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思い出した記憶

ここから主人公視点の話です。

 迷宮を出た俺達は立花のゲートで一度ギャラントプルームに戻る、約一月の間迷宮にいたこともあって情勢がどう変わっているかわからないからだ。

 幸い迷宮の転移装置の先は首都ファラモンドから少し離れた森の中とファーガスと同じような感じだったので誰かに見られることなく戻ることが出来た。


 「お疲れ様~」

 「ただいま~」


 九兵衛さんの家の前に転移すると家にいたのかそのまま迎えてくれた。

 早速迷宮での事を話した。


 「今度は図書館ザ・マスターの奴と話したんだね~それで次元エレベータ云々の話をして周平は記憶がある程度戻ったと」

 「簡単に言うとそんな感じだな」

 「それでそこの三人とのわだかまりは解けたのかい?」


 九兵衛さんの目線がレダさん達三人にいく。


 「ああ、そのことについて騎士団メンバーを揃えて話そうと思うんだ」

 「了解~いつもの本部の会議室に移動しようか~」



 ◇



 会議室に十二人全員を集める。


 「さて何人かは知っていると思うがガルカドール卿が戦死したディスカヴァリーでの戦いの時の話をしようか」


 みな神妙な顔つきで俺を見つめる、少し恥ずかしいな。


 「あの時俺とガルカドール卿はアーシアという女の子と戦っていた」

 「レイルリンクの女王だ、みんな覚えているね?」


 ロードリオンが捕捉するように言うとみな頷く。


 「ご存知の通りあの時アーシアは俺達側に加担し偽神と戦っていた、そしてレイルリンク王国は途中までこちら側についていたのも覚えているな?」

 「ええ、初期においては敵対していたけどシュウとシンさんとガルカドール卿で王宮に突っ込んで国王のリヴリアを倒してからはこちら側についていたわ……」


 エミリアはそれを話すと同時に表情が少し暗くなる。

 レイルリンク王国は大戦初期は敵対し、国王を倒しアーシアを女王にしたところでこちら側についたがディスカヴァリーの戦闘直前にまた偽神側に寝返ったのだ。


 「言わなくてもわかるがディスカヴァリーの前に裏切ったよな……アーシアはそれに反抗したレイルリンクの民を何人も殺めた……それがディスカヴァリーの戦いの発端だったよな……」


 それを聞くと何人も苦虫を食い潰したよう顔で苛立ちを見せる。


 「最終的にはレイルリンク王国は滅びそこが眠らずの地となったね……」


 九兵衛さんのその言葉で場が暗くなる、アーシアの裏切りこそがガルカドール卿や俺やシンの死に繋がりそしてあの負の遺産を残したと言っても過言ではない。


 「あの裏切り者はその後の和平交渉でも……」

 「エミリア、落ち着けって」


 机を叩くエミリアを諫める、交渉事を担っていたエミリアだけにあれは許せないのだろう。


 「アーシアしたことが許されることではないがその裏切りには理由があるんだ」

 「理由?」


 エミリアが怪訝な顔でこちらを見る。


 「アーシアの父親であるリヴリアは偽神と通じていた、そしてこれは死の間際ガルカドール卿が出した推測だが自身の死と同時にアーシアを乗っ取るようにしていたのさ」

 「何ですって?」


 知らなかった立花やエミリア達は驚きを隠せない様子だ。


 「だからガルカドール卿は自身の体を犠牲にアーシアに巣食うリヴリアを倒した、それをする為には体を犠牲にしなければいけなかったからな」


 これがディスカヴァリーの戦闘において騎士団最強であり実質的なリーダーであったガルカドール卿が戦死した理由だ、正確には体が滅び封印状態な訳だが。


 「でも周平、なぜガルカドール卿はその事を誰にも言わないようにと内緒にさせたの?」

 「それはアーシアが裏切ったということにさせておく為だ、ガルカドール卿は初代魔王として君臨していただけに慕っていた魔族達はたくさんいた、そいつらやその他の勢力にレイルリンクに強い殺意を向けておく為だ」


 レイルリンク王国……現眠らずの地に戦力を集中させ占拠し眠らずの地でとある儀式を発動させる為だ。


 「でもそれを私達にまで隠さなくても……」

 「立花達が率先してレイルリンクを占拠してもらう必要があったからな、もしあの地を完全に占拠したらあの地で行われようとした儀式を利用し神魔法ラグナロク(神々の終焉)を発動、エクリプスを真っ新にするのが俺がガルカドール卿から託された計画だった……」

 「なっ……」


 もちろんこれも内緒だった、今思うとあの人はこんな大胆で危険な事をよくもまぁ思いつくと思うよ。


 「ガルカドール卿がそんなことを……」


 レイチェルは思考がついて行ってないようだな、勿論世界から生き物を消滅させるような魔法を放つなんて馬鹿げている、だがこれをすれば世界は元通りなっていたのだ。

 ちなみにラグナロクは俺が完全になったとしても発動できない神魔法の中でも最も強い魔法だ。


 「でもシュウ……そんなことしてたら世界が……」

 「大半の生き物を滅ぼすなんて馬鹿げているよな?」

 

 これは二十柱やそれに近しいものしかこの意味は理解できないだろうな。


 「エミリア、それを発動するとたくさんのエネルギーが発生するんだ。ラグナロクなんて妖精王の僕でも発動できない最強魔法……そんな魔法が発動されれば当然偽神なんて全員滅ぶし僕達二十柱の行き来を阻むバリアも破壊される」

