寄り道
遅くなりました……こんなに日を開けたのは初めてかも(笑)
次の話が頭に浮かんで来なかった&旅行疲れ&仕事等色々重なりました。
また平常運転に戻ってアップしていきます。
特訓を終え城内のサラフィナのいるところへ戻るとぐったりしたサラフィナと部屋を掃除をするザインタの姿が見えた。
「帰ったぞ~」
「おかえりなさいませ、もうすぐ夕食の準備をしたいところなんですがお嬢様は王妃様との討論に敗れてこんな感じなので少しお待ちください」
「了解~やっぱし駄目だったようだな~」
基本強気な姿勢のサラフィナも母親には頭が上がらない。
「シャーガー……私はもう駄目ですわ……せめて最後にファラモンドが壊滅する様を見せて欲しいですわ……」
「何物騒なこと言ってるんだか……」
そんなこと言う余裕があるうちは問題ないな。
「このままじゃ行き遅れの独身で最後は孤独死するってお母様が……」
「胸に突き刺さる正論って怖いね……」
お前の母ちゃんはいいお母さんだよ……
「う、うるさいですわよ!」
「ははっ……でもまともに男性と見合いをしたことないんだし一回は経験しておけばいいんじゃないか?」
案外上手くいくかもしれないからな、そのフィッシャーマンとかいう男が実際はどういう奴かなんてのがわからないのも事実だ。
「会った時点で縁談が急加速するのが見えていますのでお断りですわ、その賭けはリスキーすぎます」
「ははっ、それもそうだな」
ご飯の準備が出来たので四人での夕食に入る。
「周平、口の横に野菜がついているわ」
タレのついた野菜をかじったのでその一部がそのままくっついたようだ。
「そうか、じゃあ……」
取ろうとすると隣に座る立花がついている野菜を口で吸い取るように取り除きそのまま食べた。
「ふふっ、駄目じゃない~」
すかさず俺の口の横をテーブルにある小さなタオルで拭く。
「ははっ、すまんな~」
一瞬のことだったがそれを見ていた三人の顔を見ると何をされたか一瞬で理解し照れてしまう。
サラはジト目でザインタはやれやれと言った感じ、シンはいつも通りだなと微笑する。
「仲のつつましい限りですわね~でも今のは見ていてこっちが恥ずかしいですわ~」
「そうですね、見ているだけでお腹いっぱいです」
二人の視線が痛いぜ。
「ふっ、この二人はこれが平常運転だ。これぐらいで言葉を挟むようではまだまだだな」
そんなドヤ顔で言わんでくれ、俺は平常運転じゃない!
「なるほど、流石付き合いが長いだけのことはありますわね。私も見習わないと」
「そうよ、私と周平は夫婦だもの、人が見てなければもっと愛を深めているわ」
それは前世での話だが……ってもういいか。
「羨ましいですわ、シャーガーもこんな嫁がいながら別の女の子とイチャイチャしてまったくけしからん限りですわね」
「そうね、私のいない間別の女と遊んで終いには無垢な子供まで手を出して……お仕置きが必要かしら」
立花はニヤニヤしながらこちらを見て言う。
サラの奴余計なことを……
「だからダルジナは違うって!」
「私じゃ埋められない部分なのは承知よ、私一人でなんとか埋めたいのだけどどうすればいいかしら?魔法で十二歳の体になればいい?」
「落ち着けって……別にダルジナにそんなこと求めてないし愛してるは立花一人だから」
顔は笑っているがこれは経験上半分は冗談……だがもう半分はガチだ。
「ふふっ、公衆面前で嬉しいこと言ってくれるじゃない~」
立花は俺に微笑む。
ふぅ……まったく誤解もいいところだ。
「わかってくれたのか?」
「ええ、でもサラが納得してないから保留で」
なんじゃそりゃ……
「ですわね、フォルモサとシャーガーの正式な結婚がされるまでは幼女の件は保留でいきましょうか」
サラもニヤニヤこちらを見ながら言う。
おいこら……
「ふふっ、決まりね。クラスメイトの方も心配だけど周平が嫁として私を紹介してくれたから追及はしないでおいてあげる、感謝しなさい」
女との接触には気をつけていかないとだな、でものび太君だって一応しずかちゃん一筋だけど他の女からもアプローチあっただろうし幼女ぐらい大目に見るべきや。
「クラスメイトの指導も何処までやるかだな~」
「育てておきたい子もいるし暫くはそのままいきましょうか」
いすれは袂を分かつかもしれないがそれもまた一興か……
「あなた達は敵になりそうな勇者達を育成してますが何か意図がおありで?」
サラの疑問ももっともか。
「まぁな、だが少なくとも全員が敵になることはないと思うしわからんな」
枠の空いた七魔女や(十三騎士)ナイツオブラウンドを襲名できるかもしれない人材もいる、いずれ元の世界に帰還するにしてもあいつらがパワーアップした姿を見てみたい。
「月島さんは七魔女、嶋田君は十三騎士を襲名できるかもしれないわね」
「そそ、優秀な人材は財産だからな」
これはランスロット先生が言っていた言葉だがまさにその通りである、優秀な人材は中々現れないので貴重だ。
「七魔女か……懐かしいな……」
「そういえばシンの同級生が作ったんだったな~」
魔女飼いって言ったかな?
