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最下層での戦い

いつもより少し文字数が多くなりました。

 九〇〇層の戦闘が終わり残り百層を進む、嵐が吹き荒れ雑魚敵もステータス三万を超えるだけにみな気を引き締めて進む。


 「流石は師匠って感じでしたが二十柱や偽神を除いて戦姫に勝てる存在っているのですかね?」


 レイチェルが言う、戦姫が抜けた存在として君臨する理由として二十柱の力の根源ともいえる創生エネルギーを少し与えられているからだ。

それ以外で戦姫に勝てるやつ……誰かいたかな?


 「シン誰かいたっけか?」

 「うむ、生きているのだと数える程度にはいたはずだぞ。この世界にはいないと思うがね」

 「一応いるにはいるのですね」


 創生エネルギーを少量得ることに成功したのは少なからずいるからな。


 「妖怪爺と女狐と恐竜ぐらいからしらね、この世界にいない以上戦う事はないだろうけど」


 レダさんの言葉で思い出す、そんなのいたな~

 女狐は九十九の師匠だったかな?



 ◇



 無事最後のボス階層である一〇〇〇層の扉の前に辿り着く。


 「さて、俺の出番か~」


 腕が鳴るぜ~

 と体をウキウキさせているとシンが口を開く


 「ここは俺にいかせてくれないか?」

 「シン?」

 「スパイラルや神代には悪いがここは俺が行くべきだろう」


 シンがこんなことを言うということは何かわけがあるのだろうか?


 「友はもう現時点で力の調整を済ませているだろうが私は蘇ったばかりでまだ済ませていない、そしてその調整に丁度いい相手と場所はここが適任だ」

 「俺はシンの力も見たいしそれでもいいぜ、レダさんそれでも大丈夫か?

 

 レダは一緒に来た理由の一つに俺の力を見について来たってのがあるからな……


 「別に大丈夫よ、オルメタの時に見せて頂戴ね~」

 「おう!」


 扉を開き闘技場に入る、ボス層は基本同じ外観と広さだけにこの光景はもう見飽きたぜ。


 「では行ってまいる」


 シンが闘技場の真ん中に立つと目の前で緑色の光が集まり人の形を形成する。


 レガリア

種族:神族?

レベル450

攻撃:400000

防御:400000

魔法攻撃:400000

魔法防御:400000

素早さ:400000

魔力:400000

固有スキル:神の光、■◆●の献納

称号:エクリプス創生神の使い、4大守護神


 これで三体目……といってもこれは迷宮が再現するコピーだがな。

 

 「いくぞ!」


 シンは剣を具現化させ直接攻撃を仕掛ける。


 「神滅閃!」


 いきなりの大技だが向こうも強力なエアロバリアで攻撃を防ごうとする。


 「なんの甘い!」


 シンの攻撃はエアロバリアを超え本体へ直接斬り付ける。


 「浅いか……」


 向こうの風の力による移動で攻撃がうまく入らなかった、だが攻撃を避けきれないというのはステータスから見てもそれだけの実力差があるということの現れでもある。


 「空中戦か……面白い!」


 普段は隠している漆黒の黒い翼を羽ばたかせる。


 「ゆくぞ、ディバインバルカン!」


 神々しい無数の光の弾丸がレガリアへ向かって飛んでいく。


 「黒天斬!」


 ディバインバルカンに続いてシンの持つ刀から放たれる黒の斬撃がレガリアを襲う。


 「さてどうなるか……ムッ……」


 シンの様子がおかしいな、攻撃はあたったはずだが……


 「シンの魔力が吸われたわね」

 「どういうことだ?アスピル系の魔法を発動した感じはしなかったが」

 「あの何とかの献納ってやつじゃないかしら?ダメージを喰らうと、そのダメージを加えた相手から魔力を吸い取るって感じだと思うわ」


 クレセントは攻撃を受ける攻撃力が上がりオンラクはこっちの能力ダウンだったな、あいつは魔力を吸収か……


 「なるほど……俺の魔力を吸い取るか……面白い!」


 シンは頭に二つの金の角を生やし目も紅くする、どうやら本気でいくようだ


 「魔力の海!」


 どうやら魔法で攻めるつもりらしいな、自身の周りを魔力で満たす。


 「魔女の福音」


 これは直後に放つ魔法の威力を大幅にあげる第十位階魔法だ、これは少し特殊で一度使用したら一定時間をおかないとこの魔法自体が発動できなくなるが大技を放つ直前での使用ではかなり有効だ。