 「そしてたくさんの魂とそのエネルギーは体がなくなったガルカドール卿の復活に当てられるどころか封印中の二十柱の王をも復活できるレベルのエネルギーになるんだよね~」

 「王ルシファーの復活により死んだ魂と世界はまたラグナロク発動前に戻る、もちろん偽神達は除いてね……」


 それがガルカドール卿の計画だった、当時レイルリンク王国にはそれを行える古代の装置が存在していてガルカドール卿が体を犠牲にした時アーシアの中に巣食うリヴリアを倒すと同時にその装置にもリンクさせていた。


 「まぁちなみにそれはもう不可能になったがな」


 その装置自体があの時に壊れたからな、そしてそれはガルカドール卿の誤算でもあった。


 「でまぁ話を戻すとガルカドール卿がアーシアの中に巣食うリヴリアを倒した後アーシアが一時行方不明になったのを覚えているか?」

 「ええ、確か周平がアーシアはガルカドール卿を殺して逃げたとあの時私達に言ったわ」


 立花が言うように当時そういう風に誤魔化したがそれがレダさん達の不信感に繋がったがその時はそれでも誤魔化さなければいけなかったのだ、ちなみにその時アーシアは脳内がぐちゃぐちゃになり廃人同然になっていた。


 「あの時アーシアは頭に後遺症が残り廃人になっていた、そして俺の指示でとある男にアーシアを保護するように頼んだのさ。なぁそうだろ?」


 一人だけその事を知っていたのが騎士団にいた。


 「うむ、俺が廃人同然となっていたアーシアの身柄を保護していたのさ」

 「シンさんが?本当なの?」


 これにはレダさん達も驚きを隠せないようだ。

 あの時誰に頼むか色々考えた結果シンに頼んだのだ、シンならあまりあまり感情的にならずにそれをこなしてくれると考えたからだ。


 「ああ、俺は友に頼まれ彼女の保護をしていた」

 「待って……確かあなたの戦死理由はアーシアにやられてだったわよね?本当は別にあるのかしら?」

 「いや、アーシアにやられてあの時死んだのは本当さ、ただ厳密にはそれも違うがね」


 シンは廃人同然のアーシアのケアを行い人格の再形成をしていた、その間にレイルリンク王国の首都シカンブルをこちら側が完全に占拠しラグナロクを発動するはずだった。


 「アーシアの中に巣食ったのはリヴリアだけでなく偽神の最高神たるエクリプスもリンクしていたのさ」


 恐らくリヴリアがアーシアの中に入りこんだ時リンクさせていたのだろう、ガルカドール卿も俺もそれに気づくことが出来なかったのが最大の誤算だ。


 「そして俺は不意を突かれてやられた……それを友に伝えることが出来なかったのも痛かったな……」


 シンの表情から悔しさが滲み出る、偽神エクリプスが乗り移ったアーシアはリヴリアの時とは違い実力も桁が違った、当時力が完全でなかったシンでは勝つことが出来なかったのだろう。


 「その後だな、アーシアが和平交渉を申し出て二度目の裏切りをするのは……」


 それがおそらくまだ思い出せていないあの森の中でアーシアとの戦いなのだろう、あの戦いの後俺は死に、アーシアも行方不明となりシカンブルが眠らずの地となったことに繋がったと推測される。


 「俺が死んだぐらいの時だったよな?シカンブルが死の大地となったのは?」

 「ええ……あなたとアーシアが戦っていただろう時謎の大爆発の知らせを聞き向かった時はラグナロクを発動する装置も無になっていたわ、そして抜け殻となったあなたの体が残されていた……」


 その時点で騎士団はガルカドール卿、シン、俺と失い、勢いを落としていった……レイルリンク王国が死の大地となったことによる偽神側から和平案を押す声が戦争を終結に導き偽神共の完全な殲滅が出来なかった。


 「まぁそれがあの時の大戦の真実だ、最後の狂魔結晶を取り込めば最後の戦いの記憶が戻るさ」


 昔話はここら辺で終わりにして次は今後の話だな。


 「この話はここいらにして次どうするか考えようか?九兵衛さん、俺達が迷宮に行っている間に大きな動きはあったかい?」


 レガリアを出る時にチラッと周りを見たが活気なかったしおそらく戦闘が始まったのは間違いないはずだ。


 「連邦と魔族側の戦闘が始まったね、今は膠着状態かな~」

 「ファーガス王国の方は?」

 「ファーガスも遠征を始めたようだね~君のクラスメイトもちらほらと戦地へと向かったようだよ~」


 ふむ、誰が向かったか後で確認して把握しておくか……


 「それでどうするんだい?連邦内の獣人族による革命かそれともオルメタの迷宮に行くかの二択だよね?」

 「ああ、ロードリオンは妖精の国の方は大丈夫なのか?

 「妖精の国は基本中立を貫いているし火の粉は降ってきてないから今の所は大丈夫だよ」


 またいくつかに分断か……


 「次は連邦の獣人族だな、俺達が作る新しい組織を宣言しそれを世に知らしめよう」

 「そのことだけど明日ギルドマスタークラスを集めた会議があるんだ、白金ランク十人と俺での会議なんだけどそのうち八人は俺の腹心ともいえる存在だ。その宣言は会議が終わったらでいいかな?」

 「問題ない、むしろタイミングもちょうどいいな」


 何人かの目星のつけているのを明日までに集めておくか……


ちなみに尾形編を挟んでやったのは九兵衛の腹心の白金ランク八人というのを全員出しきれてなかったからです(笑)


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