ゆー・えふ・おー
「あのさあ……あなた許可取ってないでしょ」
「…………」
「これまでの人達はね? ちゃんと前金も払って、本人の許可も政府の許可ももらった上で、症状を貧血程度にとどめるレベルの実験しかしてないの」
「…………」
「それをいきなり謎の光でさらってさあ…………これだけでも地球人にどんな影響があるかまだちゃんと開示してないじゃん? そんで人目もまったく気にしないし。なんで昼間の公園のど真ん中で職を失くした事に絶望してたリーマン誘拐しちゃうの? 子供のトラウマを育てるのやめてくれない? クレームこっちに入るのよ」
「……スマヌ」
「謝ってすむなら俺ら警察はいらないのよ。言ったじゃん、地球は独立惑星で、日本は独立国だから、こっちのルールに合わせてもらえないなら太陽系外退去っていう処置をとらざるを得なくなるの」
「……七兆マデナラ払エル」
「お金の問題じゃないんだよ! 大体七兆円って七千ギリアじゃん! あんたの財布に入ってらあホラ! その場しのぎをしようとすんじゃないよ!」
「……タノム! 定時ニ帰ラナイト子供ノオ迎エニ遅刻シチャウ!」
「そんな事言ってもねえ、あんたが無許可で非合法な人体実験を行おうとしていたっていう事実がある限り、帰すわけにはいかないんだよ。ちゃんと日本側で裁かせてもらった上で、そっちの銀河に帰ってもらうから」
「確カニ多少、非合法ナ事ヲシヨウトシタ! ウチノ会社モ今らいばる企業ニ抜カレテテ焦ッテルンダ! 分カルカ!? モウ黒イ仕事シナキャ勝テナインダヨ!」
「バカ野郎!! 正々堂々勝負して勝って初めて価値があるんだ! 悪い事はいつかバレてしっぺ返しくらうんだぞ!」
「ソンナノ綺麗事ジャナイカ! 俺ダッテ、反対シタンダ! デモ、家デ待ッテル家族ノ為ナンダ……! サラッテ来ナイト、解雇シテヤルッテ……」
「歯を食いしばれっ!! (ガンッ) 痛えええええ! お前顔鉄で出来てんのか!?」
「……ウチノ種族、歯ガナインダヨ……」
「ちょっ……あっこれ、リアルに血が出てきた……」
「マジデ? 病院行ク?」
「行く……止まんねえわこれ」
「応急処置シヨウカ?」
「どうせ非合法なやつだろ、国病まで送ってってください」
「今回ハコレデチャラネ」
「ちくしょー! 俺から殴ったから傷害罪で訴えらんねー! お前次公園居たらすぐ書類送検だかんな! すぐさま裁判だかんな!」
「ハイハイ、次カラ路地裏ノ酔ッ払イ攫イマスカラ」
「だから攫うなっつの!」