 ただし神魔法と創生魔法は適用外だ。


 「俺の魔力を吸えるものならば吸ってみるがよい!凍てつく氷国ニブルヘイム!」


 第十位階魔法を発動し闘技場内を氷の世界へと変える、さらに魔女の福音によって威力を上げているだけにかなりの威力だ。


 「これならどうだ!」


 闘技場全体が氷点下へと移行したので俺達の周りだけ魔法をかける、レイチェルの魔法など比にならないレベルだ。


 「くっ……」


 見るとレガリアは確かに凍っていてダメージを負ったのだろう、献納の能力でしっかり魔力を奪われる。


 「その状態でも俺の魔力を吸い取るか……なら絶望をくれてやる!」


 シンの周りに闇の力が集結する。

 

 「あれをやるのか」


 シンのそれは武人らしからなぬ力、かって呪術王シン・アークトライアル・ゲイクルセイダーだった頃に習得した能力だという。


 「暗黒回帰!」


 シンの体から肉が落ち黒いオーラが放たれる。


 「昔は死の皇帝なんて呼ばれていたこともある、心は立派な武人なんだがね」

 「かつてのシンは少し尊大で傲慢だったとランスロット卿から聞いているわ、これはその時の名残ね」


 シンが魔法学校時代に当時のその性格が悪い方にでず学校で生徒の模範であった理由としては同級生に同じ二十柱の精霊王バヤルドがいたことが大きいだろう。

 シンもその学校での生活を通して徐々に今のシンが形成されたと言っていたからな。 

 魔術師のローブを着た骸骨姿へと変化する。


 「いくぞ!絶望の闇!」


 これは対象を黒い渦に包み込み心身ともに闇を侵食させる呪術だ、凍りつけになっている状態のレガリアに闇を浸透させる。


 「貴様のその風の能力も見飽きたな……沈黙の空!」


 周りの空間の天候を曇りへと変える第十位階魔法だ、これにより闘技場全体の暴風が解除される。


 「どれ……動けるようにしてやろう、神々の聖戦ジ・ハード!」


 空間全体を光で殲滅する神魔法、動けない相手に容赦のない奴め……


 「でもこれだとシンさんも多大な魔力が吸収されるんじゃ……」


 椿が心配そうに言う。


 「それは問題ないよ、むしろ吸収されるのはあいつさ」

 「えっ!?」


 凍りつけから解放された大きなレガリアはダメージを受けたことで体の光が大きくなる、おそらく自身がダメージを受けているほど吸収の能力も上がるはずだ。


 「フフッ、レガリアの体がふらついたわね」


 その魔力吸収の瞬間本来ならシンから大量の魔力が吸い取られふらつきを見せるはずが逆にレガリアの方が吸い取られふらつく。


 「今のシンはアンデットの王、アンデットに吸収系統の技をしようものならしっぺ返しさ」

 「普通のアンデットならその能力差で吸収仕返されることはないのだろうけどシンは二十柱の一角、格が違うわ!」


 シンは神級の武器である神黒剣アポカリプスを具現化する。


 「俺の魔力を吸収など全く持って傲慢!二十柱が一角背信の悪魔帝の力を見せてやろう!」


 剣に異質の力が集まる、悪魔帝が持つ陰黒属性の力だ。


 「ハァァァァ!」


 シンがレガリアに近付き黒を纏った剣で切り付ける。


 「我が黒はを持って貴様の身体を奪い取ろう!」


 陰黒の力による攻撃を受けると受けた部分が文字通りなくなる、つまりお腹を貫通させればその部分だけ陰黒に吸収され無くなるのだ。

 ちなみにこの方法で首を切ると死なずにデュラハンの出来上がりだ。


 「遅い!」


 右腕を切断し分離した右腕を自身の手で吸収する。


 「先ほど取られた魔力にはまだ程遠いな、黒い太陽!」


 闘技場の上に黒い太陽が出現する、陰黒によって作られた黒い球体で吸収したエネルギーの集まる基幹でもある。


 「暗黒空間ダークネスゾーン!」


 対象を無重力の空間に誘う第十位階魔法だ。


 「いくぞ!」


 シンは悪魔モードに姿を戻す。


 「陰刻剣!」


 容赦ない剣撃によって徐々に力を奪っていく、悪魔に戻ったが陰黒による攻撃なので当然献納の能力は機能しない。


 「偽神への信仰など我が背信が否定する!」


 黒い太陽に吸収されすぎたからかレガリアから発せられるエネルギーが弱くなっていくのがわかる。


 「とどめといこうか!冥界の大審判ジャッジメントオブハデス!」


 闇の力によって対象を裁く神魔法だ、大きな闇の渦がレガリアを包み込むと風前の灯だったレガリアは消滅した。


 アークル・ブランドフォードorシン・アークトライアル・ゲイクルセイダーor湖稟真

レベル:999

種族:悪魔族

職業:悪魔帝

攻撃:1220000

防御:1200000

魔法攻撃:1220000

魔法防御:1200000

素早さ:1210000

魔力:1200000

固有スキル:悪魔帝の背信

異能:サイコキネシス(AA)、氷王アイスロード(S)

