圧倒的な強さ
主人公無双する回です(上手く書けているわけではないw)
ザラックが自分に攻撃を加えようとしたとき雪は自分の終わりを意識していた、このまま廃人にされれば仮に生きていてもそれは死んでるも同然だからだ。
「(こんな時に嫌な記憶が……まったく嫌になるな……)」
この時雪は昔の記憶が走馬灯になって走るが不思議と恐怖はなかった、家でのこともあり耐性がついていたのかもしれないな。
ただ……最後に会いたかった、それだけは心残りだ。
「周平くん……」
目をつむり覚悟を決めたが自身へのダメージがこない、おかしいなと思い目を開けると聞き覚えのある声とともにずっと会いたかった周平君の姿が目に映ったのだ。
「えっ……」
これは夢か現実か……一瞬こんがらがったがどうやら現実で周平君は私に攻撃をしようとした魔族の攻撃を防ぎ吹き飛ばしたのだ。
そうか……助けに来てくれたんだね……気づくと目から涙が流れていた。
◇
「ザラック様!」
ザラックと呼ばれた親玉魔族を右ストレートでぶっ飛ばした、全く俺の前で月島にセクハラなんていい度胸だよ。
「危なかったな~」
元気そうで何よりだなんて言葉は変装した姿で会ってるからとてもじゃないけど言えない。
「生きてたんだね……会えるって信じてたよ」
月島は涙をポロポロ流す、月島からしたらやっと俺と会うことができたのだ。
迷宮で行方不明になってからずっと生存を信じてたその人物に。
「悪かったな、あん時は色々あってな」
「ううん、再会できたから貸し三ぐらいで勘弁してあげるね」
「ははっ、借金だな。ディスペル!」
月島に纏わり付いてる拘束魔法を解除する。
「立花!」
俺の声とともに影から出てきた立花は王様達を捕らえている場所まで近づきそれを守る護衛をなんなく倒し結界を貼る。
「おおっ……」
「救いの手が……」
王様達が安堵の表情を見せる、この後地獄を見るかもしれないのにいい気なもんだ。
「あの女は……あの時の……」
「立花ってまさか……」
木幡も美里も立花の姿で一回会っているからな、まさかあの時石にされたのが俺の嫁だなんて夢にも思わなかっただろうな。
「とりあえずこれで大丈夫だな」
俺は月島を抱き上げ後退する。
「よっ、美里」
「遅い~全く……貸し十のとこを嬉しいから貸し五ね」
「合わせて八とかお前らは鬼か!」
月島や美里と軽く言葉を交わす。
「ハイパーヒール!」
美里を回復させる。
「ありがとう、それでどうするつもり?」
「それは……」
言いかけようとすると後ろから声がする。
「おーい俺達も回復してくれ~」
木幡達だ。
「あ、いたのか、二人しか目に入らなかったわ」
俺は別理由でこいつらを倒しに来ただけだからな、もちろん二人を助ける為でもある。
「お前は相変わらずだな……」
「お前もな、他の連中もちゃんと生きているな」
もちろん死ぬようなダメージ喰らうようなら流石にもっと早く助けてやったがな、こいつらに今感じてほしかったのはどうしようもなく絶望することだ。
まぁ俺達が助けたから真の意味で感じることはできなかったかもしれないがどうしようもなくヤバい時の絶望感を少しは味わったはずだしこの経験は今後伸びるのに必要なことだ。
シャーガー・ヒンドスタンとしては最後の実戦授業だ。
「それでどうするつもりだ?敵は多勢無勢、お前がきたところで……」
木幡が言う。
ふっ、ナメられたものだ、格の違いを見せてやるか。
「ふっ、俺一人で十分だ……お前達はそこで大人しくしてな!」
「なっ……」
周りのクラスメイト達がざわつく。
「神山、てめぇ随分とおおきい口たたけるようになったじゃねぇか」
菱田がしゃしゃり出てきて言う。
「菱田か……」
こいつはけっこうタフみたいだな、だが俺だからかムキになっているあたりまだまだ状況や能力差が見れていない証だ。
「俺はまだまだやれるからよー俺も……」
「エミリアに一瞬でやられるような奴は大人しく寝てな!」
「なっ……」
菱田を軽く威圧する。
「周平君……」
月島は心配そうな声だ。
「マジで怪我するからみんな下がってな」
周平は前にでてザラックやその他の軍勢と対峙する。
「待たせたな~」
「お、おのれ……貴様何者だ?」
「シャーガー・ヒンドスタン、もしくは神山周平ってとこだな。どうせ残り少ない命懸けだ、好きな方で呼ぶがいいさ」
するとザラックは馬鹿にしたような高笑いを見せる。
「キャハハ、残り少ない命とは大きな口を叩きますね~そこの口だけ同様料理してあげましょう!お前達!」
魔族どもがこちらに殺気をだして睨みつける。
「ふっ、遊んでやるよ……」
物質具現の異能を発動しガトリングガンを形成する、弾はもちろん高火力の魔弾だ。
「おらぁぁぁ!」
ガトリングガンから放たれた弾丸が魔族達を襲う。
「あれは……」
「ガトリングガン?嘘だろ……」
「そもそも神山ってそんな異能持ってなかったはず……」
クラスメイトはみな驚きの表情を浮かべる、覚醒前にこいつらと別れて以来神山周平として会うのはこれが初だし無理もないか。
「こい、千の剣よ」
弾撃で怯んだ魔族達に向かって今度は宝物庫から剣を具現化し放出する。
「千の剣撃!」
