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バーミリオン卿

階段は長いこと使われていないようでほこりがたまっていたが数人の足跡が新たについている。


何らかの原因でここに入り階段下へと撤退せざる終えない状況だったのではと足跡の乱れから推測して階段をゆっくりと降りる。

25階はまだ未到達であったがどういう理由にせよクロームザザが降りるしかなかったという事で私は外の状況が気になり撤退することに決めた。


扉を開けて外をみると建物を半壊させている半透明のモンスターはまだ暴れており私は壁沿いに走るとごみ置き場の穴へ飛び込んで砦の外へと出る。気配はなく部屋の外壁沿いに通路を目指して走り抜けもう少しでと思っていると運が悪くミノタウロスが部屋へと入ってきた。


私は悲鳴を圧し殺して小さくなり壁沿いにちじこまり何度も祈る。


大きな足音は目の前を通りすぎ安堵する。どうやら騒がしい砦に注意が向いているようで私の背丈の3倍はありそうな巨体を横目で見てゆっくりと通路に入った。


早くこの場をと冷静さを取り戻そうと思って通路を見ると薄明かりに浮かび上がるひとつ目に思わず悲鳴をあげ慌てて部屋へと戻る。


背中から咆哮と震動が続き、私は近くの草むらに飛び込むと丸くなって隠れた。


「なんでこんなことに、何でだよ」


私は悲鳴を言葉に変えてパニックを押さえようとしていたが体の震えは収まらず目をつぶって通りすぎるのを祈っていると、いきなり掴まれ持ち上げられる。


サイクロプスに捕まえられたようで反対の手には木を掴んでおりそれを砦に投げつけ、次の瞬間振り回され気がつくと空中へ放り投げられ砦へと飛んでいく。


無駄だと思うが両手で頭を抱え膝を曲げて丸くなると今までの事を思い出し始めた。


町で生まれ兄が四人もいたので末っ子として育てられ、当然子供を養うのも苦しい親は教会に入れようとしたが私は幼いながらも冒険者となり採取がメインでようやくパーティーを組んで潜り仲間をなくしそして最近の出来事を思い出しながら落ちていく自分の恐怖で悲鳴をあげて地面へと落ちた。


はずだった。


「グニュっ」て言う音が聞こえてきそうな感触に圧し包まれ私は目を開けると半透明なモンスターの胎内なのか囲まれており、ゆっくりと押し戻されて破壊された砦の残骸に放り出された。


「変なのが出てきたぞ、こないだ押し出した奴じゃないかブルディ様に知らせろ。」


変なイントネーションで騒ぐオークに慌てて25階へ続く通路へと走りそのまま階段をかけ下りた。



25階、クロームザザが降りてきているが情報は現段階ではなにもない。臭いを嗅いでみたが獣臭くも爬虫類臭くもない。しかも陰気な感じがしており私は足跡を追跡しながらしばらくは上の階には戻れないと思いながら通路を音をたてずに進んだ。


