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レガリアの迷宮攻略4

今回は椿の回ですね

 五〇〇層で昼食を終え少し休むとすぐに下層へと進む、各層の最短ルートをとるので一層辺りにかかる時間はかかっても三〇分以内に抑えている。

 それでも一月ぐらいかかるのだから全く作った奴をうらむところだ。

 ちなみに四〇〇層以降は各ボス層の部屋では帰還ができるのは三〇〇層までのボス層と同様だが脱出した場合のリスタートが出来ない。

 

 「雑魚敵も風の魔物だと魔法をメインにおいていない奴はきついな……椿大丈夫か?」

 

 俺が椿のそう言った時そのまま刀による斬撃を空飛ぶキマイラ複数に向かって放ち撃墜する。


 「全然余裕だよ~」


 椿は大変どころかイキイキとした表情を見せる、さっきまで退屈そうな顔が嘘のようだ。

 神代椿……俺と立花が転生前のこの世界に来る前に通っていたレインズ魔法学校の同級生で魔法力はそこまで高くないものの圧倒的な体術と剣技で第三席に入った猛者だ。

 当時校長だったランスロット先生には流石に魔法に優れていないものを主席にはできないから頼んだぞとランキング戦の時は言われたものだ。


 「ハハッ、ボス戦が楽しみだな~」

 「フフッ、楽しみにしといて。椿ちゃん大暴れの予感だよ~」


 戦場を血に染めるその様から戦闘狂や狂気の血狩りなどと言われていてかなり恐れられていたが普段はちょっと普通に乙女である。


 「前より剣技の荒さがさらになくなってきたな」

 「魔法学校時代に剣技で周ちゃんに負けた悔しさを今でも忘れていない証拠だよ」


 レインズ魔法学校の主席は一番魔法に優れている者という決まりがあるもののそれ以外は単純な強さで序列が決まる、魔法力ではなく剣技で序列三位に入った椿を従わせるために剣技で椿を倒したのだ。

 元々椿の剣技を見て基礎習得程度だった剣技を極めようと思ったし初めて椿の剣技を見た時は目を奪われたものだ。

 ちなみにその代は俺と立花のダブル主席で椿が三席という感じだった。


 「あの時な、ずっと目標だった椿に勝てて嬉しかった記憶があるよ」


 初めて挑んだ時はボロ負けで悔しい思いをした、完全記憶の異能で徐々に椿の剣技を分析、自身に取り込んでアレンジし試行錯誤をした結果やっと勝つことが出来たのだ。


 「むぅ~今度は負けないからね~」

 あの時の戦闘後の椿はポカーンとした顔で空をずっと見つめていた、その後一週間寝込んで学校に来なかった時は罪悪感を感じたものだ。

 


 ◇


 六〇〇層に辿り着きボスであるエアロドラゴン変異種だ、変異種だけに暴走気味の動きに気をつけなければいけない相手だ。


 「行くよ……黒椿!」


 二つの愛刀のうちの一つ黒椿を手に高く飛び上がった。


 「斬槍撃!」


 エアロドラゴンは椿の刀先からでる殺気を感じ防御の体制から急遽回避する。


 「じゅるっ…今の避けるなんて骨があるじゃないの~」


 椿は口からこぼれ出そうな涎を戻し再び上へと飛ぶ、戦闘狂神代椿の本領発揮だな。


 「斬空閃!」


 エアロドラゴンはまたも避けるが羽を少しかする。


 「フフッ、避けるのが上手いわね~」


 上から降りてこないエアロドラゴンに向かってもう片方の愛刀紅桜を手に二刀流での斬撃を放つ。


 「乱れ斬!」


 よけきれないエアロドラゴンは徐々にダメージを蓄積していく。


 「エアロドラゴンの変異種とは通称暴走種のこと……それがあんな逃げ一方になるとは流石は椿ね~」

 

 立花の言うように変異種とは獰猛な暴走種でありその名の通り手当たり次第の敵へと襲い掛かる国指定の災害指定モンスターだ、その中でも上位モンスターに位置するドラゴンがあんな逃げ腰になるのだから椿の方がよっぽどモンスターである。


 「下品な椿ですがあの殺気と剣技だけは本物ですわ……敵に対して容赦ない所もある意味尊敬できますわね……」


 レイチェルのはこれはいつもの皮肉ではなく純粋に椿に対し畏敬の念を込めて言っているだろうな。


 「あの殺気や動きも鬼の血が為せる技なのかもしれないな……見事だ」

 「加えてランスロット卿が直に教えている、あの戦闘を楽しむ姿はかつてのランスロット卿を思い出すわね~」


 椿は幼少期のとある一件から鬼の血を宿している、それが椿の常人離れした体力と戦闘能力のファクターだが彼女の強くなることへのひたむきな貪欲さこそが今の椿を作っているといっても過言ではない。


