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お散歩

今回は立花視点の話です。

 周平が尾形と会っているその頃立花はゲートを使いギャラントプルームを離れ、別の場所に行っていた。

 向かったのはファウンドの港だ、九兵衛から召喚された勇者達がどうなっているかを聞きファウンドの港にいるとの情報を聞いたからだ。


 「さてこの一月でどういう顔つきになったのか楽しみね~」


 勇者達の遠征は正直な所賛成だ、戦えば王のルールブックにでもわからない可能性を見せてくれるからだ。

 この世界に勇者として召喚された者はギフトが与えられ誰でもそれなり強くなれる……そのギフトを与える力は二十柱が持つ力に近い力だと感じているだけにその力の根源が何なのかとても興味深い。

 そのギフトにはこの星が絡んでいると王の書の解析ででるがそれ以上詳しくは解析出来ない……つまり二十柱同様創生エネルギーを含んだ何かが関係しているに違いない、そうでなければ二十柱の行き来を封じるバリアなど発動できるわけがないからだ。


 「ここね」


 勇者達の泊まっている大きな宿にたどり着く。


 「ここから港町ミゴリに入って、陸路で別の港町まで行きそこから船で魔大陸入りだったわね」


 ギャラントプルームを囲むようにあるラグーサ大森林を通ればそんな面倒なことをしなくても魔大陸入りすることができるが冒険者ギルドが戦争目的で通ることは禁じているのだ。


 「さて、誰をからかいましょうかしら~」


 中に入ると楽しそうなに喋る声が聞こえる。


 「中々賑わっているじゃないの~」


 入ると共に声を出すと何人かがこちらを見る。


 「お前……確か神山の……」

 「タピット騎士た団長に用があるわ、呼んでくるかいる場所を教えてちょうだい」


 この子名前何だったかかしら?確か……東って名前だったかしら?


 「タピットさんはこの上のあの部屋いるよ」


 東が指したのは中央の階段を上がってすぐ右の部屋だ。


 「ありがとう」


 二階に上がりドアを叩くとどうぞという声が聞こえたので部屋の中に入る。


 「あなたは……」

 「神明立花……」

 「こんばんは、あなたに用があって来たわ」


 部屋の中にいたのはタピットと周平のクラスメイト達数人だ。

 そのうち河内洋子は中学時代に面識があり私の顔を見た途端に顰めっ面を見せる、まぁ彼女に関しては二年生の時に私の逆鱗に触れてイジメぬいたし当然といえば当然だ。


 「私にですか?」

 「そうよ」


 エミリアに渡すように頼まれた剣を渡す。


 「これは?」

 「ナシュワンが昔使ってた13騎士ナイツオブラウンドの為に作られた剣ね、名前はインペリアル。守りに特化したあなたやナシュワンにうってつけの武器ね」

 「これがかの有名な守護剣インペリアル……」


 タピットは渡されたその剣をマジマジの見ながら目を輝かせている、伝説級の武器を手に入れたことで内心のウキウキが止まらないのだろう。


 「ナシュワンとエミリアの約束では自身の後継者に足りうる人物が現れた時それを継承するという感じになっているわ、あなたの城での活躍と姿勢……そしてあなたの技量を加味した結果ね」


 周平やエミリアの圧力があったものの彼は国王に屈することなく己の正義を貫いた、勇者召喚によって召喚された勇者を見殺しにしてきた今までの騎士団長とは違う道を選んだのだ。