「ぐぁぁぁぁ……」
伝説級の武器を含む無数の剣が頭上から落とされ魔族達は悲鳴を上げ、半壊する。
「おい、あれ某作品の金の鎧のサーヴァントの技みたいじゃ……」
「間近でそれに近いものを見るとカッコイイでやんす」
どうやらあれがわかるのがちらほらいるみたいだな、ただこの異能はあくまでも収納用の宝物庫であってあのサーヴァントほど武器コントロールができるわけじゃないんだよな。
勿論俺はあの技のファンだしそれに近いことができて夢が叶った気分だ。
「デザートハリケーン!」
休ませることなくデザートロードの異能を発動、砂の竜巻が魔族の軍勢を巻き込む。
まだまだ俺の演出は終わらないぜ。
「砂の竜巻か……風が……」
「ザラック様……これでは目が見えず身動きが……アァァァァッ!」
竜巻に巻き込まれ宙に飛ばされる、ある程度が竜巻に巻き込まれた所でそこに高威力の魔法を狙い撃ちだ。
「ヴァイスシュヴァルツ!」
黒と白の弾丸は竜巻に巻き込まれている魔族に直撃する。
「あれはザラックがさっき俺達に向かってやってきた未知の魔法……」
「同じ魔法でも周平君のは無詠唱で威力も高いのね~」
月島は感心した様子でそこの違いにちゃんと気付いてれたようだ。
魔族共の悲鳴は竜巻の音のせいで響かなかったがちらほら聞こえていた。
「終わりだ、グランドクロス!」
大きな光の魔法陣から放たれる光の光線が追い討ちをかけ魔族の軍勢達の大半は壊滅した。
「口ほどにもないな……」
「周平君後ろ!」
背を向けクラスメイト達の方へ戻ろうとすると隠れていた魔族が根身の一撃を剣に込め俺の心臓部を後ろから突き刺す。
「周平君!」
月島が悲鳴じみた声で俺を叫ぶ、そんなに叫ばなくても大丈夫なんだがね。
「同胞の敵……」
「仲間が無惨に死ぬのを耐えに耐えて俺の隙を伺ったか……中々だがお前後ろはしっかり見るべきだな……」
「何を言ってるん……」
それがその魔族の最後の言葉になった、宝物庫を開きデカい斧を上から落とすとそれが首を落としたのだ。
「油断はいけないなと……」
刺さった剣を抜き身体を再生させる、流石に無痛ではないので自重しないとだ。
「体が……再生しただと……」
「有り得ん……」
ザラックも驚きを隠せんようだな。
「くそ……化け物がぁぁぁ!」
もう一人隠れていた奴が剣を手に向かってきた。
「バレバレだね~流石にサービスは一回だけだな」
剣を指一本で受け止める。
「力がたらないな……腰も引けてるな」
「ひっ……」
怯んだのでそのまま片手で頭を鷲掴みする。
「悪魔の慈悲」
これは触れている相手からエネルギーを吸収するしまう呪術だ。
「ぐぁ……力が……」
「ディバインデス!」
神々しい髑髏が対象の魂を消失させる第九位階魔法だ。
そこには命を失いやせ細った魔族の死体が残った。
「あれは誰だ?本当に神山なのか?」
嶋田は今だに信じられない様子だ、まぁ無理もないか。
「ええ、間違いないわ、化け物じみてるけどあれは確かに周平君よ」
「 周平君……」
周りのクラスメイトは状況を飲み込めてない奴もいる、それだけの力が圧倒的なのだ。
「こうなればせめて虫の息のやつぐらい道連れに……」
ザラックの近くにいた一人が虫の息のクラスメイトに向かって来る。
「抜刀術:烈!」
クラスメイトを守れる位置に配置した実がさかさず首を切断すると首から血がシャワーのように飛び散る。
「甘いよ……」
「ナイス~」
その瞬間を見ていたクラスメイトの一部は気分を悪くした様子だ、血や死体を見慣れていない者達は耐性がないのでしょうがない。
「真の強者は敵をも惹きつけるのさ、さて後はお前だけだな」
「ひっ……死にたくない……どうか命だけは……」
ザラックは命乞いをする。
「おいおい、流石にそれはないんじゃないのか~」
「えっ?」
「お前らはこいつらの命を狙ったんだから逆に狙われても文句は言えないだろ?それに貴様は遠回しにラシュカリの街で俺を怒らせた!お前を葬るには充分な理由だ」
戦いとはそんなものだ、それにラシュカリの街で魔族の乗っ取りが成り立ったのもこいつの協力があったからだと言うのは聞いているからな。
生かすという選択肢は最初からない。
「まさか公爵との連絡が途絶えたのは……」
「気づいたか……俺が助けようとした街の人達に大きな傷を残したお前にはそれ相応の報いを与えよう!」
こいつをここで葬れば世界は動く、魔王軍と人間族の戦の始まる。
これはその戦いのプロローグ……どっち側にもつくつもりはないが戦いが始まれば奴らは絶対に出て来る……
「待て、俺は魔王様直属の六将軍の一人で……」
「ふん、真なる魔王はガルカドール卿一人だ、それ以外の虫けらを魔王などと認めていない……プリズムアーク!」
棺から放たれた光がザラックを包み込み玉座にいた魔王軍は一人残らず殲滅した。
その場でそれを見るものの表情は様々だったが絶対的な強さというのものを見せつけたことでこの世界に来てすぐの無能な自分のイメージは払拭したことは間違いない。
今更どうでもいいことだと思ったがやはりあの時の印象のままでは嫌だという自分がいたことに気付かされたのだ
とうとう再会です。




