表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

第4話 「殺し屋さん」

 妖怪タヌ人間ポンタに銃口は向けたままだが金髪ガイジン顔メイドの戦意は消失しているようだった。


 「とりあえずそこの金髪のメイドポン!」一瞬ビクッとする金髪メイド。


 「ポンタはその(ピョコッピョコッ)……妖怪っぽいけど(ピョコリッ)人を襲ったり食べたりするような悪い妖怪じゃないポン(ピョッコ~ン)、信用して銃を下ろしてほしいポン(ピョコッ)」


 シャーリーFに笑顔で抱っこされ、彼女に両腕を摘まれ謎のジェスチャーをやらせられながら真剣な眼差しでポンタは言う。


 「はぁ……わかった。シャーリーFも懐いてるしな……」銃口が下りる……ジャコジャコッと、手慣れた手つきでM870の残弾を排莢してポケットにしまう金髪のメイド、それを見ながらそこまで銃の扱いが上手いのに何で当てれないんだとポンタは眉間にシワが寄る。


 「こちらも自己紹介といこう。私はヒカリ、ここで警備担当をさせてもらっている……で、そっちはシャーリーF、この屋敷の管理者でホムンクルスのメイドだ」


 「んんん!? ホムンクルスって……あのアニメとか漫画に出てくる人造生命体ポン? すごいポン、やっぱりここ日本じゃない……異世界ポン!!」


 「アニメに漫画か……やはり君も私と一緒でこっちに飛ばされて来たみたいだな」ヒカリは言った。


 それを聞いてポンタもやっぱりと思った。さっきヒカリが意味深な事をつぶやいていたからだ。

 しかし彼女、染めたにしてはナチュラルな金髪に西洋人の顔つき……ポンタはモヤモヤして質問してみることにした。


 「ヒカリポンって妖怪とか知ってるし日本人ポン? 海外の人みたいだポン!」……ちなみにポンタ、外国人の特徴は全てエックスなんちゃらとかレッドほにゃらら等の海外動画サイトで勉強済みである。


 「ああ、なるほど……こう見えてもちゃんと日本人だよ? もともと捨て子で両親は知らないけど日本人じゃなかったんじゃないかな?」


 「ポンポーン……興味本位で聞いてなんか申し訳ないポン」本人は気にしなくていいよと答えたけど、けっこう重い話だった件について!!!


 ……気を取り直して、ヒカリから更に色々聞いた妖怪タヌ人間アナニストポンタ。


 それによると彼女もある日、強烈な眠気で眠ってしまい、起きたらあの西洋チックな森に居たところを偶然シャーリーFに助けられたようだ。更にどうもあの西洋チック森、人間やタヌキの他にも道具や食べもの、日用品や機械、色々こっちにやってくるらしい。


 「いま君が食べてる食事の材料や、私のこの銃もそこでシャーリーFが拾ってきたんだ」ヒカリはウットリ顔でM870を撫でる……相当気に入っているみたいだ。射撃は下手糞だけど……


 「むっしゃむっしゃ……ズズッズッ……なるほどポン! 確かにこのココア、『ココアはやっぱり何とか~♪』で有名なメーカーの味といっしょポン! 飲んだことある味ポン! ズズズッ」


 手作りサンドイッチを口に含みながらココアで流し込む……チョーウマイ! ヒャッハー!!『おいしいね、おいしいねっ』てアニマル好きブロガーに吹きだしコメント書かれそうなくらいウマそうに朝飯を食うポンちゃん、ホントこれ久々の飯である。もちろん食べながらヒカリの話もちゃんと聞いてるよ?


 「ご主人様? サンドイッチ美味しいですか???」


 「超おいちぃ〜ポン!!! カツサンドよりウマいポーン!!!!!」ああ無念カツサンド、大好物とは何だったのか。それを聞いたシャーリーFはテカテカしていた。


 用意された朝飯を食べ終わり、ニコニコするシャーリーFの膝の上をソファーに見立てて、だらしな~く寛ぐポンタ。それをあの凶悪な魔物と間違って銃ぶっ放した自分が馬鹿らしく思えたヒカリは魔物についてもポンタに説明した。


 この世界には魔物がいる。魔物はこの世界の生き物が突然変異して凶暴化したもので、危険な害獣とされている。この屋敷を囲む深い森にも生息しており、怪力を持つホムンクルスのシャーリーFでも数対と対峙すれば危険だ。そしてホムンクルスの彼女は平気だが、人間や動物が噛まれるとこれが感染し、個体差によるが数時間で凶暴な魔物になってしまう恐ろしい二次災害がある。その為、この世界の住人達はそれぞれの村や町に引きこもり、交流は規制され文明レベルも中世ヨーロッパ前後程度らしい。


 (本当に……なんて最高な世界だろう……ふふふふふ)っと思うヒカリ、実は彼女はヤバい。


 ゲ○やツ○ヤで世紀末系やゾンビ物のB級映画を借りてきては、なんとモデルガン握りながら鑑賞しちゃう没入派! 更にあまりにも借りるタイトルが偏ってるが為に、そこの店員達に『殺し屋』と呼ばれてネタにされているのであった!


 美人でスレンダーで金髪で外国人顔ガール!!!!


 普通なら憧れの眼差しで男性店員に見られるハズの彼女……しかしその実態は、毎日同じ黒地に金のプリント入りDQNジャージを着こなし、糞みたいなDVDコーナーにしゃがみ込み糞みたいなDVDを手に取りニヤニヤしている残念系ガール!!!!!


 成人して数年、ヒカリは男も女も寄りつかない孤独の暗殺者なのであった……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