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レガリアの迷宮へ

今回はつなぎの話です。

 会議を終えたその日の夕食後騎士団メンバー及びその関係者が止まる宿にてビアーの果実酒を片手に今後のこと考えていた。


 「さてどうするか……」


 迷宮を攻略した後どうやって連邦の中枢に入り込むかだ、革命軍を全面的にバックアップし追い出したとこでそれが獣人族の集団による攻撃である以上は連邦を完全に滅ぼすことはできない。

 しかも連邦と戦うというのは獣人族を使役する人間と戦うことでもあり同族の殺し合いにもなってくる……なるべく連邦には戦わずしての降伏させるのが理想だ。


 「それができたら苦労しないんだがね~」


 ブツブツと独り言をつぶやいていると宮本がこちらにやって来る、どうやら俺に何か用があるのか……


 「おう、どうした宮本?」

 「へへっ、こんばんは周平君。見かけたからつい声かけちゃった~」


  黒髪にセミロングでぱっちりとした丸目が特徴的な宮本は中学校の時はそこそこ人気があった。

  失礼な話になるがお手軽な可愛さがあり基本的には誰にでもフランクな感じが男達を勘違いさせてきた。


 「宮本の方から逆ナンとは嬉しいね~」

 「ハハッ、立ちゃんの耳に入ったら殺されるよ~」


 宮本は立花のお気にいりだけあって俺が仲良く話していても何も言ってこない、それだけ信用も厚いということだ。


 「気をつけるよ、少し話すか?」

 「うんそうだねー」


 宮本はソファーに腰掛ける。


 「そういやこっちに来る前は彼氏いたんだったけ?」

 「むぅ……いきなりその話題かーい!」


 ずっといないいない言っていたが何回か告白されてるのを俺は知っている。


 「高校の時はいないとはいってたが何回か告白されてるのを知ってるからな、それにこっちの世界に来て吊橋効果の一押しがあったかもわからんからな」

 「高校の時はそりゃ何度か告白されたけどね……前に話した通り全部断ったしこっちの世界じゃいきなり監獄にいれられた感じだったからそんな余裕もなくだよ……」


 宮本は少し恥ずかし気に言う。

 中学の時から変わってないな……


 「お前どういうのタイプ何だっけ?別にイケメンがいいとかじゃなかったよな?」

 「そうだね……私ってさけっこう人を見るっていうか熱い気持ちがほしいから何となくじゃ無理なんだよね……」

 「高校入ってからそんなに交流なかったけど宮本は宮本だな」


 思わず微笑んでしまう。


 「ハハッ、その微笑みやめてよ~暖かい目で見守りますみたいのが全面的にでてるよー」

 「わりぃわりぃ、ついな……」

 「それに変わらないっていったら周平君もだよ、高校入って月島さんと杉原さんに乗り換えたと思ったら結局立ちゃん引っ張ってたし」


 今度は宮本が暖かい目で微笑みこちらを見てくる。


 「ウジウジしてただけさ……まぁ結果オーライだな、一筋だったというのをあいつに証明することになったし」

 「まぁそうだね……私としては嬉しいけど二人の気持ちはたぶん周平君に向いていたと思うからそれ考えるとね……」


 確かにこっち来て俺が二人を彼女にして立花に会えばきっと今頃三人ルートに入っていたのかもしれないな。

 だが俺はあいつを差し置いて二人を彼女にするという選択肢はなかった。

 それに二人の気持ちは俺だけじゃない。


 「それならきっと陣の奴がなんとかしてくれるさ」

 「あっ、そっか宗田君もいたね~」

 「美里なんかは俺より陣のイメージかな、中学から知り合いだっみたいだし」


 陣を大人しくさせたのは美里だったはずだからな~

 四人でつるむようになったのは雪との一件があってからだがな。


 「宗田君か~頭が切れるし行動力があるのは周平君と似てるけど少し感情が表に出やすい部分があってそのせいであれも失敗しちゃったんだけどね……」


 俺と陣の違うとこいえばそこだな、俺の方が冷静だという風にもとれるがあいつはその分人を惹きつける力があった。


 「クラスメイトの裏切りだったよな?」

 「うん……でもその子も脅されていたからね……」


 陣は何人かを連れて脱走を考えていたが裏切りにあいそれに失敗したという。

 結果陣は酷い仕打ちを受けたと思われるがそこから何らかの力を得て覚醒、首都ファラモンドで暴れたのち魔大陸入りだ。


 「陣の奴の情報をもっと欲しいんだけどな……」

 「ゴメンね~陣君が牢獄にいれられたところでみんな分散されちゃったから私もその後は詳しくわかってないんだよね……」

 「しゃーないさ、それに生きていればいずれは再会出来るはずだからな」


 陣は俺や雪や美里に会うためにこっちに来るはずだからな。


 「そうだね、それと周平君あの事件は清算してきたの?」

 「あの事件?」

 「とぼけないの~周平君が濡れ衣着させられたあの事件だよ」


 そっちか……


 「迷宮で嵌められた時の犯人は特定したんだがそっちはまだかな……だけど目星はついてる感じかな」

 「追求しないの?あんなの立花ちゃんがその場にいたらやった奴ただじゃ済まなかっただろうね」


 宮本の言う通りもし立花があの場にいたらあいつらは今頃酷い仕打ちを受けていただろうな。

 ただあれは根本の原因がな……だからといってただ許すのもおかしな話だが……


 「まぁ河内が絡んでるからな……」


 それを聞いた宮本の表情が変わる。


 「そんなこと言うと私怒るよ……」


 宮本の顔からは静かな怒りが湧き出ているのをヒシヒシと感じる。


 「いや……そうじゃなくてだな……確かにお前にやったことは許される事じゃないけどさー」

 「周平君は優しいからかな~二年の時周平君に近づいたのだって……立ちゃんの怒りを買ってざまぁみろだよ」


 宮本は一年生の時河内から酷いイジメのようなことをされていた、迷宮で殺されかけた一件には探っていくと昔からの根強い因縁のようなものがあるのだ。

 どっちかが大人になってやめられる案件であるなら自ら引いて終わりにすべきだと俺は考えている。


 「まぁ河内はそれで中学時代かわいそうな目にあったんだしさ~それに俺が河内とうまく折り合いをつけられなかったからだしさ……それに河内よりも俺はその気持ちを利用して俺を殺そうとした黒幕こそ真の悪だと考えている」


