かないと解呪できないとなると不可能に近い……爆発するな尚更です」

 「だからこそこの輪が僕達を長年縛り続けることが出来ているというわけか……」


 この隷属の輪は元々凶悪犯罪者を取り締まる為に遥か昔に作られた、今や奴隷を縛る為に使われる有り様だが……奴隷制度を悪とは言わないがその種族のみを奴隷とすると言ったものはよろしくない。

 魔族群もたまに奴隷市場にでるとは聞くが魔力親和性が高く呪術的耐性の強い魔族、特に悪魔族なんかははめても機能しないことがありほぼ出ることはない。


 「ならどうするか……ハマジク!」


 部屋一体を魔術発動無効空間に変える。


 「ハマジク内では隷属の輪は正常に機能しなくなる、ハマジクは魔具の効果を打ち消すまではしないが輪の魔術的部分の動作を抑える。ダルジナよこれはすなわちどういうことかわかるか?」

 「魔術的な部分を解除せずに一時的に機能を無効に……てことはまさか!」

 「わかったようだな……この状態な呪術的な部分の解呪操作が可能となる。そして俺は悪魔帝、呪術は専門分野だ」


 呪術的な要素を取り除くのはなんてことはない、俺がわからない呪術など存在しないからだ。


 「では……」


 呪術的な要素を解呪し無効にする、これで自爆動作は起きなくなったのでハマジクを解除する。


 「神の戒厳ゴッドディスペル!」


 最後に魔術的な要素を完全に取り除くと隷属の輪は二つに割れた。


 「嘘……」

 「そしてお前のその呪いはその輪から解放された時真の能力へと目覚める」


 解放されたデラローズのステータスを覗く。


 デラローズ・クルージュ

レベル:50

種族:獣人族(猫人族)

職業:戦士

攻撃:4000

防御:3000

魔法攻撃:4000

魔法防御:3000

素早さ:5000

魔力:4000

固有スキル:擬人化

ギフト:魔法適性

コントラクトスキル:戦姫の加護

称号:獣星ビーストスター


 ふむ、レベルは低いが獣人族でありながら魔法適性のギフト……これこそミッディが加護を与えた理由の一つだろう。


 「二人共彼女に触れるのだ」

 

 二人が彼女に触れる、だが二人の様子は変わらない。


 「魔力が吸収されない、ということは成功ですねシンさん!」

 「やった~」


 どうやら俺の読み通りだったようだ。


 「どうだ?呪いも解け、奴隷からも自由の身だ。違う世界が見えてこないか?」

 「し、信じられない……ねぇ私はもう他の人に触れてもいいの?自由に他の国にいっても平気なの?」

 

 ローズの目から涙が流れる、魔眼で彼女を見ると絶望の感情がどんどん希望に変わっていく。


 「ああ……お前はもう自由だ」

 「ううっ……こんなことって……ありがとう」


 だが流石に今自由にして離しても下手をすれば彼女が捕まる可能性がある、それに折角大金はたいて買った意味がない、アリダーの方を見て目で合図をした。


 「デラローズ、僕の話を聞いてもらってもいいかい?」


 アリダーは変装を解き獣人族の姿に戻る。

 

 「あなた獣人族だったのね……」


 通常の擬人化では見破られる恐れがありしかも獣人族同士ではすぐにわかってしまうので特別な変装を施していた、獣人族でも見破れないような変装なら人に見破られることはない。