称号:神殺し、死の皇帝、呪術王、魔剣聖、レガリアの悪魔


 これがシンのステータスだ、九兵衛さんと同格の二十柱のステータスといった感じだ。



 ◇



 「流石はシンだな、お前の戦いから目が離せなかったよ」


 改めて心強い味方であることを再認識させられた、これが全宇宙の悪魔を統べる立場にある男の力だというのを見た……そんな戦いだった。


 「満足なら何よりさ、今度はもっと凄いのを見せてやるさ」


 シンは少し誇らしげに言う、できる男の言葉は違うぜ。


 「ああ、是非見せてくれ」


 戦いが終わり最下層である一〇〇一層に足を踏み入れる。


 「よし早速入ろうか」


 中へ入るとクレセントやオンラク同様の空間が広がっている。


 「ここの宝は全回収だ」


 この先多額のお金が必要になることは間違いない、前の時同様遠慮なく全回収だ。


 「宝もいいけど今回も通信システムのようなものがあるはずだからそれを探しましょう」

 「ああ」


 立花はクレセントでは黒姫と交信し俺達はオンラクでジェラードさんと交信した、今回もその装置があるはずだ。


 「あれじゃないかい?」


 直樹が指をさした方向にオンラクの時と似たような水晶がある、おそらく交信が出来るはずだ。


 「これっぽいな」


 全員水晶の前に集まり手を触れる。


 「…ますか…聞こえますか?」


 この柔らかい口調と若干低めの声は……


 「聞こえてるぜ図書館ザ・マスター

 「おおっ、周平でしたか!」


 二十柱の一角で二十柱の保有する書物や宝物などを守護する保管庫の管理者で本名はクリストフ・アバーナントという。

 物腰こそ柔らかいが腹黒で人の嫌なところをつくのが得意なのが特徴だ。


 「立花もシンもいるしレダさんとかもおるで」

 「そうでしたか、みなさんおひさしぶりですね~初めての方は初めまして二十柱が一角第四の大欲クリストフ・アバーナントと申します」

 「それで黒姫、ジェラードさんときて次はあんたなわけだが何かあるのかい?」


 たぶん最後はランスロット先生な感じがするな。


 「実は今そっちの世界への行き来を可能にする為に色々模索していましてですね……」

 「次元エレベータのことか?」

 「そうです、確かそちらの仲間に開発に携わっているのがいましたよね?」


 直樹を連れて来てよかったな、丁度いい。


 「お初です、境界騎士団が一人藤島直樹と申します。失礼ながらあなたの構想にあった次元エレベータの開発をさせてもらっている者です」

 

 おい、いつもの天才強調はどこいった。


 「リオンから話は聞いていますよ、少し難しい話になるので詳細は省きますが異世界同士を繋ぐパイプの構想は出来ていますか?」

 「はい、転移先への誘導コントロール装置は出来上がっていますし実験段階における耐久テストもクリアはしています。ただ何らかの壁がそれを阻み転移が成功しないんですね」

 「僕達がそっちの世界を後にした時に偽神共に設置された神壁ですね……」


 その神壁というのは二十柱クラスの出入りを無効にするものでそれ以下だと潜入はできても脱出ができないという仕様で交信に関しては一部を除き全て無効になる。

 一部それが適用されない魔王城の転移装置なんかもあるがあれで俺達が脱出すればその後の出入りが不可能になってしまうので当然使えない。


 「それをどうにかしない限りいくら装置を強化させてもって感じですね……」


 天才の頭脳をもってしてもその神壁をクリアできす頭を悩ませている。


 「そう……でもそれをクリア出来るかもしれません」

 「本当か?」

 「はい、今までの通信手段は九兵衛さんの部下である地球の物資を取り寄せる夫婦と迷宮の最下層にある水晶だけでしたが常時通信が可能な場所を見つけたのです」


 そんな場所があったとは……もしかしたらその場所で次元エレベータが作動できるかもしれないということか。


 「それはどこだ?」

 「原初の聖域です……」

 「あら……そこは……」


 原初の聖域……この世界のどっかにある幻の場所と聞くが……


 「フフッ、そんな声を出さなくてもいいですよ。すべての迷宮をクリアし修練の里のパールダイヴァーの導きの間の祭壇に行ってください、そこにいけ……ば……」


 通信障害……どうやら時間切れかな。


 「了解、時間はもう少しかかるかもしれないが必ず行くよ」

 「よろ……しく…おね……がいしま……す、待っ……てい……」


 通信が切れた。


 「次の道標も開かれたわね」

 「ああ、迷宮攻略はラスト一つ……世界の情勢を見てだな」


 さて次は奥にある狂魔結晶を取り込まねばいかんな。


 「立花、俺は奥であれを取りに行くから宝の回収を頼んだ」


次回は主人公の話が途中まで書いてその後は尾形編を少し書きます。

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