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縁談へ

キャラばっかり多くなってすみません。

 連邦第二方面軍のトップであるスタイミー・アルベルトは遠征先から首都ファラモンドに戻って数日、いくつか顔を出すとこに回り遠征先に戻ろうと準備をしていると書記長ゼラ・ハイフライヤーに呼び出された。


 「急な呼び出しすまないな、挨拶回りは済んだか?」

 「はい、ある程度は済ましたので時期に向こうに戻る次第です」

 「そうか、それはよかった」


 書記長は何やら私の顔を見て考えている様子、執務室に呼び出したということは私に何か頼もうとしているのだろうか……


 「やはりお前がいいな、頼み事があるのだが聞いてくれるか?」


 書記長の表情が緩まる、普段から厳格に振る舞っているだけにこの表情をするのは珍しいが俺はこの表情をしばしば見る。


 「私にですか?」

 「そう、お前に頼みたい。ブッシャーと迷ったがお前の方があいつにとって良いだろう」


 俺やブッシャーは時おり書記長からこういう頼み事をされることがある、この時の書記長はいつもとは違いフランクになる。

 まぁその頼み事というのが面倒な案件が多いのだが……


 「頼み事ですか?」

 「そうだ、ああ今はそんな畏まらなくていい。そこに座ってくれ」


 執務室に呼ばれた時はだいたいこれだ。


 「失礼します」


 書記長自らお茶を汲む、これも頼み事をされる時のいつもの流れだが普段のあの厳格で相手を呑み込むオーラをだす人にこう接待をされると少し調子が狂ってしまうな。


 「それで頼み事なのだが我が子フィッシャーマンがいるな?」

 「はい」


 フィッシャーマンとは書記長の息子の一人だ、彼は少し変わり者で何と言うか自由な人という印象だ。


 「奴の為に考えていたお見合いがやっと成立してな、三日後にあるからお前に同行してもらいたい」

 「私にですか?構いませんが私でいいのでしょうか?」

 「むしろお前が適任だ、それ以外に頼める奴ときたら俺は二人ぐらいしか思い付かないがその二人は今は無理だ」


 ブッシャーはやや女性関係に緩かったな、第一方面軍の奴は別件で忙しいのだろう。


 「確かフィッシャーマン殿は女性関係には疎かったですよね?」

 「ああ、もう齢二十となるのにあの馬鹿はな……」


 書記長は溜息をついてしかめっ面を見せる、確かお見合い嫌いで何度も断っていたと聞いているな。


 「でもお見合い嫌いのフィッシャーマン殿がよく今回は逃げずに受けることを承諾しましたね」

 「ああ、今回は相手が相手だし渋々承諾してくれた」


 ということは相手の身分もかなり高いのだろう、おそらく他国の人間だ。


 「お相手は誰なのですか?」

 「ファーガス王国のサラフィナ王女だ……」


 ファーガスのサラフィナ王女といえばかなりの変わり者でフィッシャーマン同様お見合い嫌いの人だったはず。


 「それはまた……向こうもフィッシャーマン殿同様渋々受けた感じが致しますな~」

 「だろうな、向こうの王妃もこちらの馬鹿息子の噂を聞いてこの話を打診してきたらしいしな」


 お見合い嫌い同士なら案外合うかもしれないな、向こうとしてもこちらとしてもメリットがある縁談だ。

 だが良いことばかりではないだろう。


 「良い話ではありますが少し不安が否めませんな……」

 「それを言うな、俺もこれには何が正解か解らなくてな……普段のようにスパッと采配出来なくて妻に頼んだところこういう決断に至ったのだ」


 周りの人間は書記長のことを人の皮を被った化け物などと言うがこういう人間らしい部分を見ている者はそうは思わない、子を思う親の気持ちは一国のトップでもそこら辺で暮らす平民も変わらないのだと実感する。