 「僕は獣人族の王アリダー、君にも協力してもらいたいことがあるんだ」



 ◇



 フィッシャーマンと謁見した周平達はアリダーの妹の情報を集めていた。


 「確か、その二人なら公爵であるアルアインが二人所持していると聞いていますね、二人共美しく公爵自慢の奴隷だと聞いています」

 「自慢の奴隷ね……美しいっていうから見てみたくてな~見ることってできるか?」

 「ええ、公爵の家に行けば見せてくれますよ。無理やり奪ったりしないでくださいよ~」


 一瞬ドキッとしたが立花がすかさず俺の耳を抓る。


 「フフッ、そんなことするようなら私への挑戦とみなすわ~」

 「イテテッ、立花さんの許可なくそんなことしないって……」


 可愛い奴隷とか購入しようものなら殺されちまうな、奴隷購入も異世界でのテンプレなんだがな……


 「ハハッ、二人は相変わらずですね~僕もサラ王女とそうなれるように頑張ります」

 「ええ、私と周平ぐらいになればお互い他の相手に現を抜かすような気は起きなくなるわ。私は縛りすぎて夜のお店に行くのも縛ってるけどね~」

 「立花さんそれぐらいは……」


 立花の殺気のこもった睨み顔がこちらに向けられる。


 「ヒッ……」

 「夜の相手なら私がやりたいことやらせてあげるから希望しなさい!あなたの欲求を満たす自信はあるわ」

 「お、おう……いつもお世話になっている」


 こんなこと言われると何も言えないんだよな、まぁお店に行っても立花よりいい女を抱けることはないし行くことはないが……


 「それで公爵の家はどこかしら?早速そこに赴くわ」

 「それならこの窓から見える、あの青い屋根のお屋敷ですね」


 ここから数百メートル先か……近いな。


 

 ◇



 フィッシャーマンと別れ城を後にする。


 「立花ちゃんもう少し俺の耳をいたわってな~」

 「フフッよりリアルな演技だったでしょ~」


 にしても手がやたら本気だったような……


 「まぁいい……それでどうやって侵入する?俺なら変装して夜窓からこっそり入って立花に石にしてもらって奪い返すが一番いいと思うが……」

 「フフッ、悪くないわ。でもその前に一度顔を見せないと怪しまれるし一回は見に行きましょうか?」


 俺達が行く前にアルアイン公爵に一報いれる可能性があるからな、行っておいた方がいいか……夜立花のゲートで移動すれば怪しまれることなく潜入することができるな。


 

 ◇



 昼食をとってから公爵の家に向かうと向こうは俺達が来るのを知っていたみたいですぐに中に入れてくれた。


 「立花ナイスだったな」

 「フフッ、これで夜の潜入が楽ね~」


 部屋まで執事に案内されるとソファーに座るダンディなおっさんが目に映った。


 「遅かったね~フィッシャーマン殿から話は聞いているよ」

 「お初にお目にかかります、白金ランク冒険者の神山周平と神明立花です」

 「よろしく、しかしお美しい……是非私の側室に……」


 こいつもか……早速うちの嫁を誘惑とはいい度胸だ。


 「ごめんなさいね、私の夫は未来永劫彼だけですので~」

 「残念だね~それで自慢のコレクションを見たいって話だったよね?ついてきてくれ」


 アルアイン公爵に連れられ地下の部屋に行くと牢屋のような部屋がたくさんありそれぞれにたくさんの獣人族の女奴隷がいた、どれも若く綺麗で表情は暗い。


 「凄い数だな……」

 「ビックリね……」

 「ハハッ驚いたかい?これは息子と一緒に集めたコレクションでね~」


 公爵が歩きながら様子を伺うと不機嫌な声を見せる。


 「君達……私の客人がわざわざ君達を見に来たのに随分と暗い顔つきじゃないか?夜はきつお仕置きが欲しいかい?」


 すると奴隷達は苦笑いを見せる、全く悪趣味な男だ……


 「すまないね~こいつら獣人族は人間の下にいる奴隷だと言う自覚をもっと持ってもらわないとだけど内心ではまだ立場をわかってない奴ばっかりでね……毎夜教育はしてるんだけど中々ね……」


 実に不愉快で首をはねたいぐらいだ……こういう奴のせいで両種族の溝はより一層深くなる。


 「あんまり虐めてやらんでくださいな、殺したりしたら折角大金を集めたのが台無しですよ」

 「ハハッ、そこはわかっていますから大丈夫。昔息子に貸した奴隷がいたのですが虐待したせいで消えてしまってね……発見はされなかったけど隷属の輪が爆発したのは確認できたから恐らく自殺。息子は気に入っていただけに残念でしてね」

 「それでこの檻を?」

 「そういうことですな~」


 革命が起きたら親子共々粛清だな、こういう考えが根付いた奴は生かすことが後の世に禍根を残す。


 「この奥がその二人の部屋ですな」


 特殊な鍵のような物で扉を開けると二人の獣人族の女性が目に入った。


連邦にいる勇者達もだせたらだそうと思ってます。

設定上ステータスアベレージ十万より上はあの世界の上位トップ百と見ていいです。

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