しばらくすると話し声が聞こえてくるかすれた声でボソボソと、


安堵しながらゆっくりと近づくと暗闇に白いものが浮かび上がりスケルトンと認識するまで時間はかからなかった。


ゆっくり近づくとスケルトンは何かを担いでおり十数体であり暗闇のなか進んでいく。


「手出しもできないし、ついていくしかないか。」


独り言を呟きながら通路を進みようやく大部屋に到着したのか中へとゾロゾロと入っていき続いて私は近づき中をのぞく。


気配はするが灯りが無いため中の様子はわからずどうするか考えていると、


「ぼうずそんなところにいたら邪魔だ入るならさっさと入ってくれ」


そう言われ振り替えると目の前に継ぎ接ぎだらけのローブを着たガイコツが私を見ており私はビックリしてゆっくりと立ち上がると横へ避けた。


「すまないな冒険者よ、暇ならついてこい始めてみる顔だからな隊長に紹介しよう。」


こちらが汗をかいて焦っているのにローブの男は部屋へと入り私も入らざるおえなかった。


「ラズエル殿お帰りなさい。」


「お疲れさまです。」


スケルトンの兵は次々と挨拶していき、


「ご苦労、なにか騒がしかったようだな」


「上が騒がしくなったようだ警戒を怠るなよ。」


ラズエルと呼ばれたローブの男は返事をしながら小さな小部屋に入るとそこには椅子に座った騎士と思われるスケルトンが座っており、


「ラズエルよ下の様子はどうだった。」


「相変わらずネストが威張り散らしています。特に変わったことはないと思います。しかし上の騒ぎの方が問題かと思いますがバーミリオン卿。」


「そうだな、先程見廻りに出ていた斥候が数人の冒険者を捕縛したと知らせがあった。」


「そうですか実は私もそこでこの冒険者と会ったので連れてきました。」


私は二人がこちらをみたのであわてて、


「冒険者をしているドレークと申します。行方知れずの冒険者をギルドの依頼で捜索しに来ました。」


緊張と変な気持ちになりながら丁寧に挨拶をするとバーミリオン卿と呼ばれた騎士は頷いて、


「それではその冒険者が我々が捕縛した冒険者かな」


「間違いありません。ここに降りてきたのは私の他にそのパーティだけですから。」


「そうか、しかし久しぶりだな部外者が訪れるとは、それと上の騒ぎについてだが心当たりはあるかな」


私は頷き、


「捜索している途中で半透明のモンスターにあいそれを25階のオークの砦に解放してしまい混乱しています。」


「なに、ブッチャーを解放してオークが混乱しているとは、ネストよ奪還のチャンスだと思うがどうだ。」


「直ぐに斥候と兵を揃えて奪還の手はずを整えた方がよろしいかと思います。」


「よし直ぐに準備を、ドレーク殿も一緒に来てはいただけないか一人でも多くの兵力が必要なのでな」

私はここで恩を売って冒険者を引き渡してもらおうと思い、

「わかりました。私も上をどうにかしないと戻れないのでお手伝いさせていただいます。」


そう言ってバーミリオン卿の後に続いて大部屋に戻り斥候と共に上へと案内をすることになった。



スケルトンに囲まれ変な気分を上の階に上がると目の前の戦いに心奪われ気にすることもなく忘れる。通路の終わりから部屋をみるとさらにひどくなっており砦のなかは殆ど潰されているようで木と石が折り重なっておりオークが疲れたように座っているがあの半透明のモンスターの姿は見えない。


斥候の一人が頷いて通路を戻り私達は隠れながら少しずつ前進をしていく。

悲鳴が上がっておりまだまだ混乱は続いており密集隊形で突き進む、ハイオークがこちらに気がついて仲間を呼びはじめたところにバーミリオン卿と兵士は突撃してハイオークを倒していく、私はその後ろからまだ命がある敵に止めをさしながら砦内部へと入った。