魔法の詠唱なんかでは画期的方法を考えて魔法の発展に努めた人だ。
シンやその人も俺や立花と同じ魔法学校を卒業しているので先輩にあたる。
「奴程の男はそうはいない……まだ蘇生してないが蘇生するその時がたのしみだよ」
確か禁忌と限界に挑戦したんだったな。
是非会って話を聞いてみたいな。
「一つ聞きたいのですが二十柱にかかれば一度死んだ命を復活できるのですの?」
「二十柱のリーダーならできるさ、ただ魔女の奴は人で在りながら禁忌に手を出したから保険で死んだ時に復活できるようにしたのさ」
人は大抵寿命がきて衰え死ぬ、ただそれにあらがい不老を手に入れようとするものが現れる。
「永遠の命なんて私には想像つきませんわね、実際はどうなんですの?」
「うん?興味あるのか?」
「老いて死んでいくのを考えるとあなたたちを羨ましく思うだけですわ」
永遠の命か……まだそんなに生きてないから実感がわかないが言われてみればどう感じるようになるのか考えてしまうな。
「ふむ、友の代わりに答えようか」
「頼むわ~」
シンの奴なら軽く数百年は生きてるだろうし俺よりはまともなことを答えられるはずだ
「ふむ、俺は退屈はしていないな。ただマイペースに生きながら自分のしたいことをするといった感じだ。何より俺は人に興味があり脅威だと思う人材と出会うということに精を出しているから人生は充実している」
「なるほど、シンはそんな感じですのね」
サラは何か考えている感じだな。
「サラも永遠の命が欲しくなったら言ってくれ、人間辞めてもいいなら与えるよ」
騎士団メンバーはみんな完全とは言わないが永遠の命を手に入れている。
「そこまでではありませんの、ただ興味があるだけですから……」
◇
少し城が落ち着いているのでシンを残してアルマンゾールに転移した。
城の事をやりつつも立花のゲートの範囲を広げる為だ。
「一回俊樹さんに挨拶してから最初に行こうとしたファウンドに向かうか」
「ええ」
俊樹さんの家に向かうと俊樹さんと美弥さんが畑仕事をしていた。
「こんにちはー」
「おおっ、君達かどうした?」
「ちょいとファウンドにいこうと思いましてね」
ファウンドのギルドマスターへの挨拶やその他情報収集だ。
「そうかそうか、ファウンドには息子も今いるし会ってあげてほしい、つい昨日ここをでてギルドに向かったはずだ」
ちょうどいい、久しぶりに強くなった裕二を見てみたいな。
「それは願ってもないことだわ、その前にここで昼食を取りたいのですが大丈夫ですか?」
立花は上目遣いで言う。
俺にもそれやってほしいわ~
「ははっ、そろそろ昼にしようと思っていたからね、家で待っていてくれ」
家に入り居間のソファーに座る、俊樹さんの家の中はザ・地球の家といった感じで外観は現代の日本式の家で中のソファーやらベッドやらは全て地球からの取り寄せでその他便利グッズ等も兼ね備えている。
俊樹さんや美弥さんの異能はある意味チートだろ。
「落ち着く~」
立花の隣に寄り添い頭から寄せて密着する。
「ふふっ、周平ったら」
俺の頭をそのまま膝の上に落とし膝枕状態にする。
「悪くないな~」
「最高じゃないと困るんだけど?」
「あ、はい最高です。またやってください」
至福の一時だ、中学時代に立花と付き合っていろいろやってみたいことを妄想していた。
それはこの一つで記憶が戻りきってないだけに感動も大きい。
「ふふっ、前世の時も初めてこれやったときの周平は感動していたわね」
それは当然俺だからな~
「最近二人でこうやって出かけてなかったし時間ができてよかったよ」
城でも基本一緒にいるが二人ではないし変装もしている、夜は二人だがこういうゆっくりした時間はあまりとれていない。
「そうね、周平も他の女にいくことないし安心安心~」
立花はとてもご機嫌な様子だ、想ってくれるのはとても嬉しい事だが独占欲が強すぎるのは問題だな。
「君達相変わらず熱いね~」
片づけを終えた俊樹さんと美弥さんが居間に来る。
「ああ、すいません」
「いや気にしないでいいのよ、あなた達見てると私達まで和むから」
美弥さんが微笑む。
「そうだね、見ていてわかるが君達二人はとても絆が深い。地球で離婚する夫婦達も見習うべきだよ」
確かに地球では近年結婚率が落ち離婚率が高くなってきていて問題になっていたはずだ。
「ふふっ、お褒め頂き光栄ですわ」
案外若くしての出きっちゃった婚の方が絆が深まる気がする、それがいいかどうかは別だが……
「祐二もそういう相手と結婚して欲しいものだけどね~」
すると頭にふとレダさんが思い浮かばる、う~ん祐二とレダさんか……駄目だ……想像できない。
確かに美人だし色々気配りはできるが……
「祐二君ならきっといい相手が見つかりますわよ」
立花は満面の笑みを浮かべる。
二人は少し席を離れること三十分、食事が運ばれた。
「炒飯きた~」
テンションが上がる、俊樹さんと美弥さんの作った炒飯とか絶対上手いこと間違いない。
香ばしい香りが俺の食欲をさらに上げる。
「その様子だと嫌いじゃないようだね」
「俊樹さんが作った飯は何でも上手いと思ってますので、ああもう食べていいですか?」
「ああ、ではいただきます」
口に入れると安定の美味さと懐かしさで涙がでそうになる。
「少しさっぱりめな感じがとてもいいですね」
立花も絶賛だ。
「喜んでもらえて何よりだよ、ガーリック炒飯でもよかったんだけど匂いがきつくなるからやめておいたんだ」
「確かにガーリックが口に匂い残りますからね~」
量が多いと歯を磨いても臭いし次の日も体から匂いを発する感じがあるので仕事がある時とかは危険である。
食事を済ませ、馬車でファウンドに向かった。
ガーリック盛りだくさんの炒飯は怖い……次の日も体から臭うんです……