 「ありがとうございます、その名に恥じぬ振る舞いをしたいと思います」


 タピットは頭を下げる、だがそれが気に入らないのか勇者達は怪訝な顔でそれを見る。


 「そんな恐い顔して私の顔になにかついてるかしら?」


 私を見るのは河内達女子四人と男子三人だ。


 「別に……」


 河内は素っ気ない顔で一言、だがここで私は話を終わらせない。


 「随分冷たいわね、河内さん?昔の事でも思い出したかしら?」


 河内を睨みつけ思い出させるかのように言うと河内の顔が青冷める。


 「ヒッ……」

 「でもあれはあなたが悪いわ、私の性格知ってて怒らすようなことするからよ~あっそこの男子も私に見とれてるとこ悪いけど私周平のだからごめんなさいね~」


 少し嫌みっぽく言うと河内の隣にいる田島が突っ掛かってくる。


 「随分と偉そうで自意識過剰ね、いきなり来て不愉快だわ」

 「あら、ごめんなさいね~偉くて強くて美人でスタイル抜群で周平ラブが私神明立花よ、よろしくね田島亜紀さん」

 「何で私の名前を?」


 田島は名指しされたことで少し同様した様子だ。


 「もしあの時私がこの世界に行かなかったはあなたとクラスメイトになっていたかもしれなかったのよ、ねぇ河内さん?」

 「どういうこと?」

 「神明は零明高校に入学予定だったのよ……でも卒業後に謎の失踪をしたのよ……」


 その通り、もし私があのまま零明高校に入学してたら周平とは当然同じクラスでそのまま付き合って中学のように君臨していたに違いない。

 高校に入ったら周平の記憶を呼び起こすつもりでいたし想像しただけでも楽しい高校生活だ。


 「何だって!」

 「じゃあそれがなければ俺達の同級生になっていたってことか?」

 「その通りよ、私がいれば周平があなたたちに嵌められてクラスに外されることもなかったわね、むしろそんなことをした奴は全員落としていたでしょうね。ねぇ河内さん?」


 恐らく周平を嵌めてクラスから外したのはここにいるメンバーが絡んでいるのは間違いない。


 「何のことかしら?」

 「フフッ、隠さなくていいわ。それと河内さんあなたに謝らないといけない?」

 「謝る?」

 「私ね、この世界で一度死んで転生して地球で生まれたときから今ある力を意識して使えたの。魔法によって人の心をコントロールすることも当然できたの」


 転生してから気に入らないことがあった時から魔法を使って全ての障害をどかしてきた、ひそかに魔法を使い生活してきたのだ。

 学校のクラスは全て周平と同じクラスで周平に好意を持って近づく女は排除し時には周平自らそうさせるように仕向けた。

 記憶が戻った今周平の私への愛情が揺らがないがそれまで余計な虫がつかないように魔法も含めたマインドコントロールを幼少期から徐々にかけつづけ私への愛と依存を植付けた。


 「まさかあんた……それで神山も……」

 「フフッ、流石にあなたをあんな風に避けるようになったのは同情するわ」

 「狂ってるわ……そんなことしてまで手に入れて何の意味が……」


 河内の声からは怒りが滲み出る、当然といえば当然だろう。

 でも愛とはそれぐらい壮絶なのだ。


 「一つ勘違いしているわ、私も周平も前世はこの世界では夫婦でありお互いに愛し合っていたわ、だから記憶が戻るまで余計な虫がつかないように幼少期から心に私を植えつけただけよ」

 「神山はそれを知っているの?」

 「記憶の戻った今は恐らくね、だけど私と周平はお互いを肯定して受け入れる。それが私と周平の愛の形……」


 私の歪んだ愛情を受け入れてくれた周平だからこそ自分を晒せだして振る舞うことができる、私が私である為の……自分が一番自分らしくいれるのは彼の隣だけなのだ。


 「あなたのそんな狂った性癖なんて聞きたくないわ、あんたみたいな悪魔と関わるのは真っ平ごめんよ!」


 河内の言うことはもっともだ、余計なことを言い過ぎた。


 「フフッそうね。それとあなた達が周平にしたことは本来なら許されることではないけど結果私にとって好都合だったこともあるから不問にしておいたあげるわ、本来なら万死に値するけど」