ブッチャーと呼ばれた半透明の怪物は中庭を抜けて正門に抜けたようで砦に外へと悲鳴は上がる。


「バーミリオン卿、ブッチャーはどうするつもりでしょうか」

あれをどうするつもりなのかと思いながら砦の一番上にあがり様子を見る。

「こちらに戻ってくるようなら油か木を燃やしてしかないだろうな」

顔の表情はスケルトンなのでわからないが困った声で答えてくれ、準備に取りかかっているようで油壺をいくつも準備して待機していた。


どうやらブッチャーは戻る様子もなく次の階に続く階段の場所に向かって進み斥候が上へと上がったのを確認してようやく一息つくと、

「そのほうには世話になったな、ブッチャーがいたため砦を取り返すにも障害となっていたからな、褒美と冒険者だ」

金貨を貰ったのとようやくギルドの依頼をこなすことができたと言うことで安堵をしていると、


「なんでよ、掃除屋だからこんなアンデットと交渉するなんて頭おかしいんじゃない」

他の者は麻痺させられているのか動かないがパーティーの紅一点であるマレルだけが泣き叫び私をにらむ、

「話が通じるなら相手がどんな人種でも問題はないし、通じないなら人でも問題なだけだ」

「そうやって私達を陥れて金を稼いでいるのでしょ」

未開の階へと向かったことを忘れており、話を続けても何も変わらず時間の無駄と思い、

「黙ってついてくるか死体としてあがるか好きにしてくれ」

死体なら蘇生料がかかり借金がかさむので冒険者にしてみれば借金がかさむ、

「ちっ、わかったわよはやくロープを外して」

そう言われてナイフで切るとマレルは立ち上がった。


私は麻痺された冒険者をバックパックに放り込んでいく、こんな態度だからと良く言われるが帰ることについて色々考え始めており、同行者もいるのでめんどくささと危険度が大幅にはね上がっている。