 河内はたしかに善人ではないがそこまで悪い人間かと言われればそうではない。


 「そんなのがいるんだ~仕返ししないの?」

 「考えがあってさーそいつにはただ仕返しするだけじゃ駄目かな」


 ちゃんと警告はしたからな、そいつが死なない限りはしっかりわからせないといけない……


 「フフッ周平君は優しいね~まぁ河内さんは周平君が必要以上に手を指し述べるような真似をしなければそれでいいと思うよ」


 宮本のこれは河内とこれ以上接触するなと言う事だろう、おそらく立花も同じことを言うだろうな。


 「あいつらはあいつらの目的があって俺達には俺達の目的があるからな、というかお前元の世界に帰りたくないのか?」


 俺や立花はともかく宮本には使命とかがあるわけじゃない、俺達についていくにしても元の世界に未練がないわけがないだろう。


 「いや、別に。まぁ帰りたくないわけじゃないけどこっち来て周平君や立ちゃんについていけば違う世界が見れるでしょ?私は今そっちのワクワクでいっぱいなんだー」


 宮本のそのワクワクした表情に嘘はない、中学の時彼女を生徒会にいれてとあることを一緒にやったときと同じ顔をしている。


 「ハハッ、なら見せてやらないとだな」



 ◇



 次の日の朝になり首都ファラモンドのレガリアの迷宮に行く準備をしていた。

 俺、立花、レダさん、シン、椿、レイチェル、直樹の七人は他の待機メンバーに見送られていた。


 「さてそろそろゲートを開くわ」


 立花がゲートを開く、一度ファラモンドに潜入しているので自由に入ることが出来る。


 「しかし便利ね~」

 「ああ、昔から思ってるが最強のチートスキルの一つだと思うよ」

 

 レダさんの言葉にみな頷く、立花の創生魔法は魔法を作り上げることができその自由度はかなり高い、既存の魔法に対しそれを相殺する魔法なんかも作成できる。

 しかも王の書が大半の魔法を認識し解析できるので攻撃が来ても高速処理解析で戦闘中でもすぐにそれを作成できる。


 「みんな昔から知ってるじゃない~そんなマジマジと見られると恥ずかしいわ~」


 少し照れくさそうな表情を見せる。


 「さて行くかね、留守は任せたよ」

 「ああ、周平達も油断はしないように~騒ぎになれば厄介だからね……」


 九兵衛さんの言う通り遠征に行かずに待機しているのもいるだろうし反乱を恐れて警備レベルはかなり高いはずだ。


 「ああ……心していくぜ」


 俺達七人はゲートをくぐり首都ファラモンドへと足を踏み入れた。


 「ここは?……」


 移動した先は廃墟になった建物中だ。


 「ゲートを開く場所に最適な場所でしょ?今は外に気配はないから早いとこでて迷宮に向かいましょう」


 扉を開き廃墟からでると薄暗く少し汚らしい裏通りと言った感じだ、少し先の方は沢山の人の気配があるようなので大通りからそんなに離れているわけではないのだろう。


 「了解、ここからは近いのか?」

 「ええ、今周平が見ていた先は大通りに繋がるけど反対にこっち側に行けば迷宮はすぐよ」


 しかし裏通りだけに怪しい人の一人や二人がいてもおかしくないはずだが……


 「裏通りなのはわかるが人がいなくて不気味なんだが……」

 「確かに~閑散としてて逆に苦手かも」


 俺の言葉に椿が続く。


 「朝昼の時間帯はここいらは取り締まりが厳しいから怪しい事をしていると憲兵が来てすぐに捕まるからこの時間帯ここをうろつくのは逆にいないのよ」

 「それを知っててここにゲートを開いたのだな……それで迷宮に入る為の入場規制はあるのか?」


 シンが周りを見渡しながら言う。


 「規制はそこまで厳しくはないわ、ただ憲兵が守っているからそこを何とかしないとね……」


 大通りとは逆の方向へ進んで行き抜けると迷宮の入り口の所に四人の憲兵が見守りをしていた。


 「四匹邪魔がいるな……」

 「ミスディレクションフィールド」


 俺達全員にかけ相手からの認識をそらす、ある程度腕の立つ者だとすぐに見破られてしまうだろうがあの憲兵程度ではあれば問題ないだろう。


 「さて行きましょうか」


 迷宮の入り口に近づいているが憲兵はこちらに気付いていない様子だ、ただこの魔法は見える所で魔法を唱えたり大きなアクションをするとすぐに解けてしまうので注意が必要だ。


 「あいつらこちらが見えていないだろうな~」

 「あ、大欠伸してる、うける~」


 椿の声が大きいので、みんなで手でシッーとジェスチャーすると苦笑いしながら気配を殺す。


 「トラップはないようね……」

 「入ったら音を遮断する魔法を入り口付近にかけて行った方がいいな」

 「そうね、ここで怪しまれると後々の捜査が面倒になるわ……」


 静かに迷宮の中へと入っていった。


次は久しぶりに尾形編を挟もうと思ってます。

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