尾形編2 冒険者ギルドへ
次書いたらまた主人公の話に戻します。
メイタイの街につきギルドへと向かった。
王都バイムレック程ではないが中々に活気のあるデカい街の印象だ。
「ここは下手すると王都より治安がいいかもしれないわ」
「そうなのかい?」
「ここでは冒険者ギルドがあるからそれが警備も兼ねてやってもらっているのよ、ここの冒険者ギルドは全国にある冒険者ギルドの中でもトップ十に入ってるしギルドマスターが白金ランクでギルド内の身分も高いからギルドメンバーも厳しい教育されてるの」
模範となるギルドでないといけないということか、しかしそんな厳しい教育をしてるということはギルドマスターも厳格なお人なのだろう。
「なるほどね~ここのギルドマスターとは面識はあるのかい?」
「ええ、ここのギルドマスターは何度か会ってるわ、エミリアさんの下で王都にいたこともある人だからね~」
ということはこの国との繋がりが深い人だということか、王都の近くにデカいギルドを置くのも侵略されない為の手段になり得るな。
「どんな人か緊張するね」
「フフッ、そこまで緊張する必要もないわよ」
スタセリタがクスクス笑う。
元々コミュ障なだけに緊張してしまうな。
「こんにちわ~」
スタセリタが中に入り挨拶をするといかついオッサンどもが一度こちらを睨みつけると何人かがこちらにやってくる。
何だが脅迫されそうな感じがして少し怖い。
「おおっ、姫さんじゃねぇか!」
「久しぶりねリライアンス」
おっさん達は不愛想な顔から一転、穏やかな表情になる。
やってきたごついヒゲ親父はリライアンスというらしい。
「姉さんなら上にいますよ姫さん」
「ありがとうランド」
このちょび髭の伊達男はランドというらしい。
「姫さんこの隣にいるのは誰ですかい?」
「私の部下よ、このギルドを除けば今やジャジル王国ではエミリアさん、カーリンの次に強いわ」
すると二人は目を丸くさせてジロッとこちらを睨みつけけてくる。
「ど、どうもです~」
「うん、まぁ見た目はヒョロそうだがそれなりに出来そうだな」
「そうですね~」
すると二人はこちらに手を出してくる。
「よろしくな坊主、俺は元ジャジル王国騎士団副団長だったリライアンスだ」
「同じく元ジャジル王国で騎士団員だったランドです、以後お見知りおきを」
「尾形光一です、よろしくお願いします」
二人と握手を交わしギルドマスター室へと向かった。
「あの二人は元この国の騎士団員なんだね」
「うん、うちの騎士団員ってエミリアさんとカーリンが教育してるんだけど途中で何人か冒険者にさせてるの、だいたいがここの所属になるからここのギルドの細かいこともこちらに伝わる仕組みが出来上がるわ」
元王国騎士団員がギルドに入れば他のギルドメンバーも変なことはしなくなるからな。
「それもエミリアさんの考え?」
「ええそうよ、パパが国王になれたのもエミリアさんのお陰だって自分で言ってたしエミリアさんなしではジャジルは成り立たないわ」
「ハハッ、エミリアさんはキングメーカーだね~」
日本では汚職で首相退任したあの人もそう呼ばれたし皮肉にもとれるかもしれないがそう呼ばれる人はそれだけ凄い人の証でもある、このジャジル王国においてエミリアさんはキングメーカーと呼べるだろう。
「キングメーカーって?」
「俺の住んでいた世界では王様の選出をコントロールできるぐらい凄い権力を持った人を皮肉と尊敬を込めてそう呼ぶんだ、別にエミリアさんを皮肉ってる訳じゃないからね」
「キングメーカーか……何だがカッコイイ呼び名ね」
「意味を知ってる人はあんまり呼ばれてもいい気持ちがしないんだけどね~」
今の周平君ならその気になればキングメーカーになれそうだな。
「あ、この部屋ね」
「ちょっと待って、心の準備が」
「気にしなくて大丈夫よ~トリプティクさん~」
トントンとドアを叩くとどうぞという低めの声が聞こえドアを開ける。
「よっ、ご無沙汰だな~」
ドアが開き見えたのは上半身が裸に近い若い女性だった。
赤い髪に少し黒めの皮膚、そして露出が多めだからか俺の体が瞬時に反応する豊満な胸が俺の目に焼き付いた。
怠そうに大きな欠伸をするもんだから想像していたイメージ像は一瞬にして消え去った。
「相変わらずそんなはしたない格好じゃ駄目じゃない~今日は男もいるんだから~」
「ハハッ、王女の従者が王女を差し置いてこのアタシに欲情する訳がないだろ~」
トリプティクと呼ばれた女性は笑いながら言う、スタセリタにヘッドロックをくらわないように無理矢理平静を保つ。
「そうね、そんなそぶりを見せたらきついお仕置きね~」
スタセリタがこちらを睨みつける、マジで勘弁してくれ……
「ハハッ、毎日スタセリタみたいな綺麗な人といたからそこら辺の耐性はそれなりについてるよ」
持ち上げてお茶を濁すスタイルでいかないと身が持たないな。
「ならこれからはもっと態度に示しなさい、少しぐらい欲情しても許すわ」
「ハハハッ、西方の魔術師も我等が王女様には頭が上がらないみたいだな~世間話はそこら辺にしとこうか」