「従うこと、ギルドの依頼の中で救出された者は地上に出るまでと言うことになっています」

普段使ったことがない契約書の基本条項を見せた。

顔を真っ赤にしてマレルは何か言いたそうだったが周囲のスケルトンの姿に怖れて頷いた。


「バーミリオン卿、もしかしたらこの砦にギルドが迷宮の休憩をするための区画を借りたいと言ってくるかもしれません、そのときはよろしくお願いします」

虚空の目をしているがしっかりと頷き、

「志半ばで命つきたがまた力になれるとは、その時は喜んで力になりましょうぞ」


砦から送り出され、抜け道で上の階にあがりブッチャーに気を付けながら進む、転送をつかい寄り道もせず帰還した。


「おかえりなさい」

無事に戻ってきたことをギルド職員のヘルネリアが出迎えてくれて私のザックからマレル以外のパーティーを取り出すと引き渡していく、

「ドレインとパラライズですね、病院での治療が終われば問題ないでしょう。マレルさんすいませんが支払いのこともあるのでギルドへとお願いします」

美しい金髪をなびかせながらヘルネリアはあいかわらずたんたんと物事を進めていく、


ギルドへと到着すると、

「治療費は後日で、救助の代金が一人金貨14枚、84枚になります」

マレルは何か言いたそうだったが、

「パーティーが預けている所から引き落としておいて、今まで貯めてきた物が無くなるなんて引退したい気分だけどそうもいかないし」

力なく椅子に座る。


ヘルネリアは何時ものように手数料などを引いた金額を渡してくれ私は金貨をそのまま預けた。

バーミリオン卿の事も話始めるとヘルネリアはギルド長を呼び出し話をさいかいさせる。


「たしか百年ほど前に帝国の騎士団が攻略に出て行方知れずだったようだが砦を築いていたとはな」

「見た目はスケルトンですが当時のままの意識であり、そこを拠点にしているので冒険で協力をお願いすることになると伝えておきました」

ギルド長は頷いてヘルネリアに王国への報告書をまとめるように指示をした。


私が出ていこうとするとギルド長が、

「そう言えば救助の仕事をしたいと2つのパーティーから申し出があってな了承して一昨日から動いてもらっている」

私には拒否権もなく気にすることでもないので軽く手をあげて宿であるオークスへと戻った。


荷物をチェストにしまい鍵をかけて酒場に向かう、

「アポロニアはどこだよ、隠しやがって」

酒場にはいるなり昼間なのに酔っぱらいが絡んでくるが無視をしてカウンターの端にに座る。


後ろからは相変わらず下げすさむ声が聞こえたが無視をしてエールを頼んだ。

アポロニアがいないのにようやくなれたのか閑散としておりバーテンもほっとしているようで夜の仕込みをしていた。


「よっしゃ、初仕事完了だ。エールを6つ頼む」

若く威勢の良い声が聞こえてくる。なんの仕事をしたか知らないが関係ないことなのでエールとつまみを食べながら数日中にしたに潜り込まないとと思いながら考えていると、

「お前がドレークだな」

先程の若者の声が私の後ろで聞こえ面倒後とはごめんだと無視をして酒を飲む。若者はわざわざ私の横に来て、

「遭難した者を助けて暴利をむさぼっているようだがこれからは俺達が適正な料金で請け負うからな」

私は顔を向けずに酒のおかわりを頼んだ。


「そんなすましていられるのも今のうちだ、仕事がなくなっても吠えるなよ」

若者は仲間の元へ戻ったのかようやく静かになりおかわりのエールを飲むと外へ出た。


迷宮の新たな階が解放されたと広まっているのか新たな冒険者が流入しているようで活気に満ちている。

宿へ戻ると疲れたようにベットに潜り込んで就寝した。

「ドレーク、ドレークいるんだろう」

でるとギルド長のマーレスがおり中へ入ってくる。

「グリスパーのパーティーが遭難してカレイズのパーティーが救援に向かったんだが11階に」

「なんか問題でも」

「カレイズは11階におりたことがまだないんだ、ギルド職員も気にせず仕事をふったのだが」

「予定道理戻ってこなければで良いでしょう」

そうあっさり言うともう少しゆっくりしたいんのでマーレスを追い出してベットへと戻った。

マーレスにしてみれば遭難を回収しにいくのが失敗することはギルドの信用問題にもなると今更ながらに慌てているようだが、私にとっては休養を取ることが大事なので断ってしまった。


昼過ぎに朝食、夕方に夕食をとりまた寝てしまう。単独で動く事のメリットであり、パーティーを組んでいたときにも寝不足と疲労で危険な目に遭っているので尚更だった。


翌日起きると顔を洗い朝食を取ってギルドへ向かう、中へ入るとマーレスが私を見つけて駆け寄ると、

「今日の昼過ぎまでに戻らなければ依頼をしたい」

そう言うので返事をしようとすると、

「ギルド長、その依頼を私達のパーティーにしてくれ」

そう言いながら若い黒髪の戦士が間に割り込んでくる。

「11階なら行ったこともあるし、掃除屋ドレークの手をわずらわせる程の事でもないですし」

突っかかった物の言い方をしてきたのでギルド長が、

「今までの実績がある。お前たちに任せるべき意味がない」

「あります。たしか金貨を2枚でしたね、我々は一人頭金貨1枚で請け負います。助けられたものの負担も減りましょう」

色々金がかかると言うことがわかっていたいのだが、それを教えるほどお人好しでもない私は一歩下がると、

「ギルド長、彼らに譲りますよ揉め事は苦手なので」

苦虫を噛み潰したような顔のギルド長は、

「そこまで言うなら一人頭金貨1枚、それで任せる」

それだけ言うと契約書をとりだし黒髪の男と契約をした。


「あなたの時代は終わりですよ、ぼったくることしか考えず疫病神と言われたあなたが動かなくても良いようにして差し上げます」

通りすぎながら私に言うと出ていった。


「すまないドレーク」

「気にしないで良いです。彼らは実力的にどうなんです」

カレイズと呼ばれたあのパーティーの面々の事を思いながら聞くと、

「ライネックの実力は12階までだから中堅に入ったところだろう、しかし一番の問題は直線的だな、回避したり隠れたりせず真っ直ぐ向かう」

「金貨1枚と言ったけど修理とか考えれば利益は薄いかも」

元々眠り草やその他の物を揃えさらに消耗したものを修理すればお金が飛ぶし、失敗する確率が高い違約金も金貨1枚×人数なので全員を回収できなければ支払い金額は減るということがわかっていない。