 「親と言うのは大変ですな~」

 「ああ、全くだよ……」

 「ではその件については了承しました、後でフィッシャーマン殿のところに顔を出します」


 フィッシャーマンは確かに変わり者ではあるが取っ付きにくいというわけではない、博識で知識はあるし良識も持ち合わせている。


 「任せたぞ」



 ◇



 周平はあの宣言の後に向かったのはファーガス城だ、いつも通り移動手段は立花のゲートで尾形も連れている。

 城を無断で抜け出しただけに戻るのには抵抗があったらしいがクラスメイトの大半が遠征の為に城にいないというのは立花の偵察で調査済み、それを教えたら快くついてきた。


 「懐かしい……まさか戻って来ることがあるとは……」


 どうやらここには戻らない気でいたらしいな。


 「須貝の奴は待機で城にいるはずだ、あの国王に一度顔を出しておくかー」


 一度王の間に行き尾形のことを伝え、手を出したら報復すると軽く脅しておいた、もうこの国は俺達に逆らうことは出来ない状況だけに城への出入りも自由な状態だ。


 「さてまずは先生んとこだな、そこまでは一緒に行くから須貝のところに自分で行ってくれな」

 「二人はどこに?」

 「私達はサラのとこに用があるのよ、だから幼なじみとの再会はゆっくりしてちょうだい」


 あいつにとって尾形がどれぐらいの存在だったかは知らんが今の尾形を見てあいつがどう思うかだな。


 「尾形君……生きていたのね……」


 玲奈先生の下に連れていき対面させると先生はその声共に涙を流す、生徒思いの良い先生だと改めて感心してしまう。


 「お久しぶりです先生、あの時は勝手に抜け出してすみません……」

 「そうね……まずはお説教といきたいとこだけどこうして先生の前に姿を現してくれたので不問にします、無事で本当に良かった……」

 「尾形は俺の離脱でいち早くこの国に不信感を抱いた結果ファーガスを離れた、確かに勝手で危険な行為だったがこうして立派になって顔を出したんだしあんめり責めないでやってくれ」


 その場の成り行きと勢いに任せた面もあるが国を離れてクラスメイトと違う道を歩んだのは尾形が普段から国を出たいと普段から考えていたからこそでそれは尾形の出した答えでもある。

 そしてそんな尾形の答えを尊重してやるべきだと思うからだ。


 「わかっているわ、こんな世界に来てみんな色々あったものね……全員が同じ道なんていうのは無理な 話……」


 先生複雑な表情を見せる、教え子の意志を尊重してやりたいという気持ちと自分の下からいなくなって寂しいという気持ちが交差しているのだろう。

 

 「遅かれ早かれ生徒は先生の下を離れていくものさ、まぁこんな世界にいるがね」

 「そうね……二人を止めはしないけどどうか無事でいて……たまには顔を見せなさい」

 「ああ、それは約束するさ。なぁ尾形?」

 「もちろんだよ」


 玲奈先生との会話を終えた俺はサラフィナの下に向かい、尾形は須貝の下へと行った。


 「立花待たせたな、サラもお久しぶ……ってあれ?」


 城内のサラの住処へ向かい部屋の扉を開けるとお通夜ムードの黒いオーラを出すサラとそれをなだめているザインタと立花がいた。


 「周平良い所に来たわね、サラはこんな感じよ~」

 「ああ……そろそろだもんな~」


 サラが何故こんな感じなのかと言うとお見合いがあるからだ、相手はファラリス連邦の指導者ゼラ・ハイフライヤーの息子フィッシャーマンだ。


 「サラ、元気出せよ~行き遅れそうなお前の為の縁談じゃないか~」


 試しに煽り立てると餌を与えられた魚のごとく騒ぎ出す。


 「何を仰いますか!私は何度も何度も断ったといいうのにお母様が……」

 「まぁまぁ落ち着けって~」


 流石に同盟国の指導者の息子との縁談を断れるわけがないよな。


 「これが落ち着いていられますか!連邦を今すぐ滅ぼして縁談をなくしてくださりませんか~」

 「それは色んな意味で流石に難しいな~」


 まぁ首都ファラモンドに神魔法連発すれば一瞬で死の大地の出来上がりだがな。


 「お見合いなんかしたくないですわ~」

 

