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第5話 「ポテチとコーラ」

 本州最北端のとある都市の自宅のベッドからこっちに飛ばされて数週間がたった。

 

 初めての環境に戸惑うポンタも今ではこのお屋敷の主になったつもりでふんぞり返っている、これもすべてここの管理者であるメイドのシャーリーFが彼をご主人様として甘やかしたためである……


 「ポンポーン! ポテチ食いたいポーン」


 「はい! ご主人様、ポテチでございます!」


 「シャーリーFポン、コーラが飲みたいポン~」


 「お待たせいたしました、コーラでございます主人様!」


 「なんだか眠くなってきたポン……ベッドまで運んでほちいポン……」


 「はい、お運びいたしますご主人様!」


 「う~んなんか……寝付けないポン、この『はたらくへいき』っていうご本……読んでほしいポン……」


 「はい! ――兵器は万能ではない、役割があり……」優しい表情でご本を読むメイドさん、え? 日本語とか読めるの?? (気にしたら負けである)


 スピー……


 ポンポンポン………


 スピー……


 ポンポンポン……


 「……このヘルファイアミサイルはMBTの射程外から攻撃ヘリによる―― あら? ご主人様お眠りになったのですか? 可愛い寝顔です、フフフッ……」この有様である。よっぽど主に飢えていたらしく一日中ポンタにべったりなシャーリーFなのであった。


 そんなある日、事件は起こった……


 「へーイポンポンポーン! ポテチとコーラポンポンポーン!!」


 いつものようにシャーリーFにワガママを言うポンタ、しかし……


 「……大変申し訳ございませんご主人様、各種在庫切れでございます」あたり前である。


 もともとこっちの世界に無いはずのポテチとコーラ。実はジャーリーFが西洋チックな森からこっちの世界に転移してきた物を少しづつ貯めて、ポテチが約三十袋、コーラが四十本ほどあったものだ。それをこの妖怪ポンタはたった三日で全て消費しきってしまったのだ……


 ポテチとコーラの組み合わせ、まじマッハである。


 「ポポポポーン!! ポテチとコーラ食べたいポン!! もっともーーーーと食べたいポーン!! 食わせろポォオオオオオオンン!!!!」恐るべき中毒性、そして禁断症状! ポンタの目は血走り、もうヤバい顔しててとっても気持ち悪かった!


 「ああっ大変! ご主人様……お気を確かに!!」


 必死になだめるシャーリーF、しかし無駄である。人間ですら悪魔の食い合わせとして危険視しているポテチとコーラ……それを人間経験の浅いタヌキ(今は妖怪だが)が簡単に大量摂取しては危険なのである。


 「騒がしいな、どうしたんだシャーリーF?」


 なんかうるさいのでヒカリがやってきた。


 「ああヒカリさん良い所に! 大変なの、ご主人様が狂ってるの!!」


 「え……!? それもと――」もともとだろうと言おうとして、ヒカリはポンタ周辺に散らかっているポテチとコーラの食いがらを見て止めた。


 「こ……これはやばいぞシャーリーF!!」


 「え……!? どういうことですかヒカリさん?」


 「ポテチとコーラは……ダメだ……うん、ダメなんだ!」この症状、実はヒカリも知っている。数年前、彼女もこれをやらかしてしまって毎日ポテチとコーラポテチとコーラ……止まらなかった。


 結局体重が20キロも増えてしまったところで我に返り、地獄のブートキャンプばりの壮絶なダイエットによって元のスタイルに戻ったのだ!!


 「しかし短期間にこの量は……危険だ! 確かここの地下に使ってない牢屋があったな? そこに暫く閉じ込めて、毒が抜けるまで様子を見よう」


 「はい確かに牢屋はあります……しかしその間、ご主人様の食事やお世話は……?」


 「もちろん無しだ! 食べ物はやらず水だけを大量に与えればだいぶマシになるはず!」


 なるほど! と、シャーリーFがサッとポンタを捕縛する。目を血走らせながら暴れるが彼女の怪力の前では逆に愛らしい動きに見えてしまう。見えてしまった!


 「ああ!??? ああ~~ご主人様ぁああ~~~///////」めっちゃくそ悶絶するメイド……


 その時ッ!!


 スルリッ


 「ポンポンポーーーーン!!!!!!」トタタタタタタタタタッ


 「あっ」メイドがハモる。


 一瞬の隙をつきポンタは逃走。二人は顔を見合わせ……


 「いまの、見た?」


 「はい見ました!」


 「四足歩行だった!!」


 「はいっ!」


 「……退化したかも?」


 「可能性はあります、だとすれば向かう先は……」


 「ええ……」




ポンタは山(森)に帰ってしまった。

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