「すまないが彼らの偵察をお願いしたい、後ろからついていき報告をお願いしたい一日あたり銅貨30枚」

「手助けがなしなら受けよう」

「助かる」

こうして偵察の依頼書を作成してサインすると、

「昼過ぎから潜るように指示している」

それだけ聞くと私は宿に戻り身支度をして迷宮の入り口へと向かった。


まだ彼らは到着していないようなので衛兵に挨拶すると先に潜り見えないところで待機した。

一時間、二時間、四時間が過ぎてようやく先程の声が聞こえてくる。

「まったくカレイズも早速違約金と救出費と下手したら蘇生で大赤字だな、幸い助けにいくのが我々だからぼったくられるようなことはないがな、あの掃除屋のように」

笑いながら影に隠れている私の前を通りすぎ下の階への通路を進む、実力はあるようで9階までは楽に倒しながら小銭を稼いでおり10階への階段へと到着した。


10階はオーク、その下はハイオークがすみかにしておりライネック達も緊張しているようだった。

地図は持っているようで11階に向けて迷わず進んでいく。

幸いオークに会わずに進み続け11階へとすんなり彼らはおりていった。


彼らに続いておりると焼いた臭いが漂い、ハイオークやオークのご飯かと思いながら彼らも気づいた様で匂いの元へと動く。匂いに気をとられ不用意に行きすぎと思いながら距離をとり始め後方や左右を気にしながらついていくと、左からオークの集団がよだれをたらして合流するとライネックの後を歩き始めた。


これ以上はいれば後ろから匂いにつられたオークが来ることも考えられ暗がりの通路に紛れて隠れた。

しばらくすると叫び声が次々とあがり争う音が響く、偵察に行きたいもののオークが物音で少しずつだが集まり始めており暗がりに黒のローブで隠れ続けなければならなかった。


しばらくすると近くにオークはいなくなったのか通りすぎないので現状を見に進む。

歩いて通路を進むと右に曲がった先に彼らはおり、オークの死体の前で休憩をしている。実力的に中堅以上の実力を持っていると思えるほど多数のオークを倒しており感心して見つめ続ける。


戦利品をあさるのかと思ったがライネックはこんなに多くのオークが次に出てくるなら救助はおぼつかないと言って奥へと進んでいった。

私はさっきまで彼らがいた場所に進み出ると周囲の音に気にしながらオークの死体をあさりながら銅貨ばっかりの腰巾着を回収して後を追った。


通路を進むとライネック達が右側の部屋をのぞいているようで、そこがオーク達の食堂なのだろう臭いがかなりきつい。

今場所は後ろからこられれば隠れる場所がないので退却をするか迷っていると、

「救援にきたぞ、お前たちは見ていろ」

後ろを注意しているときに喚声と共に声があがりライネックの横を一団が通り抜けて中へ入ったようで、ライネックは文句をいいながら続いて入っていった。


私は通路に誰もいなくなったので走り寄ってなかを見る。


中ではハイオークとオークが奥にいてその手前の右にライネック達がおり、その反対になんとカレイズ達が立っておりオークに向きながら言い合いうぃしていた。

「俺達が最初に受けた依頼だ、邪魔するな」

カレイズが怒鳴りライネックも、

「お前たちは依頼を達成できなかったから来てやったんだ大人しくギルドへもどれ」

そう言いながらオークと戦いが始まる。


私なら後ろから戦いをしているのを見てカレイズと遭難したパーティーを地上に送り届ければ自動的に報酬を貰えるのだから争う必要がないのにわざわざと思いながら観戦した。

両パーティー共にオークを牽制していて両方から包み込めば同じかずかそれより多い相手でも戦えるはずだが、点でバラバラに攻撃しておりハイオークもそれに気がついたのか分断してライネックにオークをほとんど振り分け、ハイオーク3体でカレイズを攻撃する。