トリプティクはこちらにに来て手を出したので握手を交わす。
「トリプティク・レイヴンハートだ、ここのギルドマスターをやっている。よろしくな」
「尾形光一です、よろしくお願いします」
「オガタコウイチか、コウイチって呼ぶからアタシのことはトリプティクって呼んでくれ……敬語とかそういう堅苦しいのも辞めてくれな」
「ああ、はい」
握手が終わると早速本題に入る。
「さて依頼の話だがあたしと共にとある場所に行ってあるものを取ってくるって依頼だ」
「採取クエストですか?」
「端的に言えばそうだが行く場所と取りに行く物が問題でな……」
トリプティクが首を傾げる。
確かにただの採取クエストならギルドマスター自らやることはないだろうからな。
「場所と物は何ですか?」
「場所は眠らずの地だ」
それを聞いた瞬間スタセリタと俺は顔を引き攣らす、カーリンさんから話は聞いているしあの白夜虎の事もあるからだ。
「トリプティクさんそれはさすがに……いくら光一が強くなって来てるといっても……」
「まぁ待て姫さん、話を最後まで聞けって」
トリプティクは動揺するスタセリタをなだめて話を続ける。
「それで取りいくのは希望の種だ、つまり眠らずの地にある黒怨の木に生えている実の中の種を採取する事になるな」
「希望の種って黒怨の木の実の中に稀にあるっていう種ですよね?確か実は凄い魔力が秘めているっていう……」
凄い魔力か……金にもなりそうだが兵器になる臭いがするな。
「そう、それをコウイチとアタシで取りに行く」
「あそこは白金ランクでも行くのは容易じゃないと聞いています、エミリアさんクラスが引率するわけじゃないのに光一じゃ命の危険が……」
スタセリタは俺の身を案じてくれているのか依頼を受けるのは反対の様子だ。
「姫さん気持ちはわかるがこれはエミリアの姐御がアタシとコウイチにやるように行ってきた話しでもある、つまり姐御の指示でもある」
「エミリアさんの指示なんですか?」
となると話は変わってくるな……エミリアさんが俺にその依頼をやるように言ったのなら断るわけにはいかないな……ただ場所がな……
「ああ、姐御がアタシにコウイチを連れて取りに行ってこいって言ったんだ。その種はジャジルの為に使うと姐御が言っていたな」
「その実を取りに行くこと自体はトリプティク的にはどうなんだい?」
「そうだな、アタシ一人だと五分五分だな。そもそもあの場所自由に回るのには姐御ぐらいの力がないとキツイのが現状だからな……」
となると中々に面倒な依頼だな、モンハンの火薬岩の納品をを思い出すな……火山でジョーさんと遭遇して破壊されるストレスが懐かしい。
ゴール間近で油断した時に死角からこんにちわ突撃するイーオスには本体投げ飛ばすレベルに腹立ったな~
「できれば逃げたい案件ですね~」
「まぁ気持ちはわかるさ、でもコウイチのその顔はもう決まってる感じだな」
それがエミリアさんからの試練だと考えれば受けないわけにはいかない。
「そうだね……その依頼は引き受けるよ」
「光一受けるの?」
スタセリタが心配そうな表情を見せる。
「エミリアさんからの依頼じゃ受けないわけにはいかなからね~」
「でも……もし光一の身に何かあったら……」
「大丈夫さ、トリプティクもいるし何とかいけるっしょ~」
スタセリタにはあまり心配をかけたくないがエミリアさんのように強くなる為には避けては通れない道のはずだ。
「姫さん、男が一度決めたことに口を挟むのは良くねぇさ。確かに危ないがアタシが引率するしどうか任せてほしい」
「トリプティクさん……」
「なぁにこの件が終わったらコウイチは一皮むけるはずだしそれに期待してくれ」
スタセリタは少し考える素振りを見せ口を開く。
「わかったわ……エミリアさんの依頼なら口を挟むわけにはいかないわね……」
どうやら納得してくれた様子だ。
「ありがとうスタセリタ」
「でもぜぇったぁい帰ってくることよ!」
俺の口を両手でつねながら言う。
「う、うん、そこはあんひんひてくれ」
帰らないとか俺の死ですからね……
「よろしい、トリプティクさんいつ出発する感じ?」
「コウイチの準備が整ってるならいつでもオーケーさ」
「わかった、なら明日の朝出発でいいかな」
決意が変わらないうちになるべく早く行って済ませよう。
「よし、ならそれで決まりだな。姫さんは帰るときはリライアンスをとランドを同行させるから」
「わかったわ」
◇
結局スタセリタはその日のうちに帰還した、国王的には同行させた理由が俺とトリプティクの仲介とトリプティク宛に書いた手紙を直接渡す為だったのだろう。
流石に眠らずの地にエミリアさんの同行なしでスタセリタを連れてくのは許可しないだろうからな。
「さて明日か……」
トリプティクに紹介された宿屋のベッドで寝ながらぶつぶつと独り言をいっているとドアを叩く音が聞こえた。
「はい!」
「アタシだよ、開けてくれ~」
トリプティクの声がしたので開けるとまたもラフな格好をしたトリプティクが部屋に入ってきた。
モンハンをやって育った20代30代は多いはず(笑)