 サラの心の叫びが部屋中に響きわたる。


 「良い所で来てくださいましたわ」


 ザインタがホッと溜息をつく、こいつの身の回りの世話しているこいつには心の底からお疲れ様ですと言いたい。


 「ザインタもお疲様~大変だったみたいだな~」

 「大変だったみたいではなく本当に大変でしたよ……」

 「だろうな……」


 ザインタの話ではお見合いが近づくたびにサラの顔は青ざめていき攻撃的になっているらしい。


 「三日後……」

 サラは大きなため息をつきながら言う。


 「どんだけ嫌なんだよ……適当に会って断っちまえばよくね?」

 「周平は前世の頃初の縁談は私だったから何の抵抗もなかったかもしれないけど会うのは苦痛よ、それも複数だけじゃなくて一人だと余計に断るのも大変だし……」


 俺と立花は一応縁談をしたが幼なじみで学校も一緒だったから得に何の問題もなくその場で成立したっけな。


 「たくさん縁談があったんだっけか?」

 「ええ、みんな私と結婚したかったみたいであなたにとってはとても幸運かつ光栄なことだったわね」

 「ハハッ、そうだな」


 立花のこの自信に満ちた顔は自分の価値というのを高く重んじているから故だ、俺にとっては最高の嫁だが怒れば怖いし多妻を許さないこの感じからして当時立花に縁談を申し込んだ奴らは断られて良かったんじゃないかと思う。


 「はいはい二人でのろけないでいただけませんこと?とても腹立たしいですわよ~」

 「ごめんなさいねサラ、それで私達は何をすればいいかしら?」

 「こうやって来た以上助けられることは助けるつもだ、流石に縁談なしには出来んがな」


 前に王妃にサラの縁談のことで話に行ったが今回の縁談は他国との関係に影響するから無事お見合いを実現させたいと言っていたからな。 

 流石に他国のトップの息子との縁談をブッチさせて出る影響については責任が持てんしそんな理由で変な責任を負いたくはない。


 「ウウッ……周平がファラモンドを溶岩の海に……」

 「まだ言うか……」


 まぁサラのこと考えたら可哀相な気もするがサラは今や次期女王……時代に子を残す必要がある故そんな我が儘を言っていてはいけないな。


 「しょうがありませんわね……では二人がこうして来てくれて助けてくれるとおっしゃってますし二人にあるお願いをしますわ」

 「お願い?」

 「今回の縁談の同行人として来てもらいたいですわ、流石の私も今回は緊急事態……アドバイザーが欲しいですわ」


 アドバイザーね……まぁ連邦の人間と接触するいい機会でもあるか、向こうも偉い奴を連れて来るだろうし。


 「了解よ、サラが逃げないようにちゃんと背中を押してあげるわね」

 「だな、向こうが強引なことしてきたらちゃんと護ってやるさ」

 「そういってくださると思ってましたわ、二人ともお願いしますわね」


 ようやく腹をくくったのかサラの目が少し息を吹き返す、さてどうなることやら……


 「ちなみに縁談を受けた後はどうするつもりなんだ?」

 「断りますが何か問題でも?」


 やっぱり鼻っからそのつもりなのか……まぁお見合い自体も渋々受ける感じだし当然と言えば当然か……だが他国のトップの息子との縁談を断るにはそれ相応の理由が必要な気もするがそこまで考えているのだろうか……


 「それはお前の自由だが理由もなしに断れる縁談とも思えんぞ?」

 「多分大丈夫ですわ、というのも先方のフイッシャーマンは私同様お見合い嫌いの同類ですし向こうに断るように言っておけば問題ないかと」


 なるほど……向こうも問題物件なわけか……これは時間と手間をかけた茶番で終わるかもしれないな。


スタイミーはダンディなおじさまをイメージしてください(笑)

髪は茶髪の短髪で体型はややがっちりめ、身長は六尺ぐらいで髭を生やしています。

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