 「あいつの剣技の凄い所は型がないところさ、それ故に決まった剣技も自分流にアレンジして強い技へと変える。あれに敵う剣士は数少ないだろうな」

 「それだけに剣技を吸収する周平さんの存在はさぞかしネックだったと思いますし同情しますわ~」


 レイチェルはそんなこといいながら少し顔がニヤついている、こいつら仲は悪くないとは思うんだけどな……喧嘩するほど仲がいいって言うし。


 「でもそんな周平の存在がより椿を強くしていくと先生が昔おっしゃっていたわ、現に椿は周平との負けがあったからここまで強くなった」


 こいつを倒したい、こいつには負けたくないといった感情は時に人を強くする、目標を失えば進化はしなくなる。


 「随分とバテて来たじゃない~」


 椿の目から獲物を狩る獣そのもの、普段は着物の似合う黒髪大和撫子風の女の子だけにギャップが凄い。


 「それじゃあ少し早くするよん~」


 さっきよりも早い速度で上に飛び上がったからかエアロドラゴンは反応が送れ椿に接近される。


 「二刀流椿スペシャル槍吹雪!」


 二つの刀を交互に上から突き徐々に下へと落としていく。


 「眼が怯えてるよ?」


 暴走し狂う変異種が怯えるなんてことは通常では有り得ないことだが椿から見て今のエアロドラゴンはそう映ったのだろう。

 その技が終わるとエアロドラゴンはそのまま消滅した。


 「椿も腕は衰えていないようで安心だな」


 椿はこちらに戻ってくる、動きやすさを重視したドレス風の和服は戦闘が終わった直後はいつも血が飛んでいるのが印象的だったが相変わらずだ。


 「ただいま~」

 「お疲れさん」

 「周ちゃん立ちゃんシンさんどうだった?椿スペシャル槍吹雪中々でしょ?」


 椿は目を輝かせて言ってくる。

 

 「見事だ神代よ」

 「純粋にあれは真似したいわね~」

 「ハハッ、人相手にはやるなよ~技は凄くいいが人間の群れ相手にやったら九十九が下品って言いそうだからな~」

 「昔の戦争の時相手方の大群の首を一気にチョンパして血のシャワーしたら九十九ちゃんに注意されたね~懐かしい」


 ノウンファクトの殲滅戦だ、九十九的には見てはいけないものだったらしく後で椿を苦言を呈したのだ、俺達を慕っていた勢力あれを見たものはみな椿に対して恐怖を感じてしまう者も数多くいただけに流石に自重させた。


 「そうです!あんな下品極まりないことは騎士団メンバーとして似つかわしくありませんわね」

 「魔法で相手を苦しめて殺すレイチェルよりも一瞬で楽にする私の方が相手に優しいと思うけどね~」


 どっちも一緒なんだがな……


 「何ですって!私はあなたのそういうアブノーマルな所を心配してですね……」

 「なぁ~にが心配よ?あなたに心配される私じゃありません~」


 こいつらお互いに対抗意識があるのかいつも張り合うんだよな~

 というかレダさんよくこの二人連れて今まで過ごしてたな。


 「なっ……では言わせてもらいますがあんな血のシャワーなんて喜んでるから男が寄り付かないんじゃなくてじゃくて?」

 「うっ……心まで堅物の機械女のレイチェルだけには言われたくはないわ!男がいないのはあなたも一緒よ!」

 「この……ビッチめ!」

 「ロボットが余計な言葉使うんじゃないわよ!」

 「鬼にロボットなんて言われたくないですわ!」

 「誰がビッチじゃ!」


 二人が徐々にヒートアップする、こいつら容姿端麗で強いのにほんと男が寄り付かないんだよな……


 「レダさん始まったよ……」

 「止めるのが面倒だから終わるまで休憩ね、みんな少し休んでましょうか~」

 「了解~」



 ◇



 二人の言い争いは十分ほどで終わり下へと進んだ、レダさんの殺気をむき出しにしていると途中でそれに気づき言い合いを辞めたのだ。


 「よく引率してたよな?」

 「素直に褒めてね周平、あれ日常茶飯事よ!」


 レダさんが笑顔を見せて言うが殺気を二人にぶつけて言っているのがわかる。


 「尊敬しますわ~二人共ほどほどにな~」

 「周ちゃんごめん……」

 「すみません……」


 レダさんに怒られ二人共しょぼくれている、でもこの二人戦いでは相性良さ気なんだけどな~


 「まぁ喧嘩するほど仲がいいなんて言うぐらいだし本当は二人共仲がいいんだよな~」

 「「誰がこんな奴と!」」


 二人が意地を張らずに本音で語り合える日は来るのだろうか……そういう場面が来ない限りはキツイか……


 「下の方にきて随分と風が強くなってきたわね~」


 レガリアの迷宮は風の迷宮だけあって最下層の方は強い風が吹き荒れる、最下層の方は竜巻とかが普通に発生するらしい。


 「そろそろ面倒になってきたもんね……私がオルメタの迷宮でソロで七〇〇より下に行かないのは迷宮の自然トラップがエグくなるからなの」

 「なるほどな、オンラクの時は地形が悪くなる感じだったが九兵衛さんの巨人王の大地の力でそれを抑えていたらしく全然気にならなかったんだよな~」


 椿がいくら強くてもソロでそれ以上はキツイだろうな……

 オンラクも九兵衛さんなしだったらあんなに早く攻略は出来なかっだろうな、歩いてる場所が沼になったり急に前が土の壁で塞がれたりとかがざらだったらしい。


 「クレセントを最初に攻略した時は熱かったわ……最も周平は気にならなかったと思うけどね」

 「魔神の能力的にそうだな」


 クレセントは最下層の方に行くほど温度が高くなるらしいが魔神はそんなものの影響を受けないからな、まだ行っていないオルメタの迷宮は水の迷宮だけに最下層の方は気温が凄く低くて寒いらしいい。


 「私が全員に結界をはっておくわ、最後の百層なんてもっとヤバいだろうし」


 後ろで着いて行くだけだった俺達も援護攻撃を初めて進み七〇〇層までたどり着いた。


 「ここも私が行くわ、というか速攻で決めるわ。あれ見せるし」

 「おう」

 

 椿は扉を開き一人闘技場の真ん中まで進んだ、ちなみにボス層は気温が高かったり低かったり風が吹き荒れたり地形が変化したりとかそういうことはないのでボスさえ倒してしまえばただの休憩ポイントだ。

 高位魔法でフィールド全体を寒くしたりすれば話は別だが……


 「さぁて何がでるかな~」


 闘技場の真ん中で踊っていると魔物が形成された。



迷宮の話が予定よりも長くなっちゃいそうです。

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