ライネックは数で押されながらも多少の手傷をオークに与えていたが、カレイズはハイオークに対してまだ戦えておらずじりじりと後退始めており気合いだけがむなしく響いた。

通路からも声が上がっており、どうやらオークが集まってきているようで私はそこから離れて暗がりに逃げ込んだ。


ハイオークを含む一団が通路の曲がり角からやって来て部屋の入り口から中を見ており、興奮して声をあげ始めた。

それに気がついた戦士が一人出てきて入り口で戦い始めたが挟み撃ちにされた状態ではとてもじゃないが命さえ危ういと思いながら潮時かなと腰を浮かせる。

悲鳴と罵声が続いておりそれを聞きながら10階の転送部屋から地上へと戻った。


「そうか」

報告を聞いたマーレスはため息をついて、

「救援を組織する。回収だと依頼の日時が重複してしまうからな」

依頼の上に依頼は冒険者への信頼を損ねるのでタブーであり、本来は私に依頼したいのだがそうもできないと言うことで場所を聞いてギルドでの至急の依頼と言うことでマーレスが冒険者を募った。


TOP連中がいればいいが迷宮に入っているため不在であり中堅のパーティーが1組と中堅前が4組しか揃わずマーレスは悩んでいた。

「ドレーク、一緒に来てくれないか」

私に依頼をしてくるが私は首をよこにふる。

「ライズもだがあの4組も私が入ることを良しとしないだろうし、無理矢理入れば連携が崩れ危険になると思うから」

「無理にはできるけどだな、わかったこれでいこうと思うがなにか良い方法はないか」

マーレスはタブーな事を聞いてくるぐらい切羽詰まっておりあわてて頭を下げて、

「すまんやり方は各自の秘密だからな、聞いてはならなかった」

そういわれ私は腰袋から眠り玉を取り出して、


「これを通路で火をつけて上の階に退却すること、一時間ほどで行き渡り眠りにつくのでその間に回収して撤退を、ただし寝ている者を殺すのは良いが失敗すると目覚めて危険だからな、逃げることを最優先に」

そう言って手渡すとマーレスは、

「すまない、代金は請求してくれ」

それだけ言うと出発をした。


私は眠り玉やその他に消耗したものを買いにマリーネの店に入った。

しかし珍しくマリーネは不在で恐縮した留守番の女の子に注文して購入してからオークスに戻り女将さんに明日迷宮に戻ると言って就寝した。


翌朝早くに宿を出て迷宮の入り口へと向かい衛兵にマーレスが戻ったか聞くとまだと言うことで、転送部屋を使って良い許可は連れていったパーティーに出ていないので上から順番にしたに下ったということらしかった。


私はパーティーを待っている冒険者の中を進み、視線を気にしないように目深にフードをかぶって進んだ。


5階までは新しくきたパーティーがゴブリンやコボルト等と戦いを繰り広げており、その横を通りすぎて下へと向かう。

10階から11階へと降りる階段にはマーレス達はおらず緊急で転移をつかい戻っていなければまだしたにいると言うことで注意しながら降りた。

通路を歩くと近づくにつれいびきをかいているオークが転がっており最中ということがわかり緊張して部屋に続く曲がり角に到着すると、


「ばか野郎手を出すな」

マーレスの声と共にオークの鳴き声が響きにわかに騒がしくなる。

「冒険者だけかついで撤退だ、囲まれる前に急げ」

そう言うと冒険者が出てきて私の方へ走ってきた。

「どけどけ邪魔だ」

私が飛び退くと横を走って通りすぎていきマーレスが最後尾で私を見つけたので横にならんで私も走った。


「カレイズとライネックの姿はなかった。その他のパーティーはこんなのしか残ってなかったがな」

前を進む冒険者が抱えている袋があり、かなり欠損した部位があると思いながら10階への階段をかけ上った。


中堅パーティーはさておき経験の浅いパーティーは今回の負ければ餌でしかないという現状を見てショックを受けている。

「2つのパーティーはどこにいったのか、死者は出ていないようだが」

マーレスが疲れた顔で私に聞いてくるがあの後どうなったかまではわかるはずもなく首をふるしかなかった。


救出したいがまだライネックの依頼の期日は2日有効でありマーレスもため息をついて5つのパーティーに地上に戻ることを宣言して地上へと戻っていった。


私は眠り玉を使われた後で興奮しているオークと会わないように避けて隠れてを繰り返し11階を突破してアポロニア達が待つゴブリンの村へと向かった。

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