 結果周平はごく一部を除きクラスメイトとの繋がりを切った、それは彼女達が周平をクラスから追い出した結果といえるだろう。


 「話は終わりよ、邪魔したわね。タピットさんもそれを引き継ぐ以上ナシュワンを超えることを期待しているわ」

 「は、はい、私もそれを意識して精進したいと思います」


 タピットは良くも悪くも自信の信念を貫くし特に問題ないだろう。

 さて言うことは言ったしもう用はないわね。


 「それじゃあせいぜい魔王討伐頑張ってちょうだいね~」



 ◇



 扉を出て宿を出ようとするとあの時の二人が宿の入り口にいた。


 「あっ、立花ちゃんだ」

 「どうしてここに?」


 雪と美里が話しかけてくる。


 「フフッ、こんにちは」


 二人がこちらに近づいてくる。


 「もしかして私達を見に来てくれたのかしら?」

 「そうね、一番の目的はタピットさんに渡すものがあって来たのだけどあなた達二人の様子も当然見る予定ではいたわ」


 いずれはこの二人をクラスメイトから引き離すのが周平の目的だ、私としては二人が周平の愛人になるリスクを上げたくはないけど周平が大事に思う二人をないがしろにするわけにもいかない。


 「嬉しいねぇ~ありがとう」


 美里がこちらを見て微笑む、私の刷り込みがあったとはいえ周平がこの二人と結ばれなかったのが非常に不思議である。


 「エミリウスの宴!」


 話を聞かれないように周囲を石化させておく。


 「それでそっちはどう?何か変なことはない?」

 「うひょ~さすがは立花ちゃん、こっちは今のとこ大丈夫だけど雪が少し問題発生かな~」

 「問題?」


 雪は苦笑いをしながら困った顔をうかべる。


 「それが……あの時周平君が助けに来て立花ちゃんという嫁がいるということがわかったからか私に凄いアプローチをかけてくる男子がいて……」

 「私は木幡からのアプローチを受けているしこんな感じだからあんまりなんだけど雪はおっとりしているところもあるから……」


 二人共可愛いし無理もないか……周平がいるというのが一つの抑止力になっていただけにその抑止力がなくなったから余計か……


 「困った話ね……確か嶋田ってのからは好意を持たれていたわよね?」

 「うん、嶋田君もだけど東君とか橋本君とかもだね。まぁ前からそんな感じはしてたんだけどね……」

 「雪はやっぱり周平が好き?私に遠慮せずに答えていいわ」


 実際のところこの子が周平に対してのどういう感情を抱いているのかよくわからない、ただ周平の心の中にこの子が入り込んでいるのも確かだ。


 「好きでだけど恋愛とはまた違うかな、周平君は私の恩人であり救世主なんだ」

 「この子その事を聞いてもそれしか言わないんだよね~何でも周平君と二人だけの秘密があるんだってさ~」


 秘密?私に話せないようなことがあったのかしら?


 「美里ちゃんそれを言っちゃ駄目だよ~立花ちゃんもそれを周平君に聞いちゃ駄目だからね~」

 「そんなことを言われたら凄い気になってしまうわ~」

 「それは私が周平君に背負わせてしまったことなの……でもそのお陰で今の私があるんだ」


 雪は申し訳なさそうな顔をしつつも目をギラギラ輝かせている、一体何があったのだろうか……


 「わかったわ……だったら聞かないでおくわ、それと二人はこれをもっておいて」


 周平に渡すように頼まれたお守りをそれぞれに渡す。


 「これは?」

 「お守りね、周平が肌身離さず持っておけって言ってたわ」

 「ありがとう、たぶん周平君のことだから何かあった時の為のやつかな」

 「周平君らしいね~」


 お察しの通り致命傷を受けた時にその攻撃から身を守る為の物である。


 「それじゃあ私はいくわ……」


 二人に抱きつき囁く。


 「絶対に死んじゃ駄目よ……何かあったらすぐ私達の元に来て!」


 本当は今すぐにでもこの二人は保護したいというのが本音だが二人はまだクラスとの繋がりがある。


 「うん……ありがとう……」

 「何かあったらすぐにSOSだすから……」


更新遅くなっちいまいした(笑)

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